菊竹清訓の最高傑作　「東光園」に泊まって建物保存について考える　その２

2015/05/10 - 2015/05/10

皆生温泉、東光園には宿泊だけでも、と「素泊まりプラン」で予約しましたが、チェックインの時にフロントで確認すると、夕食はバイキング方式で地場のものもあるとのこと。
欲が出ました…
追加で夕食だけお願いしました。
その夕食の状況と翌朝の東光園とその周り、そして米子駅からバスで来る時に一箇所、由緒ありそうな建物を見かけたので、帰りに寄った米子市公会堂の様子をご紹介します。
米子市公会堂は竣工年としてはこちらのほうが古いですが、耐震補強も兼ねた大改修が最近終わって綺麗になってました。
一方の東光園は新館を増築して事業拡大を図ったようですが、現実はなかなか厳しいようで使用されていないスペースが目立つ他、建物の維持管理も苦労しているようでした。
躯体や設備など大丈夫？と思いましたが、よく考えると人の心配する前に自分の身体も同じだということに気づきました。
人間ドックや健康診断で悪い数値が出たところは放置せず予防保全しなくっちゃと…

エリア 皆生温泉(鳥取)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 3.5
• 交通: 4.5

１階庭側の全面ガラスの一段沈んだロビーには剣持勇のﾗﾝﾀﾝﾁｪｱがずらりと。

ランタンの形・色とマットの色が微妙にマッチして…

思わず座りたくなります

吹き抜けの２階からも俯瞰してみました

天井の照明
誰です？
虫食いになってるなんて言ってる人は…
向井良吉氏の手による照明です

ホテルの方に聞きました。
この照明は６月に庭の大木の栴檀の白い花と競うように夜、ガラスに映るそうです。

こんな感じで灯ります

さてと布袋様がお迎えの夕食会場に…

会場は新館の４階です
中に竹藪が…

バイキングだから
とり放題

し放題

何でも有りです

早く行ったので空いてました

料理に近い、窓辺の席を確保！
景色見ながら腰を落ち着かせてじっくりと。

あら〜
畑まであるのね…

「よく噛むのがポイント」とありますが
よく噛むと、すぐにお腹一杯になっちゃうんだよね〜

米子の隣は安来です
「安来」といったらこれだよね
ドジョウすくい！

マニュアルどおりに…

すぐに蓋します

あら〜

新鮮ジュースも作りましょう

水も甕出しだと美味しく感じます

個人的にはこれが一番でした
「平岡さんちの辛味噌いため」

これで締めます…

結局１時間も粘って満腹です

運動がてら夜の館内を徘徊します。
４階ピロティ
誰も居なくて怖わ〜

外にも出てみます

５階、６階の客室がライトに浮かびます

庭にも出てみました
栴檀の大木もライトアップされ。

一眠りして夜中にお風呂に…

大浴場入口付近はかなり広いスペースで図書室までありました…

入口からして石柱がド〜ンと。
期待がふくらみます

大浴場も予想通り「石と柱の世界」です

１１時過ぎで流政之氏の大浴場を独り占め

露天風呂も誰も居ません

ちなみに翌朝
もう一つの大浴場
こちらの方が大分小さいです。

露天風呂はもっと狭い…

ということで、早朝５時起きして
また館内を見て廻ります
空中廊下から４階のピロティを通って…

また屋上に来ました
４階の空中廊下と新館
その向こうに湾が迫ります

私の部屋は新館の２階の一番はずれ
大浴場のすぐ近くです

美保湾の向こうから陽が昇ってきます

晴れてて良かった！
大山もくっきり

庭にも出て、朝日に浴びる東光園本館（天台）と栴檀の巨木

さて昨日暗くなってしまい、行けなかった階段室をあがって見ましょう

ほとんど使用されていないようです。
悲惨な状態でした

上まで階段を上ります

分かるよね、何階か。

ガラス越しに天台の上から吊られている５階、６階
柱が見えません

その６階
貴賓室もありますが私には無縁です
本館「天台」は３階、５階、６階が客室ですが１フロア５室しかありません。

やっぱりどうしても４階に来てしまいます

４階の渡り廊下を通って部屋に戻ります

新館の泊まった部屋の窓からは本館がよく見えました。
海側でなくて良かった…

外にも出てみます

海岸方面を散歩します
新館は真ん中に廊下で本館側の部屋と海側の部屋になります。
海側はこんな感じです。
４階の張り出しているところが海を見ながら夕食を食べたレストラン会場

海に出ました
波消しのためテトラポッドが積まれてます

テトラポッドがないところはこのとおり

漁師さんが漁から帰ってきたようです
バイ貝を採っているそうです。

海岸から松越しに東光園本館屋上のシェルが見えました

あら〜松が塀を…
ぐるっと廻ってみます。

右側に私の部屋のある新館
手前が大浴場
その奥に本館が見えます。

最後に庭から本館を眺めて
米子市内に向かいます

ﾊﾞｽｾﾝﾀｰまでは海岸沿いに少し大回りして…

海岸の防波堤に手形の焼き物が沢山ありました。
これで海岸侵食に待ったをかけようとの意気込みでしょうか

ﾊﾞｽの時間まで少しあったのでバスセンターのギャラリーを覗いてみました
どうやら２階は使用していないようです。

来る時にバスの車窓からいわくありげな建物が見えたので
帰りに降りて立ち寄ってみます。

米子市公会堂です
日本を代表するモダニズム建築の村野藤吾が設計した堂々たる公会堂です
昨年、宇部の渡辺翁記念会館を訪れて以来の村野藤吾ですが、
次の週も北九州で村野藤吾の建築物を見るとはこのときはつゆだに思っていません。

1958年に完成のこの建物は「1世帯が毎日1円を貯めて公会堂を」と米子市民の1円募金運動による寄付をもとに建てられました
村野藤吾はブラジルを旅した時に見たキリスト教会堂とグランドピアノをイメージして設計したそうですが…

最大の特徴はせり上がった2階客席の下が１階のホワイエとなっており
その形がそのまま外観になってます。

塩焼きタイルを貼った側壁の緩やかな湾曲の造形表現が何とも言えません
昨年の大改修時に劣化部分を貼り換えましたが、塩焼きタイルは窯を痛める理由から製造中止してるので還元焼成タイルを使用

竣工後20年経った1980年に１０億円かけて増改修が施されましたがその時も村野藤吾が設計を担当。
同一設計者による同一作品の増改修ってのは珍しいケースだそうです。

正面入り口は鍵がかかって閉まってます
平日の午前中だしやむを得ません

ガラス越しに中を覗きます
ドアのアクリル取っ手も見えます

諦めきれず中も見学させてもらえないか、よこのピロティを通って事務所に寄って見ます

「建物を見学させてください」と言ったら
案内してくれました

ホワイエの照明は竣工当時の物でしょうね
天井の上は
せり上がった2階客席です

ホール内部も見せてくれました

わざわざ照明をつけてくれました

アリーナ席の２列はオーケストラピットになります

せり上がったホワイエの上の２階席

案内してくれた人は…
「昔の写真も展示してるから見てって」と

あら〜、懐かしい…

栃錦も！
募金興行も行なったようです

改修時にシートは交換したようですが
オリジナルを展示してました。

米子の方はお相撲、好きなのね

２００９年の耐震診断の結果、安全でないと判明
使用停止したことから、存続か廃止か喧々諤々の議論をへて米子市民は存続の道を選択。
昨年見事に蘇った米子市公会堂は公共建物とはいえ幸せに満ちてました。
皆生温泉の菊竹清則の傑作、東光園はこの後どのような未来が待っているのでしょうか…

この旅行記へのコメント （3）

• わんぱく大将さん 2015/06/25 04:41:33

  本館ロビーに和室を見た

  アルデバランさん
  
  本館のロビーの透明ガラス、これは障子を意識したものかと私は思いました、障子の上げ下げできるものをイメージしたような障子です、これは。
  
  　大将

  アルデバランさん からの返信 2015/06/25 05:48:17

  RE: 本館ロビーに和室を見た

  大将さま
  
  なるほど…
  雪見障子ね
  想像だにしませんでした、さすがですね。
  このような感性って本当に大事ですね
  
  明日から妻とシンガポール、マラッカ、ルンルン…　
  アルデバラン

  わんぱく大将さん からの返信 2015/06/25 06:40:37

  RE: RE: 本館ロビーに和室を見た

  > 大将さま
  >
  > なるほど…
  > 雪見障子ね
  > 想像だにしませんでした、さすがですね。
  > このような感性って本当に大事ですね
  >
  > 明日から妻とシンガポール、マラッカ、ルンルン…　
  > アルデバラン
  
  アルデバランさん
  
  ルンルンって？　　楽しんできてくだされ〜　　　大将