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(表紙写真・・・死海で浮いて本を読む)<br /><br /><br />死海へ<br />バスはアンマンの市街地を抜けるとハイウェーに乗って走行する。<br /><br /><br /> 空港から南へ向かって走ること約1時間で死海に到着する。その途中、大渓谷の壮大な風景が広がるポイントでフォトストップとなる。国土の西部には大地溝帯の北端でもあるヨルダン渓谷があるのだが、この地域には死海もあり、標高が極めて低く、冬でも温暖で、近年の灌漑技術の発達によってトマトなどの野菜や果物の一大生産地に変貌している。国土の80%が砂漠地帯であるヨルダンでは、この地域は貴重な生産基地といえるのだろう。 <br /><br /><br />この大渓谷を右手に見ながら緩やかな下り坂を進むと、やがて「海抜0メートル」の標識が現れる。ここでもストップして記念撮影である。これより18km先には死海が横たわっているのだが、そこは海面下400メートルで地上で最も低い場所となっている。バスはここからさらに下り坂を走り下り、海面下の地帯へ入って行く。今の時刻は5時ごろで、ちょうどサンセットの時間が迫っている。<br /><br /><br />さらに道路をどんどん走り下って行くと、やがて右手に死海が見え始める。進むにつれて、みるみる目の前に湖面が広がって来る。その湖面の対岸はイスラエルで、その山並みの向こうに、いま夕日が落ちかかっている。湖面には美しい黄金色の光の帯を浮かべながら、死海の静かな夕暮れ風景を演出している。この風景は東側にあたるヨルダン側からしか見られないのだが、ここには爆弾テロなどとは無縁ののどかな光景が広がっている。<br /><br /><br />死海のこと<br /> この死海は“海”ではなく、実は塩湖なのだ。この湖は、東アフリカを分断する大地溝帯の北端に位置しており、この死海を含むヨルダン渓谷は、白亜紀以前にはまだ海であったと推定されている。その後の海底隆起により、パレスチナ付近の高原が形成されると同時に、ヨルダン渓谷付近に断層を生じたと考えられている。<br /><br /><br /> 死海はイスラエルとヨルダンの国境に細長く横たわる長さ60km、幅17kmの湖で、最深部は400m。南部区域は水深が浅く、結晶化した塩が見られる。死海の水には健康維持に不可欠なミネラル成分(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、臭素、カルシウムなど)が豊富に含まれており、それらが血液の循環を高め、皮膚からの老廃物の除去を促進させる。このため、身体を健康にし、美容にも効果があるという。実際に死海周辺のスパではこの高濃度のミネラルがアレルギーや皮膚病、リウマチ、関節痛、筋肉痛などに悩む人々を癒している。<br /><br /><br />このことは何千年も前から「生命」と「癒し」の源として、またその海水はその地域の特殊な気候条件と相まって美容・健康および皮膚病・傷その他多くの病気に有効であることが認められ、今日に至るまでその効果は世界的に高く評価されている。<br /><br /> 死海の塩分は、国際河川であるヨルダン川および周囲から涌き出る温泉から供給されていると考えられている。この死海からは流れ出る川がなく、年間を通じて大量の水が蒸発するので死海の水の塩分はきわめて濃く、一般の海の塩分濃度が4〜6%であるのに対して、死海は25%の高濃度となっている。 <br /><br /><br />この濃い塩分濃度のため浮力が大きく、人が死海に入っても沈むことはなく、ぷかぷかと浮遊できるのである。写真などでよく見かけるように、浮かんだまま読書もできるという不思議体験ができるわけである。またこの塩分濃度のため、湧水の発生する1ヶ所を除いて魚類などの生物は確認されていない。「死海」という名称の由来もここにあるわけで、何の生物も生息し得ない“死の海”を意味している。<br /><br /><br /> 近年問題になっているのは、死海の水位が年々低下しているということ。このまま水位が低下し続ければ、40〜50年後には死海は消失してしまうだろうといわれている。この水位の維持にはヨルダン川などからの流入量と水の蒸発量のバランスが必要だが、近年、ヨルダン川からの取水量増加やビジネス用に死海からの取水量が増えたりして、そのバランスが崩れているらしい。<br /><br /><br />リゾートホテル<br /> バスは空港から1時間ほどかかって、今宵の宿泊ホテルに到着。ここは死海のビーチ沿いに建つリゾートホテルで、目の前のビーチはホテルのプライベートビーチになっているようだ。ビーチは夕方5時には閉鎖されるとのことで、今夕の浮遊体験はできず、明日の楽しみに持ち越しである。上の道路からビーチへ続くなだらかな斜面にホテルは建っており、死海を眺望できる絶好のロケーションにある。しかし、われわれツアー組に割り当てられた部屋は、残念ながら裏手側で死海は見えない。<br /><br /><br /> 部屋に入って荷物を置くとすぐに、そのまま下段の展望所に出て夕暮れの眺望を観賞する。う〜ん、なんと美しいことだ〜! この時季のサンセットは早く、すでに夕日は対岸の山並みに落ちようとしている。辺りは風もなく、夕日に染まる湖面が静かに、そして穏やかに広がっている。対岸の彼方の戦乱を忘れさせてくれる素敵な風景である。この崇高で美しい自然の風景に抱かれながら、どうして人間どもは争いばかりを切りなく続けるのだろう?<br /> <br /><br />夕食はバイキング料理<br /> 夕食までに時間があるので、部屋に戻るとシャワーを浴び、洗濯をすませて、さっぱりした気分で食堂へ出向く。夕食はバイキング料理で、アラビア風の料理が並ぶ。パンの代わりのナン、ラム肉の煮込み、トマトや野菜などの炒め料理、マッシュポテト、ゆで卵など。これにリンゴ、オレンジ、バナナ、ナシなどのフルーツ、そしてケーキやプリン類。最後はコーヒーかティーである。飲み物はハイネッケンの缶ビールを注文する(1本5米ドル)。以後の旅でも、ほぼこのようなバイキング料理が出され、少々飽きることになる。<br /><br /><br />とまれ、満腹となったお腹をさすりながら部屋に戻り、時差で睡眠不足の体をベッドに横たえる。こうしてヨルダン第一日目の夜は、死海のほとりで初夜の夢を結ぶことになる。9時就寝。<br /> <br />(この続きはこちらへ・・・⇒  http://yasy7.web.fc2.com/middle-1.htm)<br /><br /><br /><br /><br />

死海観光&浮遊体験

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2006/03/18 - 2006/03/19

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yasyas

yasyasさん

(表紙写真・・・死海で浮いて本を読む)


死海へ
バスはアンマンの市街地を抜けるとハイウェーに乗って走行する。


空港から南へ向かって走ること約1時間で死海に到着する。その途中、大渓谷の壮大な風景が広がるポイントでフォトストップとなる。国土の西部には大地溝帯の北端でもあるヨルダン渓谷があるのだが、この地域には死海もあり、標高が極めて低く、冬でも温暖で、近年の灌漑技術の発達によってトマトなどの野菜や果物の一大生産地に変貌している。国土の80%が砂漠地帯であるヨルダンでは、この地域は貴重な生産基地といえるのだろう。


この大渓谷を右手に見ながら緩やかな下り坂を進むと、やがて「海抜0メートル」の標識が現れる。ここでもストップして記念撮影である。これより18km先には死海が横たわっているのだが、そこは海面下400メートルで地上で最も低い場所となっている。バスはここからさらに下り坂を走り下り、海面下の地帯へ入って行く。今の時刻は5時ごろで、ちょうどサンセットの時間が迫っている。


さらに道路をどんどん走り下って行くと、やがて右手に死海が見え始める。進むにつれて、みるみる目の前に湖面が広がって来る。その湖面の対岸はイスラエルで、その山並みの向こうに、いま夕日が落ちかかっている。湖面には美しい黄金色の光の帯を浮かべながら、死海の静かな夕暮れ風景を演出している。この風景は東側にあたるヨルダン側からしか見られないのだが、ここには爆弾テロなどとは無縁ののどかな光景が広がっている。


死海のこと
この死海は“海”ではなく、実は塩湖なのだ。この湖は、東アフリカを分断する大地溝帯の北端に位置しており、この死海を含むヨルダン渓谷は、白亜紀以前にはまだ海であったと推定されている。その後の海底隆起により、パレスチナ付近の高原が形成されると同時に、ヨルダン渓谷付近に断層を生じたと考えられている。


死海はイスラエルとヨルダンの国境に細長く横たわる長さ60km、幅17kmの湖で、最深部は400m。南部区域は水深が浅く、結晶化した塩が見られる。死海の水には健康維持に不可欠なミネラル成分(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、臭素、カルシウムなど)が豊富に含まれており、それらが血液の循環を高め、皮膚からの老廃物の除去を促進させる。このため、身体を健康にし、美容にも効果があるという。実際に死海周辺のスパではこの高濃度のミネラルがアレルギーや皮膚病、リウマチ、関節痛、筋肉痛などに悩む人々を癒している。


このことは何千年も前から「生命」と「癒し」の源として、またその海水はその地域の特殊な気候条件と相まって美容・健康および皮膚病・傷その他多くの病気に有効であることが認められ、今日に至るまでその効果は世界的に高く評価されている。

死海の塩分は、国際河川であるヨルダン川および周囲から涌き出る温泉から供給されていると考えられている。この死海からは流れ出る川がなく、年間を通じて大量の水が蒸発するので死海の水の塩分はきわめて濃く、一般の海の塩分濃度が4〜6%であるのに対して、死海は25%の高濃度となっている。


この濃い塩分濃度のため浮力が大きく、人が死海に入っても沈むことはなく、ぷかぷかと浮遊できるのである。写真などでよく見かけるように、浮かんだまま読書もできるという不思議体験ができるわけである。またこの塩分濃度のため、湧水の発生する1ヶ所を除いて魚類などの生物は確認されていない。「死海」という名称の由来もここにあるわけで、何の生物も生息し得ない“死の海”を意味している。


近年問題になっているのは、死海の水位が年々低下しているということ。このまま水位が低下し続ければ、40〜50年後には死海は消失してしまうだろうといわれている。この水位の維持にはヨルダン川などからの流入量と水の蒸発量のバランスが必要だが、近年、ヨルダン川からの取水量増加やビジネス用に死海からの取水量が増えたりして、そのバランスが崩れているらしい。


リゾートホテル
バスは空港から1時間ほどかかって、今宵の宿泊ホテルに到着。ここは死海のビーチ沿いに建つリゾートホテルで、目の前のビーチはホテルのプライベートビーチになっているようだ。ビーチは夕方5時には閉鎖されるとのことで、今夕の浮遊体験はできず、明日の楽しみに持ち越しである。上の道路からビーチへ続くなだらかな斜面にホテルは建っており、死海を眺望できる絶好のロケーションにある。しかし、われわれツアー組に割り当てられた部屋は、残念ながら裏手側で死海は見えない。


部屋に入って荷物を置くとすぐに、そのまま下段の展望所に出て夕暮れの眺望を観賞する。う〜ん、なんと美しいことだ〜! この時季のサンセットは早く、すでに夕日は対岸の山並みに落ちようとしている。辺りは風もなく、夕日に染まる湖面が静かに、そして穏やかに広がっている。対岸の彼方の戦乱を忘れさせてくれる素敵な風景である。この崇高で美しい自然の風景に抱かれながら、どうして人間どもは争いばかりを切りなく続けるのだろう?


夕食はバイキング料理
夕食までに時間があるので、部屋に戻るとシャワーを浴び、洗濯をすませて、さっぱりした気分で食堂へ出向く。夕食はバイキング料理で、アラビア風の料理が並ぶ。パンの代わりのナン、ラム肉の煮込み、トマトや野菜などの炒め料理、マッシュポテト、ゆで卵など。これにリンゴ、オレンジ、バナナ、ナシなどのフルーツ、そしてケーキやプリン類。最後はコーヒーかティーである。飲み物はハイネッケンの缶ビールを注文する(1本5米ドル)。以後の旅でも、ほぼこのようなバイキング料理が出され、少々飽きることになる。


とまれ、満腹となったお腹をさすりながら部屋に戻り、時差で睡眠不足の体をベッドに横たえる。こうしてヨルダン第一日目の夜は、死海のほとりで初夜の夢を結ぶことになる。9時就寝。

(この続きはこちらへ・・・⇒  http://yasy7.web.fc2.com/middle-1.htm




旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
社員・団体旅行
交通手段
観光バス
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)
  • これがヨルダン渓谷。左手遠くにかすかに見える山並みとこの丘の間に渓谷が広がっているのだが、ここからは見えない。

    これがヨルダン渓谷。左手遠くにかすかに見える山並みとこの丘の間に渓谷が広がっているのだが、ここからは見えない。

  • 死海に落ちる夕日。対岸はイスラエル。

    死海に落ちる夕日。対岸はイスラエル。

  • ホテルの展望台から眺めた死海のサンセット風景。対岸はイスラエル。

    ホテルの展望台から眺めた死海のサンセット風景。対岸はイスラエル。

  • 朝もやに包まれた死海の風景。左端上空には半月が見える。このホテルはプール施設も充実。

    朝もやに包まれた死海の風景。左端上空には半月が見える。このホテルはプール施設も充実。

  • ぷかぷかと気持ちよさそうに浮かんでいる

    ぷかぷかと気持ちよさそうに浮かんでいる

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