満洲ヤマトホテル浪漫＝新京（長春）

2014/08/07 - 2014/08/08

戦前の最高級ホテルであった満鉄経営の「大和旅館」は大連・旅順・奉天（瀋陽）・新京（長春）・哈爾濱の５つ。
今回は旅順を除く４か所に泊まるはずだったが、新京のみ共産党婦人部のイベントが入りキャンセルを食らった。
それ以外の３か所はかつての栄光の残滓をとどめ、快適な泊り心地だった。
外資系のホテルが軒並み２万円以上であるのに対し、ヤマトホテルの宿泊料は数千円。
充分に価値のある滞在だった。

エリア 長春(中国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 3.0
• グルメ: 4.0

• 同行者: 友人
• 交通手段: 観光バス
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）

哈大高速鉄道で長春西駅に到着。
そのまま夕食の仁風閣へ。

ここは北朝鮮政府が経営に関与している朝鮮料理の店。

冷麺、焼き肉、天ぷら、キムチなど、次から次に皿が登場する。
到底食べきれない量。

ここの女性従業員は、みな、志操堅固な北朝鮮の高官の娘。
英語は全く通じない。
突然のように歌舞音曲が始まる。

彼女がこの店のトップスター。
胸に輝く北朝鮮バッジを見てください。
しかし、一度ここで生活を始めると帰国したくないだろうな。
客には地元の家族連れなども交じっており、めちゃくちゃに高いということでもないようだ。

今夜の泊りは、長白山賓館。
地元のエアラインの系列のホテル。
4つ星とのことだが、安手のホテルだった。

予約していた旧ヤマトホテルの春誼賓館で共産党婦人会が開催されるために部屋が徴用されてしまったのだ。
泣く子と共産党には勝てません。

翌朝早起きして、近くの南湖公園までお散歩。
岸沿いにハスが咲いている。

長春は、緑が多く、大学が多く、自動車産業が盛んで、中国の映画製作の拠点の一つとなっている。
確かにこの公園も緑豊かだ。

長春はかつては新京と呼ばれた満州国の首都で、街づくりは日本主導で行われたが、この基本構造は当時のまま残されている。

この公園も広大な都市計画の一環として整備されたものだ。

南湖公園に隣り合って、旧満州国の総合法衛の址。
今は病院となっている。

市内観光の最初は、われわれのリクエストで、長春電映制片廠。
かつての満洲映画社の址。
テーマパビリオンもあり、多くの地元観光客を集めている。
この9月に亡くなった李香蘭はここから羽ばたいていったのだ。

長春電影城 劇場・ホール・ショー

関東大震災の混乱の中、無政府主義者の大杉栄など3人を殺した甘粕正彦憲兵大尉は、後年ここの理事長として映画産業の発展に力を尽くし、終戦後ここで服毒自殺した。

長春電影城 劇場・ホール・ショー

日本のまいた種が今に至るも中国映画産業の発展の礎として息づいていることは喜ばしい。

長春電影城 劇場・ホール・ショー

車はやがて司法省の址に。

屋根の形も日本風。

こちらが満州国国務院。
日本の国会議事堂を思わせるたたずまいである。

満洲国の行政の中心で記念撮影。

人民広場に面した満州国中央銀行は、今も中国人民銀行の支店として銀行業務を行っている。

道を挟んで並びには満洲電信電話株式会社の址。
ここには満洲放送局も置かれ、森繁久弥はここでアナウンサーを務めていた。
当時の満洲では日本に先駆け広告放送も行われていた。

今は中国ユニコムが使用している。

旧関東軍指令官邸.
現在は松苑賓館としてホテルになっている。

吉林省松苑賓館 ホテル

贅沢な空間を使った、落ち着いた雰囲気。
車寄せもゆとりのスペースだ。

吉林省松苑賓館 ホテル

たまたま今は改築中でホテルの営業は行っていない。

吉林省松苑賓館 ホテル

吉林省松苑賓館 ホテル

こちらは関東軍の司令部。

中国共産党吉林省委員会 （関東軍司令部旧址） 現代・近代建築

何だろうこの建物は。
まるで日本の城郭だ。名古屋城がそのモデルといわれる。
五族協和といいながら、日本風を押し付けるような満州国の発想方法がよくわかる。

中国共産党吉林省委員会 （関東軍司令部旧址） 現代・近代建築

長春駅の正面に、今回宿泊がかなわなかった旧ヤマトホテル。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

銘板

Changchun Chunyi Hotel ホテル

正面の入り口。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

中に入ると正面にはかわいらしい階段が。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

踊り場にはガラスの装飾。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

２階にはちょっとしたパーティも開けるスペースが。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

威圧感を感じさせない明るい空間が広がっている。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

窓からは長春駅が望める。

Changchun Chunyi Hotel ホテル

ランチは向陽屯飯館。
中国家庭料理の店だ。

熱烈な毛沢東崇拝の店。

トウモロコシと赤キビなどの穀類がお出迎え。

いろいろ出てくるけど、いずれも名前を知らない料理。

食事の時にはいつでもビールを欠かさなかった。
小瓶が15元。260円ぐらい。
アルコールについては別途現金でガイドに支払う方式。

午後はラストエンペラーの皇宮へ。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

ここが入口。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

中には清朝風の建物が並んでいる。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

ちょうど、西太后の宝物展を開催していた。
頤和園の所蔵品を公開しているということのようだ。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

溥儀や皇后の暮らしていた緝熙楼。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

溥儀の応接室。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

溥儀の寝台。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

同じく浴室とトイレ。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

溥儀と対話しているのは皇帝御用掛吉岡安直。
関東軍の参謀からこの職に就き、常に溥儀の身近にあった。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

勤民楼。
緝熙楼がオクなら、こちらはオモテにあたる。
溥儀の執務室はこちらにあった。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

これがその執務室。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

日満議定書は1932年にこの机で関東軍の武藤信義司令官と満洲国の鄭孝胥国務総理の間で調印され、日本は満州国を承認する形を整えた。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

ここが溥儀の玉座。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

御前会議はここで。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

溥儀の御用車。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

同徳殿。
緝熙楼が古くなったことから溥儀のご所として建てられた。
しかし溥儀は盗聴器の存在を疑い、使うことはなかった。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

皇帝と皇后の玉座。

ところで日中関係の悪化に伴い、偽満皇宮博物院を訪れる日本人観光客が激減しているらしい。
園内にある日本人向け土産物屋は、商売不振に陥り、店じまいしてしまったらしい。

偽満皇宮博物院 博物館・美術館・ギャラリー

偽満皇宮博物院の見学を終え長春西駅へ。

長春駅前広場地下街 その他の店舗

新幹線に一時間ほど乗り、次の訪問地は瀋陽（旧奉天）だ。