2014/06/14 - 2014/06/16
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タマ‐ゲラルディさん
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毎年6月半ば、北アドリア海4カ国の伝統的帆舟たちが、ロヴィーニョに集結して行うレガタ。
ヴェネツィアを6月12日朝に出航したのは10艘ですが、アドリア海横断を控えて停泊したリニャーノ北部で、アドリア海北上中に強風による高波をまどもに受け過ぎて2艘が大破し浸水、泣く泣くリタイア。
8艘が吹き付ける冷たいボーラ(北東風)と高波にもまれながら6時間の苦しい航海の後、チッタノーヴァに入港できました。港で一泊します。
ここからロヴィーニョまでの南下航路では海流は逆流ですが、ボーラが船足を早め、14日の昼過ぎにはロヴィーニョのマリナに満帆のヴェラ・アル・テルツォ(四角形の帆の上帆桁の1/3をマストにつなげる)8艘が揃って入港しました。
埠頭で待っていてくれたロヴィーニョの人々から頂く拍手と歓声は、苦しかった航海の何よりのねぎらいになりますが、残念ながら港を埋め尽くして写真を撮っていた日本人か韓国人団体旅行客の皆様には、ヴェネツィア人にとっては誇りである大きな帆が、聖カテリナ島をバックにご家族一緒の記念写真撮影のお邪魔になったのでしょうか。ブーイングに加えて手で『どけ!』のジェスチャーのウェーブが。ショックでした。この旅行記も、書くのをためらいました・・。
レガタ参加者は、ロヴィーニョ市の用意してくれるアパートに泊まり、いつも4カ国人全員が一緒に食卓を囲みます。
夕食は天候が不安定なため、食卓は港のバタナ博物館前の食堂モーロから、博物館の管理するスパチョへ。
レガタ参加者の夕食にはいつも誰かが楽器を持ち込み、1人が歌い出せばみんな次々と合唱に加わり、踊り、拍手、笑顔、そして歌、乾杯。
2艘のヴェネツィア船で船員を務める犬たちも一緒です。
毎年6月、アドリア海を吹くのはシロッコ、南東風です。
しかし今年は変な夏。ボーラが吹き止みません。それどころか、朝の予報では40ノット(80km/h)。ヴェネツィアのラグナのレガタなら、転覆事故だらけになるのは明らかで、躊躇なく延期する強風です。
1時間ほど出発が遅らされ、幸いにも風が18ノットを切ったところで、レガタ開始。
イストリア半島に多いバタナは、海に出る舟だけあって、船長が6m前後、船幅が1.8m前後と安定していて、左右に櫓を固定しさらにバランスをとれるようできています。ヴェラ・アル・テルツォの帆は船体に比して小さく、船体がだいたい同じ大きさのヴェネツィア舟のサンピエロタやサンドロに比べると、安定している分、スピードは出ません。
それでもレガタ開始後すぐに、レガタ総責任者のロヴィーニョ副市長さんのご子息レハンドロ君の舟があえなく転覆、スロヴェニアの小型ヨットも転覆。風速が不安定で危険なボーラに対し、現在のロヴィーニョの港水域は無防備なのです。
厳しいレガタになるかな・・・。
家族4人に加えて犬2匹が立派に船員として活躍するエウジェニオ号、水着で歓声をあげつつ楽しむご主人一家とは対照的にスペイン血統犬のタレッテが悲鳴を上げ続けるマファルダ号、安全策に帆の面積を減らしたため持ち前の高速がなかなか出ないけど乗員はしっかりプロセッコを飲んで楽しんでるボリン号、必死に舵をきってると思ったら乗員それぞれパニーノを作って食べて騒いでるペヴァリナ号、自家製のブルーベリーのグラッパが秘密ガソリンのピラノの『老猫』スタリ・マチェク号、船首下に積んであるスイカ(いくら安いからって、レガタ前にこんなのたくさん買うかな・・)がレガタ中ゴロゴロ転がってきてものすごく邪魔な私たちのサン・ジョルジョ号・・・レガタは厳しくても、参加者全員しっかり楽しんでます。
レガタ後は、スパチョ前の道にテーブルを並べて、表彰式を兼ねてまたまた大宴会が始まります。
スパチョとモーロで料理を担当するのは、副市長とともにバタナ博物館を立ち上げた元船乗りたちと見習い船員たち。
正真正銘、海の男の料理です。
お母さん達や奥さん方など、普段はレガタには参加しない家族も入れて200人近い参加者に、副市長のマリノ・ブジンさんが一言。
『今朝のレガタ前にイカは確保できましたが、ボーラのせいで魚はあまり釣れませんでした。ロヴィーニョ市の友人達に昨日の魚を出す事は、私が決して許しません。急遽肉を仕入れましたので、今日はお肉も食べていただきます!』大歓声。大拍手。『肉か。じゃ、赤(ワイン)も出してくれ!』大爆笑。
調理スタッフの誰かの実家が、自宅の牛を一頭提供してくれたみたいです。
宴会場になってる道をクラクション鳴らして通る車には、実行委員長のアルヴィーゼさんと副市長のマリノさんが口笛で返答、なぜ公道上で何が起ってるのか困惑してる観光客とは肩を組んで一緒にカメラに収まる。
フルートを吹きながら歩いていた通りがかりの元船員さんは、飛び入りで昔から伝わる漁師歌を披露する。
必ず2カ国語で歌われるロヴィーニョの民謡、スロヴェニアの踊り、イタリア語とクロアツィア語によるバイリンガル・コント、ボスニアのスパニョーロさんのギター、それにこのレガタの噂を聞いて遠方から車で駆けつけたフランス人やアルゼンチン人ファンによる歌、踊り・・・。
楽しむって、とても簡単なんです。
表彰式が終わると、全員で声を合わせ『来年もここで会おう!それまでお互い元気で!』。
すでに舟の出発支度ができている『中距離グループ』スロヴェニア船団(ピラノ、イソラ)とイストリア半島の反対側のクアルネロ船団(アッバッツィア、ドラガ・ディ・モスキェナ)の船乗り達が、またな!楽しかったな!と口々に叫びながら坂道を下っていきます。
近距離グループのウマゴ、チッタヌォヴァそれにポーラの船乗り達も、さーて、明日の朝には家に着くかな・・と名残惜しそうに港へと歩いていきます。
長距離グループのヴェネツィア船団は、ロヴィーニョ市のご好意でもう一泊させてもらうので、地元ロヴィーニョの仲間と一緒に散歩したり、飲み直しにとそぞろ歩きを始めます。
海ではどんな事態も起きうるものです。
ですから海の民は、困ったときはお互い様と、協力しあうメンタリティを持ちます。
行政上はイタリア、スロヴェニア、クロアツィア、ボスニアと4カ国に分かれていますが、同じアドリア海の仲間なのです。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 旅行の手配内容
- その他
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いきなりですが、スパチョでの夕食です。
紺のTシャツが副市長のマリノさん。
スパチョは市のバタナ博物館のスタッフが管理するイベントスペースで、一般に開放されたレストランではありません。
元船員のスタッフたちが自船で今朝獲ってきた魚やイカ、奥さん達が作るパスタやお菓子、それにイストリア名産のマルヴァシアが夕食メニュー。 -
スパチョの中は、大騒ぎで暑くて・・
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雨上がりのイストリア石敷の道は、滑りやすいので要注意!
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ここに食事処があるなんて、気づかないでしょ。
オーストリア出身でスペイン系のこの元船員さん、でも今はロヴィーニョ人。 -
誰かが今朝がんばりました。立派なマグロがとれました。ゆうべまでアドリア海で泳いでいたマグロは網焼きに、イカは唐揚げになりました。
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おしゃれな船員さんたちは、アッバッツィア(クロアツィア語ではオパチャ)から。フィサルモニカを弾きながら歌い始めました。
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クロアツィア人が歌い始めれば、スロヴェニア人も参加、ヴェネツィア人も参加、ヴェネツィア犬も参加。
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外の涼しさを一服。
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中の騒ぎが嘘のような、人気のない道、静寂に包まれた旧市街。
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サン・ジョルジョ号、ランダ(後帆、ヴェネツィアでは主帆)用意!
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レハンドロ君のバタナ。
一見してすぐに帆が張り切れてないな・・変だなと思った。 -
帆3種。
手前はロヴィーニョ市の持ち舟で、舟はバタナ、帆はヴェラ・アル・テルツォ。
白い三角帆はラテン帆。舟はやはりバタナ。
後ろは普通のヨット。 -
左はスロヴェニアのピラノから来る『老猫』スタリ・マチェク号。1904年の建造だから、確かに『老』だわ。
右はヴェネツィアのマファルダ号。ヴェネツィアの伝統舟クラブ中、最大の舟でブラガーニャという種類の舟。おそらく大西洋航行も可能。 -
老猫くん。でも船足は今回の参加者中で一番早い。
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一時凪になったけれど、スタート近くなってボーラが再び強くなってきた。
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フィオッコ(三角帆)の付け方が私たちと違うからはっきり言えないけれど、そのフィオッコ、ランダの邪魔になってませんか?
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ポーラの友人達、舟のタイプが違うからはっきり言えないけれど、その舟にその帆で乗員3人は多くない?
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あそこは風が強くて楽しそうだ!
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ハイテクを取り入れた海用の舟に、ラグナ用のヴェネツィア舟、4人と2匹のヴィンチェンティ一家エウジェニオ号が迫る!いけーっ!アルベルト!
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日本語の順風満帆というのはこれだろうか。
風が真後ろからランダを膨らませると、横風を受ける船首のフィオッコは役に立たない。 -
クアルネロ地方のドラガ・ディ・モスキェナ(クロアツィア語ではモスヶニチュカ・ドラガ、MD)の3人組。
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いつ見ても楽しそうな老猫の乗員たち。
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ヴェネツィアのボリン号。
去年まではなかった、遊泳区域をしめすネット(ボリンのすぐ後ろの白い線)が、とんでもなく邪魔。 -
バタナは、フィオッコを低くつけると船首部の突起が邪魔なわけね。
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これもドラガ・ディ・モスキェナの舟。
バタナと違って、この舟は『走る』なぁ。 -
転覆?でもマストが立ってるから、一度横倒しになって浸水しすぎて、上向きに戻しても沈んでるって状態か。
やっぱりランダがゆるんでたんだって! -
一番大事なのは楽しむってこと。
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上下の帆桁もマストも船体もすべてが木製で重い伝統舟は、軽い材料でできたハイテク船より船足が遅いのは仕方ない。
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ヴィンチェンティ一家が乗るエウジェニオ号。
一家を率いる船長で舵手のお父さんには、冷静・正確で迅速な判断力が要求される。
船首のフィオッコを扱う小学校高学年の長男には犬のルイジが、中学生の長女にはルイジの奥さん犬が、ぴったりと従う。
お母さんは船首部の先端を抑える役目。
舟に乗る家族は、一家がしっかりと団結しているのが特徴だ。 -
船長であるお父さんを全面的に信頼しているので、どんなに舟が傾いても家族はあわてない。
お父さんにも、家族の信頼に応える能力が必要。
このVの帆は、おじいさんから受け継いだ。
ヴェネツィアでは、親子3世代が別々の舟に乗りレガタで競う一家もいる。 -
このような小さな舟を、多くのヴェネツィア人仲間が欲しがっている。
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こっちもだいぶ楽しんだみたいね。
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大夕食会の始まりを待つ!
エウジェニオ号のヴィンチェンティ一家と、マファルダ号のファブリス一家、犬のルイジとタレッテ(細い犬)も一緒。 -
トロフィーは、バタナ博物館特製のミニチュア・バタナ。帆は20世紀初めにロヴィーニョで実際に使われていたもののレプリカだ。
舟の名前とともに帆のデザインが市にきちんと登録されていたので、複製が可能。 -
アンティパスト、お待ちどうさま!
このおじさんは、もう一人の元漁師仲間と、昨年の私たちの開催する共和国大統領杯に参加するため、帆と櫓だけでヴェネツィアまで来たのだ。
海の男だ。 -
バタナ博物館とコラボする地元民族音楽グループ『バタナ』のおじさんが、今日はギター1本で博物館のスタッフと歌い始めた。
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するとそこに、通りがかりの元船員が『にいちゃんたち、新しい歌もいいけどよ、昔の歌も歌わなくっちゃいけねぇよ。』と飛び入り。
新しいといっても、30年は前の歌らしいんですけど。 -
するとまたまたそこに、副市長のマリノさんが『歌声が小さくって聞こえないじゃないか!』と参入。
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バタナ博物館&モーロ/スパチョを切り盛りするスタッフの奥さん達が家で焼いてきたビスケットが、年に一度の大夕食会を締めくくるデザート。
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で、ここにマルヴァシアが入ると、声も自然とよく、大きくなるというものだ。
次は私たちの番だ。
2014年9月14日、AVLヴェラ・アル・テルツォはヴェネツィアのサン・マルコ湾を2時間交通遮断して、アドリア海沿岸地方の伝統帆による共和国大統領杯を行います。
例年のエミリアロマーニャ州、クロアツィア、スロヴェニアからの参加者に加え、今回はドイツやフランスからも参加申し込みが来ています。 -
一方、こちらバタナ博物館前のモーロ。
スパチョとスタッフを二分したため、ただいまのHP50%。 -
モーロは、漁船が着く埠頭に設置したオープンキッチンで作られる、朝の漁でとれたイカの唐揚げや日替わりの魚の煮込みが名物。
漁ができない日は、店を開けない。
『冷凍品の魚?そんなの体に悪いだけだ。食べちゃいかんぞ。』と元イカ漁師のジャンニさん。 -
一昨年のヴェネツィアの共和国大統領杯では、うちの舟で一緒にレガタに参加して「ものすごく楽しんだ」ジャンニさん。
朝は2〜3時間ほどイカ釣り、バタナ博物館スタッフとして、昼食後はこのモーロで働く。
去年は自作の舟のレジナ号で、モーターを使わずヴェネツィアまで来た海の男。
67歳のはずだが、20歳は若く見える。
『若い頃からスポーツをしてきたからね。海の空気を吸って、新しい魚と野菜をたっぷり食べる。夜はよく寝ることだな。』理想です。 -
夕焼けだ。雲の動きが遅い。ボーラがやんだ。
舟を係留してあるマリナに明朝早くの出航準備のために戻る途中、振り返ってみた。 -
結局私たちのサン・ジョルジョ号は、大型伝統舟カテゴリで3着だった。
これが、いただいたトロフィー。
同じアパートに泊まっているヴェネツィア人同士でマルヴァシアで乾杯するために、いつものレストラン、マエストラルにちょっと寄った。
来年こそはピラノの老猫の前にゴールしたい。
と同じ事を願って、あれこれもう10年近いか・・・ぁ。
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