ミクロネシアでホームステイ。【コスラエ】の旅（4）～子どもたちの憧れの国とは？

2008/11/09 - 2008/11/16

「善人だけの島」。ある旅行記サイトのタイトルに目が留まった。アメリカ人が書いたその内容は…

「太平洋に善人だけの島がある。コスラエというミクロネシアの国だ。若干のホテルもあるが是非ホームステイしてほしい。村での生活は豊かでも便利でもない。しかしフレンドリーな人柄と豊な自然は、忙しいあなたの心を癒すだろう。そして最高の体験と忘れられない思い出ができるだろう」。

へーそんな所があるんだあ。検索してと…あれっ？情報が少ない。本屋さんにもガイドブックなし。旅行会社に電話すると「えっ、コスタリカですか？」…。

在日ミクロネシア大使館に電話する。「航空券は航空会社（現ユナイテッド航空）のwebサイトから購入できます。ホームステイは政府観光局のコスラエの方を紹介します。メールで頼めばホストファミリーを探してくれますよ。でもゆっくりな島だから返信は気長に待ってね。」　なるほど最後に頼りになるのは大使館だ。

行き方がわかったので妻に話してみる。「あたしムリ。一人で行っていいよ。」…。こうして17年ぶりの一人旅が始まりました。はじめてのホームステイ。いったいどんな旅が待っているんだろう…。

-----旅程-------
11.09(日) 20:20成田発、0:30経由地グアム着、空港のイスで仮眠。
11/10(月) 8:20グアム発アイランドホッパー、10時頃チューク着、12時頃ポンペイ着、14:40コスラエ着。マレム村のホストファミリー宅へ。夜はコーラス。
11/11(火)日本洞窟、トフォールでの式典、日本階段、沈戦車、レラ遺跡、ネット通信局
11/12(水)定置網、無線基地、教会、ウトエ発カヌー、日本土産で夕食
11/13(木)ウトエ発コーラルガーデンでスノーケリング、教会、学校
11/14(金)雨宿り、イル漁、スリーピングレディ、郵便局、ヒロシポイントでスノーケリング、見送りのコーラス
11/15(土)タフンジャークの空港へ。13:20 コスラエ発アイランドホッパー5時間半、18:00グアム着
11/16(日)グアム発　成田着

エリア コスラエ島(ミクロネシア)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 自転車 ヒッチハイク 徒歩
• 航空会社: ユナイテッド航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

コスラエ４日目の日の出。
今日ものんびりとした一日のはじまり〜、って思っていたら、突然背後から騒がしい音が…
「ブヒッ、ブキャー！」
なんだなんだ？

犬に追いかけらた子ブタが逃げ込んできた。
あービックリした。

今日もかなり潮が引いているなあ。よし、浜を歩いてみよう。

ちょこんと岩の上に乗ってるサンゴの石。

なんだろう、これは。鉄のスクラップ？

半球形の何かの部品？
波で運ばれてきたのでしょうか。相当古そうです。

今日の朝ごはんは、ニンジン、青菜、チーズなどが入った玉子焼き〜。

朝食後は、またまた一人で近所を探検！
昨日は北に行ったから、今日は南へ歩き出そう。

すぐに山側へ右折する小道を発見。
どれどれ入ってみよう。

教会だ。マレム教会。人がいる。
「すみませーん。中を見せていただいていいですか？」

おぉ、ありえない美しさ…。
こんな美しく維持するとは、結構手をかけているんだろうなあ。
信心の深さがうかがえます。

毎日数人でこの教会を清掃しているそうです。

よーし、教会から山方面に、さらに奥へ探検してみよう。

小川にかかる橋。アドベンチャー気分満載です。

裸足で遊ぶ子どもたち。現代の日本が失ってしまった光景ですね。
ここでは子どもだけでなく、大人もよく裸足で歩いてます。
健康によいかも。

さらに奥へ進んでみましょう。

見たこともない花が増えてきます。

山側へ進んだところに小屋を発見。格子のすき間から見ると、やはりキリスト教関係の施設のようです。

道はまだまだ先がありますが、時間がないので、そろそろ戻りましょう。

実は遡ること３日前のコスラエ到着日。
ホストパパ「マレム村に日本人の先生がいるよ。日本から旅行者が来たと聞いて、うちに見にくるはずだ。」と言ったとたん、そのＫ先生登場。
Ｋ先生「えー、どうしてコスラエに来たんですかー。」
聞けば大学を卒業して海外青年協力隊へ入り、現在コスラエへ２年間の派遣中。
近所にホームステイしながら、マレム小学校で数学を教えている。
えらいですねー。

ということで、今日の１０時に学校を見せてくれるという話になっています。

マレム小学校の入口。

校庭がひろーい。左の建物からは幼稚園児の歌声が聞こえる。きっと奥の２階建てが学校だ。
日本から来たＫ先生の教室はどこかな。

Ｋ先生いたー。すごい。コスラエ語で数学を教えている。
黒板をみると最大公約数、最小公倍数だ。

壁には生徒たちの絵が。三角と四角を使った絵ですね。１１歳。

Ｋ先生が生徒たちに何か言うと、皆いっせいに書きはじめました。

何を書いているんだろう？

あっ、もしかしてこれは・・・

日本語だ！

この国のみなさんは日本好き。子どもに日本の名前をつけるほど。
子どもたちの憧れも日本。日本のことを知りたがってます。
生徒たちはＫ先生から日本語の文字を習っていて、それをいま私に披露してくれています。

一人ひとりの文字を声に出して読んでみる。
「サダオ、ヤチヨ、フリーシア、ブルシス、キャロリ、えーと、伸万（ノーマン）、世平戸夢（セペトム）…」
生徒たち「わー！（喜）」

最初はみんなシャイだったけど、書いた日本語が通じて、喜んでます。

いい笑顔ですねー。
（ちなみに写真の掲載は観光局の方にご了解をいただいています。）

私の一人旅道具その１：「日本での写真」。
家族、家、近所の風景、仕事、趣味、クラブ活動など、日本のことや自分のことを説明する写真を持っていきます。

生徒「先生、これなあに？」
Ｋ先生「それはね“ヤキュウ”（野球）をするところ。とっても大きな観客席で、その写真のツブツブが全部お客さんなの。“カンパレー”（頑張れ）って言ってるのよ。」
生徒達「えーっ、こんなに大きな場所でー！」

（“ヤキュウ”も“カンパレ”も、日本語のまま定着しています。）

生徒「Ｋ先生、ここは何？」
Ｋ先生「これは神社。みんなも教会でお祈りするでしょ。神社は日本の神様にお祈りするところなの。」
生徒「あー、あたし知ってる。こうやって手を合わせるんでしょ。」

生徒「じゃあＫ先生、これは何？」
Ｋ先生「それはね、超高層マンション。何十階もある背の高ーいおウチ。小さな四角い穴がたくさんあるでしょ。それが一軒一軒の家なのよ。」
生徒「えーっ、これが家なのー！コスラエじゃ２階も珍しいのに！」

女子Ａ「Ｋ先生ー、あたしこのマンションに住みたーい。」
女子Ｂ「あたしもー。じゃあ日本人と結婚する！」
生徒たち「キャー、何言ってんのー！」

男子「オレ将来こういう家を造りたいな。」
女子たち「えー、アンタがー？　ギャハハハハ！」

みんな夢を大切に、勉強がんばってね。
こんな素敵な出会いくださり、通訳までしてくれたＫ先生に感謝です。

昼休み。廊下を歩いていくと、13歳くらいのクラスでしょうか。
生徒「ハーイ、どこから来たの？　どうしてコスラエ来たの？」
生徒「これおいしいよ。」
生徒「写真撮る？　クールなポーズきめるよ。」

高学年はみんな英語上手だね。歓迎してくれてありがとう。

校庭にはバレーボールの子たち。

おそらく15歳くらいでしょうか？
小学生はかわいいのに、急に立派な体格になるのですね。
女子も男子も力が強そうです。

このへんで学校を後にし、家のほうへ戻ります。
周辺の小道も子どもだらけ。すれ違いざまに微笑んでポーズ。

家の前でも近所の子どもたちが遊んでる。
昼休みは自由ですが、給食とかお弁当の習慣はなく、フルーツやお菓子程度。
帰宅してからガッツリ食べるのだそうです。

お昼ごはんは、赤い煮魚に炒め野菜のあんかけ。お肉、タロイモ、ゴハンなど。

それとグレープフルーツみたいなの。これがとってもオイシイ！

今日の午後はシュノーケリングに行きます。
アメリカ人が経営する「コスラエ・ビレッジ・エコロッジ・ダイブ・リゾート」に、ボート・シュノーケリングを頼んだので、もうすぐ迎えがくるはず。

送迎車。ドアのない車が疾走します。風がハンパないです。
ガイドさん「どうだい、クールな車だろ。わはは。」
私「ハハ…たしかに涼しいです。」

ウトエ港に到着。あれがこれから乗るボートだ。
子どもたちがロープをほどいたりと、手伝ってます。

出航！　みんなありがとう。行ってくるねー。

ガイドさんとキャプテン。
客は私一人。
ふだんはダイビングしに来るアメリカ人をガイドしているそうだ。

ボートで環礁の間を15分ほど進み…
ガイドさん「さあ、コーラルガーデンに着いたよ。レッツゴー・シュノーケリング。ついて来な！」ドボーン！
うわー、見渡すかぎりの、サンゴの森だ。

絵の具で描いたようなパステルカラー。

透明度30メートルの世界。

ここのサンゴは色こそ地味ですが、太陽の光をいっぱいに浴びて、活き活きとしてます。

まさに竜宮城！
そういえば、ここミクロネシアに伝わる昔話。
“昔むかしあるところに、一人の男が、亀と共に海のむこうからやってきた。その男の名はタロウ…”
竜宮城の側から見た浦島太郎です。

あっという間に１時間が経過。ボートに戻って休憩タイム。

ウェットスーツを着ると浮くので、潜るためには鉛のウェイトをつけるのですが、このガイドさん、ウェイトなしでスイスイ潜ります。お見事！

シュノーケリング・ツアー後半、スタート。
大きなテーブルサンゴです。

遠くのほうにキラキラ光る魚の行列。

大きなサンゴでできた地形を、空を飛ぶように探検します。

世界ではサンゴの死滅が問題ですが、コスラエのサンゴは元気です。
小さなサンゴを育て、色々な国へ苗として提供しているそうです。

深いほうは、美しいダークブルー。

ガイドさんが色々と珍しい生物を見せてくれます。
でも私には、すべてが珍しいものばかり！

あっという間に後半の１時間も過ぎてしまいました。
ウトエ港からマレム村へと送ってもらいます。

夕食は、魚とトマトなどのスープを、ごはんにかけていただきます。
これがとっても美味。
もちろんタロイモやフルーツも大量にあります。

今晩のコーラス風景。
この写真は男声パートですが、コーラス練習の主導権は女性です。
一人の女性がおもむろに歌いだすと、みんなが合わせてハーモニーを歌います。

このように貼られた歌詞をみて皆で歌うのですが、１つ不思議なこと。
サビに入る瞬間、あるいは１番から２番に変わる節目などで、キーが半音下がるのです。（転調）
カラオケに例えるなら「♭」ボタンを１つ押された感じ。
下がるかどうか、いつ下がるかは毎回違っていて、リードする女性の気分次第。
その瞬間、コーラスは一瞬複雑に濁った響きになりますが、それが２、３秒後、皆も合わせてキーを下げ、再び光が差したような透明なハーモニーが響きわたります。

海から昇った満月。月の明かりって、こんなにも美しいんですね。
都会で生まれ育った私は、感激で何度もシャッターを押します。

近所の子どもたち「あー、この人、月なんて撮ってるよ。日本には月がないの？」
私「うーん、日本でも月は見えるけど、違う月なんだよねー。」
子ども「えぇっ、あれとは別の月なのー？」
私「あっいや月は一つなんだけど、東京じゃ高いビルがじゃまで、ネオンがまぶしいし、空気も海も汚れているし、だいたい忙しくて月なんかめったに見ないし…」

あれっ、この子たちが憧れている日本って、本当に豊かなのかな？…
うーん、なんと説明したら…。

（旅行記(5)につづきます）

この旅行記へのコメント （2）

• nasunoさん 2014/11/07 20:35:21

  南の島の楽園

  mr555さん　こんばんは
  
  　先日は投票ありがとうございます。
  
  コスラエ初めて知りました。トラック諸島の一つなのですね？太平洋戦争の激戦地の名残が。
  
  それにしても自然がいっぱいの島ですね。食事は毎日新鮮な果物・魚だったのでしようか？　現地の人の朝食にカップ麺とは？
  子供たちの笑顔が素敵ですし、表情が生き生きしていまね。
  
  竜宮城を訪れて時の経つのを忘れてみたいです。
  
  素敵な写真ありがとうございます。
  
  nasuno

  mr555さん からの返信 2014/11/07 22:28:17

  RE: 南の島の楽園

  nasunoさん
  
  ヨーロッパ通のnasunoさんに、私の稚拙なコスラエ旅行紀を詳しくお読みいただき、驚きと感激でいっぱいです。
  
  「竜宮城を訪れて時の経つのを忘れてみたい」って、なるほど上手い表現ですね。ほんとにそんな世界でした。
  
  私は今年イタリアに初めて行き、これからヨーロッパにはまること間違いなしですが、バックパッカー時代の良さも思い出しながら書いています。
  
  素敵なコメントを、ありがとうございました。
  
  mr555