1995/10/21 - 1995/10/24
68位(同エリア346件中)
がおちんさん
ラサからトラックの荷台に揺られて6日目の午後、ようやくカイラス山のふもとタルチェンに着きました。
「カイラス“ボコボコ”ツアー」参加メンバー8名のうち、2名は巡礼を断念しましたが、女性2名を含む6名は無事にドルマ・ラ(標高5668m、5630m、5600mと各説あり)を越え、元気にコルラを終えることができました。
ところが帰り着いたタルチェンの旅社では、ガリガリ亡者の老板(公安)からマクラ泥棒扱いをされ、金を請求されるハメに。もう気分最悪。
「聖なる地ほど悪党が巣くう」という真実を、カイラスに住むシヴァ神や須弥山の帝釈天から教えてもらった気がしました。
※写真はディラプク・ゴンパから望むカイラスの北壁
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 徒歩
-
1995年10月21日
朝のタルチェン。
カイラスは頂上の部分だけちょこっと見える。
体調に自信の無いSさんはタルチェンで待つことになり、残りの7名でカイラス巡礼に出発した。
巡礼は緩やかな上り道から始まる。 -
この写真を撮るために、ちょっと高みへ駆け上ったら心臓がドコドコ鳴り出した。タルチェンの標高は4600mぐらいだが、やはり油断はできない。
歩き始めて20分位したところで、Yさんが体調不良を訴えた。息が出来ないという。
しばらく休くと楽にはなったが、彼女もタルチェンに残ることを希望し、6名で先へ進むことになった。 -
1時間ほど歩くとラ・チュの川原へ出た。
ここから広い谷に沿って進む。
運転手のタシさんが、2人の地元青年をポーターに頼んでくれたので、彼らには女性のザックと食料類を担いでもらった。 -
石版に刻まれたチベット文字。
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タルボチェに到着。
チベット暦の4月に、ここで釈迦の生誕と入滅を祝うそうだ。 -
カン・リンポチェの正門となる、チョルテン・カンギ。
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巡礼者は、ここで過去を脱ぎ捨ててゆく。
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山肌に卍が見える、カイラスの南面。
私たちの装備は、ラサで買った解放軍モノ&ヤクのセーター等で、やたらと重い。
早くも苦行状態。 -
光るカイラスと、先を歩くポーター。
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来た道を振り返る。
チベット人の巡礼は、対岸をかなりの速さで歩いていた。 -
凍った川を何度か渡る。
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大きな谷の真ん中で小休止。
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凍結していた滝。
下方に巡礼するチベット人が歩いており、そのスケールの大きさに驚いた。 -
荒涼とした巡礼路。
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大休止。
ポーターはヤクの糞を燃料にして湯を沸かし、ツァンパをこねる。
こんな大きなヤカンを持参してたんだ。
私たちは砂糖をたっぷり入れた紅茶を飲み、疲労回復。 -
彼らはヤクの糞を見つけると、懐の中にホイホイと入れていた。私達も手伝って拾う。
乾燥した糞はそれほど臭くないし、ここでは貴重な燃料だ。そうとは分かっても、私達は彼らのように服の中にしまうことはできず、ビニール袋に集める。所詮、私達は都会から来た甘ちゃんで、彼らのように生きることはできない。
ポーター、糞を拾った手でツァンパをこねて、満面の笑顔だもんな。負けた! -
カイラス西面。
カン・リンポチェは巡礼中にいろいろと姿を変える。 -
夕方、ディラプク・ゴンパに到着。
カイラスの北壁が目の前にそそり立つ。
美しい。
けど、雪が降り始めて、とても寒くなった。 -
ディラプク・ゴンパの小屋は鍵が閉まっていたが、ポーターが鍵を見つけて中に入ることが出来た。彼によると、宿番は用事でタルチェンに行っているらしい。
布団も何も無い粗末な宿だが、風雪をしのげるだけでも助かった。
しかし、ここで問題発生。後から来たイスラエルのグループは宿代を払う事を拒絶したのだ。私たちのポーターが金を預かり、後で宿番に渡すと言っても信用せず、「こんな汚い宿があるか」とまで言い放った。私はポーターのとまどった顔を見て、悲しみと怒りが同時に湧き起こった。
それだけでなく、外で野営をしていたチベット人巡礼者たちが寒さに絶えられず小屋に入ってきたのを、「もう一杯だ」と断ろうとしたのだ。これには私達もガマンできず、「どんどん入りな」と歓迎。本当に沢山の人が入って来たので、隙間の無いほど超満員となった。 -
1995年10月22日
カイラス巡礼の2日目。
出発時に、もう一人のポーターとツーショット。
朝のカイラスは輝いていた。 -
いきなり急登が続く。
カイラスの北東面が見えてきた。 -
酸欠と疲労で苦しむが、屹立するカイラスに助けられて登り続ける。
私と妻は、そこに聖なるものの存在を感じた。
「心で見ること」の意味がわかったような気がした。 -
五体投地でドルマ・ラを目指すチベット人巡礼。
全員女性だった。 -
蓮華合掌を胸から頭上に挙げて、地面に倒れこむ。
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ズサーッという音が響く。
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五体投地は、その場で10回もすれば辛くなる。20回もすれば疲れて息が切れる。30回もすれば、翌日は筋肉痛と打撲による痛みが残る。
この人達は1周52kmもあるカイラスの路を五体投地で巡礼しているのだ。
そんなことができる彼女達こそが、仏なのではないかと思った。 -
五体投地でカイラスを回ると2週間かかるという。
私なら3ヶ月かかっても無理だ。
篤い信仰をもつ者のみが、個人の能力を超越した力を発揮できるのだろう。 -
ドルマ・ラ(5600m)に着いた。
一番乗りは、自称“ディーゼル女”の妻。 -
私もなんとか追いつく。
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さすがのポーターも息苦しそうだ。
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カイラス“ボコボコ”ツアーのメンバーも、無地に峠に着いた。
タルチェンに残った2人の分もお祝いする。 -
さあ、あとは下るだけだ。
足元に気をつけて出発。 -
途端に遅れだしたディーゼル女。
下りは苦手らしい。 -
颯爽と現れた3人組はボン教徒。
仏教よりも古い宗教で、彼らはカイラスを反対に回る。
もともとカイラス山麓にはシャンシュン王国という国があって、ボン経典はシャンシュン語で書かれていたそうだ。
「俺たちがオリジナルだぜ」と言わんばかりにサッと手を挙げ、足早に峠を登っていった。
そうか、右回りも左回りも、どっちも正しいんだな。 -
ドルマ・ラを下りた付近からついてきたコルラ犬。
私たちが休憩すると犬も休憩し、歩き始めるとまたついてくる。
おとなしい。 -
こちらも巡礼犬。
上目使いの様子が、妙に人間臭くてシュール。
高校のときの国語教師に似ていた。 -
休憩中。
平地になると歩きは楽になるが単調だ。
カイラスの東面はちょこっとしか見えなかった。
って、早くも煩悩再開。 -
午後、ズトゥルプクゴンパに到着。
ここからタルチェンまでは3時間の距離だが、女性2人の疲労が激しいので泊まることになった。
食料が不足していたので、男性陣3人とポーター2人はタルチェンへ向かい、私は彼女達と残った。 -
1995年10月23日
ズトゥルプクゴンパを出発。
川沿いに歩く。 -
谷を抜けると、広々としたチベット高原が姿を現した。
タルチェンまではあと少し。 -
最後は、一歩一歩かみしめるように歩く。
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そして無事にタルチェンに到着。
タルチェンに残った2人がオニギリを作って待っていてくれた。ありがとう。
体力の無いAさんも、途中で顔が真っ白になって心配したけど、気力で歩ききった。
いったん部屋で休んだ後、皆で到着を祝って乾杯した。
その夜、ネパールから来ていたチベット人ガイドから、「カイラス巡礼に出たまま戻っていない旅行者がいる」と聞かされた。私たちが巡礼した時は天気が良く道に迷う事もなかったが、ドルマ峠の辺りで雪や霧が出たら遭難してもおかしくない。無事に戻って来れたことに感謝。 -
1995年10月24日
無事に巡礼を終えてホッとしていたところ、宿のオヤジ(タルチェンの公安)から呼び出された。「マクラを返せ」という。
何の話かと思ったら、私たちが巡礼の前日に泊まった部屋(3人部屋)のマクラがひとつ紛失したという。公安オヤジは「お前達が巡礼に持っていったはずだ」と決めつけ、返せないのなら金を払えと言うのだ。仮にマクラが紛失したとしても、それは退房するときにチェックしなかった服務員の責任である。(だから中国では鍵をジャラジャラさせた服務員が部屋の開け閉めや、出発時にチェックをするのだ)
阿里地区の公安はタチが悪いというのは聞いていたが、これではまるで強請である。もう顔が悪党そのもの。拳銃まで裸で机の上に置いていたのにはビビッた。きっとこの手で外国人旅行者から小遣いを稼いでいるんだろう。
※写真は事件があったタルチェンの宿 -
ところが泥棒扱いされて、「誰がわざわざ汚い枕を持っていくのよ!」と妻がブチギレ。話が大きくなった。
服務員の女も呼んで検証をするも、オドオドして嘘がミエミエ。以後、彼女は下を向いて私たちの顔を見ることはなかった。
結局、マクラ代(15元)は払わせられたが、ただ金を取られるのも癪だ。どういう経過で客にマクラ代を請求するに至ったのかを文章にするように請求、2ページにわたる間抜けなストーリーが公安オヤジによって記された。
今ではこれも貴重なタルチェン土産。 -
1995年10月25日
朝、タルチェンを出発。
日本を発ってから2ヶ月。念願であったラサからカイラスへの旅、そしてカイラス巡礼をやり遂げる事ができた。
カイラス山が聖地というのも事実だし、聖地には悪党がいるというのも事実。
これからロンブクを目指し、チョモランマを拝んだあとネパール国境へ向かう。
アジア旅行記1995〜1997(その8)に続く
http://4travel.jp/travelogue/10872689
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