EURO2012

2012/06/17 - 2012/06/17

　６月８日から７月１日まで、ウクライナとポーランドの共催で、ヨーロッパサッカー選手権大会が行われました。このレベルの国際スポーツイベントは、独立後のウクライナでは初めてでした。2007年にヨーロッパサッカー連盟によりウクライナとポーランドでの共催が決定されて以来、ウクライナでは多くの投資がなされ、社会資本整備が進むという期待が高まりました。今回の大イベントで、ウクライナがどう変わったのか、直接見に行くことにしました。

　まず、私の大好きな町であるハリコフで行われるポルトガル−オランダ戦（6月17日）のチケットを買いました。ハリコフ（またはハルキウ）はウクライナ第二の都市です。人口170万人。ヨーロッパ選手権の試合が行われるウクライナの４つの都市の一つです（他は、キエフ、ドネツク、リボフ）。

　17日の朝、モスクワから夜行列車でハリコフに到着しました。ハリコフは一時期ウクライナの首都であり（1918~1934年）、ソ連の重要な経済、工業、文化の中心であったのですが、キエフやリボフと比べると、あまり旅行者に知られていません。ところが、この日ハリコフ中心部の自由広場に行ってびっくりしました。いままで見たことのない数の外国人でいっぱいでした。とくにオレンジ色の服を着たオランダ人が多かったです。自由広場には「ファン・ゾーン」があり、真ん中に大きなスクリーンがありました。試合中はスクリーン上で中継が行われ、試合がない時間帯には舞台の上でいろいろなパフォーマンスが行われました。

　ハリコフ地下鉄を含めて、ウクライナ語の下に英語が書かれた表示があちこちにありました。地下鉄内のアナウンスも、ウクライナ語・英語の２カ国語で、旅行者にずいぶんわかりやすくなりました。町の中にはヨーロッパ選手権のボランティア・スタッフがたくさんいて、「困ったなあ」という顔をしている人に近づいては親切に案内をしていました。

　試合が行われるのはメタリスト・スタジアムです。その隣に地下鉄の駅がありますが、試合の日には閉鎖されていました。自由広場からスタジアムまで車の移動が禁止され、観戦客が歩く道が造られていました。試合は20:45開始でしたが、19:00に私たちは中心部からスタジアムへの道を歩き始めました。左右の建物のバルコニーや窓から人が出て、ファンの流れを眺めていました。人の流れの6割以上はオレンジ色のオランダ人です。

その一人のところにウクライナの女の子が走ってきました。「一緒に写真取らせて！」と駆け寄り、うれしそうに新しい外国の友達をつくっていました。オランダ人やポルトガル人たちは、「ウクライナの女の子はきれい！」「ウクライナのビールは安い！」とか言いながら、「ウクライナに来てみて、今までのイメージとは全く違うね」という意見をだしました。ウクライナのマスコミは、「オレンジ色の服の人がこんなに大勢集まって、まるで『オレンジ革命』のようだ」と報道していました。

エリア その他の都市(ウクライナ)

　20:45に試合が始まりました。メタリスト・スタジアムは、1920年代に建設されましたが、ヨーロッパサッカー連盟の要請を受けて、この選手権大会のために建て替えられました。たくさんのオランダ人サポーターが一生懸命応援して、またオランダの有名DJであるヴァン・ビューレンがハリコフで応援公演までしたのですが、試合は結局、２:１でポルトガルが勝ちました。

　もちろん、ウクライナ人の観戦客も多数スタジアムに行きました。「ウクライナが決勝リーグに進めなかったのは残念だけど、ウクライナがこの選手権大会のホスト国になって何よりもうれしい！ハリコフのスタジアムで、自分の眼でロナウドを見られるなんて、以前は夢にも考えられなかったことです」。

　ウクライナの変化は、スタジアムだけではありません。ハリコフ、リボフ、キエフ、ドネツクには、新しい現代的な空港が建設されました。ウクライナの門と言えば、以前はキエフぐらいでしたが、今は４つの都市のどの空港も奇麗な門になっています。

　新しいホテルもたくさん建設されました。また、４つの町の間には、韓国・ヒュンダイとの協力で高速電車が走るようになりました。以前はキエフ?ハリコフ間はウクライナ製の電車で６時間かかっていましたが、６月から時速160キロ台で走る電車が登場し４時間半で行けるようになりました。

　ヨーロッパ選手権のおかげで、多くの外国人がウクライナの現在の姿を知りました。きっとさらに多くの人たちがウクライナを訪れるようになると思います。