12回目の訪台　第1部の２　「埔里公路の桜」

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4000本の桜が続くという埔里公路。川沿いに続く約３０キロほどの道だ。
今回の訪台は霧社へ行き、この道の桜並木を見るがための旅だったといっていい。前日宿の主人に手配してもらったスクーターにまたがって宿を発った。
折からの台風の影響でしとしとと降る雨に濡れそぼちて気持ちは沈んでしまっている。ただ、とにかく霧社へ向かおう、そんな気になっていた。
当然、桜は真夏のこの時期花は咲いておらず、ただの山道である。どれが桜なんだろう、などとあえて探す余裕なんて、ない。ただスロットルを開けて道を進んでいく。
どれくらいのカーブを越えたころだろう。だんだん雨が落ち着いてくる。止むとじわじわと気温が上がって暑くなってくる。ビニールの合羽が肌にびっちゃり貼り付いて気持ち悪いので道端のスペースにスクーターを止めて合羽を脱ぐ。ふと、道端の木に目が行く。
桜だ。
よく見ると道路の脇に植わっている木々は紛れもなく桜だ。幅の広い葉っぱと幹に特有の縞目が現れる桜の木が、そう思って見なければ見つけられないけれどもずっと続いている。
どれが「トオサンの桜」なんだろう。目に入る桜の樹のすべてがそうなんだろうか。そんなことを思いながらまたスクーターに乗った。

腕が不足してどうにも画にできず、写真は撮れなかった。