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「『欲望』という名の電車」に乗り、<br />「墓場」という名の電車へ乗り換え、<br />ブランチが降り立ったのは、<br />ニューオリンズの下町「極楽」駅――。<br /><br />世田谷パブリックシアター(12月15日〜25日)で<br />上演される「欲望という名の電車」。<br />その先行上演を観に、「キラリ☆ふじみ」へ。<br />

欲望という名の電車――富士見市市民文化会館「キラリ☆ふじみ」

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2011/12/09 - 2011/12/09

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おっちゃん

おっちゃんさん

「『欲望』という名の電車」に乗り、
「墓場」という名の電車へ乗り換え、
ブランチが降り立ったのは、
ニューオリンズの下町「極楽」駅――。

世田谷パブリックシアター(12月15日〜25日)で
上演される「欲望という名の電車」。
その先行上演を観に、「キラリ☆ふじみ」へ。

同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
私鉄
  • 高畑淳子演じるブランチは<br />幸福だった過去の時間に居場所を求める女。<br />宅間孝行が演じる義弟スタンレーは<br />没落地主階級の気取った義姉のそんな態度が鼻もちならない。<br /><br />かさぶたでも剥ぐように<br />ブランチの嘘を暴き立てるスタンレー。<br />それは血が滲み、痛みを伴う。<br /><br />ブランチ/高畑が「やめて!」と叫ぶたびに、<br />小曽根真がつま弾く気だるいブルースが<br />不意に不協和音に変わり、ブランチ/高畑の狂気が<br />深くなってゆく。<br /><br />終幕近くで語られる、ブランチ/高畑の台詞<br />「どなたかは存じませんが――<br />私はいつも見ず知らずのかたの<br />ご親切にすがって生きてきましたの」<br />が何ともいえず哀切である。<br />

    高畑淳子演じるブランチは
    幸福だった過去の時間に居場所を求める女。
    宅間孝行が演じる義弟スタンレーは
    没落地主階級の気取った義姉のそんな態度が鼻もちならない。

    かさぶたでも剥ぐように
    ブランチの嘘を暴き立てるスタンレー。
    それは血が滲み、痛みを伴う。

    ブランチ/高畑が「やめて!」と叫ぶたびに、
    小曽根真がつま弾く気だるいブルースが
    不意に不協和音に変わり、ブランチ/高畑の狂気が
    深くなってゆく。

    終幕近くで語られる、ブランチ/高畑の台詞
    「どなたかは存じませんが――
    私はいつも見ず知らずのかたの
    ご親切にすがって生きてきましたの」
    が何ともいえず哀切である。

  • この舞台のもう一つの魅力が小曽根真の弾くピアノ。<br />ラグタイム、ブルースからフリーキーなジャズまで、<br />自在に演奏しながら、<br />舞台音楽にとどまらない、ひとりの役者、語り部として<br />ブランチの心理を描写していた。<br />マイルス・ディビスが「死刑台のエレベーター」で<br />実験してみせたように。<br /><br />それにしても、高畑淳子という女優、<br />ただ者ではない。<br /><br />このお芝居を観終わった後、<br />我々はいま、どんな名前の電車に乗って、<br />どこへ向かおうとしているのか。<br />ふと、そんなことを考えてしまった。<br /><br />ちなみに、テネシー・ウィリアムズが<br />この戯曲を執筆していた当時、<br />ニューオリンズのフレンチ・クォーター内では<br />「欲望線」(Desire Line)、「墓場線」(Cemetery Line)<br />という名の電車が実際に走っていたという。<br />戯曲のタイトルは二度の改題を経て、<br />この「欲望――」に落ち着いた。 <br />この電車はすでに廃線になり、<br />今はその痕跡すらないという。<br />

    この舞台のもう一つの魅力が小曽根真の弾くピアノ。
    ラグタイム、ブルースからフリーキーなジャズまで、
    自在に演奏しながら、
    舞台音楽にとどまらない、ひとりの役者、語り部として
    ブランチの心理を描写していた。
    マイルス・ディビスが「死刑台のエレベーター」で
    実験してみせたように。

    それにしても、高畑淳子という女優、
    ただ者ではない。

    このお芝居を観終わった後、
    我々はいま、どんな名前の電車に乗って、
    どこへ向かおうとしているのか。
    ふと、そんなことを考えてしまった。

    ちなみに、テネシー・ウィリアムズが
    この戯曲を執筆していた当時、
    ニューオリンズのフレンチ・クォーター内では
    「欲望線」(Desire Line)、「墓場線」(Cemetery Line)
    という名の電車が実際に走っていたという。
    戯曲のタイトルは二度の改題を経て、
    この「欲望――」に落ち着いた。
    この電車はすでに廃線になり、
    今はその痕跡すらないという。

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