2005/06/08 - 2005/06/14
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ジェイミー&ベンさん
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6月14日(火曜日)
モスクワに到着、3200キロ走破
どこから始めようか? 約2週間前にミンスクを出発してから起こった出来事の数々について、いったいどこから説明すればいいんだろう? まず費用が、想像していたよりもずっとかかってしまった。ミンスクを出発したのは5月30日。田園地帯や森、湖を目指して北東に進路をとった。モスクワへの直行ルートであるM1号線ではなく、迂回してP40号線沿いを行くことにした。10日間の厳しい旅になるが、色々な景観が楽しめると思ったからだ。どちらにしても、ビザの関係で6月8日にならなければロシアに入国できないし、時間はあった。僕たちがミンスクに滞在している間はかんかん照りだったが、出発したとたん、雲行きが怪しくなり、嵐の到来を感じさせた。昼食を済ませると、完璧な一直線に延びるベラルーシの道路へと繰り出した。
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- 自転車
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僕らは森の人間、隠遁者になろうとしていた。テントで暮らし、食料を探し、串に刺したソーセージを焚き火であぶって食べた。キャンプ場はたいがい道路からあまり離れていない場所にあったので、移動には時間がかからなかったが、朝になると、農夫が連れた馬が鋤を引く音で起こされた。ベラルーシには、まだトラクターが導入されていないのか。天気は徐々に悪化していた。ときには、血に飢えた2センチ大の蚊が何千匹と飛ぶプーンという音を聞きながら、何日も続けてテントにこもるしかないこともあった。虫除けスプレーをしないで大自然のトイレに行こうものなら、まさに致命的だ。ベンはそれを身をもって体験し、臀部の白いやわ肌はボロボロになった。ぼりぼりと掻きながら目が覚めることもしょっちゅうで、目を閉じて掻きむしる気持ち良さに恍惚となりながら、その後訪れる地獄を考えないようにしていた。
ちょうどいい具合に風が吹いて、蚊があまり来ないときは、「ロック・ブール(ペタンク)」と名づけたゲームをして遊んだ。それぞれ5つの岩を選び、できるだけ小さい岩にブールを当てたほうが勝ちというものだ。
やがて、道路脇で日光浴中の黒と黄色のまだら模様のヘビのそばを通り過ぎる頃には、少し休んだほうがいいということになり、野の花が咲き乱れる草地に向かった。倒れんばかりの勢いで横になり、草の上に手足を伸ばして寝そべった。突然、タイヤのきしむ音が聞こえたと思うと、ベージュのラーダ(ロシアの4WD車)が視界に飛び込んできた。興奮した様子の男が運転するその車は、草地のわだちを100メートルほど疾走していく。運転手が急ブレーキをかけ、車から飛び出してきた。ジェイミーと僕は顔を見合わせた。男はハゲ頭で、ずんぐりした体格をしていた。よく見ると、わだちの脇に数人の男がいて、ラーダの運転手と口論になっている。運転手は激怒していて、叫び声を上げると男たちに殴りかかった。ひとりの男がパンチを受けて後ろにひっくりかえる。運転手はさらにパンチを見舞った。そして、現れたとき同様、タイヤをきしませながらあっという間にその場を去っていった。僕たちは急いでその場を離れると、ふたたび自転車を走らせた。 -
しかし、ロシア共和国の国境まであと1日というところで、僕らはモーテルに泊まることにした。ミンスクを出発したときから降りそうで降らなかった雨が、ついにぽつぽつと落ち始めたからだ。
疲れてよれよれでモーテルに到着した僕たちだが、出発する頃にはさらに死にそうに疲れ果てていた。ロシア国境を越える前に、リラックスした時間を過ごそうという目論みは完全に外れてしまった。かねてから恐れていた、東欧式の酒の飲み方の洗礼を受けたのだ。ウォッカとベラルーシ・ウィスキーといえば、このあたりでは水のように消費される悪魔の飲み物で、僕たちはその両方を一晩中飲まされた。モーテルの人たちは今まで出会ったなかでも最高に親切で、食べ物とビールと悪魔の酒を、僕らが立てなくなるまで振る舞ってくれた。その晩の記憶はおぼろげだが、ペットボトルをボール代わりに、イングランド対ベラルーシでサッカーをやった。25人のベラルーシ人が椅子の上に立ってイギリス国歌(God Save the Queen)を歌う一方で、2人のイギリス人は、仰向けのまま「Inky is a Cat」を歌った。最後は、ファイヤーマンズキャリーで階段をのぼった。
翌朝、昨晩のファイヤーマンズキャリーを指揮していたのが本物の消防士だったことを知った。しかも、近郊の消防署のかなり偉い人らしい。その消防士が、朝7時に消防署に来てほしいと言ってきた。僕らはモーテル経営者の緑色のラーダに押し込まれ、雨のなか街に繰り出した。消防署にはすでに消防士たちが集結していて、はしごの登り方のデモンストレーションをしたり、悲惨な交通事故や犠牲者の遺体のビデオを見せられたりしたが、まだ体の中に93%のウィスキーが残っている状態でそれを見るのはきつかった。さらに彼らは、自慢の種である「どんな武器よりも反動が大きい」という炭酸ガス銃を持ち出してきた。半信半疑の僕らは銃を持たされ、「撃ってみろ」と言われた。おずおずと引き金を引き、ガスが空中に発射されたとたん、僕らは危うく吹き飛ばされるところだった。「ベラルーシ人の発明品だ」消防士たちが誇らしげな顔で言った。確かに、持ち方が悪ければ腕が折れてもおかしくないぐらいの反動だった。その後の滞在中、僕たちが頑としてウォッカを断り続けたのは言うまでもない。
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