2011/07/26 - 2011/07/26
120位(同エリア844件中)
がおちんさん
旅の4日目は、四川省の攀枝花から塩源を経由して瀘沽湖へ。
途中の格薩拉ルートは車窓の眺めも素晴らしく、若かりし頃に経験したバス旅行の感動を久々に味わいました。
瀘沽湖鎮ではちょっとドキドキしながら、蒙古族の友人たちと再会を果たすことができました。
旅のルート(2011/7/26)
攀枝花→塩源→瀘沽湖
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
2011年7月26日(火)
朝から暑い攀枝花。昨夜は2時間しか眠れず、頭が重い。
宿のすぐ裏は金沙江が流れていた。 -
6時に開くはずのバスの切符売り場。
実際は6時半に鍵が開けられ、6時40分に係員が登場。ミーティングなんぞ始め、営業を開始したのは6時50分。
しかし私の並んでいた塩源方面の窓口は閉じたまま。「隣に並べ」と仏頂面の係員に指示される。人民の「アイヨー」というため息と共に、私も他の列に並びなおす。
でも、理不尽な展開こそが中国旅行の醍醐味。これがあるから楽しい。 -
7時40分、始発のバスに乗り込む。
塩源までは7時間の旅。
1時間も走ると、迫力ある景観が見えてきた。 -
山の麓に朝日が差し込む。
彝族の村だ。 -
壮大な眺めが続く。
雲海の彼方は涼山州。 -
峠で見かけた彝族の女性。
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峠を越えると、里山風景になった。
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おじさん、木の枝1本で豚を見事にコントロール。
カッコイイ! -
少数民族の子供もおしゃれになった。
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彝族のオバサンはパイプをスパーッ。
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10時ごろ、漁門を通過。
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10時半、永興で早めの昼食休憩。
朝めしを食べてないので助かった。
腹ペコだー。 -
老板娘いわく、「うちの芽菜(ヤーツァイ)は美味いよ」というので、食べてみることにした。
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ご飯とおかずで13元。
芽菜はバラ肉の下に隠れている。 -
食べてみると、ホントに美味い!
花椒が効いているのが四川らしいが、成都や重慶のような舌がバカになるような刺激ではなく、しょうゆ味のあっさりタイプ。旅先でこういう店に当たると嬉しくなる。
名も無き名店が中国には沢山あり、名前だけの有名店よりもよっぽど美味いのだ。 -
透底河に沿って北上する。
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だんだんと空が広くなっていく。
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昼過ぎに格薩拉に到着。隣席のヘビースモーカーおじさんが、「ゲーサラー」と唸った。
ここから左に行くと「生態旅遊区」がある。格薩拉とは彝族の言葉で、「人と自然が調和、共生する美しい天国」のような所らしい。
すでに観光地化が進んでいるようだ。いずれ大勢の観光客が訪れるのだろうか。 -
ゲサラから先は美しい高原地帯を走る。
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馬を放牧する彝族の人。
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空が近い。
すでに涼山州に入っている。 -
気分爽快。
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爽やかな空の下で、彝族の人が農作業。
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途中で乗ってきた、彝族の家族。
両親はまだ10代だ。 -
中国で清流を見ると、心がスッキリする。
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瀘沽湖方面への分岐点まで来た。
塩源までは32kmあるため、ここで下車して瀘沽湖行きのバスを拾う手を考えたが、瀘沽湖行きのバスは満員だと乗せてもらえないそうだ。「塩源まで行ったほうがいい」と運転手にアドバイスを受ける。
事実、途中ですれ違ったバスに2回ほど声をかけてもらったが、どちらも満員で断られた。 -
塩源の街が見えてきた。
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りんごや唐辛子の絵が描かれた家を多く見かける。
何か意味があるのかな? -
14時40分、塩源に到着。
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街の看板には彝族文字も併用されている。
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バス駅で、「今日の瀘沽湖行きは売り切れ」と言われてショックを受ける。ここまで来たのだ。どうしても今日中に瀘沽湖に行きたい。
すぐに駅を出て、最初に声をかけた乗り合いタクシーが、幸運にも瀘沽湖まで行くという。
補助イス(しかもあんこ無し)だけど構わない。天にも昇る気持ちで乗車した。瀘沽湖までは3時間強かかるという。 -
来た道を途中まで戻る。64km、2時間のタイムロスだが、仕方がない。
久々に彝族の大きな帽子を見た。 -
憎き、瀘沽湖の料金所。
自然保護という名目で、訪れる全ての者から入域料80元を徴収する。
麗江もそうだが、通るだけでも金を取るのだ。ヤクザみたいなことを国がやっている。
もちろん迂回路は無い(笑)。だからここだけは渋滞していた。 -
そして17時35分、ついに瀘沽湖鎮(左所)に到着した。今日は移動に10時間もかかったが、ワクワクして全く疲れを感じない。
左所に来たのは3度目。町並みは変わっているが、のどかな雰囲気は当時のままだ。
さあ、友人を探そう。 -
今回、訪ねるのはこの3人。
上からA君、H君、Z君。
21年前に世話になった蒙古族だ。 -
記憶を頼りに家を探すが、全くわからない。
2年前の西双版納のときと同様、年寄りに声をかけて聞き回る。 -
そして、H君の家を見つけることができた。記憶とは建物が違っているが、ラマ教徒らしく、タルチョがかかっている。
大きなリュックを背負った私を見て、中から出てきた奥さんはびっくりしていた。 -
奥さんに事情を説明すると、彼女は「日本の友人がいると夫から聞いていた」と、私のことを知っていた。
久しぶりに見る蒙古族の家。部屋に2ヵ所ある囲炉裏や灯り用の柱、仏壇などは昔と変わっていない。これらの特徴は雲南側に住むモソ人も同じだ。
奥さんはケータイでH君に連絡をしてくれた。 -
★1990年当時のH君。
瀘沽湖を歩いて一周していたとき、彼が私に声をかけてきた。
もし彼に会わなかったら、左所は通過しただけだったろう。
瀘沽湖が思い出の地となったきっかけが、彼との出会いだった。 -
待つこと40分。H君が現れた。
私を見て、「白髪が増えたな」と笑った後、「久しぶりだ」と力強く握手を交わした。
20歳の青年だった彼も、3人の子供と奥方を支える大黒柱となっていた。
まずは、自慢の銃を持ってポーズ。ノリの良さは変わっていなかった。 -
今回は21年前に瀘沽湖で撮った写真を120枚持参した。当時、ネガフィルムのプリントは昆明から送ったのだが、リバーサルフィルムは現像できなかったため、今回は彼らが初めて見る写真も多く含まれている。念のため、CDも焼いて持ってきた。
私が予想した以上に、H君は昔の写真を見て喜んだ。 -
H君は、「バイクに乗れ」と言うと、Z君の家に向かった。
途中、広場で子供たちが遊んでいるのを見ると、彼はそちらに向かった。 -
H君は子供たちを呼び集めると、「これはお前の父さん、これはお前の母さん、これは叔母さん」と説明しながら写真を配り始めた。
-
自分の親や親戚が若かった頃の写真を、子供たちは興味深そうに見る。
-
「わー、本当だ。キャーッ」と大喜び。
荷物になったけど、当時の全ての写真を持ってきて正解だった。 -
そしてZ君の家に到着。
H君と家に入る。 -
玄関に掛かる額の中に、私の写真が2枚あった。
21年も入れていてくれたのだ。
不覚にも涙腺がゆるんでしまう。 -
私を見たH君は、「俺もお前の写真を持っていた」と過去形で言った。
なんと、H君は5年前に火事で家が全焼してしまったのだという。ずいぶんと苦労したようだが、建築方面の仕事を頑張り、今の家も自分で建て直したのだそうだ。
それぞれの人生、いろいろとあるな。 -
Z君の娘が火をおこしてくれた。
1990年当時、Z君だけは結婚(走婚ではない)しており、2歳になる娘がいたが、その時の子は長女で、彼女ではなかった。
彼女は三女。あのときはまだ生まれていなかった。 -
★1990年当時のZ君。
3人の中では兄貴分で、インテリだった。
そっと手紙をかばんに忍ばせたり、こちらの気持ちをすぐに察してくれる細やかさを持つ人物だった。 -
Z君が帰ってきた。
握手を交わし、「Z君がかばんに入れた手紙は、まだ持ってるよ」と私が言うと、「がおちんが昆明から送った手紙を私もまだ持っている」と笑った。
茶を飲み、A君の家に向かうことになった。 -
H君、Z君と一緒にA君の家へ。
結局、3人とも家を建て直したそうで、以前の家とは変わっていた。 -
★1990年当時のA君。
抜群に歌が上手く、写真好きで、憎めないヤツ。すぐにポーズをとっては「撮ってくれ」と言うので、A君の写真が一番多い。
彼が瀘沽湖で歌ったアハバラは、最も強く印象に残っている。 -
昼寝中だったA君をH君が起こす。「おい、がおちんが来たぞ」。
目をこすりながら、ビックリした表情のA君。
写真好きは相変わらずで、ニコニコしながら昔の写真に見入っていた。
「お前の写真ばっかりだ」とH君はちょっと不満げに言った。 -
「懐かしの場所に行こうか」とH君。
旅遊管理局と書かれた場所に行く。
ここは以前、瀘沽湖招待所だった所だ。 -
「中を見せてもらうよ」とH君。
出てきた管理局の女性に、「昔はこうでな」と写真を見せて説明を始めた。 -
ここは私が泊まった部屋だ。
夜に公安の取調べを受けて、嫌な思いもした。
未開放だから出て行けと、翌朝に左所を追い出された。 -
★1990年の瀘沽湖招待所
その時、親切にしてくれた服務員のYさん。彼女は現在、塩源に住んでいるそうだ。
会いたかったなー。 -
当時の建物がそのまま残っている。
昔を思い出し、ちょっと不思議な気持ち。 -
★1990年の瀘沽湖招待所
21年前、ここには蒙古族の服務員が立っていた。 -
20時半、夕暮れに見えた獅子山のシルエット。
-
H君の家に戻り、とりあえず記念撮影。
今日は最高の日になった。 -
Z君から、「今日の夕食はH君が、明日の昼食はA君が、明日の夕食は私が招待する」と言われた。
ご馳走がテーブルに並ぶ。瀘沽湖のエビ、いも炒め、漬物、銀魚炒鶏蛋、猪膘肉、地鶏のスープ。
再会を祝い、紅梅酒で乾杯する。感激。 -
瀘沽湖の名物、猪膘肉。
脂身が長期間熟成されて、濃ゆーい味わいになっている。 -
ジャガイモを千切りにして、にんにく醤油を効かせた冷菜。
銀魚は白魚のような淡白な味。タマゴと炒めたのが絶妙。
地鶏はH君が飼っているのをつぶしてくれた。 -
食事をしながら、当時の思い出話をする。
私が忘れていることを彼らが覚えていたり、反対に強く印象に残っているシーンを彼らが忘れていたり。
あーだった、こーだったと記憶をすり合わせた。 -
奥さんは徹底して給仕に回る。一緒に食べたりはしない。料理も作ったのに、今度はご飯をついで回るのだ。
プーラン族もそうだったけど、蒙古族の女性も大変だ。 -
今晩と明晩の2日間、H君の家に泊まる。
「俺はイビキがうるさいんだ。ごめん」と言うと、「俺もうるさい」とH君。
油でともす、ほのかな炎が揺れている。蒙古族の家に来たことを実感しながら眠りについた。
2011年雲南・四川の旅 【その4】に続く
http://4travel.jp/travelogue/10594262
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この旅行記へのコメント (6)
-
- kodeyanさん 2012/05/02 09:29:32
- いい旅してますね
- がおちんさん こんにちは
ベタベタ足跡をつけておきながら
なにも書き込みもせず失礼しておりました。
以前悪石島の旅行記を見ていただいたようで
トカラに興味があるとは、どんな方だろう?
と訪問してみたら、中国の数々の旅行記に圧倒されました。
特に21年ぶりに瀘沽湖の友人を訪ねる旅行記は
素晴らしい内容です。
素敵な、いい旅をしているんだなぁと思いました。
2月中旬から一ヶ月中国をまわりましたが
2009年に購入したロンプラが役に立たないほど
中国の変化は激しいものがありますね。
昔の中国を知る、がおちんさんは今の変化に
なんともいえない心境かと察しております。
またお邪魔させていただきますね。
では!
- がおちんさん からの返信 2012/05/02 14:50:48
- RE: いい旅してますね
- kodeyanさん、こんにちは。
中国はすごいスピードで変わりましたね。便利になって旅がしやすくなった反面、情緒が無くなったのは残念な思いがします。
瀘沽湖の友人を訪ねる旅は、とにかく行ってみないと会えるかどうかもわかりませんでした。21年の間、事あるごとに彼らのことを思い出していたのですが、彼らも私のことを思い出してくれているかもしれないと考えたんです。彼らは絶対に私に会いに来ることはできないから、私が行こうと思いました。再会できて本当に嬉しかったです。
> 以前悪石島の旅行記を見ていただいたようで
実は先日アップした1991年の北京旅行の時、新華書店の内部資料コーナーになぜか日本の書籍(在庫処分の横流し?)が売られており、その中に「美女とネズミと神々の島」という本があり購入しました。「日本にもこんな所があったんだ」と、私も妻も感激した記憶があります。それから20年以上経ってkodeyanさんの悪石島旅行記を拝見し、感動が蘇った次第なんです。
最近は仕事が忙しくてなかなか旅に出ることができません。しばらくは古い旅行記のアップが続きますが、よろしくお願いします。
kodeyanさんの旅行記もゆっくり見させていただきます。
がおちん
-
- 鯨の味噌汁さん 2011/09/09 12:11:08
- 泣けます泣けます
- >玄関に掛かる額の中に、私の写真が2枚あった。
>21年も入れていてくれたのだ。
写真の中のセーネンから21年経過して
「白髪が増えたな」。
21年間、毎日見て、思い出してくれていたんですね。
がおちんさんと出会えたことを、ずっと大切にしていてくれたんですね。
私の泣けました。
- がおちんさん からの返信 2011/09/09 20:04:03
- RE: 泣けます泣けます
- 鯨の味噌汁さん
こんばんは。コメントをありがとうございます。
40代も半ばになって恥ずかしい話ですが、自分の写真をあげたことなど忘れていたので、不意を突かれてしまいました。
自分と同じように、彼らも思っていてくれたことが嬉しかったです。
がおちん
-
- captainfutureさん 2011/08/27 09:11:38
- 感慨深い一日となりましたね〜。
- コメントは最終回になってからと思っていたのですが・・・。
はるばる行って来たかいがありましたね〜〜〜〜〜!!!
額縁に当時の写真をまだ飾ってくれていたというのも感動です。
街の様子が変わっても当時と同じように接してくれる人情というのは嬉しいですよね。
それも言葉が出来るからこそ、ここまで深い交流ができるのだと思うと、がおちんさんが羨ましくなりました。
続編楽しみにしております。
- がおちんさん からの返信 2011/08/27 23:19:53
- RE: 感慨深い一日となりましたね〜。
- captainfutureさん
コメントをありがとうございます。
遠回りをすることになって瀘沽湖が遠く感じましたが、
かえって「はるばる来たぞ」という気分になりました。
年月も過ぎていたし、彼らに会えるかどうかは行ってみないとわかりませんでしたが、
3人に無事会うことができてよかったです。
瀘沽湖ではあっという間に時間が過ぎてしまい、
こうして旅行記を書いていると、まるで夢でも見ていたかのような気分です。
がおちん
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