1993/03/04 - 1993/04/20
7位(同エリア12件中)
北風さん
南半球に位置するニュージーランドの3月は、日本の秋に相当する気候だった。
そう、秋といえば収穫の時期!
この農家が猫の手も借りたい時期に、この南島の農村地帯で、活きがいい労働力が確保できる場所は・・・
そう、それが、このバックパッカーに人が集まり腰を落ち着ける理由の一端を担っていた。
つまり、この宿は、貧乏長期旅行者にとって、手っ取り早く現金をゲットできる短期アルバイト紹介所の役割も兼ねていたわけだ。
そう、そして、それが、俺の生まれて初めての、ファーマー・デビューでもあった。
・・・英会話力をつけるには、とにかく話さなければならない。
(否応無く、英語を話さなければならない環境は手に入れた)
そして、少ない単語力で会話を成立させる為には、
1. 共通の話題を見つける!
(趣味や仕事を共有して会話の方向性をゲット!)
2. 同じ相手と話す!
(会話のクセや傾向をつかめるので、会話のリズムをゲット!)
3. 恋をする!
(本能に勝る向上心など存在しない)
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
旅日記
『フルーツ・ピッキング(果物収穫のアルバイト)?』
始まりは、ある日、ブレナム郊外の農家からフルーツ・ピッキングのバイトの話が舞い込んできた事だった。
ブレナムは農業が盛んで、(まぁ、ニュージー全体そうなのだが)収穫時期に人手が足りないらしい。
このバイトは旅行者の間ではかなり有名らしく、この収入で車を購入した旅行者もいるほど。
実は、この宿が長期滞在者専用みたいになっている理由もここにあった。
皆、働いていたのである。
早朝、わけもわからず宿の皆に連れられてトラックに乗せられた。
まるで、土木工事の人集め状態だ。
それから30分後、多種多様な人種をぎっしり詰め込んだトラックは、草ぼうぼうの畑らしき所にたどり着いたのだが・・・
農夫が声を上げて、説明を始める。
「今日は、ここの畑のオニオンを全部収穫したいんだ。はさみは用意してある。気をつけてやってくれ!」
・・・オニオン?玉ねぎか?
・・・はさみ?玉ねぎって土の中に埋もれているんじゃ?
とりあえず、皆に並んで、腰の高さまである草の中に入って見ると、長ネギのような草の頂上に、テニスボール大のタンポポが咲いていた。
タンポポの中には、無数の小さい玉ねぎが詰まっている。
・・・これは、玉ねぎの種? -
なるほど、今回の仕事は、はさみでこのタンポポもどきを切りとるわけらしい。
気の早いイタリア人のマウリが既に両手一杯に切りとり始めた。
と途端、「オウッ!」と悲鳴が!
マウリが指の付け根をおさえて飛び跳ねている。
・・・マジ?
タマネギの代わりに親指をはさみで切りかけたのか?
さすがイタリアン!行動が短絡的だ!
・・・などと、勝手に解釈していると、俺もブスッと!
ビックリする程に鋭利な刃先と、揺れ動くタマネギの茎、ついつい手早く動かしてしまうルーチン・ワークの結果、あちこちで「オウッ!」と悲鳴が上がる。
それから6時間、収穫が終わる頃は皆の左手は真っ赤に染まっていた。 -
旅日記
『ブレナムの一日』
コアヌイ・バックパッカーの朝は早い。
宿泊者の90%以上がフルーツ・ピッキングのバイトをしている、不法労働者の溜まり場と化しているこの宿の住人達は、俺も含めて農夫の時間で生きている。
AM6:00、4人部屋の中で最初に目を覚ますのは、日本人の俺。
多分一番惰眠をむさぼるであろう、イタリア人のいびきを後にキッチンに向かう。
キッチンテーブルの隅では、部屋代が溜まって最低ランクの寝床に移された、イスラエル人のエフィがみの虫になって転がっていた。
「A Cupper?」と、現在使用しているパスポート上ではジュリーと言う名前を使っている怪しいイギリス人のお姉ちゃんが、モーニングティを勧めてくれる。
さすがイギリス植民地だけあって紅茶がうまい。
湯気の向こうに、のそのそ起きだしてきた住人達が現れ始める。
にぎやかな朝のゴングが鳴った。 -
イチオシ
AM8:00、5人乗りのおんぼろ車に8人乗り込み、りんご園に到着!
今日から新しい農家だが、どこのりんご園も向こう側がかすんで見えるほど広い!
地面には風に負けてぶら下がりきれなかった根性無しのりんごが、赤いじゅうたんを広げていた。
さて、この赤い森のどこから始めるか?
AM12:00、やっと昼飯!
アップル・ピッキングは、完全出来高制で、自分がもいだ分だけ収入になる。
ところが、りんごは「へた」を残してもがないと商品にならないらしく、結構気を使う仕事だった。
おまけに、無造作に箱に転がすと、農夫が血相を変えて飛んできた。
りんごは、少しのダメージで打撲傷になり、そこだけ変色するらしい。
それにしても、俺がはしごから落ちてあざを作っても顔色一つ変えなかった時とは大違いだった。
ニュージー産のくせの強いゴーダーチーズを、子供の手ぐらいの塊にナイフで切り取り、りんごのスライスと共にパンにはさんでいる間も、ジョンはものすごい速さで両手を繰り出しりんごをもいでいる。(彼はボクサーになれば大成したかもしれない)
PM4:30、あれだけ頭上で輝いていた太陽が、いつしかりんごの木の天辺に降りてきている。
今日の出来高は、1.5ビン、約3500円だった。
日本で日給20000円で働いていた事とは比べようもないが、この充実感は金じゃ買えない。
PM6:00、宿のキッチンは戦争状態だった。
4台しかないコンロを取り合いながら、皆がそれぞれの国の料理を作り始める。
さて、食事の後は、ビールを飲んで、皆でTVを見て、ビリヤードをして・・・
ブレナムの一日は終わらない。 -
旅日記
『アップル・ピッキング』
朝7時、りんごの森の彼方から太陽が顔を出し始めた。
既に、この森を見続けて10日になる。
ニュージーランドのフルーツは、キウィだけかと思っていたら、りんごの方が有名な輸出品目になっていた。
どうも俺が滞在したこの時期は、ブレナムのりんごの収穫期に当たったらしく、宿には次から次にりんごもぎのバイトの話が舞い込んできていた。
好奇心で始めたりんごもぎだったが、朝の6時に農家に集まり、夕方5時まで炎天下でりんごをもぐことが、これほど重労働だったとは!
鉄100%のはしごを担いで、りんごの木を渡り歩く。
首から下げたでかいバッグに、日本では考えられない様な、巨大な赤い玉を詰め込み、バッグをパンパンに膨らませてはしごを降りる頃には、まるでサンドバッグを担いだ踏み台昇降をやっている気になってきた。
朝一番に農夫がトラクターで運んできた、「ビン」と呼ばれるビリヤード台程の箱に、りんごを移し変えながら何度途方もない想いにかられた事だろう。
この箱をりんごで満杯にして、3000円のバイト代は安すぎないだろうか?
この重労働の楽しみと言えば、農夫の目を盗み、一番うまそうなりんごを食い散らかす事だけ。
1日5個以上のりんごを食べている気がする。
・・・なんか、映画で見た黒人奴隷の生活に似ているかもしれない。 -
今回の農家は、かなり宿から離れていた。
朝、俺たちを運んできた、収穫時期だけ運行されるバス・トラックはまだ1時間も先らしい。
せっかく、早めに終わったのだから宿に帰ってのんびりしたい。
オランダ人のバショウと、ヒッチをする事にした。
ニュージーランドは、さすが農夫の国だけあって、ヒッチは非常に簡単!
助け合いの精神なのだろうか、親指を立てなくても、道路をトコトコ歩いているだけで、ドライバーから「乗ってけよ!」と声をかけてくれる。
・・・問題は、こんな所に車が通るかどうかだけだ。 -
夕方6時、皆がそれぞれの農場から帰ってきた。
さすがに、元気はつらつの顔をした人間はいない。
今夜はイギリス人シェフのジョンが、お国の名物「アップル・コロンボ」を作るそうで、皆にりんごをかすねてくるようにリクエストしていた。
とりあえず、重い身体を椅子に乗せて、今日獲ったりんごの中ででかい物を並べていく。
マイクがどこからともなく、巨大きのこまで出してきた。
こうやって並べてみると、なんてでかさだ!
左から5番目が日本で見るりんごのサイズ。
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