かつて日本兵が日本海と信じたハンカ湖（興凱湖）には悲しくも美しい伝説があります。

2002/05/01 - 2002/05/01

ウラジオストクから、車で４時間のところに、ロシア名・ハンカ湖、中国名・興凱湖、という湖があります。
この湖は、北の一部が中国領で、それより南は全てロシア領という湖です。
この湖は、琵琶湖の６・５倍もあり、対岸は見えません。
　終戦直後、満州（当時）にいた日本兵は、ソ連兵の捕虜になりました。日本兵は、鉄道に乗せられました。この大きいハンカ湖を見た日本兵は、この湖を日本海だと信じたようです。しかし列車は、ハンカ湖を過ぎ、シベリアに連れていかれました。
　シベリア抑留の話を聞くと、スターリン主義者に対して、恐怖を覚えます。よくこんな事ができるなと。でも、私がロシアで出会った人は、人懐っこい善良な人ばかりです。だから、とても不思議な気持ちになるのです。
　でも、生きるか死ぬかという戦争は、人間の心を変えるかもしれません。だから戦争に行っていない人間が、戦争に行った人間を、とやかく言うのは、間違いだと思うのです。

ところでこのハンカ湖には悲しくも美しい伝説があります。
昔昔、この湖の畔にエントイという若者が住んでいました。エントイはエイヌーという娘にぞっこんでした。
しかしエイヌーは気まぐれな性格でエントイには冷たい態度でした。あるときエイヌーは「誰も今までに見たことがない美しい物を持って来たら、一緒になってもいい」とエントイに言い放ちました。

エントイは一年かけて探すも何もみつかりませんでした。この湖の反対側には、ロータという娘が住んでいました。ロータはエントイに恋心を寄せていました。エントイの苦悩を見かねてロータは湖に身を投げ、美しい花になりました。この花をエントイはもぎ取り、エイヌーにプレゼントしました。

エイヌーはエントイに心を開き、二人は一緒になりずっと離れませんでした。彼らはこの花をロータス（日本語で蓮）と呼ぶようになりました。
それからこのロータスはこの湖に咲くようになりました。
ただ湖が濁っているのは、ロータを悼んでとのことです。

エリア ウラジオストック(ロシア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 3.5
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 航空会社: ウラジオストク航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

ウスリースクです。
ナチス・ドイツとの戦没者の慰霊碑です。

ウスリースクの教会です。

ウスリースクのサーカス場です。

私のドライバーです。
とても善良な人です。
このような人を見ると、シベリア抑留を、ロシア人がやったとは、信じられなくなります。

これが、私の乗った車です。

ハンカ地区です。

一番最初に到達するのが、カーメニ・ルィバロフ村です。
日本語にすると岩の漁師村です。

このハンカ湖は満潮と干潮があります。
満潮時には岩の外に泳いでいた魚は、干潮時には岩のために湖には戻れません。
それでこの近辺は岩の漁師村と名づけられました。

ハンカ湖です。

向かって右が、ハンカ湖です。
左のほうは、湿地帯です。

湖は濁っています。
伝説では湖がロータを悼んでいるからとなっています。

風が強いので湖の上の層と下の層が撹拌されるか、。水は濁っているというのが真実のようです。

地元の人曰く、ハンカとは、「鳥の羽の海」という意味があるようです。
なぜなら渡り鳥の季節になると、湖には羽で一杯になるからです。

湖畔の民家です

女真人たちはこの湖を「無事息災と繁栄の湖」と呼んでいました。
またハンカこの語源は中国語のハンハイ、つまり凹地からという説があります。
もう一つは，古代ロシア語のハンガ、つまり葦からという説もあります。

この湖は魚が豊富で、中国と女真の皇帝の食卓に供されたこともあります。
また６００キロものカルーガ（チョウザメの一種）も棲息しています。

監視塔の向こうは、中国です。
１９９０年にロシアと中国はハンカ湖を自然保護区とする条約を結びました。

向こうは中国です。撮影禁止ですが。