1995/02/26 - 1995/02/26
187位(同エリア250件中)
北風さん
俺は、飛行機で見た観光パンフレットの表紙の写真が気になっていた。
「青い海の中からニョッキリ生えているような椅子と、その上に腰掛けて竿を垂れる漁師」
情報によると、あれは、スリランカの伝統漁法「STILT FISHING (ストルト・フイッシング)」なるものらしい。
「どこに行けば?」の問いに、宿の親父は、一言「Matara」とつぶやいた。
そして現在、Matara行きのチケットを持ってコロンボの駅に立つ自分がいた。
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- 交通手段
- 鉄道
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<コロンボ駅にて>
インドでは何処にでもあるゴミ捨て場のような、コロンボ・メイン・ターミナル。
清掃する人間は見かけるのだが、その横からガンガン物が線路に捨てられる。
これから南下するつもりなのだが、レールの上にも捨てられたゴミの山に不安が陽炎の如く立ち昇ってきた。 -
旅日記
『スリランカ鉄道にて』
俺は、140円で買った「Matara」行きのチケットを握り締めてホームに座っていた。
薄汚れた東洋人がよほど珍しいのか、行き交う人々の視線が必ず俺の所で停止する。
まるで上野のパンダ状態だ。
待ち焦がれた列車が錆びついたブレーキ音を響かせやって来た。
なんと、定刻どうりだ!
ここが始発だから普通は当たり前なのだが、最近,日本の常識はあまりに使われないので俺の中で封印されてしまっている。
チケットに何て書いてあるのかわかるはずもなく、適当に人が少ないドアから飛び乗る。
くしゃくしゃのワイシャツを着た丸刈りの男たちが整然と座っている車内だった。
ホームの時と同じ様に、全員の視線が俺に降り注ぐ。
5時間は座ってなきゃならない状況下では、お隣さんと気まずい関係になってはいけない気がした。
とりあえず「ハロー」と愛想よく手をあげてみる。
気さくそうな男たちが全員「ハロー」と言い返して手をあげる。
コミニュケーションのお手本の様なシーンだったと思う。
ただし、男たちの手が全て鎖で繋がれていなければ・・・
この国では、囚人護送車が一般車両に連結されているらしい。
回れ右をしかけた俺に、警官らしい男が「OK、OK」と言いながら側の席を指差した。
10分後、この車両は、鎖に繋がれた20人の男達と警官1人、引きつり笑いを顔に貼り付けた東洋人1人という構成で南を目指す事になる。
30分後、何故か皆に気に入られ、受刑者と肩を組みながらビートルズの「イエローサブマリン」を合唱する俺がいた。
俺は、どんな状況下でも楽しめるようになった事を誇るべきだろうか?
それともなにげに同類と見られている事を悲しむべきなのだろうか? -
スリランカの列車は、その老朽化した車体に似合わず、意外なほどのスピードを出していた。
全開にした窓からは、ものすごい勢いで潮風が吹き込み塩の匂いでむせる程だ。
(囚人たちで満杯のこの車両自体むさくるしいが)
遠くの海岸になにやら浮遊物が見えてきた。 -
浮遊物の正体は難破船だった。
かなり前の物だろう。
錆だらけのフレームを未だに波が浸食している。 -
難破船の回収には、日本でもかなりの費用がかかると聞く。
責任追及も激しいらしい。
ましてや、この国では・・・・ -
やっと、目的地が見えてきた。
のどかな所らしい。
線路では山羊が遊んでいる。 -
確かに、「ここがMataraなのか?」と聞いた時、車掌は首を縦に振ったと思ったのだが・・・
降り立つと、見知らぬ駅名が俺を迎えてくれた。
次の列車まで1時間あるとの事。
ホームでぼんやりしゃがんでいる俺に、地元の駅員からお茶を飲まないか?と誘いがかかる。
スリランカと言えば、昔の名前は「セイロン」、
セイロンと言えば、紅茶の産地。
俺が断る理由などあるはずもない。
目の前に出されたお茶は、ミルクをたっぷり注いだミルクティだった。
先程まで列車内で絶唱していた喉に優しくしみていく。
「やはりセイロンティーはうまいな」との感想に、「これは甘くしないとまずいんだ」との答えが返ってきた。
よくよく話を聞いてみると、いいお茶は全て輸出用として集められ、地元の人間には残りのお茶の葉しか手に入らないらしい。
インドのダージリンと同じパターンだ。
「いいお茶はないけど、ここには平和があるから」と言って、駅長はジャングルに目をやった。 -
<MATARA(マータラ村)>
MATARA(マータラ村)では、いかにも南の国らしい穏やかな時間と塩の匂いが出迎えてくれた。
とてもスリランカ政府軍の軍事拠点とは思えない程のどかだ。 -
真っ青な空の下、真っ白な砂浜に、真っ黒な牛がごろ寝をしていた。
-
気持ちよさそうに海を見つめるその先には、・・・サーファーがいた。
そう、スリランカの西海岸は、世界的なサーフィンのメッカでもあった。 -
現在進行形の内戦国家のこの国の別の顔は、植民地時代から続く白人(ドイツ人が異常に多い)リゾート地!
絵に描いたような美しい海岸線が延々と続いている。 -
ん?これは・・・
いきなり、浜辺に粗末なイスがニョキニョキ生えているのを見つけた!
これは、あの噂に聞いたスリランカ独自の漁法
「ストルト・フィッシング」に使うイスじゃないのか? -
ビーチの裏に回ると、そこには何やら人影が・・
-
これか?
これが、ストルト・フィッシングなのか? -
旅日記
『STILT FISHING(ストルト・フイッシング)』
男は小枝で作った釣竿を持って、ザブザブとイスがある浅瀬へと向かった。
ひざ上ぐらいの深さでイスにたどり着くと、「ウン、ウン」言いながらイスによじ登り釣り糸を垂らす。
この浅瀬で、あの竿なら、釣れるのは小魚という所か?
しかし、最初のザブザブで辺りから魚影が消えてしまったみたいだが・・・
スリランカ伝統の漁法「ストルト・フイッシング」を目にして30分、棒の上の男はコンスタントに小魚を釣り上げていた。
気のせいか、時間が経つにつれ、釣り上げる魚のサイズがでかくなってきているような・・・
よく見ると、海に刺さった棒の半分ぐらいが水の中に浸かっていた。
そうか!潮が満ちて来たんだ!
「ゴガッ、ベキッ」
との音と共に、隣で釣っていた男が棒にしがみついていた。
椅子の破片が波にさらわれて行く。
・・・大物がかかったのだろうか?それとも、太りすぎか?
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