1995/11/05 - 1995/11/05
80位(同エリア105件中)
北風さん
ハプニングだらけのヨルダン旅行も残す所「死海」だけ。
世界遺産ぺトラは知らなくても、あの水面に浮かんで新聞を読んでいるシーンで有名な「死海」は俺でも記憶の奥底に刷り込まれていた。
(もっとも、それがヨルダンとイスラエルにあるとは知らなかったが・・)
「ヨルダンの首都アンマンから日帰りで行ける」
「イスラエル側より格安」
との情報を得て、イスラエルへ旅立ち前に立ち寄る事にした。
死海で旅の垢をおとして来よう。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
アンマンから死海行きのバスに乗る事にした。
なんと日帰りできる所に海水浴場があるらしい。
今回の海水浴には、本か新聞が必要。
理由は、死海のコマーシャルに必ず出てくるあのお約束のシーンの為に! -
手元のガイドブックによると、死海は世界で最も低い土地にある湖らしい。
しかも、年々周辺諸国の灌漑対策により干上がっているとの事。
いつの日か、「あぁ、あの日に行ってて良かったなぁ」と思い出す日が来るんだろうか?
ガイドブックの写真では、死海南部で夏の間に見られる塩の結晶が、柱状に海面から突き出ていた。
さて、こんなん見れるのか? -
旅日記
『死海にて』
ヨルダンのおんぼろバスは、薄い緑がへばりついている岩山をよたよたと登りきり、どこかの漁村らしき所で、錆びついたブレーキを鳴らした。
ドライバーが手振りで「ここで降りろ」と言っている。
辺り一面、葦のような丈の高い草が生い茂る一本道で降ろされるのは別にこれが初めての事ではないが、いくらヨルダン側の死海とはいえ(死海はイスラエル側が観光名所として有名)こんなに寂しい場所にあるんだろうか?
バスが巻き上げる砂塵の彼方に、海水浴場のような場所が見えた。
あそこなのか?
日本の田舎の海水浴場の方がまだモダンな気がするのだが? -
一見すると普通の海だった。
砂浜に不自然にニョッキリ生えているのは簡易シャワーらしい。
パッ、パッ、パッと水着に着替えて砂浜を走る!
子供の頃から、いつの間にか刷り込まれたあの死海まであと1m!
いつものように頭から水に飛び込む俺に、後ろで誰かが「NO!」と言う声が聞こえた気がしたが・・・
途端、口に、目に、塩の塊をなすりつけられた感覚が走り抜ける!
「ザバッ」と水から飛び出した!
ひりつく目でシャワーの方向をどうにか見つける!
この年一番のダッシュ力でシャワーまで瞬間移動した。
頭の中はパニック状態だが、右手はちゃんと蛇口を回す仕事を忘れていなかったらしい。
5分ほどシャワーの下にいたと思う。
やっと目が開けられるようになった。
・・・死海恐るべし!
これが、塩分35%の海なのか! -
さて、気を取り直して本を片手にまた海に向かった。
(俺の辞書に「懲りる」という言葉は無い)
今度は慎重に身体を横にする。
浮いた!
これは感動ものだ!
ぷっかり浮いている!
しかし、バランスがなかなか難しい。
少しの事ですぐ転覆する出来の悪いボートみたいだ。
やっとの事でバランスを取って本を持ち上げた。
確かにバランス取りになれると本も読める。
3ページ目で白人のおばちゃんがペチャクチャ喋りながらこちらに向かってくるのが見えた。
おばちゃん、最初の俺のように、勢いよく頭から飛び込んだ!・・・(ばかめ)
おばちゃん、最初の俺のように、勢いよく水から飛び出した!
おばちゃんの派手なアクションで大きな波が発生!
塩分が高いせいか、波も、粘度が高い水あめのようにゆっくりとこちらに向かってくる。
予想以上に大きい波だと感じた瞬間、身体がぐるっと反転!
途端、口に、目に、塩の塊をなすりつけられた感覚が走り抜ける!
そして、歴史は繰り返される。
今度は先に全力疾走に入ったおばちゃんとの競争付だった。 -
旅日記
『1995年11月6日 アンマンにて』
ここはアンマンの安宿「クリフホテル」。
US$6の薄暗がりの部屋に、ひび割れた窓ガラスからイスラムの祈り「コーラン」が忍び込んでくる。
明日のイスラエル入国の準備を済ました俺は、ハプニングだらけのヨルダン旅行の余韻に浸っていた。
と、ドアがノックされ、ティムが勢い込んで飛び込んできた。
「イスラエルの首相が射殺されたぞ!」と言われる。
2人でロビーに下りていくと、テレビの前は黒山の人だかりだった。
ヨルダンはイスラエルに1度戦争で負けてから、かなりアメリカよりになっているとはいえ、もともとはイスラム国家だから、憎むべき隣国のニュースは何にもまして関心事なのだろう。
しかし、それにしては、この静まりようは何だろう?
宿のオーナーが、もしヨルダンのテロならばイスラエルは必ず報復するとつぶやく。
なるほど国の非常事態で、俺のイスラエル入国が阻まれる事を心配する前に、犯人次第では、ここにイスラエル製のミサイルが飛んでくる可能性が出てきたわけか!
つまり俺は入国の心配をする前に生存の心配をしなきゃいけないらしい。
今回の旅で何度神に祈った事だろう?
さすがのアラーも拒否権を発動してもおかしくない。
しかし、ユダヤの神にでも祈ろうものなら、ミサイルが飛んでくる前にここの方々に殺される。
新しいニュースが流れたようだ。
(アラビア語なんでわからない)
皆の肩から力が抜けていくのがわかる。
オーナーいわく、暗殺者はイスラエルの反政府テロリストだったとの事。
イスラエルの首相には気の毒だが、俺の一難は去ったようだ。
後は、明日の入国だけだ。
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