1997/03/24 - 1997/03/24
163位(同エリア266件中)
北風さん
「オーロラを観るには、街の光に邪魔されない郊外へ!」
ガイドブックの教えに従い、フェアバンクス郊外の白樺の森に囲まれる「North Wood Lodge」なるユースホステルにやって来た。
自分から望んだとはいえ、周りは野生のトナカイがうろつく100%の大自然。
オーロラが目的の今回の滞在、つまり夜はワクワクものだが、昼は
遊び相手を無邪気に噛み殺してしまいそうなハスキー犬とじゃれる事か(これはこれで緊張感があるが・・・)、グリズリーに気をつけながら雪に埋まった白樺の森の散策ぐらいしかなかった。(これもまた緊張感があるが・・・)
アラスカの抜けるような青空の下、いつしか夜行性になった観光客のゆったりとした一日が過ぎていく。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
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「オーロラは、街の光が届かない場所で見るべし」
との教えに従い、昨日ここフェアバンクス郊外にあるユースホステル「North Wood Lodge」にやって来た。
そして今日、街にバスで買出しに行った帰り道の事だった。
行きと同じバス停で確かに降りたはずだ。
記憶を頼りにログハウスが軒を連ねる村の通りを何回か曲がった。
確かユースは村はずれの最深部に建っていたはず。
・・・あれ?
だんだんと白樺の森深くに入り込んだ様な・・・ -
・・・もしかして・・・
という思いは、先程から胸の奥底に渦巻いてはいる。
陽が傾いてきた。
この土地で道に迷って夜を迎える事が何を意味するかは、多分子供でも答えられるだろう。
いかん、とりあえずバス停まで引き返さねば!
ところで、バス停の方向は・・・? -
旅日記
『アラスカの足 バニーブーツ』
散々迷ってどうなきユースにたどり着いた時は、既にロッジの中に灯りがともる頃だった。
アラスカでは、ちょっと道に迷うだけでも非常な緊張が伴う。
玄関でガッツ・ポーズをしている青ざめた東洋人は、本当に心底うれしかった!
ロッジのオーナーのトムから「フリーズ!(動くな!)」と叫ばれるまでは・・・
「掃除が終わったばかりだから、雪と泥だらけのブーツをそこで脱げ!」との事。
びしょ濡れの俺のブーツを見て、トムが「バン!」と目の前の椅子の上に巨大な白いゴムの塊を載せた。
・・・これは、ギブスか? -
トム愛用の靴は、アラスカ駐留アメリカ軍御用達の「バニーブーツ」だった。
この巨大さは、別にトムが大足なのではなく、-40℃を越えるこの極地での防寒として分厚い保温材が入っているせいらしい。
トムいわく、「いろんなアウトドアブーツを履いたが、この靴以上に耐久性があるものは無い」との事だった。
確かに、このどデカさは半端じゃない。
誰が履いてもドナルド・ダックもどきに見えてくるのも半端ない。 -
旅日記
『アラスカの足 2 スノー・シューズ』
ロッジには、日本で猟師が履く「カンジキ」の様な「スノーシューズ」が置いてあった。
早速借りて、白樺の森に散策に出かけると、物音一つしない森の中に「ペッタン、ペッタン」と足音が響き渡る。
しかも、かなり履きづらい!
何かにつけ、よく脱げる! -
一緒に出かけたタイ人の女の子は、起用にペタペタと歩き回っているというのにどういう事だ?
-
旅日記
『キング・サーモン』
「キング・サーモン」もう一度つぶやいてみる。
このロッジに着いた初日、冷凍庫の半分を占めるドデカイ魚のぶつ切りを見てからずっとこの日を待ち望んでいた。
その憧れの君が今、目の前のグリルでジュウジュウとラブ・コールを送っている。
俺は現在、あなたにとって幸せとは?と聞かれたら、迷う事無く「キングサーモン」と答えるだろう。
事の起こりは、今朝の一日一膳にあった。
あまりの寒さに、エスキモーが「聖なる鳥」と崇める大カラス(日本のカラスをSサイズとすると、XLぐらいの大きさ)も凍死して雪面に突き刺さっている庭先で、これまた半分以上雪に埋没している車があった。
トムがどうにか掘り出そうとしている発掘作業に協力する事1時間、やっとタイヤらしき物が見えてきた時、トムがお礼に今夜のキングサーモンを約束してくれた。
その言葉が、その後の作業時間の短縮に大きな影響を及ぼしたことは言うまでも無い。 -
厚さ2cm程の大人の手の平サイズのサーモンが、ゆっくりと恥らうようにきつね色へと変わっていく。
ふと、今までの自分の食生活を掘り起こし、キング・サーモンの味を思い出そうとした。
・・・浮かんできた味は「しゃけ弁」!
つまり、食べた事が無いらしい。
自分の貧しい食生活に目頭が熱くなって、思わずうつむくとベアと目が合った。
「ん?何故こいつがここに?」
残飯を狙っているのだろうか? -
さぁ、幸せの絶頂が「Here We Go!」のかけ声と共にやってきた。
サーモンに負けないぐらいの大きな皿に、こんがりサーモンと、半生サーモンのかたまりがのせられている。
「トム、2つは食べきれないよ」
と満面の笑顔で答えると、
「あ、そのかたまりは、こいつのだ」
と、テーブルの下を指差された。
そこには、生後わずか2年で体長150cmまで成長した奴がいた。
この馬鹿犬は、俺の生まれて初めての獲物を、生まれてこのかた食い散らかしてきたと言うのか?
サーモンは、文字通りほっぺが落ちそうなぐらい美味かった。
貪るように食い終えると、テーブルの下では奴が食い飽きたように未だにゆっくりとほおばっていた。
確かにこの瞬間、奴の瞳の中に勝ち誇った光を見た気がする。
「生まれ変わったならば、インドで牛になるのも悪くない」と言っていた、イギリス人のヒッピーがいた。
俺は、アラスカでハスキー犬になるのも悪くないと思う。 -
旅日記
『アラスカ版、年末ジャンボ宝くじ』
ある日、トムが「宝くじを買わないか?」と、持ちかけてきた。
別にアメリカ国籍を持っていなくても大丈夫らしい。
おもろい宝くじだった。
賭けの対象は、ユーコン川に立てた旗が雪解けと共に倒れる日時を当てると言うものだ。
一口US$2 で当たれば、3000万円!
自分の記念日に、ある日本人は夢をかけた。
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