1997/06/26 - 1997/06/26
2位(同エリア2件中)
北風さん
フローレス島から6時間、バスはガードレールもない山道の急カーブをブレーキをきしませながら進んでいた。
タイヤ直付けじゃないかと感じるほどの振動が、へたりきったサスペンションを通して伝わってくる。
既に、胃が100回程もでんぐり返った気がしていた。
目的地は、「Rio Dulce(リオ・デュルセ)」、スペイン語では甘い川を意味するこの村に到着した時は確かに水を甘く感じるかもしれない。
本来ならば一路ガテマラ・シティを目指すはずだったのだが・・・
小耳に挟んだ情報では、リオ・デュルセの川下りはなんと温泉タイムつき!
川の中に湧き出る温泉でババンバ、バン、バン、バンと旅の垢を落とす誘惑には勝てなかった。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 船
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旅日記
『フロンテラス到着』
田舎の砂利道に開いた大きな窪みの前でバスは停まりきれなかったらしい。
フロントガラスの下半分が地面になったと思ったら、次の瞬間上半分が空になった。
通路に置かれたデカイ鶏丸ごと一羽を押し込んだ買い物籠が、バスのバウンドと共に車内で空中浮遊!
その反動で鶏が脱出!
ドライバーは、急ブレーキで暴れる車体を見事なハンドルさばきで手なずけながら、自由を勝ち取ってコケコケ飛び回る鶏を片手で叩き落した!
(映画で言えば、アクションとコメディーと手品を交えたパニック・スペクタル巨編と言えるかもしれない)
前席に瞬間移動しそうな身体を両手で突っ張って固定しながらこの1シーンを観ていた俺に、3分後ドライバーが終焉を言い渡した。
「着いたぞ!」 -
村の共同洗濯場は川の水を引いていた。
どうやら、水道設備が整っていないらしい。 -
目指すツアー事務所は、市場のはずれにあるらしい。
市場の外れはいきなり川なんだが・・・ -
川沿いと言うより、桟橋の上に建っていたツアー事務所は、周りの雰囲気からは完全に浮いたモダンなログハウス風な物だった。
どことなくタイのバンコクのカオサン通りを思い出す。
驚くべき事に、この事務所の前のオープン・カフェにはコンピューターが設置してあるらしい。
「E−Mail」のサインボードが非常に浮き上がって見える。
「ワニ危険」のサインボードならば納得できそうな環境なんだが・・・ -
旅日記
『ガテマラ・ルール』
俺は学生時代、麻雀が弱かった。
俗に言う「引きが弱い」というやつだ。
現在、村について既に3時間。
しかし、未だにこの掘建て小屋兼カフェテリアに座り込んでいる。
理由は、ガテマらの伝家の宝刀「人が足りない(定員に満たない)」。
この台詞、バスだけでなくボートにも通用するらしい。
(このぶんでいくと、飛行機にも使われているのかもしれない)
まったく、ファンタスティックな国だ。
この国に時刻表は存在しない。
今、ボート待ちが俺を入れて4人、あと一人集まれば定員になるらしい。
あと一人、それが1時間待っても来ないのだが・・・
この状態は、麻雀で早めにリーチをかけて、ぜんぜんツモれない状態と同じだった。
このままいけば、日射病でオーラスを迎える気がする。
この冗談の様な時間に終止符が打たれたのは、なんと4時を回ってからだった。 -
旅日記
『リバー・クルーズ』
波を蹴立てて出航するボートからは、暗褐色の川の向こうに緑のジャングルが広がっている。
川幅は50m以上とうところか?
カフェテリアから見ていた以上のでかさだった。
もはや目の前に広がっているのは大自然だけだった。
が、背後に遠ざかる村のわらぶき屋根の上は、恐るべき文明が見送っていた。
「Yes!We have E-mail!」
・・この看板が意味する所は、水道設備も満足に備えていないこの村で、インターネットができる事を意味していた。 -
川面には、見た事もない アメリカ国籍の外洋カタマランが浮かんでいる。
その側では、木をくり貫いただけのカヌーが、ゼンマイ仕掛けの様に世話しなくオールを漕ぐインディヘナを乗せて滑っていく。
ボートは全速で、今世紀と前世紀がごちゃ混ぜになった景色の中、リビングストンを目指していた。
ん、何故、全速なんだろう?
このクルーズには、温泉タイムなる日本人にとっては魅力的なオプションがついていたはずなのだが?
「時間がない!」
・・・それが船長の答えだった。 -
かなりの速さで飛ばすボートの上で、右に左に上に下に転げまわる事がなくなったと思ったら、船は静かな入り江に入っていた。
強風にさらされ続け、油断すると関節がはりつきそうな身体を引きずりながら、何時間ぶりかの陸地に足をつけるとペリカンが迎えてくれていた。 -
村の名は、「リビングストン」
しかし、この黒人さんの多さはまるでベリーズだ。
違いといえば、こちらの方が意外と近代化されているという事だけだろうか?
いや、もう一つ、こちらの村人のほうが圧倒的に無愛想だった。
微笑む俺を睨み返すほどに。
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