2009年秋 フィリピンから四川省へひとっ飛び Vol.1：東南アジアのラテンな国、フィリピン

2009/10/01 - 2009/10/01

2009年の国慶節、今年は中秋節と休みがつながって11連休に。学生時代からいつかは行ってみたかったフィリピンのコルディレラ山脈にある、イフガオの棚田を見に行った後、マニラから四川省の涼山まで一気に飛んで彝族の友人の結婚式に出席してきました。

初めてのフィリピン。世界一美しいとのマニラ湾に沈む夕日、そしてスペイン統治時代から残る町並みを楽しみにいざマニラへ出発です！

マニラ半日車チャーター：4,000円

【全日程】
■10/1
*CZ3295 南寧 8:00 ⇒ 広州 9:00（NW特典）
*CZ397 広州 11:40 ⇒ マニラ 13:55（NW特典）
マニラ ⇒（バス/車中泊）
□10/2 イフガオ観光、棚田を満喫（イフガオ泊）
□10/3 イフガオ観光、夜行バスでマニラへ（車中泊）
□10/4
*CZ398 マニラ 14:55 ⇒ 広州 17:15（NW特典）
*CZ3377 広州 20:15 ⇒ 成都 22:00（NW特典）
□10/5
*CA4467 成都 8:00 ⇒ 西昌 8:50
□10/6 西昌 ⇒（鉄道/車中泊）
□10/7 昆明
□10/8 昆明 ⇒（鉄道/車中泊）
□10/9 ⇒ 南寧

エリア マニラ(フィリピン)

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス
• 航空会社: 中国南方航空

朝焼けの中、南寧の街を出発する。連休の初日だからかなり混むのかと思いきや南寧から広州へ向かう飛行機の乗車率は5割程度で拍子抜けだった。

「今年は60周年の記念の年だかみんな旅行に行かないよう自粛しているみたい」南寧の友人がそう言っていたけど、それはどうやら本当のようだ。

それにしてもいつも南寧の空港は歩かされる…

いつもながらとてもおいしいとは言えない南方航空の食事。まあ一時間のフライトで食事が出るだけましなほうか。

それにしてもいつも思う。中国ってその場で調理するモノに対してはぐうの音も出ないほど素晴らしい感覚を持っているのに、なんでこういう携帯食やおやつがまずいのだろう。これきっと、ビジネスチャンスだね。

広州の空港でマニラ行きにチェックインしようとしたら「台北行き」の文字が。時代の移り変わりを感じるなあ。

国慶節のこの日、テレビでは天安門広場で行われていた胡錦涛の演説と記念パレードを生中継していて、ちょうど広州での乗り換え時間に見ることができた。

「偉大的中国万歳、偉大的中華人民共和国万歳、偉大的中国人民万歳！」胡錦涛がそう演説を締めくくった瞬間、マニラ行きの飛行機を待っている中国人客から沸き起こる拍手。そしてそれを冷ややかに見る外国人。

共産党に対しては好き嫌いが多い人も、中華人民共和国ということになるとほとんどの人がどのような場においても盲目的と感じるほど愛情を示す。日本の教育で育った僕からすると実に不思議な感覚を感じてしまう。

僕は日本人だ。自分が育った土地やふるさとの風景は愛しているが、国家を愛しているか？と聞かれたら恐らく答えに詰まってしまうだろう。そしてこれが僕だけでなく20代、30代のマジョリティな気がする。

急に目に見えるような変化は起こさないけれど、雨が降って10何年かけて地面に染み込み湧水となっていくように、じわじわと人間の思想と意識に染み込んでいく。教育ってこういうものなんだろう。

そんなことを考えてぼーっとしていたら、レンズを落っことしてフィルターにヒビが入ってしまった。オーマイガー。

しかもフィルターが曲がって取ることができない。いろいろ試したけど、結局ダメで50mmレンズだけになってしまった。なんてこった。最悪な出だしだぜ。

そんな気分を晴らすにはやっぱり食べるしかない。ってことで、マニラ行きの機内食にかぶりつく。

機内食は南方航空にしては頑張ってなかなかの味、さすがに国際線は多少は金をかけているみたい。

おまけに中秋節と国慶節の記念で月餅もついてきた。ウーロン茶と一緒に食べるとおいしさ倍増！

広州からマニラへは2時間ほどで到着。なんか東南アジアって感じの街並みが見えてきた。

イミグレに並んでいたらこんなものが。これ、中国では絶対見かけないなあ。こういうちょっとしたスマイルが心をなごませてくれるんだよね。

広州からマニラへは2時間ほどで到着。マニラの空港で日本からやってきた友人とマニラ在住の友人と合流する。

中国から2時間飛行機に乗ってきただけだけど、空港を出た瞬間のお店のようすや雰囲気がまったく違って一気に旅気分が盛り上がってきた。漢字がないって新鮮だなあ。

この日は現地の友人に頼んで4000円ほどで半日車をチャーター。マニラの城壁都市跡、イントラムロスを観光して夜行バスでイフガオに向かう。

空港から市街地に向かって車を進めると、いろいろ売りにきた。東南アジアだね。

車は30分ほどでマニラ大聖堂に到着。もっと派手なつくりなのかなと思っていたら、とてもシンプルな建物だった。

シンプルな教会。だけどそのシンプルさがステンドグラスの美しさを際立たせていた。

18世紀につくられたステンドグラス。思わず見とれてしまう美しさ。

La Pieta。思わずはっと息をのんでしまうような雰囲気が漂っていた。

平日の午後でも祈りに来ている人がいて、ここがカトリックの国ということに気がつかされる。

次に向かったのは同じイントラムロス内にあるサン・アウグスティン教会。

フィリピン最古のバロック様式の石造教会で、中に博物館も併設していた。

パイプオルガンの横にあった楽譜。ラテン語だ。

教会の中を歩いていると石造のせいか湿気がこもっていて、じわっと汗がにじみ出てくる。ここもステンドグラスがきれいだ。

こうしてマニラに来てみると、この街の見どころがスペイン統治以降のものであることに気がつく。

マニラ在住の友人の言葉を借りると、この国にはフィリピンとしての歴史がない。1571年から1898年までのスペイン統治以前は、島や各地域の酋長たちが治めていた世界でフィリピンという国の概念すらもなかった。この点はオランダ統治が島々の集合体としての国家建設につながったインドネシアに近い。

この国、基本的にラテンなんだよ。あまり先のことを考えたり、物事を深刻に考えたりすることはないねー」とフィリピン在住三年目の友人の言葉。

たしかに地名や人名はスペイン語表記が多いし、敬虔なカトリック、そしてスペインとアメリカの影響下にあるということも共通している。学生時代にアルバイトしていたフィリピンパブでも感じたけれど、そして人々の性格もよく言えば陽気、悪く言えば適当だ。

イントラムロスの最後はサンチャゴ要塞。スペイン統治時代に150年かけて建設され、アメリカ統治時代、日本統治時代も要塞として使われていたとのこと。

ホセ・リサールというフィリピン独立運動の英雄が処刑前に歩いたという足跡が残されていた。

こういうのを見ていると、イエス・キリストが十字架に架けられる前に歩いた道、エルサレムのヴィア・ドロローサを思い出すなあ。

彼がセニョール・ホセ。格好を見てわかるとおり、スペインに留学した上流階級。10何ヶ国語も操ったとか。

要塞の中のホセ・リサール記念館には、ホセが恋に落ちたという日本人女性の肖像画があった。名前を忘れたのが残念。

楽しみにしていたマニラ湾に沈む夕日を眺めようと海沿いの道を走る。だけどこの日は雲が多くてまともに夕日が見られなかった。うーん、残念。またそのうち来るよ。

このあとは元アジア最大のモール、Mall of Asiaに行き晩ごはん。ここはつい最近までアジア最大のモールだったんだけど、マニラにもっとでかいモールができて二番目になったらしい。フィリピン、モールが大好きだ。

歩きまわったらおなかがすいてきた。ということで、友人おすすめの店に入り、まずはマンゴーシェイク。ねっとりとからみつくような濃厚なマンゴーがたまらない！

お次は魚と野菜のマリネ。お酢がたっぷりきいていて、南米のセビッチェみたいだった。

その次はBangus Ala Pobreという魚料理。これがなかなかおいしかった。といっても大して写真を撮っていなかったのでこれで最後なんだけどね。

モールの中にはアイススケートリンクなんかもあって、家族連れでにぎわっていた。休日に子どもの手を引いてやってきて一日中モールの中で過ごすんだろうな。

そんなこんなで、22時出発のバスの時間が迫ってきた。最後はゆっくりコーヒーで〆。スタッフの女の子にマニラの思い出に写真撮っていい？と聞いたら「かわいく撮ってくれるならいいわよ」とチャーミングな笑顔。

ここフィリピンにはほとんどお茶がなくて、コーヒーメイン。言葉といい、料理といい、このノリといいアジアっていうより中米を思い出すなあ。

イフガオ行きのバスは街の中心からちょっと離れた所から出発。バスの中はエアコンがんがんで寒い！と聞いていたので長袖長ズボンで乗り込む。

そしたらほかの乗客はみんな毛布持参で乗り込んでいた。

バスの中のようす。イフガオ方面に行く人より帰る人のほうが多くて、みんなこころなしか楽しそうだった。それにしても、いやーほんとに寒かった。長袖シャツと長ズボンの上にゴアテックスの雨具を着て寝たのに途中で何度も寒くて目が覚めたことか。

イフガオに夜行バスで行かれる皆様、ぜひとも厚着をおすすめいたします。