2010/01/19 - 2010/01/19
40位(同エリア120件中)
ホーミンさん
皆さま、こんにちは。ご訪問を感謝いたします。
湖国で生まれ育った私は、子どもの頃から「琵琶湖周航の歌」を聴いておりました。
それは旧制三高(現京都大)の寮歌であり、今も広く歌い継がれているものです。
私にとっては人生のBGMのひとつのようなこの曲を、急に大好きになったのは、フォレスタの歌声を聴くようになった最近のことです。
何十年と聴いていても、この歌を作った人や背景は知りませんでした。
歌のルーツを知りたくて、また歌が誕生した地からびわ湖を眺めたくて、今津を訪れてみました。
写真パネル等は琵琶湖周航の歌資料館 で撮影させていただいたものです。
切り絵は川那辺雅子先生作で、2008年のカレンダーに使われていたものです。
資料館にも売っていますが、私はこれを通信販売で買いました。
今回、今津の方々にいろいろとお話しを聞かせていただきました。
皆さん親切な方ばかりで、暖かい気持ちで帰路につけました。ありがとうございます。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル
-
♪われは湖の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧や さざなみの
滋賀の都よ いざさらば -
♪松は緑に 砂白き
雄松が里の 乙女子は
赤い椿の 森陰に
はかない恋に 泣くとかや -
♪波のまにまに 漂えば
赤い泊火 懐かしみ
行方定めぬ 波枕
今日は今津か 長浜か -
♪瑠璃の花園 珊瑚の宮
古い伝えの 竹生島
仏の御手に 抱かれて
眠れ乙女子 やすらけく -
♪矢の根は深く 埋もれて
夏草しげき 堀のあと
古城にひとり 佇めば
比良も伊吹も 夢のごと
「古城」は彦根城のことだそうです。 -
♪西国十番 長命寺
汚れの現世 遠く去りて
黄金の波に いざ漕がん
語れ我が友 熱き心
長命寺は西国三十一番札所ですが、ここでは西国十番と歌われています。 -
琵琶湖周航の歌資料館です。
所在地 高島市今津町中沼一丁目5−7
JR今津駅から徒歩5分
電話 0740-22-2108
開館時間 9時から17時
休館日 月曜および祝日の翌日
入場料 無料 -
駅から湖岸に向かって歩くとこの文字が目に入るので、すぐにわかります。
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中に入ると「琵琶湖周航の歌」が流れていました。
歌に関連したグッズや、 -
地元の特産品なども販売されています。
-
この人が作詞をした、小口太郎です。(1897−1924)
現在の岡谷市で、裕福な農家の9人兄弟の長男として生まれました。
小口太郎立像が、長野県岡谷市の諏訪湖の釜口にあるそうです。
県立諏訪中学校(現諏訪清陵高等学校)から第三高等学校(現在の京都大学)に進み、三高生であった京都時代には水上部(ボート部)に所属していました。
「琵琶湖周航の歌」は、 琵琶湖周航中に故郷の諏訪湖に思いを馳せながら作詞したようです。 -
彼はまた科学者でもあり、東京帝国大学在学中に「有線及び無線多重電信電話法」を発表し 日・英・米・独・仏・伊・加・豪の8か国から特許を得ています。
心の病を患い、1924年(大正13年)5月16日、26歳の若さで亡くなりました。 -
第三高等学校(現在の京都大学)、水上部(ボート部)時代の写真です。
後列右端が、小口太郎。
水上部は歴史が古く、1892年(明治25年)3月に瀬田川で第1回の競艇会を行い、翌年の4月には初めての琵琶湖周航に出ています。 -
当時のフィックス艇。エイト艇を競漕用に改良した固定座席で、7人乗りです。
三校の旗が見えます。
小口太郎は、クルー全体の漕ぎのリズムを決定し全体の統一をはかる、「整調」のポジションを担っていたそうです。 -
三高では1893年(明治26年)に初めて琵琶湖周航が行われ、以後学生たちによる恒例行事になっていました。
西岸を北上する時計回りのコースで 昭和15年ころまで行われていたそうです。
小口太郎を中心とするクルーは、2回の琵琶湖周航を行っています。
初回は1917年(大正6年)で、大津の三保ヶ崎を6月27日に出発し、1日目は雄松(近江舞子)に、2日目は今津の湖岸の宿に泊まりました。
3日目は、今津から竹生島、長浜を経て彦根に泊まり、翌日 長命寺経由で大津に帰港しています。 -
彼は今津から、寮に残っていた級友、小玉博司宛に絵ハガキを送っています。
「昨日は猛烈な順風で殆ど漕ぐことなしに雄松迄来てしまった。雄松は淋しい所で、松林と砂原の中に一軒宿舎があるだけだ。羊草の生へた池の中へボートをつないで夜おそくまで砂原にねころんで月をながめ、美人を天の一方に望んだ。今朝は網引をやって面白かった。今夜はこの今津に宿る。今津で小口。」
消印6・6・28、后9−12
この消印から、周航2日目に今津に着いた夜に投函されたことがわかります。
当時のクルー仲間が「小口君の作った歌を、当時流行っていたひつじぐさのメロディーに合わせて歌ったらぴったりだった」と言った事から、琵琶湖周航の歌の誕生は、1917年(大正6年)6月28日とわかりました。 -
裏面は、彼が描いた雄松の風景です。
-
この人が作曲者の、吉田千秋です。(1985−1919)
旧新津市(現新潟市)大鹿生まれで、父親は歴史地理学者の吉田東伍・早大教授です。
父親が東京で仕事をしていたため、東京と大鹿で暮らしました。 -
幼少時代の写真
幼い頃からさまざまなことに興味を持っていたようです。
科学、外国語、音楽言語、地理、天文、動物学、植物学、博物学、園芸学などに関心を示し、ローマ字に関して学者と論争するほどでした。
東京農業大学に入学するも、肺結核のため休学、やがて退学します。 -
小学生のときに書いた文章。
観察力があり、感受性も強く、感性も豊かなことが伺われます。 -
18歳で発表した英詩WATER LILIESの翻訳に自ら曲をつけた「ひつじぐさ」の楽譜です。
賛美歌を原曲としており、当時親しまれていたようです。
結核療養のため帰郷していた20歳の夏に、これを雑誌「音楽界」に投稿、掲載されました。
[Water Lilies]
Misty moonlight, faintly falling
O'er the lake at eventide,
Shows a thousand gleaming lilies
On the ripping waters wide.
White as snow, the circling petals
Cluster round earch golden star,
rising, falling with the waters,
Moving, yet at rest they are.
Winds may blow, and skies may darken,
Rain may pour, and waves may swell;
Deep beneath the changeful eddies
Lilies roots are fastened well.
[ひつじぐさ]
おぼろ月夜の月明かり
かすかに池の面(おも)に落ち、
波間に浮かぶ数知らぬ
ひつじぐさをぞ照らすなる。
雪かとまがふ花びらは
黄金の蕊(しべ)を取り巻きつ:_
波のまにまに揺るげども
花の心は波立たず。
風吹かば吹け、空曇れ
雨降れ、波立て_さりながら
あだなみの下底深く、
生えいでたりぬ、ひつじぐさ。 -
琵琶湖周航の歌
ひつじぐさと似ていますね。 -
吉田千秋が描いた、ひつじぐさ。
彼は、「ひつじぐさ」のメロディーが「琵琶湖周航の歌」となったことを知らないまま、24歳でこの世を去りました。
小口太郎と吉田千秋は、一度も会うことがないまま、この歌は誕生したのです。 -
資料館から東に少し行ったところに、観光船乗り場があります。
12月から3月は運休中です。 -
桟橋
一番先に、泊火が見えます。
泊火の写真を撮らせて下さいと乗り場の人にお願いしたところ、ここの泊火は歌に出てくる本物ではないと教えてもらいました。
本物はここから2kmほど南下した所にあるというので、行ってみることにしました。
右に見えるおにぎり型の石は、歌碑です。 -
側溝の蓋のモチーフは、7人乗りのボートです。
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ひつじぐさも、町のあちこちで栽培されていました。
花期は6月〜11月。
未の刻(午後2時)頃に花を咲かせることから、ひつじぐさと名付けられたらしいですが、実際は朝から夕方まで花を咲かせます。 -
背の低い街路灯。
歌が彫り込まれています。 -
今津の浜。
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びわ湖の水も、このあたりは非常にきれいでした。
写真に撮っても、水があるのかないのかわからないくらい透明です。 -
松並木の下を歩きます。
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歌の2番に出てくる「雄松が里」はここではなく、もっと南の近江舞子にあります。
近江舞子の松は、ここよりもっと数が多く、林になっています。 -
二ツ石
本物の二ツ石は、沖合い100mの湖中にあります。
渇水時にしか見ることが出来ません。
ここに祀られている二ツ石はそれに代わるもので、7月28日にここで雨乞いの神事が行われます。 -
木津港跡に来ました。
-
歌の3番に出てくる「赤い泊火」です。
-
小口太郎は、これを見たのですね。
同じものを眺めているというだけで、感慨深いものがあります。 -
今津から南へ約45km、こちらは大津市観音寺の琵琶湖疏水取水口です。
左は三保が崎。 -
周航創始80年を記念して1973年(昭和48年)に三高同窓生が建設した「われは湖の子」記念碑です。
まわりは、京都市が管理する緑地公園になっています。 -
歌碑
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この公園に隣接して、古くて歴史の重みが感じられる艇庫があります。
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1902年(明治35年)三高はここに新艇庫を竣工し、漕艇練習や琵琶湖周航の基地としました。
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「三高&神陵」と記されています。
今は京大ヨット部が使用しているそうです。 -
外れていた板壁の間から、中を見ることが出来ました。
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小口太郎も歩いたであろう桟橋。
ここから漕ぎ出していったのですね。 -
もっと生きたかったであろう吉田千秋と、生きる事を拒んだ小口太郎。
若くして逝った、聡明で感性豊かな二人の青年、彼らの人生に思いをはせると切なくもなります。
心に響くよい歌を遺して下さったことに感謝いたします。
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この旅行記へのコメント (6)
-
- tabinakanotaekoさん 2021/04/06 09:32:17
- 赤い糸?
- ホーミンさん、
古い順に旅行記を拝見して、まだ2006年の辺りなのですが、どういうわけかこの琵琶湖周航の一本に繋がりました。
赤い糸なんいうてタイトルにしたのは、私達もフォレスタの歌碑を巡る旅が切っ掛けで、今月2日3日の一泊を計画していました。でも陽性者数の増加で土壇場キャンセルをしたのです。ホテルも彦根に予約していましたがキャンセルを無料でさせていただきました。有り難かったので、次の機会にもこのホテルにしようと決めています。
行けた暁にはホーミンさんとは別の切り口でブログを作れるように頑張りたいです。
勝てませんけどね。
ところで、フォロワーになってくださってありがとう。私の方はもう数年前から追っかけてますよ。自分の旅の参考にしたのだと思いますが、どこへ行くためだったかは覚えていないんですよね。(笑)
taeko
- ホーミンさん からの返信 2021/04/06 19:51:16
- RE: 赤い糸?
- taekoさん
こんばんは。(o^v^o)
taekoさんもフォレスタがお好きなんですね。私は毎週のように楽しみに見ていたのですが、最近はご無沙汰です。フォレスタコンサートも昔は無料で、往復はがきで何度も応募していましたが全てハズレでした。あれから有料になったと聞きました。ちょっと前にチラっと観たら、新しいメンバーが増えてました。
「歌碑を巡る旅」というと、私はMBSの福島アナウンサーを思い出してしまいます。プイプイでやってましたね。(プイプイは終わってしまった( ノД`)シクシク…)余談ですが、うちのお嫁さんは福島アナウンサーと同じ学部でしたよ。
今さらながら、フォローさせていただきました。4トラを始めたころはあまり考えもせずに、ぽいぽいとフォローをしていました。あの頃はフォローでなく、お気に入りさんでしたね。フォローされたら即フォローのお返しをしていたのですが、ちょいとイタい目に遭い、それからは慎重になり、本当に気にいった旅行記を書く人、お付き合いをして大丈夫そうな人だけをフォローすることにしました。
taekoさんとのおつきあいの始めは、仮ぐらしだったかと思います。3年後には仮ぐらしが出来そうです。
いくつも旅行記を読んでくださり、投票やカキコをありがとうございます
-
- たらよろさん 2010/02/04 11:21:32
- 旅の目的って様々ですよね
- こんにちわ〜ホーミン様。
歌の生まれたルーツを知りたくて旅に出る・・・
すごい素敵な目的ですね。見聞も広がって素晴らしいです。
川那辺雅子先生の切り絵が歌の情景を相成って創造意欲を沸きたててくれます。
感動っていろいろなところから生まれるんだなって
文字通り感動しました!!
たらよろ
- ホーミンさん からの返信 2010/02/06 20:26:21
- RE: 旅の目的って様々ですよね
- たらよろさま
こんばんは。
いつもありがとうございます。
今回見ていただいた旅行記は、私にしては変り種でした。
いつも何かを体験して、感じたままを書いているので、このように調べて書くのは正直ちょっと苦手です。
でも、調べていくうちに、なんだかジーンと来るものがありました。
二人とも、もっと長生きしてくれたら、いろんな功績を残した人たちだったろうにと思うと残念です。
私も切り絵が好きです。
川那辺先生は、上手く琵琶湖の情景を描いておられると思います。
複雑すぎないところがまた魅力ですね。
毎年、新しい作品でカレンダーを作っておられるようです。
-
- ひろかなさん 2010/01/22 10:42:26
- 歌の背景を知ることは大切ですね。
- ホーミンさん、こんにちは。
私は、むか〜しちょこっとコーラスをやっていまして、この「琵琶湖周航の歌」も歌った事があります。
その時は歌詞の意味も深く考えず、加藤登紀子さんのイメージのまま歌っていたような気がします。
資料館があるのにも驚きましたし、ホーミンさんの旅行記で勉強になりました。
自分の足で尋ねればより良いのでしょうね。
フォレスタの「琵琶湖周航の歌」聞き入っちゃいました。
他の曲も・・・
フォレスタも今回知る事が出来ました。いいですねぇ〜
ホーミンさん、ありがとうございました♪
ひろ
- ホーミンさん からの返信 2010/01/22 15:06:06
- RE: 歌の背景を知ることは大切ですね。
- ひろさま
こんばんは!
書き込みと投票をありがとうございます。
今回の旅行記は、思いのほか時間がかかりました。
コメントだらけにもなってしまいました。
歴史や文化をたずねる旅行記は、私にとっては書くのが特に大変です。
フォレスタ、好きなのですー♪
もともと童謡が聴きたくて観だした番組だったのですが(BS日本で月曜夜10時から放送)、あのまっすぐな歌い方に魅了され、同時に日本語の美しさも再認識でき、もう長いこと観ています。
特に榛葉樹人さん(一番小柄な人)と小笠原優子さん(向かって右から二番目)のファンです。
時々コンサートもされていて、そのVTRが放送されるのですが、観客はご老人がほとんどです。
時に涙を流して聴いておられます。
ひろさんはコーラスをされていたのですね?
私はピアノを弾いていたので(これまたヘタクソ)、伴奏を聴くのも楽しみなのですよ。
明日伏見にサーカスを観に行く予定です。その後、「東寺の近くの警察の斜め前のマグロのお店」に行くつもりをしています。
ひろさんとおんなじものを食べてきますね〜♪
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