2008/06/28 - 2008/06/30
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「山」さんさん
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世界遺産グランドキャニオン国立公園。
サウスリムのビューポイントからはるか下の方を眺めると、
細い糸のようにトレイルが見える。
さらに1800メートル下にはコロラド川も見える。
そして大渓谷の対岸は霞んで見えるノースリム。
南⇔北の大渓谷の横断はできないのかしら・・・
ガイドブックやネットで調べてみた。
標高差:1756メートル。
距 離:38?。
夏期の谷底の気温:50℃以上。
できない事はないかもしれない・・・でも素人には過酷すぎる。
オーバーナイト・ハイクは入山許可証が必要。
とりあえず4ヶ月前の2月1日に6人のグループ2組(計12名)で申し込んでみる事にした。
許可証が入手できれば「覚悟を決めて挑戦する」、
許可証が下りなければ「ラッキーと潔く諦める」。
その程度で意気込みでであった。
10日後、「アッラー」2組とも入山許可証が届いてしまった。
こりゃあ行くしかない、と覚悟を決めた。
「山」以外の11名は年間に30本も50本も山行に精を出しているプロの皆様。
「山」は『期待<不安』に思いつつ、特別なトレーニングもせず、ぶっつけ本番のグランドキャニオンの巨大な渓谷の南北横断が始まった。
注)表紙の写真はサウスリムのマーサー・ポイント。
- 同行者
- その他
- 交通手段
- レンタカー
- 航空会社
- シンガポール航空
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-
これが幻の「Backcountry Permit」。
グランドキャニオン国立公園内のキャンプ場は
この許可証がないと泊まれません。
キャンプ場のキャパ数だけ発行されるらしい。
ちゃんと谷底のキャンプ場にも、レンジャーの
お兄さんが、許可証の有無を確認しに来ました。
ちなみに6名のグループが2泊3日する場合、
70?です。
入山を希望する4ヶ月前の1日に申し込みます。
希望する方、興味のある方、遠慮なく「山」まで
ご連絡下さい。『ゲット』の方法をお教えします。
「山」は2010年の6月頃、もう一度南北横断したいと
秘かに作戦を練っています。 -
6月28日 03:50 ノースリムの「ノースカイバブ・トレイルヘッド(登山口)」を出発。
まだ真っ暗。
ヘッドライトが照らすのは足元だけ。
渓谷は暗闇の中。
登山口は標高2,475m。
やや肌寒く、長袖でフル装備。
リュックの中には8食分の食料、水2リットル、着替え、
テント、寝袋・・・おやつなどで18kg位。結構重い。
今日は一気に谷底の「ブライトエンジェルキャンプ場」
まで下りる予定。
距離は23?、標高差はマイナス1,756m。
『よーいスタート!』
体力を消耗しないように、ゆっくり同じペースで歩き続けるのが基本・・・らしい。 -
黙々と1時間ほど下った頃、東の空が青白く明け始める。
しばし、と言っても森田リーダーの指示で5分程度の休憩。写真を撮って、水分を補給したらもう出発。 -
登山口から下り始めて1時間少々、標高差にして435m下ったところの「スパイトンネル」。
ただ岩をくりぬいただけ、全長30m、幅は人間が横に2人が精一杯、今回のトレイルで唯一のトンネルだった。 -
トンネルを抜けたところ。
トレイルは非常に良く整備されている。 -
トンネルからちょっと下りた所。
我らがリーダーの森田さん。
その後ろの建物はトイレ。 -
トイレはこんな感じ。
ウオシュレットはありませんが抵抗無く使えます。 -
水道。
トレイルに沿って給水設備が整っていました。
2泊3日のオーバーナイト・ハイクでも、スタートした時点で水は2リットリしか持たない理由がお分かりいただけたでしょうか。
ちなみに、この日だけで「山」は5リットル以上の水を飲んでいます。
しかし、トイレには1度も行きませんでした。
体内の水分は肌から全部蒸発してしまったらしい。
こんな暑く乾燥している所では、水だけ飲んでも逆効果。ポカリスエットの粉末を溶かしたり、梅干を1個ペットボトルに入れ、ちょっとしょっぱい梅干味の水にして浴びるように飲みました。 -
5時14分、日の出。
垂直の岩肌の上のほうから徐々に明るくなります。
刻々と変わるこの景色、歩いて下りた人にしか体験できない神秘の世界です。 -
トレイルはそんなに急ではありません。
-
前方に人がいるのがわかりますか。
トレイルの谷側は垂直、柵や手すりなど一切無し。
もし落ちたら・・・助かるわけがないでしょう。
そこは自己責任です。
それより、このアングルからの撮影を褒めてくれますか。今生きているのが不思議なくらい、危ない目にもあっています。
「山」はプロのカメラマンではないので、撮影に命かけてもショーが無いのに・・・。 -
この頃から徐々に暑くなり始めました。
-
小さな渓谷を跨ぐように、鋼鉄製の橋が何ヶ所かあります。
写真を撮っては皆を追いかける・・・その繰り返し。
撮影は疲れるしリズムが狂いっぱなし。 -
「10分休憩」森田リーダーの天の声。
日陰を見つけ、リュックを下ろし、何はともあれ水分とエネルギーの補給。
「山」は歩きながらミックスナッツをポリポリ。 -
「クールダウン」
トレイルを巡視中の超美人のレンジャー嬢に出会いました。
彼女は我々に
「気温が体温より高いのでクリークに飛び込んでクルーダウンしてください」
と忠告。
「あなたも一緒にクリークに飛び込みませんか」
と言いかけたとき、
彼女の腰に45口径が・・・。
しかし、感じの良いレンジャーさんでした。 -
超美人レンジャーにそこまで言われたら、そうする(クリークに飛び込む)しかありません。
写真はパンツ1丁でクリークで飛び込んだ鴫原氏。
でも、クリークに飛び込んで身体を冷やしたお陰で元気が回復。レンジャー嬢に感謝。
『暑い』では無く『熱い』。
鴫原さんのリュックの温度計は50℃を振り切っていました。実際は何度まで上がっているかわかりません。 -
『ゴ・ゴ・ごじゅうにどぉ??』
谷底の「ファントムランチ」には午後5時50分に到着。気温は52℃。信じられますか?左はその証拠写真。
熱い空気がまとわりつく感じ。
湿度は多分10%程度。ドライサウナ?
うまい表現方法が思いつきません。とにかく想像を絶する世界です。
23?を14時間かけて歩き通した感想。「まだ行ける」
春や秋のもっと爽やかな気象条件であれば、素人の「山」でも多分10時間でOK。
ハエが少々うるさい。ファントムランチとキャンプ場の間にミュールの厩があるせいらしい。
6時からファントムランチのレストランで冷えたビールが飲める、とそれだけを楽しみにレストランの入口付近でウロウロ。我々も含め20人くらいがレストランのOPENを待ちわびる。
6時!
即
ショック!!!!
6時からはファントムランチのお客様だけ。
キャンプ場のお客様は8時から利用だって。
ここでさらに2時間のお預けは辛い。
ちなみに冷えたバドワイザー1缶4?。
地上のスーパーマーケットでBOXで買うと、1缶50セントくらいなのに。
しかぁーーーし、ここで1缶4?といわれても、ヨシヨシと素直に払う人間の心理状態、熱さで脳みそがイカレテイタと思います。立て続けに6缶飲んだ人がいて、売店のお姉さんが苦笑い。
冷えたレモネードも美味しかった。 -
テントを張ったけれど、熱くて中に入ることができません。
テントは単なる荷物置き場にして、人間は外。 -
ファントムランチからコロラド川寄り数百mの所にある
谷底の唯一のブライト・エンジェルキャンプ場は大小色々なサイトがあり、先着順で好きなサイトにテントを張る事ができます。
サイトとサイトの間に生垣があったり、中々ゆったりしています。
ハエも歓迎してくれました。
ムシコナーズを忘れたのを悔やみましたが・・・。
入山許可証がないとテントを張る事ができません。夕方、いけ面・レンジャー氏が許可証の有無のチェックに来ました。
トイレ棟も給水設備も整っています。
写真は「フード・コンテナ」。各サイトに備え付けられています。リスなどから食料を守ります。 -
リュックかけ。
リュックの中身をリスなどから守ります。各サイトの隅のほうに立っています。
今日の後半(午後の)は写真が極端に少ない。
疲れて写真どころではなかったのが本当のところ。
足は靴ヅレもなく、エアーサロンパスをシューッとやってお手入れは終了。頑丈なおみあしだこと! -
夕食は各自。
体力を保つため夫々が工夫して持ち寄った食材がテーブルに並びます。 -
コロラド川に架かるつり橋。
谷底には橋が2本架かっています。
このつり橋はサウスリムのヤバパイポイントからはるか下の方に見える橋ではありません。
足元をコロラド川が流れています。流れは早く、水量も多いりっぱな川です。 -
横断2日目の朝です。
「山」の完全武装のお姿。(スパッツなし)
2日目はインディアンガーデンまで、
標高差はプラス404m、距離にして7?半。
楽勝コースである。 -
つり橋の幅は1メートルほど。
-
つり橋を渡りきると道なりに右側(下流方向)にすすみます。しばらくはコロラド川に平行して歩きます。
トレイルは良く整備されています。 -
景色の良い所、日陰を見つけて写生に励む鴫原さん。
-
午後2時40分、インディアンガーデン着。
テントを張るキャンプサイトとデイキャンプサイトが分かれている。
ベンチにぶっ倒れているのは、サウスリムのブライト・エンジェル・トレイルヘッドから降りてきた人たち。
彼らはこの後サウスリムのトレイルヘッドまで戻らなくてはならない。 -
やがて山の中へ。
つづら折のトレイルが果てしなく続きます。
今日の目的地までは7.5?、気分的にもラクチン。
ただし、真上からの日射しから避ける処はわずかしかない。日焼け防止対策が肝心です。 -
人懐こいリスが「山」のリュックに忍び込んできた。
結局なにも取らずにどこかにいなくなったが、キャンプ場の回りには、野生のリスがウロチョロしている。
油断は禁物です。 -
3日目。
日の明ける前、ヘッドライトを点け午前4時に出発。
標高差はプラスの933メートル。
距離は約8?。 -
太陽は真上からギラギラギラ。
わずかな日陰を探し休憩。 -
8時30分、「1.5マイルレストハウス」に到着。
トイレ、(写真のような)水道設備がある。
ここまで来るとあと残りは2.4?。標高差は350m位。
余裕で休憩を取っていたら・・・ -
健脚組のA班6名が追いついてきた。
A班は、今朝(というより深夜)2時に谷底のブライトエンジェルキャンプ場を出発してきた。
グランドキャニオン入山中、初めて12名が一同に会した写真です。
女性4名、男性8名の計12名。
又は
山歩きのプロ11名に素人(Who?)1名・・・。 -
午前中は下りてくるミュール・ツアーと何度かすれ違った。
必ず人間が山側にへばりつくようにして通り過ぎるのを待機する。
ミュールとはロバより少し大きく、馬より少し小さい。
これは楽そうに見えるけど、決して楽じゃないですね。
砂埃が凄い。
やはりトレイルは人間の足で歩いてナンボです。
<余談>
トレイルの途中、ミュールの糞とおしっこの水溜りがある。だいたい同じ所にするのでしょうか。
ナイところは全々ないから、多分連鎖反応で、一頭がすると、他のミュール君たちも「ココはトイレ」と勘違いするのかもしれません。
しかし、歩きに必死の「山」にとって、ミュールの糞やおしっこの水溜りなんかどうでもいいことでした。
10時30分、ブライトエンジェルトレイルヘッド着。
インディアンガーデンから6時間30分でした。
ゴールの瞬間の写真・・・ありません。
なぜなら、ゴールした瞬間ブライトエンジェルロッジに向けて走り出してしまったからです。
なぜ?
ロッジには冷たいビールがある!!!
またしても裏切られる事に・・・。
ロッジでアルコールの販売は11時から、との事。
30分待って出てきたビールで「乾杯!」でした。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- bubu_chanさん 2009/07/25 02:02:57
- 私もぜひ行きたいです!
- すごく暑そうですね。
でも、自然の中で皆様が満足そうな顔をされているのが印象的です。
私はロサンゼルスに住んでいるので、グランドキャニオンなど行きやすいはずですが、まだ行ったことがありません。
父と一緒にRVを借りて、国立公園を回るのが夢です。
その時はぜひ山さんのホームページを参考にさせてください!
-
- houjun2さん 2009/07/23 20:52:58
- ★まるで黒部の太陽
- ★山さん
久しぶりにお目にかかりました。
ここでも全員整列集合写真
http://4travel.jp/traveler/yama_san/album/10357128/
参加者のご家族に安心を与えるメッセージ。
それにしても
おっとろしい場所でしばしの休憩。
アメリカって大きいですねー
自然に任せた公園があるかと思えば
谷底にキャンプ場あり。
そして、マイナス450mにも整備されたトイレ設置の心遣い。
感心して眺めるよりほかありません。
h2
- 「山」さんさん からの返信 2009/07/25 09:14:14
- あの谷底について、私のブログでは伝え切れていません。
- すみません、新規のUPを1年はサボっていました。
お陰さまでその間に新しい旅行記の素材はいくつもたまったのですが、
「O型」のためか、溜まればたまるほど「面倒になってくる」性格でして
・・・少し反省。
グランドキャニオンのサウスリムから谷底のファントムランチまで
1泊2日で体験した日本人は結構います。
ファントムランチの予約さえ取れればOKですから。
しかーーし、ノースリムから下り、2泊3日でサウスリムまで到達した
日本人は、そう多くないですよ。
来年6月にもう一度グランドキャニオン横断を計画しています。
単独は危険なので、5〜6人のパーティで行こうと思います。
興味ある方、いらっしゃいませんか。
「山」。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
「山」。
> ★山さん
> 久しぶりにお目にかかりました。
>
> ここでも全員整列集合写真
> http://4travel.jp/traveler/yama_san/album/10357128/
> 参加者のご家族に安心を与えるメッセージ。
>
>
> それにしても
> おっとろしい場所でしばしの休憩。
>
>
> アメリカって大きいですねー
> 自然に任せた公園があるかと思えば
> 谷底にキャンプ場あり。
> そして、マイナス450mにも整備されたトイレ設置の心遣い。
>
> 感心して眺めるよりほかありません。
>
>
> h2
>
- houjun2さん からの返信 2009/07/25 12:49:48
- RE: あの谷底について、私のブログでは伝え切れていません。★
- ★山さん
待ってたんですよ
> すみません、新規のUPを1年はサボっていました。
>
> お陰さまでその間に新しい旅行記の素材はいくつもたまったのですが、
> 「O型」のためか、溜まればたまるほど「面倒になってくる」性格でして
> ・・・少し反省。
同じく・・・なんですが、私はA型。
> しかーーし、ノースリムから下り、2泊3日でサウスリムまで到達した
> 日本人は、そう多くないですよ。
だからこそ、年甲斐もなく山さんを私に被せて、冒険をしている気になってるんですよっ。
そうそう
【あの谷底について、私のブログでは伝え切れていません】
って?
もしかしたら
谷底に「アカマルイチ」があったとか、「消火栓」があったとか?・・・
機会があれば、谷底の秘密を公開して下さい。
お気をつけて
h2
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