1989/09 - 1989/09
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みどりのくつしたさん
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(これは、1989年、南米旅行を終えて、再度、コロンビア領サンアンドレス島から、中米グアテマラに飛んで、陸路でアメリカに入国する途中の話です。物価や状況はその時の話ですから、現在の状況は、自分で確認してください)
『世界各地のバスを論じつつ、ウエウエテナンゴへ着いて、世界一周旅行中の日本人美女と会う』
グアテマラシティ、セントロの安宿で目覚めたのは、少し早すぎる時間の、午前5時だ。
昨日アンティグアのZENから持って来た、久しぶりの日本語の本を午前1時まで読んでいた割には早く起きてしまった。
起きてしまったら最後、もう一度寝ると、寝過ごして、バスに乗り遅れてしまう。
暇つぶしにバックパックの整理をするが、昨夜ZENからがっぽりと持ってきた本を詰め込み過ぎたので、重過ぎる。
本当はすべて捨てていってしまった方がいいのだが、あまりの知性が本を要求する。
どうしても、やはり、赤川次郎の本は捨てられない。
グアテマラシティの「ホテルサンカルロス」を出たのは6時半になった。
特に、トイレに3回ぐらい通って念には念を入れて、ウンコを出したのだ。
今日のようにあんまり設備の良くないバスに乗る時は、トイレの問題がとても重要だ。
途中でおなかが苦しくなったら、とんでもない所で置き去りにされてしまうかもしれないのだから。
さて、ウエウエテナンゴ行きのエルコンドル社のバスの切符は2日前に買っていた。
ただ、その切符をどういう使い方をするのか、要領が解らなかった。
切符を買いに行ったら番号の書いてある紙切れを渡された。
そして、「朝8時出発なのだが、7時から7時半に事務所へ来るように」と言われていたのだ。
切符の番号は座席番号ではないようだ。
行ってみると何のことはない、その番号順にバスに乗り込んで、自分の好きな席に座っていいという仕組みなのだ。
これはバスでは初めて経験した。
世の中には、まだまだ理解不能なことがあるね。
座席は横の一列が2席と3席に別れていて、狭い。
これで5時間か…。
まあ、1列5席というバスはモロッコでもケニアでも乗ったことがある。
モロッコでは隣に100キロを優に越すというおなかの出た肥ったおじさんが座っていた。
「バスでふとっちょの隣に座るのは最悪」なわけで、マラケシュからカサブランカまで体を斜めに歪めたまま4時間乗っていたっけ。
エジプトのハルガダからスエズまでは満員バスで立ったまま5時間という記録もある。
ブラジルでは「レイト」という寝台バスに、リオデジャネイロからバイーア(サルバドール)まで、28時間連続に乗っていたこともある。
一列3席でゆったりしていて、トイレもあり、非常に快適なバスで、住みつきたいくらいだったけどね。
チベットのラサからゴルムドへの5千メートルを越える高原バスはトイレがなくて、三十数時間かかった。
このときは、いつ着くかさっぱりわからなかったので、精神的にぼろぼろだったよ。
考えてみると、1984年に乗ったネパールのポカラからインド国境のスノウリへの小型バスが一番きつかった。
これは、シートごと身体が跳び上がるバスで、天井に頭を打っては、大笑いしていた。
まあでも、若い時はどんなバスでも耐えられますね(笑)。
これだけのバス経験があるので、今では10時間以内のバスは物足りない気分がする。
やはり12時間以上バスの中にいて、体の節々が痛くなった後で、その疲れが頭に及んで、ぼーっとして来くのがいい。
そして、まるでバスの揺れと身体が一体化する感じを得るのがバスに乗る醍醐味だ(これについてはいずれじっくりと哲学的に考察してみたい)。
バスは快適に、狭いが舗装された道路をとばして、午後1時にウエウエテナンゴへ着いた。
バスがエルコンドル社の事務所の前に止まる。
隣にあった「ホテルセントラル」を当たってみる。
2人部屋を1人で使って7Q(350円)。
なかなか大きい部屋だし、これに決める。
コの字形に中庭を囲んだ2階の部屋のひとつだ。
ウエウエテナンゴの近くには、サクレウというマヤ遺跡がある。
もちろんそれを見るのが、ここへきた目的の一つだ。
早速、サクレウ遺跡に行こうと様子を聞くと、「今日は独立記念日でサクレウ遺跡へのバスは走っていない」とのこと。
なるほど、昨日アンティグアからグアテマラシティへの道を、松明を持った大勢の人が走っていたのは独立記念日の前夜祭だったのだ。
バスから眺めて、「放火犯のマラソン大会」と思ったのはやはり間違いだ。
いくら何でもありのラテンアメリカ諸国でも、ちょっとおかしいとは思ったのだが。
ウエウエテナンゴに来たのは、ここからメキシコへ国境を越えるためだ。
グアテマラからメキシコへ直接国境を越えるルートは4つある。
そのなかから、このルートを選んだのは、この町からなら国境のエル・エスティージョを越えて、南へ下る途中で寄ったサン・クリストバル・デ・ラス・カーサスへ、1日でたどり着けることが1つ。
更には訪れたマヤ遺跡の長いリストにサクレウ遺跡を加えることが1つ。
今日はバスもないらしいし、無理やりサクレウ遺跡に行ってしまうと、明日やることがない。
そうすると明日国境を越えなければならないが、それも疲れる話だ。
明日にしよう。
長期旅行の基本は「無理をしない」これに尽きる。
ホテルの部屋で荷物をベッドに広げて荷物を整理する。
2日あるので、カリブ海に浮かぶコロンビア領サンアンドレス島から持って来た、濡れたままの水着やTシャツを洗うことにする。
2階の廊下の端っこに洗面所があって、その先のベランダで洗濯物を干せるようになっている。
早速石鹸でシャツやパンツを洗い出す。
洗濯をしていると、向かいの部屋から東洋人の女の子が出て来た。
たぶん、日本人だろう。
1989年では、韓国人旅行者はまだヨーロッパやアメリカに限られている。
「こんにちは!」と、声をかける。
日本人旅行者は本当に世界中どこにでもいる。
まわりがあんまり日本人だらけだと声をかけにくいが、こんな所で会ったら声をかけるのは礼儀だし常識だ。
しかも若い女の子なのだから話しかけない方がおかしい。
今日はこの女の子と話をして、時間をつぶそう!と決めた。
話を聞くと、彼女は日本を出てもう1年になるのだそうだ。
彼女の初めての海外旅行だ。
女の子1人で旅行に出るのが危ないとまわりから言われた。
それで、旅行雑誌で女の子2人と連絡を取り合って、一緒に旅行することにしたとか。
その女の子3人で、韓国から旅行を始めて香港・バンコク・カルカッタ・カイロと旅行した。
このルートだと全部飛行機なので、旅行のレベルからしても大したことはない。
しかし、カイロで2人の女の子と喧嘩別れをしたそうだ。
話を聞いている途中で、きっと喧嘩別れをしたのだろうと思っていたので、納得してウンウンとうなずいてしまった。
男の子が2人で長期旅行したら絶対に駄目だ、という話は「間違いだらけの海外個人旅行」で、理路整然と論証してあるの。
もちろん、女の子の場合もそれが言える。
ただ女の子が2人で旅行している場合は、いくら旅に慣れても、1人で旅行する不安が先に立つ。
だからせいぜい口げんかで終わり、実際に別れるということはない。
しかし女性が3人で長期旅行すると、ほとんどの場合は2:1に分裂してしまう。
これはバルセロナのデパート「エル・コルテ・イングレス」のレストランでナンパした女の子の場合もそうだった。
彼女も3人で旅行していたのだが、旅行のルートが2:1の多数決だった。
それで、いつも自分の意見が通らず、馬鹿馬鹿しくなって別れたと言っていた。
だいたい長期旅行に出ようと決意する位の女の子なら、自分一人で旅行出来るに決まっているのだ。
女の子が一人で旅していれば、まわりの人が、よってたかって助けてくれるのだから。
それを「女の子1人では危ない」などという、間違った社会常識らしきものに惑わされてしまう。
そして、自分の可能性を自分で閉じてしまう。
ヨーロッパ旅行に出たら、ついモロッコに渡ってしまって、ついでにマグレブ(北アフリカ3国)を横断してしまう。
アメリカ旅行だけのつもりだったのに何故かメキシコ旅行を始めてしまう。
マヤの遺跡を追いかけているうちにインカの遺跡も見たくなって、南米に渡ってしまう。
そのうちについうっかりと、南米を一周してしまう。
その旅の中でだんだん大胆になって行って、全く違った本当の自分を発見して行く。
ま、これが僕が実際にやった旅行だが、これが本当の旅行なんだね。
長期旅行に出ようと大決心をしたのに、そこから急に「世間の常識」という得体の知れないものに捕らわれてしまってはダメだ。
誰かと一緒に旅行に出る、などという全く無意味なことしたら、一生後悔することになるよ。
http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/central_america/huehuetenango1.htm
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