名もなき恋の戦士たちへ～

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旧ソビエト諸国のひとつ「ウクライナ」そして日本のクルーズ船としては、初寄港となるオデッサに降り立った。政情不安からまだ日が浅く、潤沢な大企業の看板がない調和のとれた美しい街と言う印象でした。
　
広場や港で寄り添う恋人たち...娯楽施設もままならない、ここでは時間がゆったりと流れているように思えた。
冷戦の崩壊、イデオロギーの変革、物不足とインフレ。肩を寄せ合うしかない彼ら、彼女達がとても、とても美しく愛おしく思えた。何も信じれないからこそ、愛に献身的になれるのか、拝金主義で富の搾取に慣れてしまった僕にとって、愛を口にしてみてもそれには必ず駆け引きや背信がつきまとう。こうやって知らない土地で生きてもいいかな...と思えた。先進国の先進とは、本当に先に進んでいるのかな..と言い様のない焦燥感に駆られた。

見た目だけ豪華な造花のように...それは決して枯れないが、愛おしくもない。
人知れず何処か片隅に咲く花のように、包み込むように愛を確かめ合うんだね...

哀しいから愛おしい物もある..まるで鎖に繋がれたような恋。

名もなき恋の戦士たち..本物の戦士たち。
そんなことを感じさせてくれる街だった。