2007/08/25 - 2007/08/25
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フーテンの若さんさん
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常にガイドに同行してもらうというのは初めての経験なのだが、これはかなり疲れるということがわかった。
行く場所、食べるレストラン、泊まるホテル。全て事前に決められてしまっているから、楽なんだけど意外なハプニングに触れることが少ない。しかも、行くところは全てツーリスト用の一流どころばかりで、庶民的な人たちと触れ合う機会はほとんどなかった。
そんな雁字搦めの完全パッケージツアーだったから、僕は丸二日で拒絶反応が出始めた。やっぱり自分の赴くままに出かけたいし、休みたいし、食事も取りたい。何よりもっと普通の人たちと話をしてみたいと思う。それが僕の旅のスタイルだ。とはいえ、勝手な単独行動は許されないのが、現在のブータンの旅。「ローマの休日」でアン王女が勝手にホテルを抜け出た気持ちを、この体験で僕も理解することができた。
しかし、チャンスは突然、訪れた。
担当してくれているドライバーとガイドはティンプー出身。ティンプー滞在中、彼らは自分たちの家に戻るという。夕食をホテルで終えたその夜、僕は誰にも内緒で、ホテルを抜け出すことに成功した。気分は「ローマの休日」。若かりし日のオードリー・ヘップバーンのような美女に、ティンプーの街で出会ってみたい。
ところが、まず街の中心まで行くのに一苦労であった。僕の泊まっていたホテルは街の中心からかなり離れており、山の中腹にある。なので夜景はとっても綺麗なのだが、遊びに行くのには最悪のロケーションだった。
日本と違ってブータンの街外れでは、街灯はほとんど整備されてない。小さな懐中電灯を照らしながら、山道を歩いてると、野犬の鳴き声が遠くで聞こてきた。一匹が鳴くと連鎖反応で、近くにいる野犬まで吠え始める。一体何十匹いるのやら。集団で襲われないだろうか、何も見えないだけにかなり怖い。さらにティンプーの夜は8月というのに結構肌寒かった。何も考えず、Tシャツとサンダルで出てきてしまい、ちょっと後悔。クシャミを連発しながら歩くこと約1時間。やっとのことで、街の中心まではるばる辿り着いたのであった。
ティンプーは土曜の夜というのに、思った以上に静かであった。ブータンの首都にしては物寂しい。若者がもっとワイワイ賑わっているのかと思いきや、灯りも人もポツポツとしか見当たらない。ローマのスペイン広場に該当するであろう、時計台広場は真っ暗で誰もいやしなかった。皆、建物のなかに入っているのだろうか。とりあえず、バーを探して一杯呑むことにした。
今度はそのバーが簡単には見つからなかった。ビルの中にあるそうなのだが、外からではよくわからない。人に尋ね、迷路のような路地を経て、汚いビルの3階にやっとそのバーは見つけることができた(「OM BAR」)。ブータンチックな店内で雰囲気は悪くない。だが、客らしき人間は一人もいなく、店員が暇そうにカラオケに興じていた。
僕はカウンターでビールを頼んで他のお客を待つことにした。ビール1杯70Nu(200円)とそんなに高くない。テレビのイングランドサッカーで暇を潰すこと1時間、ようやく1組の客が訪れた。なんだ外国人観光客か。地元客は来ないのかなー。
さらに粘るが、訪れるのは観光客たち風の外国人ばかりで全然面白くなかった。僕はビール2杯しか呑んでいないのに、これまでの疲れが出たのか、酔いがかなりまわってしまっていた。時計を見ると23時近く。バーテンに聞くと盛り上がるのはこれかららしいが、頭はフラフラになりもう限界だ。結局、アン王女に出会わぬまま、ホテルに帰る事にした。
帰りはタクシーでホテルに戻ると、玄関には鍵が掛けられていた。従業員はすでに寝ている模様。おーい、開けてくれよ。王様の帰還だよ〜。お忍びしてスイマセン〜。
ティンプーの夜を一人で行動するのも、なかなか疲れるということが今回わかった。
夜に盛り上がり、ブータンのアン王女が集うところ、誰か教えてください。そして僕をちゃんとそこまで連れてってくださいな。
後日、昼間に探したらたくさんのバーが見つかった。ディスコは6軒もあったらしい。僕はいったい何処を彷徨っていたのやら?
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ブータンの民家の外壁には何らかの絵が大きく描かれている。それはトラであったり、獅子や龍、鳥のような怪物であったりするのだが、一番驚いたのは無修正のチンチンの絵であった。
まさしくそれはチンチン。しかも剥き出し状態。たまに先っちょから何か液体らしきものまで飛び出ているリアルなものであった。これが、民家の目立つところに大きく描かれていたりするから笑ってしまう。
これは何なの?
ガイドのテンジンに聞いてみると、「鬼から家を守るためにこういった絵を描くのだ」という。なるほど、トラとか怪物の絵については理解できるが、なぜにしてチンチンが鬼退治となるのか?
こんなの日本の家に描いてあったら絶対いじめられるだろうなー。町内会やPTAが黙っていないよ。子供の教育上よくないなんて言い出して。でも、これは宗教上の理由でしょうがないんですなんて言い返しても、まず納得しないだろうなー。地元のヤンキーたちは、悪ノリしてこの絵の横に女性器を描くだろう。うん、間違いない。落書きはエスカレートしていき、エロマンガの巣窟になっていくはずだ。ハレンチ仮面やら、まいちんぐマチコ先生、みやすのんきのやるっきゃ騎士まで登場しちゃったりして。でも逆にそこまでいくと芸術だ。格好いいとかなって、週刊誌に取り上げられて、朝ズバッのみのさんに褒められちゃったりして(もちろんモザイク付きで)。街の名物になって、市民名誉賞を貰って、挙句に世界遺産の候補にまでなっちゃったりして。
それでも絶対に自分の家には描きたくないわなあ〜。チンチンの絵だけは。 -
ブータンは2004年から禁煙国となった。
よって、国内のタバコ販売は違法ではある。ところが、タバコを吸うこと自体は、特に違法ではない。何だか矛盾しているようだが、ガイドのテンジンはスパスパとおいしいそうに、今日もタバコを吸っていた。
タバコを愛好する若者はまだ結構いるらしい。だから、町の露店では隠れてタバコを販売している。警察に見つかると罰金刑なので、顔見知りの人にしか売らない。テンジンは、地元の知り合いに頼んでは、タバコを密かに入手していた(テンジンが買っていたタバコはインド製の「NAVY CUT」。禁煙国になる前の1.5倍50Nuもするという)。
また、ブータンの山中では、自然に生えているケシの葉をそこら中で見かけることができた。マリファナも若者たちの間では、タバコのように普及していたのだという。しかも驚くほど安い値段で。 -
「今は何でも厳しくなりました。こないだもドラッグを売っている人が捕まって、9年の禁固刑に処せられることになりました。刑もどんどん厳しくなっています」
インドから流れてくるドラッグは一時、深刻な社会問題となったという。テンジンの友人もドラッグに溺れ、知っている人だけで5人も亡くなったという。
おいしそうに煙を吐きながら、そう話すテンジン。タバコを握った手にふと目をやると、拳はドス黒く、手の甲に何箇所か縫った後があった。
それを尋ねると、昔テコンドーをやっていて怪我をしたのだという。本当はケンカの跡だろう。ブータン人の若者はケンカもするのだという。拳銃は使わない、昔ながらの殴り合いのケンカ。
数年前にティンプーで若者集団の抗争があったらしい。ナイフやナックルやら凶器を使っての大乱闘。その結果、1人が死んだ。それ以来、武器の所持についても警察の目は厳しくなったのだという。
「ワタシも昔はいろいろやってましたね。マリファナもナックルも。でも今は子供が出来ました。だから、もう何もやりません。今はタバコだけです」
ぷはーと放ったテンジンのタバコの煙り。何もかも平和そうに見えるブータンでは、そのタバコの煙ですらも何だか似つかわしくないような気がした。旅行者には見えない裏側がまだまだこの国にはあるに違いない。
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