青空の下、路面電車はごとごと。

2007/08/15 - 2007/08/15

　大阪では「ちんちん電車」と言い、昔は心斎橋にも梅田にも走っていた路面電車。子供の頃にはまだ一部天王寺などに残っていて、私も乗りました。京都や広島でも乗ったな、そういや。（ローカルな話題ですみません。）
　今ヨーロッパやアメリカでも市街を走るライトレールというのは近未来型の路面電車で、この「ちんちん電車」という雰囲気とはちょっと違う。日本でもあの素朴な一両の路面電車は廃線の憂き目にあって、都市に復活しようとしているのは、「ライトレール」。悪くはないけど、「ちんちん電車」（「ちんちん」と鐘の音がするからですね。）の温かさが懐かしい。
　ミネアポリスにも昔は市内から郊外へこんな素朴な路面電車が走ってたのです。サンフランシスコみたいにね。当時は湖畔のリゾートだったミネトンカ湖周辺や、紅葉の季節は今も人気スポットの河沿いの街スティルウォーターへも路面電車が通じていたという。目抜き通りのヘネピン・アベニューにも路面電車が行き来していた様子を古い写真で見たことがある。
　昨年ミネアポリス市長は、この路面電車システムを今後１０年で復活させると宣言した。２００５年にライトレールが空港やモール・オブ・アメリカをダウンタウンと結び、次第に利用者も増加しているので、第二計画として数年後にはミネアポリスとセントポールをミネソタ大学周辺を通って結ぶことも決定している。
　でもこれは、ライトレール。「ちんちん電車」じゃない。
　ところが、この昔懐かしい路面電車がまだミネアポリスで走っているところがあるのである。交通機関としてではなく、観光というか、アトラクションとしてですね。ミネソタ・ストリート・カー博物館が運営しているもので、かつて人々が日常利用していたもの。
ダウンタウンから約１０分ぐらいのところに３つの湖、ハリエット
湖、カルフーン湖、レイク・オブ・アイルが並んでいるけれど、このハリエット湖の横をのどかにごとごと走るコモ・ハリエット・ストリートカー・ライン。１８９０年代、ミネアポリスとレイクエリア、セントポールを結んでいたようだ。
　今は短い距離をゆっくりと往復している。くすんだ黄色と緑の車体がノスタルジックで、可愛い。木々と青空の中をごとごとと走っている。ハリエット湖を眺め、アメリカで最古のバラ園やちょっとお洒落なご近所のリンデンヒルなどを訪ねることができる路面電車の旅。こういうものは長く大切にして、のんびりと過ぎて行く時間というやつを味わいたいものだ。
www.trolleyride.org

エリア ミネアポリス(アメリカ)

ほのぼのしている。

コースは短い。

リンデンヒルは湖から数ブロックのご近所。こぢんまりとしたレストランやコーヒーショップなどがある。美味しい地元のアイスクリーム屋さんも有名。

ミネアポリス美術館にあるリトグラフ。ヘネピンアベニューと６thストリートを描いたもの。１９１７年の作。ストリートカーが通っている。

これもミネアポリス美術館にある。「Raining Evening on Hennepin Avenue」という１９０２年の油絵。通りを行く人々の向こうに路面電車が描かれている。