バナーラス (バラナシ)旅行記(ブログ) 一覧に戻る
「7日目 バラナシへ!」<br /> 朝7時前に起きる。気だるい湿気と室内に溜まった暑さが肌にべっとりとへばりついている。 シャワーを浴びてから出発の準備を整える。目的地はバラナシ。3000年以上の歴史を持つヒンドゥー教の聖地。この地で沐浴し、この地で死を迎え、輪廻転生から解脱するためにインド全土からヒンドゥー教徒が集まる聖地の中の聖地である。<br /> あれは1年半前。初めての海外一人旅でインドを回っていた私は、約1ヶ月を経て、この聖地にたどり着いた。ガンジス川で沐浴し、ボートから日の出を眺め、日本人バックパッカーと知り合い、一緒に時を過ごし・・・諸々の思い出が詰まった地だった。バラナシに行くというよりは、 “戻ってくる”という表現が適当なのだと思う。<br /> ネパールとインドとの国境を越え、タクシーを手配する。貸切だという約束だったが、途中、運転手の友達が乗ってくる。けたたましい音楽が鳴り響く車内でガンジャを吸うインド人。ぐんぐんと気温が上がる車内。途中、何度か農村で休憩し、車を整備しながら、バラナシにたどり着いたのは夕方16時過ぎだった。<br /> バラナシに着いた僕らは人力車に乗り込み、ゴウトウリヤーを目指す。ゴウトウリヤーで降り、1年半前に泊まったプージャ・ゲストハウスを目指す。1年半前に訪れた時とたいして変わらないゲストハウスだったが、やはり室内がきれいになっていたり、屋上のレストランのメニューが大幅に増えていたりと変わった部分もあった。しかし、このバラナシという町自体の持つ、なんとも言えない雰囲気などは全く変わっていなかった。<br /> 部屋でシャワーを浴びてから、ヤマゲンと2人、プージャを見に行く。途中、客引きの男が言い寄ってくる。<br />「ハッパ、ハシシ、チョコ」<br />「カソウバミニイク?」<br />「サイババノオトウトイルヨ」<br />火葬場をヤマゲンが見ている間、夕暮れ時のガンジス河に見入る。<br />あれからの1年半を振り返っていた。<br />始めてのインド一人旅を経て、南米、オーストラリアに行った。卒論を書いて、大学を卒業し、社会人になった。ボランティアを始め、夏にはモロッコに行き、その後は忙しい仕事の日々を送ってきた。<br />ほんの一瞬、あっという間。そんな時の経過の早さに、急に寂しさを覚えつつも、無事にこうしてバラナシに戻ってこれたというような気持ちも湧いてくる。<br /> ヤマゲンと2人、プージャが行われるメイン・ガートへ急ぐ。プージャは既に始まっていた。バラナシのガンジス河岸のガートで毎日催されるというプージャー。日本でも有名なバラナシでのプージャーは観光客向けに毎夜催されるのかとも思った。そういう商業的な面もあるにはあるのだろうが、それはわずかな部分なのだと思う。今後も、この地にはグローバル資本主義の波が押し寄せてくるだろう。だが、バラナシはその波を吸収し、うまいこと消化しながらも、ずっと変わらない場所でありつづけるのだろうと思う。同時に、ずっと変わらない町であって欲しいと願う。<br /> プージャーを見終わり、少女が寄ってくる。強引な商売魂に押され50Rs程でお花を買い、河に流す。夜の河に吸い込まれていくその花を見送り、夜の町を歩いていく。道の両端にはバクシーシを求める乞食が居座り、手を差し伸べてくる。その横を宿へと戻る旅行者に混じり、歩いていく。日本語がとても上手な少年と仲良くなっていて、彼に色々なことを教えてもらいながら、アイスキャンデーを食べる。食べていると巡礼者のようなおじさんがアイスキャンデーをくれと言ってくる。食べているアイスを彼に手渡すと何事かを言って立ち去ってしまう。少年に聞くと「バカか」と言ったみたいだ。<br />なぜそんなことを言うんだと聞くと、人が食べてるものは汚いという考えがあるということだった(それがインドでのヒンドゥー教の教えなのかは定かではない)<br /> その後、バラナシ大学で日本語を勉強するという男に案内され、ご飯を食べに行く。放送禁止用語を連発する彼にあまりいい印象を持っていなかったが、ヤマゲンがずっと話していることもあり、渋々着いていく。彼のお薦めレストランはゴウトウリヤーの先にある場所で、店の主人とも顔なじみのようだった。そこでご飯を食べるが、自分はラッシーだけを飲む。ヤマゲンがもりもり食べてはいるが、もしもこのご飯に何かドラッグが入っていたらと用心してしまったのだ。結果的に何も入っていなかったが、用心することに越したことはない。<br /> バラナシは聖地である反面、危険な町でもある。夜のバラナシには出歩かないようにとガイドブックにも書いてある通り、この地で行方不明になる旅行者は多い。<br /> 宿に戻り、一人屋上のレストランでご飯を食べる。1年半前のバラナシでの思い出、今回の旅のこと、日本で再び始まる仕事のことなどを想いながら、夜の河を眺める。生と死が同居しているバラナシにいたからか、旅の最終日前日だったからなのか、なんとなく切ない気持ちを抱きながら、ガンジス河を眺めていた。<br /> 

☆Vol.7☆ 始まりはカトマンズ。 ~7日目~ スノウリ→バラナシ

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2007/05/04 - 2007/05/04

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ダイサク

ダイサクさん

「7日目 バラナシへ!」
 朝7時前に起きる。気だるい湿気と室内に溜まった暑さが肌にべっとりとへばりついている。 シャワーを浴びてから出発の準備を整える。目的地はバラナシ。3000年以上の歴史を持つヒンドゥー教の聖地。この地で沐浴し、この地で死を迎え、輪廻転生から解脱するためにインド全土からヒンドゥー教徒が集まる聖地の中の聖地である。
 あれは1年半前。初めての海外一人旅でインドを回っていた私は、約1ヶ月を経て、この聖地にたどり着いた。ガンジス川で沐浴し、ボートから日の出を眺め、日本人バックパッカーと知り合い、一緒に時を過ごし・・・諸々の思い出が詰まった地だった。バラナシに行くというよりは、 “戻ってくる”という表現が適当なのだと思う。
 ネパールとインドとの国境を越え、タクシーを手配する。貸切だという約束だったが、途中、運転手の友達が乗ってくる。けたたましい音楽が鳴り響く車内でガンジャを吸うインド人。ぐんぐんと気温が上がる車内。途中、何度か農村で休憩し、車を整備しながら、バラナシにたどり着いたのは夕方16時過ぎだった。
 バラナシに着いた僕らは人力車に乗り込み、ゴウトウリヤーを目指す。ゴウトウリヤーで降り、1年半前に泊まったプージャ・ゲストハウスを目指す。1年半前に訪れた時とたいして変わらないゲストハウスだったが、やはり室内がきれいになっていたり、屋上のレストランのメニューが大幅に増えていたりと変わった部分もあった。しかし、このバラナシという町自体の持つ、なんとも言えない雰囲気などは全く変わっていなかった。
 部屋でシャワーを浴びてから、ヤマゲンと2人、プージャを見に行く。途中、客引きの男が言い寄ってくる。
「ハッパ、ハシシ、チョコ」
「カソウバミニイク?」
「サイババノオトウトイルヨ」
火葬場をヤマゲンが見ている間、夕暮れ時のガンジス河に見入る。
あれからの1年半を振り返っていた。
始めてのインド一人旅を経て、南米、オーストラリアに行った。卒論を書いて、大学を卒業し、社会人になった。ボランティアを始め、夏にはモロッコに行き、その後は忙しい仕事の日々を送ってきた。
ほんの一瞬、あっという間。そんな時の経過の早さに、急に寂しさを覚えつつも、無事にこうしてバラナシに戻ってこれたというような気持ちも湧いてくる。
 ヤマゲンと2人、プージャが行われるメイン・ガートへ急ぐ。プージャは既に始まっていた。バラナシのガンジス河岸のガートで毎日催されるというプージャー。日本でも有名なバラナシでのプージャーは観光客向けに毎夜催されるのかとも思った。そういう商業的な面もあるにはあるのだろうが、それはわずかな部分なのだと思う。今後も、この地にはグローバル資本主義の波が押し寄せてくるだろう。だが、バラナシはその波を吸収し、うまいこと消化しながらも、ずっと変わらない場所でありつづけるのだろうと思う。同時に、ずっと変わらない町であって欲しいと願う。
 プージャーを見終わり、少女が寄ってくる。強引な商売魂に押され50Rs程でお花を買い、河に流す。夜の河に吸い込まれていくその花を見送り、夜の町を歩いていく。道の両端にはバクシーシを求める乞食が居座り、手を差し伸べてくる。その横を宿へと戻る旅行者に混じり、歩いていく。日本語がとても上手な少年と仲良くなっていて、彼に色々なことを教えてもらいながら、アイスキャンデーを食べる。食べていると巡礼者のようなおじさんがアイスキャンデーをくれと言ってくる。食べているアイスを彼に手渡すと何事かを言って立ち去ってしまう。少年に聞くと「バカか」と言ったみたいだ。
なぜそんなことを言うんだと聞くと、人が食べてるものは汚いという考えがあるということだった(それがインドでのヒンドゥー教の教えなのかは定かではない)
 その後、バラナシ大学で日本語を勉強するという男に案内され、ご飯を食べに行く。放送禁止用語を連発する彼にあまりいい印象を持っていなかったが、ヤマゲンがずっと話していることもあり、渋々着いていく。彼のお薦めレストランはゴウトウリヤーの先にある場所で、店の主人とも顔なじみのようだった。そこでご飯を食べるが、自分はラッシーだけを飲む。ヤマゲンがもりもり食べてはいるが、もしもこのご飯に何かドラッグが入っていたらと用心してしまったのだ。結果的に何も入っていなかったが、用心することに越したことはない。
 バラナシは聖地である反面、危険な町でもある。夜のバラナシには出歩かないようにとガイドブックにも書いてある通り、この地で行方不明になる旅行者は多い。
宿に戻り、一人屋上のレストランでご飯を食べる。1年半前のバラナシでの思い出、今回の旅のこと、日本で再び始まる仕事のことなどを想いながら、夜の河を眺める。生と死が同居しているバラナシにいたからか、旅の最終日前日だったからなのか、なんとなく切ない気持ちを抱きながら、ガンジス河を眺めていた。
 

同行者
友人
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
タクシー

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  • スノウリの宿

    スノウリの宿

  • 眠そうなヤマちゃん

    眠そうなヤマちゃん

  • 「いや〜マジ暑いね〜」

    「いや〜マジ暑いね〜」

  • 重たいバックパックを担ぎ国境へ!

    重たいバックパックを担ぎ国境へ!

  • ネパール国旗っぽい柄

    ネパール国旗っぽい柄

  • ネパール・インド国境の柱

    ネパール・インド国境の柱

  • 「Welcome to Nepal!」

    「Welcome to Nepal!」

  • 人や車の往来が絶えない国境

    人や車の往来が絶えない国境

  • ギュウギュウまで乗り込むのがインド流

    ギュウギュウまで乗り込むのがインド流

  • こんな光景を見るとつい顔がほころんでしまう

    こんな光景を見るとつい顔がほころんでしまう

  • インドではバイクが大人気です

    インドではバイクが大人気です

  • バラナシに着いてからは人力車でゴウトウリヤーへ

    バラナシに着いてからは人力車でゴウトウリヤーへ

  • 懐かしい光景

    懐かしい光景

  • この町はリキシャがすごくあっている

    この町はリキシャがすごくあっている

  • インド人って顔小さいですよね

    インド人って顔小さいですよね

  • 歴史を感じさせる町々

    歴史を感じさせる町々

  • この町にはなんともいえない雰囲気が充満している

    この町にはなんともいえない雰囲気が充満している

  • どの町にもない特別な雰囲気だ

    どの町にもない特別な雰囲気だ

  • インドが凝縮されたような町だ

    インドが凝縮されたような町だ

  • 1年半前と同じ屋上から見るガンガー

    1年半前と同じ屋上から見るガンガー

  • 屋根をつたうお猿さんたち

    屋根をつたうお猿さんたち

  • 日が沈む

    日が沈む

  • ヤマちゃん、何想う

    ヤマちゃん、何想う

  • 今夜も催されるお祈り

    今夜も催されるお祈り

  • 雰囲気は相変わらず何とも言えず

    雰囲気は相変わらず何とも言えず

  • 別世界に紛れ込んだかのような気分になる

    別世界に紛れ込んだかのような気分になる

  • いつか自分の子どもを連れてきたい

    いつか自分の子どもを連れてきたい

  • でもやっぱり

    でもやっぱり

  • 最初は一人で訪れて欲しいなとも思う

    最初は一人で訪れて欲しいなとも思う

  • ここを初めて訪れる時は、

    ここを初めて訪れる時は、

  • やっぱり一人で色々なことを感じて欲しいから

    やっぱり一人で色々なことを感じて欲しいから

  • お花売りの少女とヤマちゃん

    お花売りの少女とヤマちゃん

  • 祈り

    祈り

  • 彼にとってのバラナシとは?

    彼にとってのバラナシとは?

  • ヤマちゃん

    ヤマちゃん

  • マイセルフ

    マイセルフ

  • アイス売りのおっちゃん

    アイス売りのおっちゃん

  • 闇夜に灯る

    闇夜に灯る

  • 夜のバラナシ

    夜のバラナシ

  • 細い迷路のような路がずっと続いている<br /><br />明日はいよいよ最終日!!

    細い迷路のような路がずっと続いている

    明日はいよいよ最終日!!

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