2007/05/26 - 2007/05/26
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フーテンの若さんさん
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ビルバオ中心地から約30分離れた「マキシ」というサーフポイントまでたくさんの車で案内してもらうことになった。
残念ながら岸から見る限り、コンディションは良くなさそうだ。強風が横から入り、ダンパー気味のホレホレの波。でもせっかく来たのだからと思い、たくさんからウェットとボードを貸してもらい、靄がかかって先の見えない海に二人で飛び込んだ。
やはり波は良くなかった。セットに乗れば確実にダンパーになり、小波はなかなか割れない。見極めが非常に難しく、地元のサーファーでもうまく乗れていないようだった。僕は1時間ほどで諦め、先に海から上がる。
程なくしてたくさんも上がってきた。「今日はちょっと厳しいね。」残念だが仕方ない。これがサーフィンだ。そのまま海岸線を西に下って、ムンダッカまで案内してもらう。
ムンダッカとは、サーフィンの世界大会WTCが開催される有名ポイントで、去年、C・スレーターが世界チャンピオンを決めた場所である。世界のサーファーが憧れるそのビーチは、保養地のような小さく静かな街の河口にあった。
今日は比較的波が小さいようだ。セット肩程度。それでも綺麗に巻いていくグーフィーの波は見ていてとても美しかった。「波のある日は頭3つ以上のセットが引切り無しに押し寄せるよ」とたくさんはいう。僕もいつかここの波にも乗れるぐらいサーフィンの腕を上げたいものだ。
その後は、ゲルニカで日本食レストランを営む日本人に会いに行った。彼の名前はユタカさん。彼のお母さんが2年前からこの地でレストランを開業し、その手伝いをするためやって来たのだという。海外で暮らすのが昔からのお母さんの夢だったらしく、世界の様々な街を周って、ゲルニカの街に落ち着いたのだそうだ。近い将来、ここでホテルを建設する計画もあるとのこと。日本人がまったく住んでいないこの小さな街で、新規のビジネスを創り出すバイタリティーには、ただ頭が下がるばかりだった。
自己紹介を軽く終え、たくさんとユタカさん、そして僕の男3人で近くの公園に遊ぶことになった。
種目はペロタPelote。
テニスコート大のコンクリートの壁に球をあて、返ってくる球を打ち返して競うスポーツ。バスク地方に古くから伝わる伝統的な競技で、小さな板ラケットを使ったり、皮製のグローブをはめたり、素手でやったりと、ペロタの種類はいろいろあるそうだ。バスク地方ではどの公園にいっても、この競技用の壁が設置されているらしい。
僕らはテニスラケットを使ってやった。ラケットを握った瞬間、僕は嫌な予感がした。そう、僕は球技に関しては運動ド音痴なのだ。サッカー、野球、テニス、バレー、ビリヤードに至るまで球が関連するスポーツは、昔からまったくダメなのだ。その予感は的中し、僕はサーブすらまともに入れられなかった。ゲームどころか、何処に動いて良いかわからず、ボールを打つ相手の邪魔になってしまう始末。ポイントを多めにもらっても勝負にならない。赤子以前の最弱レベルを露呈してしまった。
バスク地方在住の二人は、疲れ知らずで次々とスマッシュを決めていく。僕のような初心者がいるとはいえ、まったく手を抜かない。表情は真剣そのもので、彼らにとっては遊びではなく競技なのだ。
僕は、あまりの自分の不甲斐なさにガックリ落ち込んでいた。僕ってここまでダメだったっけ。途中からは脚が縺れて、ボールを追って走ることすら間々ならなくなった。
そんな哀れな僕を見てか、ペロタは終了し、サッカーボールでのリフティング競技へと変わることになった。
「じゃ、3人でリフティングして10回連続パスして今日は終わりにしよう」とたくさん。
えっ、僕一人で3回以上リフティングできないのに、パスもするなんて大丈夫かな。彼ら二人は地元のチームに所属しているのでサッカーもかなり上手かった。何度やっても、やはり僕のところで、連続回数がストップしてしまう。それでも彼らは諦めない。順番を代えたり、やさしいパスにしてくれたりと、何度も何度もやり直す。上達しない僕はかなりプレッシャーを感じていた。「今日は止めてまた今度!」と気安く言えそうな雰囲気ではない。彼らはコーチのように的確にアドバイスを矢継ぎ早に出す。その表情は先ほどのぺロタ以上に真剣そのもの。さすがにそろそろ決めないとマズイ。僕の体力は、もう限界をとうに超えているのだ。
これでラスト!と思って力を振り絞ったとき、不思議と力が抜けて、うまくパスできた。粉々のパズルが組み合わさるように、10回続けて綺麗なリフティングが完成する。これがチームワークの力なのか。3人とも何かから開放されたように、自然に笑みがこぼれた。
情熱を持った、たくさんとユタカさん。彼らは出来るまで頑固にやり通す人間だ。彼らは日本人だけど、バスクに住んでから、頑強なバスクの伝統の血が混ざったではなかろうか。少なくとも僕は、バスクに住むという誇りを持った日本人二人をペロタとサッカーを通して、ちょっとだけ垣間見れたような気がする。
そして、僕自身がさっぱり球技がダメだということも改めて認識した。次の日は、案の定、全身筋肉痛となっていた。トイレへ行くのも辛い。「本当にもうダメ!」カンタービレと体が悲鳴を上げているのだ。
彼らのように根性のない僕は、今日何処へも行けそうにナイ。。。
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