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リフ山脈の南麓にある小さな町シャウエン。山の斜面に階段状に広がるメディナは、白と青色の壁で統一されていて、まるでおとぎの国に来たかのようなメルヘンな雰囲気を醸し出しているという。<br /><br /> メルズーガの日本人宿ノリコさんから、モロッコへ来たからにはそのシャウエンという町へぜひ寄ってみてと薦められ、夜行のバスを乗り継ぎ、16時間掛けてこの町へ直でやって来たのだった。<br /><br /> グルッと町を一周して歩いてみると、確かに評判通りの町だった。迷路のように入り組んだメディナのなかに、青と白のかわいい家が所狭しと立ち並ぶ。マラケシュやラバトほど騒がしくなく、客引きも少ないため、穏やかに散歩を楽しめる。日本でいう路地裏探検みたいな感じで、歩けば歩くほど楽しい発見の出来る町であった。<br /><br /> この町では、人懐っこい子供たちの姿をよく目にした。僕の顔を見ると「ボンジュ」とか「オラ〜」とか陽気に声を掛けてくれる。他の観光地の場合、それはほとんどお金くれとか、お土産売りと変わってしまうのだが、シャウエンの子供たちは純粋なコミュニケーションで、特に他意はなさそうだった。<br /><br /> 少しばかり遊んであげると、僕の後ろをずっとくっ付いて来る。まるでハーメルンの笛吹きみたいに。あんまり遠くまで来るとお家に帰れなくなるよ。チョコを買って、皆で仲良く分けるよう半分渡し、みんなを帰させた。こうした近所の無邪気な子供たちとのコミュニケーションがただひたすら面白い。<br /><br /><br /> その後、中心にあるハマン広場でのんびり休憩していると、若者二人が取っ組み合っている現場に出くわした。よく見ると一人は、ナタのような銅の刃物を持っている。既に一方は首などに切り傷の跡が数箇所あるではないか。無茶苦茶に振り回すものだから、周りの人が止めようにも危なくて間に入れない。切られている相手も反撃し、ヘッドバッドや蹴りで抵抗する。理由は何だかわからないが、両者とも相当怒っていた。切られていた相手が逆に刃物を奪った。お返しに相手を切りつけると思いきや、今度は素手で殴り始めた。いいぞ、やはり刃物はいかん。これでお互いイーブンな条件となった。ここからは両者くんずほぐれず。いいパンチを互いに繰り出し、一進一退の攻防と合いなった。<br /><br /> 周りにはどんどん人が集まり、騒ぎは大きくなっていく。すっかり僕は熱くなっていた。人だかりの最前列で「そこだっ」とか「危ない!」などまるでプライドの高田延彦のアホな解説のように日本語で叫び、目の前の戦いに夢中にのめり込んでいた。ところが、一番盛り上がっていたところで、仲介者が割って入り、戦いを中断させてしまう。<br /><br /> 「まあまあ冷静なれ」なんて感じで戦いを止めさせ、携帯電話で救急車か警察を呼んでいるようだ。<br /><br /> そこで僕も我に返った。いつの間にやら、空想メルヘンが現実ファイト体験へと変わっていた。喧嘩していた当事者たちをよく見ると、体こそ大きいが、顔にはまだあどけなさが残る。たぶん18か19歳ぐらいだろうか。遊んでいた無邪気な子供たちもあと少し経つと、こんな風に変わってしまうのか。そう思うとちょっともの悲しかった。<br /><br /> 旅行者にとっての可愛らしい町並みも、ここに住む彼らにとっては、いつもの日常の町。喧嘩だって当たり前のように起こるのだ。<br /><br /> 僕も空想の旅を終え、日本という現実にいつかは帰らなくてはならない身。メルヘンと現実の両方を感じたシャウエンの町の一日だった。<br /><br /><br />

メルヘンな町で起こるリアルファイト@シャウエン

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2007/05/12 - 2007/05/12

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フーテンの若さん

フーテンの若さんさん

リフ山脈の南麓にある小さな町シャウエン。山の斜面に階段状に広がるメディナは、白と青色の壁で統一されていて、まるでおとぎの国に来たかのようなメルヘンな雰囲気を醸し出しているという。

 メルズーガの日本人宿ノリコさんから、モロッコへ来たからにはそのシャウエンという町へぜひ寄ってみてと薦められ、夜行のバスを乗り継ぎ、16時間掛けてこの町へ直でやって来たのだった。

 グルッと町を一周して歩いてみると、確かに評判通りの町だった。迷路のように入り組んだメディナのなかに、青と白のかわいい家が所狭しと立ち並ぶ。マラケシュやラバトほど騒がしくなく、客引きも少ないため、穏やかに散歩を楽しめる。日本でいう路地裏探検みたいな感じで、歩けば歩くほど楽しい発見の出来る町であった。

 この町では、人懐っこい子供たちの姿をよく目にした。僕の顔を見ると「ボンジュ」とか「オラ〜」とか陽気に声を掛けてくれる。他の観光地の場合、それはほとんどお金くれとか、お土産売りと変わってしまうのだが、シャウエンの子供たちは純粋なコミュニケーションで、特に他意はなさそうだった。

 少しばかり遊んであげると、僕の後ろをずっとくっ付いて来る。まるでハーメルンの笛吹きみたいに。あんまり遠くまで来るとお家に帰れなくなるよ。チョコを買って、皆で仲良く分けるよう半分渡し、みんなを帰させた。こうした近所の無邪気な子供たちとのコミュニケーションがただひたすら面白い。


 その後、中心にあるハマン広場でのんびり休憩していると、若者二人が取っ組み合っている現場に出くわした。よく見ると一人は、ナタのような銅の刃物を持っている。既に一方は首などに切り傷の跡が数箇所あるではないか。無茶苦茶に振り回すものだから、周りの人が止めようにも危なくて間に入れない。切られている相手も反撃し、ヘッドバッドや蹴りで抵抗する。理由は何だかわからないが、両者とも相当怒っていた。切られていた相手が逆に刃物を奪った。お返しに相手を切りつけると思いきや、今度は素手で殴り始めた。いいぞ、やはり刃物はいかん。これでお互いイーブンな条件となった。ここからは両者くんずほぐれず。いいパンチを互いに繰り出し、一進一退の攻防と合いなった。

 周りにはどんどん人が集まり、騒ぎは大きくなっていく。すっかり僕は熱くなっていた。人だかりの最前列で「そこだっ」とか「危ない!」などまるでプライドの高田延彦のアホな解説のように日本語で叫び、目の前の戦いに夢中にのめり込んでいた。ところが、一番盛り上がっていたところで、仲介者が割って入り、戦いを中断させてしまう。

 「まあまあ冷静なれ」なんて感じで戦いを止めさせ、携帯電話で救急車か警察を呼んでいるようだ。

 そこで僕も我に返った。いつの間にやら、空想メルヘンが現実ファイト体験へと変わっていた。喧嘩していた当事者たちをよく見ると、体こそ大きいが、顔にはまだあどけなさが残る。たぶん18か19歳ぐらいだろうか。遊んでいた無邪気な子供たちもあと少し経つと、こんな風に変わってしまうのか。そう思うとちょっともの悲しかった。

 旅行者にとっての可愛らしい町並みも、ここに住む彼らにとっては、いつもの日常の町。喧嘩だって当たり前のように起こるのだ。

 僕も空想の旅を終え、日本という現実にいつかは帰らなくてはならない身。メルヘンと現実の両方を感じたシャウエンの町の一日だった。


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