2007/03/09 - 2007/03/09
12位(同エリア13件中)
フーテンの若さんさん
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チリ有数のビーチがあるというビーニャ・デル・マル。僕はサーフィンをするためにここへやって来た。下手糞ながらもサーフィンの感をイースター島で取り戻しつつあったので、間髪いれず続けて実践したかったのだ。サンティアゴからバスで2時間。今回もサーフボードは持参せず、ビーチでレンタルする予定だ。
バス停に着くなりインフォメーションの女性に問いかける。
「セニョリータ、波はどこで乗れるんだい?」
突然現れたアジア人サーファーに興味を抱くでもなく、面長のチリ人女性はすぐにこう答えた。北方面のビーチ「レニャーカ」へ行けと。
教えられたまま、バスターミナルから大通りに出てローカルバスを拾う。海岸線をほどなく走ると、お目当ての「レニャーカ」ビーチに到着した。白い砂浜が数キロに渡った美しいビーチで、洗練されたチリ人女性たちがビーチバレーなどを勤しんでいる。対岸にある高台には所狭しと別荘が立ち並んでおり、典型的な高級リゾート地のようだ。ただあいにくの強風で波は荒れまくっており、とてもサーフィンできるような状況ではなかった。
ここまで来てサーフィンせずに帰れない。ビーチをくまなく歩き、時間をかけてサーフポイントを探すことにした。しばらくするとビーチの外れに小さなサーフショップを見つけた。店内の若いチリ人店員に問いかける。
「セニョリータ、今日のこのビーチじゃサーフィンできないよ。いったい波はどこで乗れるんだい?」
突然現れたイケ面サーファーに照れもせず、愛想のよいチリ人女性はこう答えた。「さらに北方面のビーチ『プラヤ・ラ・ボカ』へ行け」と。
教えられたまま、また大通りに出てローカルバスを拾う。今度はかなりの距離を北上した。バスはものすごいスピードで無数のビーチを走り過ぎていく。手持ちの地図にはこれ以上記載がない。「プラヤ・ラ・ボカ」は何処なんだろう?心配になって隣の席の女学生に聞いてみる。
「セニョリータ、『プラヤ・ラ・ボカ』どこなんだい?」
突然のカタコトサーファーに驚きもせず、太目のチリ人女性は笑いながらこう答えた。「とっくに行き過ぎているわよ。」と。
すぐにバスを止め、来た道を戻る。どうやら3つばかり前のビーチらしい。戻りのバスを拾おうと探してみるがまったく見つからない。どうやらほとんどバスが通らないようだ。もはや歩くしかない。今日は雲一つない青空。直視できないほどの太陽光線がこれでもかとばかり僕を襲い、歩みを遅らさせる。
40分ほど歩いただろうか。薄汚れた看板に「プラヤ・ラ・ボカ」と確かにある。「レニャーカ」とはうって変わってこじんまりした庶民的なビーチ。
しかし、波はここにもなかった。湾になっているので強風の影響は受けないのだが、波のサイズが無さ過ぎなのだ。仕方がない。あきらめ・・・きれない。こうなったら意地でも探してやる。さらに南下して一箇所ずつビーチを検証することにした。
さらにさらに歩いていくと、2人のボディボーダーが入っている海をやっと見つけた。入り江になった「プラヤ・ネグラ」というビーチ。波のサイズは小さいが乗れなくはなさそうだ。
次の問題はボードがレンタルできるかだ。ビーチそばのティエンダ(出店)のおばさんに聞いてみる。
「セニョーラ、サーフィンボードを借りることはできますか?」
当然の疲労困憊サーファーに労わりの言葉もなく、大柄なチリ人女性はこう答えた。「ないよ。でもボディーボードならあるわよ。」と。
この際、波に乗れるのであれば何でもいい。それを借りることにした(2000ペソ)。先に入っているボディボーダーをよく見るとフルのウェットスーツを着用している。しかも一人はウェット素材で出来た帽子まで付けている。どうやら水は相当冷たいようだ。ウェットスーツも借りたい。おばちゃんにせがむと「そんなものないから、海パン一丁で行け」と。あきらめ・・・きれない。こうなったら意地でも波に乗ってやる。
怖がりながら片足だけ海水に触れてみる。死ぬぅ〜。これ氷ですよ。日本の真冬かそれ以上の海温。まさに自殺行為でしょ。
ボディボーダーが早く来いと僕に手招きする。おまえらと装備がちゃうやろ!!覚悟を決め、氷点下並の海に勢いよく飛び込んだ。
びびびびびびぇぇっぇぇっぇぇーーーーーーーーーーーーーー。
心臓麻痺するぅーーーー。はっきりいってこれからの記憶は定かではない。波にきちんと乗れたのかもわからない。それほど寒かったのだ。これは間違いなく寒中水泳だ。
それでも僕は頑張った。20分近くは粘ったのではなかろうか。人間の限界を感じ、とにかく僕は海からはい上がった。マジ死にそう。体全体の感覚が完全に麻痺している。何でもいいから体を温めたい。しかし、着替えはおろかタオルさえ僕は持ってきていなかった。恥もなく近くにいたグループに声をかける。
「さ、寒い〜!!!!セニョリータ、お願い。タオル、タオルっ〜!!!!!」
震え上がるバカサーファー(もといボディボーダー)を見ながら、チリ人女性たちは助けもせず笑っている。何か答えているようだが聞き取れない。僕は歯がかみ合っていなかったので、きちんと伝え切れてなかったのかもしれない。
諦めて歩き出そうとすると、1人のカワイイチリ人ビキニが小さなタオルを手渡してくれた。これぞ、天のタオル。遠慮せずに海水と汗と鼻水を存分に拭かせてもらう。いざタオルを替えそうとすると、あなたにあげるというジェスチャー。おぉ、なんと寛大なんだろう(たんに汚いと思っただけ?)。
後からわかったのだが、ビーニャ・デル・マルは、フンボルド海流の影響で3月になると水は冷たく、泳げるような海ではないとのことだった。その証拠に、ボディボードをした近くのビーチではアザラシが気持ち良さそうにゆった〜りと泳いでいた。
今日学んだこと。
海には、見た目で判断できない波がある。冷たい波には決して無理して入るな。
チリ人女性は見た目も中身もやさしい人たちばかりだ。何でもお願いしてみよう。僕はまだお願いを断る冷たいチリ人女性には会ったことがない。本当は僕の体を芯から温めてくれる女性が欲しいのだけど。さすがにそのお願いは無理かな?セニョリータ。
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