2005/05/19 - 2005/05/24
244位(同エリア342件中)
みいみさん
ロシアでの2週目の滞在先はかつてゴーリキー市と呼ばれていたロシア第三の都市、ニージニー・ノヴゴロド。受け入れ先のアドバイスに従ってサンクト・ペテルブルグから夜行列車で移動です。もちろん添乗員などなし。平均年齢62歳の素人集団、16名の果敢な挑戦です。もちろん、サンクトペテルブルグの駅まではホスト・ファミリーが送ってくださり、ニージニーにもお迎えが来てくださるので乗っているだけ、と言えばそれまでですが。料金はファースト・クラスで128ドル。二人用のコンパートメントは車両の新旧によって多少の差はありましたが、いずれも快適。夕食、朝食も付いています。乗務員には英語はまったく通用しません。お愛想の良さなど望むべくもありませんが、木で鼻をくくる的な態度も、それはそれでロシアっぽくっていいか、って感じ。
日が暮れるのが遅いので車窓からの風景も充分楽しめて、思わずロシア民謡を口ずさみたくなってしまう鉄道の旅でした。
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
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一向16名のうち、私も含めて大半はニージニーの郊外にあるクストヴォの町に滞在しました。タンポポが咲き乱れ、緑溢れるのどかな町です。
5月だというのにまだ寒かったサンクト・ペテルブルグとは大違いで、もう初夏の気候。ロシアは広い国です。緑の多さは蚊の多さをも意味します。夕方のお出かけの時には道端の柔らかい木の枝(どれでもいいわけではないと思うのですが)を折って振り回し、あるいは身体をはたいて、蚊を追いながら歩きます。
バスや車の走る道から一歩横に入ると、舗装されていない道ばかりです。靴が土ぼこりで真っ白になる、なんて東京の街中ではもう想像もできないこと。毎日が「お手手つないで」の遠足って感じ。バス停に行くにしてもお買い物に行くにしても「野道」を歩くんです。 -
土地には不自由していないはずなのに、住宅はほとんど集合住宅。私が見た限りでは一戸建ては皆無でした。後で出てくるように、少し古めの二階建てのアパートも多く見られましたが、町の中心に近いところには巨大団地も並んでいます。一棟の建物には同じような入り口がいくつもあり、目印を自分で決めておかないと、一人で出かけたらおうちに戻れなくなりそう。この写真には写っていませんがお借りしたピンクのバスタオルをべランダに干して、ようやく自分の泊まっているアパートが確認できました。
ここでも室内はこぎれいにしているのに、建物の入り口、エレベーター周りの汚さはサンクト・ペテルブルグと変わりありませんでした。猫も放し飼いし放題で、あちこちにいます。 -
巨大アパートには縦割りでいくつもエレベーターがあり、全世帯で使うわけではありません。自分のフロアについて「第一の扉」を開けるとお隣と共有のスペースがあり、乳母車や長靴などを置けるようになっています。
そこからさらに「第二」、「第三」の扉を開けることになります。東京の我が家など、一枚扉でピッキングの危険もあるのですが、ここでは原始的ながらセキュリティは勝っています。 -
私が泊めていただいたアパートは12畳くらいの広いお部屋が一部屋とこの写真の小さなダイニング・キッチンにバス・トイレ、という間取りでした。ここは奥さんのタチアナのアパートで、一家の本宅はニージニー・ノブゴロドにあるとのこと。タチアナさんがクストヴォでも仕事をしているので、このアパートを持ち続けている、というお話でした。
私が唯一のベッドを占領してしまったので、タチアナは(ご主人が一緒に泊まる時も)このダイニング・キッチンの小さなソファを引っ張り出してベッドにして寝ていました。そこまでして、遠い国から来た見ず知らずの私をお世話してくれた一家には本当に感謝、です。 -
お父さんは企業のフランス語通訳、おかあさん(タチアナ)は学校の英語の先生、大学生の息子と娘、という、この家族の生活が典型的、平均的な暮らしかどうかはわかりません。家事が得意かどうか、など個人差もあります。それをご承知の上で読み進んでくださいね。
お食事はかなり質素でした。私などお客様を家に招くとなると、テーブルの上にあれもこれもと並べがちです。日常のままでは「おもてなし」にはならないような気がします。日本でホスト・ファミリーをお願いする時には「普段のままでいいんですよ。」とは言うものの、なかなかねぇ。そうはいきません。
タチアナはたぶん普段のまま、でした。あまりお料理には熱心ではないみたい。ロシアでよく食べる、スープ餃子に似た「ペリメニ」は冷凍のものを使っていました。サラダはきゅうりの薄切りだけでした。ウォッカ好きのお父さんが干し魚を買ってきてくれました。 -
田舎町でもミネラル・ウォーターは普通に買うことができます。お台所には浄水器がついていますが、私は蛇口からのお水は飲みませんでした。
サンクト・ペテルブルグのおうちでもそうでしたが、ロシアの家庭ってお部屋ごとにはゴミ箱、置いてないみたいです。ここの家もゴミ箱はトイレにおいてあるホーローのバケツだけ。お野菜を買いに行ってもむき出しのまま手で握って帰ってくるし、過剰包装が多い日本と違ってゴミが出ないんですね、きっと。
この日は珍しく「ビール飲む?」って話になって、一人一本ずつ瓶ビールを買ってきました。ビールの種類は豊富でした。お店では英語はまったく通じません。
かなり堅実な生活をしているように見えるタチアナですが、お金がないのではなく使うべきところを見極めている感じ。その証拠にこの同じ年、彼女ははるかブラジル、ペルーまで旅行に行きました。 -
まさか自宅のトイレが遠く日本の人たちの目に触れるとはタチアナも想定外だったと思いますが、あまりにも個性的なので紹介せざるを得ませんでした。タチアナさん、ごめんなさい。
右手前に見えるホーローのバケツがこの家でお目にかかった唯一のゴミ箱です。トイレットペーパーの色彩もビビッド。濃いピンクのもありました。日本のものより幅が狭いものが多かったように思います。 -
暑い日が続いたし長旅だったので、「お洗濯がしたい」と申し出ました。「OK!」という返事と共に私の前に出てきたのは大きな洗い桶と洗剤でした。ん?手洗い??
最初に書いたように、このアパートはタチアナがクストヴォで仕事がある時にだけ使っているところなので、本宅には洗濯機があるのかもしれません。
でもなんの弁解もなく、当たり前のようにタライを出してきたタチアナのことを、私は益々好きになりました。 -
商店街のようなものはなく、お店はあちこちに点在していました。この広場にはスーパーもあり、その周りに地元の人がお店を出しています。軽トラックの荷台に卵を並べて売る人、木箱の上におそらく自家製のピクルスを2,3本だけ置いてお客さんを待っているおばあちゃん。写真右端に見えるタンクローリーはクワスという飲み物(ライ麦や大麦に黒パンを入れて発酵させて作る飲み物)を計り売りしています。
スーパーに行きたい、というと「何を買うの?」と尋ねられました。「何かいいものがあったら買う」というのは理解不能だったみたい。買い物って言うのは「これを買う」という確たる目的を持って行くものなんですね。ついつい余分なものまで買ってしまい、結局食べきれずに捨ててしまうこともある自分の生活を反省。 -
クストヴォの町にはレストランもあったし、たぶんお茶が飲めるお店もあるんだと思いますが、私たちの「休憩」はいつも野原。近くのお店でアイスクリームを買って、タンポポが咲き乱れる広場でベンチに座ります。
フェンスに囲まれた公園とか事故があった時責任の所在を問われる遊具などとは無縁の世界です。若いお父さんと幼い女の子が野に咲く花をつんでいます。今日の食卓を飾るのでしょうか・ -
今回は純然たる観光旅行というわけではなかったので、滞在中は(もちろん観光もしましたが)市長さんとお会いしたり、孤児院や児童館、大学を訪問したり、と公式行事も盛りだくさんでした。
これは孤児院に向かう途中にみつけた市場。色鮮やかな野菜を売るスタンドが並んでいます。私の抱いていたロシアのイメージとはかけ離れた色彩です。
アパート暮らしのロシア人はたいていが郊外にダーチャと呼ぶ「週末の別荘」を持っていて家庭菜園で野菜を育てたり、BBQを楽しんだりしています。ソ連時代に国から市民に無償で与えられた土地だとのこと。
ソ連時代と今の暮らしと、彼らにとってどちらがいいのか、聞いてみたいところではありましたが、余計なお世話だと思い、質問はしませんでした。 -
日本の田舎で言えば「直売所」ですね。能書きや写真を貼り出して「生産者の顔が見える」ことを売り物にしている都会のスーパーが頭をよぎります。
それにしてもロシアのおばさまたちはとってもふくよかで、抱きしめられると窒息しそうです。若い人たちは結構スリムなのに、何歳がターニング・ポイントなのかしら?と思ってしまいます。
若い女の子たちは本当にきれい。肌は透き通るように白いし。世界で一番きれいなのはロシアの女の子かもしれません。 -
アパートから表通りとは反対側に向かって歩き出すと3分もしないうちに林の中に。赤ずきんちゃんが出てきそうな雰囲気の中にぽつんぽつんとこういう建物が立っています。巨大団地より昔の共同住宅だと思います。
背の高い木に囲まれ、ちょっと見には別荘地のようなたたずまい。
同じ建物が並んでいるわけではなく、形こそ似ていますがそれぞれ、別な色合いです。
木の枝が落とす陰がとってもきれい。 -
私がクストヴォに滞在中は毎日晴天続きだったので、何もかもがお日様の下で輝いていましたが、雨の日や冬の日にこの地を訪れたら、印象はだいぶ違っていたでしょう。
窓を開ければ緑が見えてまわりでリスが遊んでいるような環境はとってもうらやましく思えるけど、実際雨が降って地面がぬかるめば、せめて歩く道は舗装してある方がいい、と思うかもしれません。 -
クストヴォ滞在中のある日、たぶん孤児院訪問の前日だったと思いますが、メンバーに連絡を取らなくてはならない予定変更がありました。こういう時のために準備していたームワーク。連絡網であっという間に電話連絡が行き届くはずでした。ところが・・・です。受け入れ家庭に電話代を負担させるわけにはいかない、とタチアナが言うのです。市内通話などたいした金額ではない、と思い込んでいた私はまたもや反省。
そう言えば私が子供の頃、よそのお宅の電話を借りたら10円玉をおいていく、ということをしていたような気がします。
クストヴォでは10円ではすまなかったのかもしれないし、10円の価値も日本とは違います。こんな風に、知らず知らずのうちに自分の国での感覚で動いてしまうことが他にもあったかもしれません。気をつけなくっちゃ! -
こんな風に整備されている道ももちろんあります。どこに行くにしてもてくてく、てくてく、よく歩きました。
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私がクストヴォで一番好きだったのは表紙にも使ったこういう風景。バス・ターミナルからうちに帰るのに通る道です。
暮らしが便利になって失ったもの、忘れていたことを、いろいろ思い出したクストヴォ滞在でした。
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