2005/08/23 - 2005/08/23
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night-train298さん
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07:30 Estacion de Lalin → 22:30 Vedra(40km)
/Albergue 泊
ミカさんの調子もだいぶ良くなった。
夕べの食事の時に、ホセから朝起こすように言われていた。
三人の意見は同じだった。 静かに支度をして、一応格好だけホセを起こしにいこう。そして先に出よう。
ホセは朝が弱い。目覚ましをかけているが起きたためしがなく、その音でみんなにいつも迷惑をかけている。 そんな彼だからきっとうまくいくだろう。
しかし困ったことに気が付いた。頼りの地図がついているパンフレットを昨日ホセに預けてしまったのだ。 これを奪回しなければならない。
ミカさんと二人で彼の部屋に入っていく。 小さい声でホセを起こす。
そして先に行くから地図はどこか聞くと、けっこう意識ははっきりしていて、地図の場所もわかった。
ホセは電話するから電話番号を教えてという。だいじょうぶだからと言うと、パキの電話番号も聞いてくる。
「だいじょうぶ、ありがとう!」
と強引に済ませようとしたが、さらに自分の番号を控えろという。
「いいよ、いいよ、どうせ一本道だからどこかで会うってば!」
そして逃げた。
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パキに、パキの電話番号を聞かれたけど、今度は言わなかったと言うと、笑いながら
「ちゃんと学習したわね!」
と言われてしまった。ペドロに教えたことを言っているのだろう。
三人で歩きはじめるが、パキはさすがに足の長さの分と、体の調子がいい分、スピードが早くなってきた。 今日は35km強。
一生懸命歩かなければならない。
すでに明日Santiagoに着くことは確定だった。
数日前からイサベルに言われていたことは、
「みんなで揃ってSantiagoに着きたいの、最後の日はどんなにゆっくりでも一緒に歩こうとイワンとも話しているのよ。そして一緒にパーティをしましょう。」
そこにペドロも含まれているのかはわからなかったが、私たちもこの申し出に答えられるように、今日は目的地にちゃんと着きたいのだ。 -
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おいしい無花果をゲット
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しかし11時にイサベルからパキに電話があった。
「 今日の目的地のプエンテ・ウラにはアルベルゲがないってわかったの。その3km先に村があるからそこまで来てほしいのだけど。」
パキは私たちの一日の歩行距離に疑問を持っていた。
『私にはよくわからないわ。何でこんなに急ぐの?』
そしてイサベルにこう言った。
「今日は35kmで精いっぱいよ。プエンテ・ウラにアルベルゲがなくても、昨日みたいに手頃なホテルがあったりすると思うわ。」
電話を切ったあと、説明を聞いてから、私はミカさんに聞いた。
今日は、もう3km余計に歩けるよね? ミカさんも
「歩けそうな気がする。」
と言ってくれた。 何が何でもみんなの居るところへ行きたいのである。
しばらくすると、イワンからも電話が入った。 パキは
「とても歩けないわ。ミカの胃の具合は良くなったけど、Hiromiはまだ悪いのよ。」
その時私はパキに、
「私なら、『歩ける』って言って!」
と伝える。 パキはすぐにイワンに
「Hiromiが歩けるって言っているわ。」
まだ胃の調子は改善されていなかった。むしろ昨日より悪かったのだ。 それでも35km歩けたのなら、きっとその先も歩ける。時間をかけてでも歩きたい。
パキには申し訳ない気がした。
パキにとっては全員で一緒にSantiagoに着くことは、それほど重要ではないかもしれない。たくさんのトラブルにも巻き込んでしまった。
それでもパキもすっかり行く気になってくれた。 -
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だんだん私の胃の調子も良くなって、周期的な胃の痛みも30分間隔になってきて、痛みを忘れることの方が多くなってきた。
胃痛の原因をミカさんと分析すると、
1、寝不足と疲労の蓄積。
2、どうもあの『蛸』があやしい。 ・・・というか、食べ過ぎ?
3、ペドロのせい。
これらがちょうどぴったり合わさって、こうなったのだろうと結果づけた。
途中の村で、おいしい昼食を食べることができた。 お店の特製の干鱈とポテトの煮込みだった。ミカさんも私も、24時間ぶりの固形物だった。そのおかげで少し元気が出てきた。
少し歩いていたら、また店の人が追いかけてきた。
私の大切な日記帳であるスケッチブックを持ってきてくれたのであった。
あ〜〜〜っ!ありがと!!! -
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頑張ったので、あと少しで今日の最初の『目的地であった』、プエンテ・ウラに近付いてきた。
大きな古い橋があり、遥か下に川が流れていた。
地名のプエンテとは橋のことである。
「さっき電話があった時、イワンとイサベルは、泳いでいると言っていたから、それはきっとこの川でだわ!」
あああ〜〜っ、イサベルまでワイルドになってきた。
そしてもう町が近いとわかると私たちには余裕が出てきた。
パキは『バイラル・チピチピ』という歌を私たちに教えると言う。 これは振り付けがつく。
Baila El Chipichipi
Ayer fui al pueblo a ver a la Mari,
la Mari me enseuo a bailar
el Chipi-chipi Baila el Chipi-Chipi
Baila el Chipi-Chipi
Pero bailalo bien
昨日海岸に行ったらマリという娘に会って、彼女にChipi-chipiという踊りを教えてもらったという歌らしい。 これを振り付きで教えこまされ、途中では歩きを止めて踊るのだった。
「じゃあ、一人づつよ、Hiromiからやってみて。」
なかなか厳しい。 歌えるまで許してくれなかった。 -
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鱈とポテト、やさしい味でした
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こうしてプエンテ・ウラに着いたのだった。 ここに着いたのは8時半くらいだっただろうか。ここからあと3kmと聞いていたのだが、ここからが地獄だった。実際は5km近くあったのだ。
村を出る頃には、すでに薄暗くなりはじめていた。
ここまで来れば楽勝と思っていたら、暗くなってしまったこと、田舎道で電灯がなかったことが、とても不安にさせたし、歩みを遅らせた。
真っ暗い中をトンネルに入らねばならなかった。このときは三人で腕を組み、さっき覚えたBaila El Chipichipiを歌いながらくぐった。
方向さえもわからない。 途中まではイサベルとイワンに電話で聞いたりできたが、田舎道に入ってしまえば、お互いに説明のしようがない。 -
懐中電灯を三人でつける。何ひとつ明かりのない山道、パキはとても怖がった。
私はまた彼女に対し、申し訳ない気持ちになった。私たちのために彼女を巻き添えにしている。パキは人がいいから、私たちが行きたいと言えば、無理をしてでもついてきてくれる。
申し訳ないと思うと同時に優しくて人のいい彼女のことを誇りに思った。
もし懐中電灯を消せば、1cm先さえ見えない闇なのだ。
この世の中に、こんな闇があったとは。
道を踏み外せばどんなことになるかもわからない。
昼間とは事情が全く違う。 その上すでに今日は40kmを歩いているのだ。疲れもとうに出てきている。
ただ、道標だけは懐中電灯の光に浮かびあがるのだった。
分かれ道があっても、なんとかこの道標のおかげで進むことができた。 -
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こわごわ進む私たちの目の前に、とうとう村の明かりが見えてきた。
そしてやっとアルベルゲに到着。
最後の最後まで甘くはない『銀の道』だった。
ガラス張りのアルベルゲの中に、みんながいるのが見える。
向こうからも私たちが見えたらしい。
最初にペペが走ってやってきた!
「ペペ!!!」
みんなで抱きつく。
そしてイワンとイサベルが出てきた。
イサベルとかたく抱き合っている間、イワンは私のリュックをベッドまで持っていってくれた。
私はこの瞬間が大きなゴールのような気がした。
ものすごい充実感、満足感。ここまで来て良かった! -
すでに10時半になっていた。
そこにはすごい人数の巡礼者がいた。
100人近くいたのではないか。
ベッドを三つ取ってあって、好きなところに寝るように言われた。
ペドロも来ている。みんな一緒だ!
今日のアルベルゲが満員なのは、噂に聞いていたSantiagoまで200kmくらいの距離から団体40名で歩いている人たちと、とうとう一緒になったせいだった。
ここからSantiagoまでは16km。だからみんな浮かれてお祭り気分なのだ。
私たちのことを、イワンたちが何人かの巡礼者に話していたようで、私たちが到着すると、とてもフレンドリーな笑顔で迎えてくれるのだ。
どこに居ても、みんなが優しくて、まるでフランスの道みたい。
部屋は大部屋が二つあって、私たちのベッドのそばの床に、イワンとイサベルの寝袋が広げてある。もしかして、ベッドを譲ってくれたのだろうか。
シャワーを浴び、洗濯を済ませ、とても疲れていたが、眠る気がしなかった。
興奮状態にあったからだ。
みんながおしゃべりをしているテーブルに行った。
そこで私は今までお世話になった、いつかイサベルが見つけてくれた杖を取り出し、飾り付けをすることにした。
途中で拾ったどんぐり、花、これらを靴をなおすために買った、スーパー・グルーで固定した。
これを持って最後の16kmを歩くのだ。
イサベルに、ベッドのことを聞き、やはり譲ってくれたようなので、それなら私が床に寝るからと申し出ると、
「ここにはマットレスがいっぱいあるのよ。だから同じ。もしあなたが一緒に床に寝たいのなら、ベッドのマットレスを下ろせばいいわ。それはあなたの自由だけど、床だろうとベッドだろうと、マットレスの上ということは同じなのだから、気にしなくていいのよ。」
疲れて到着する私たちのために、自分のベッドをあけ渡してくれたのだった。
パキもテーブルにやってきた。パキの表情は、いつもの幸せそうな顔に戻っていた。
イワンはとなりのテーブルで今日会った人たちと話し込んでいる。彼はどんな人たちとも何も心に国境がないから話ができるのだ。若い子、おじいちゃん、動物までもが彼の話に耳を傾ける。
そのうちイワンもこちらのテーブルに戻ってきたので、
「ベッド、ありがとう!」
というと、微笑みながら
「そんなのぜんぜんいいんだよ。」
パキがさっき教えた歌を歌えというのでやってみると、もう眠たいし、へろへろ状態だったが、みんなで聴いてくれた。
いつものようにたわいもない話をしているうち、ペドロとぺぺが部屋に戻り、イワンとイサベルがこれから星を見に行こうと言い出す。 暖かい格好をして、寝袋を持ち、イサベルはマットレスを一枚持って四人で外に出かけた。
一枚のマットレスに四人で身を寄せあい横になる。
パキは寝袋を持ってこなかったので私の寝袋に一緒に入る。
そして天を見上げた。
そういえば、今回の巡礼は、星をよく見たものだ。
朝が早いから、最初はフランと星を見ながら歩いたっけ。
みんなで流れ星を見るために深夜にでかけたこともあった。
とても寒くて震えるほどなのだけど、大好きな三人が話すスペイン語が子守唄に聞こえ、心地良く、目を閉じ半分眠っていた。
とてもとても幸せな夜だった。
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