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7月30日(土)<br /><br />04:30 Aljucen → 19:30 Aldea del Canol (35.2 km) <br />/ Casa Rural 泊 <br /><br /> <br /><br />両足の小指の外側がマメで大きく膨らんで、とても靴を履ける状態ではない。 今日は一日サンダルにする。 <br />ミカさんはとても調子がいい。 私の前を歩く彼女の足跡を追いかける。誰も歩いていないと言われるこの道にもいくつもの足跡が残されている。<br />雨も降らないから一か月前のものかもしれないが、足跡は矢印と同様、私をどんなに安心させるものか。 自転車のタイヤの跡もある。<br />『 銀の道』はアスファルトを歩くことも多いが、こんなCaminoらしい田舎道では足跡があたたかく、人が何年も何年も踏み締め固めた道は、アスファルトで一晩で作った道にくらべ、手作りのぬ くもりがある。<br />そして足跡は大きいものもあり、その歩幅は私の二倍もある。どんな人なのだろうか・・・。<br /><br />

スペインla plata 巡礼記 5(Aljucen → )

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2005/07/30 - 2005/07/31

26位(同エリア41件中)

0

49

night-train298

night-train298さん

7月30日(土)

04:30 Aljucen → 19:30 Aldea del Canol (35.2 km)
/ Casa Rural 泊

 

両足の小指の外側がマメで大きく膨らんで、とても靴を履ける状態ではない。 今日は一日サンダルにする。
ミカさんはとても調子がいい。 私の前を歩く彼女の足跡を追いかける。誰も歩いていないと言われるこの道にもいくつもの足跡が残されている。
雨も降らないから一か月前のものかもしれないが、足跡は矢印と同様、私をどんなに安心させるものか。 自転車のタイヤの跡もある。
『 銀の道』はアスファルトを歩くことも多いが、こんなCaminoらしい田舎道では足跡があたたかく、人が何年も何年も踏み締め固めた道は、アスファルトで一晩で作った道にくらべ、手作りのぬ くもりがある。
そして足跡は大きいものもあり、その歩幅は私の二倍もある。どんな人なのだろうか・・・。

  • 煙?<br />羊の出勤でした

    煙?
    羊の出勤でした

  • みんなの足跡

    みんなの足跡

  • バルで軽いランチにする。 小さいイカの串刺し(おいしい!)トルティーヤ、飲み物はたくさん。<br />

    バルで軽いランチにする。 小さいイカの串刺し(おいしい!)トルティーヤ、飲み物はたくさん。

  • すでに日差しが強い。<br />少し先を歩くミカさんが牛の横を横切る。牛はミカさんにくっついて歩く。 <br />「ついてこないでね。」 <br />牛は止まる。<br />のどかな風景だ。<br /><br /><br />今日はミカさんは休むことも少なくどんどん進んで行く。<br />私もつられて進んでしまったが、サンダルを履いていたために巨大なマメができてしまった。 <br />

    すでに日差しが強い。
    少し先を歩くミカさんが牛の横を横切る。牛はミカさんにくっついて歩く。
    「ついてこないでね。」
    牛は止まる。
    のどかな風景だ。


    今日はミカさんは休むことも少なくどんどん進んで行く。
    私もつられて進んでしまったが、サンダルを履いていたために巨大なマメができてしまった。

  • 目的の町に着いたが目指すcasa ruralがどこにあるのかわからない。 通りがかりの人に聞くと、一緒に町の広場に連れていってくれ、宿はその広場に面 していおり、鍵も探してくれた。 そこには誰も住んでおらず、後で主人が来るということだった。<br /><br />私は疲れていて外に行きたくなかったが、ミカさんがご飯を食べに行こうよ!と誘ってくれた。 できれば寝ていたかったが、広場にはバルがある。<br />そこには食べ物はオリーブくらいしかなかったけれど、町の人々が集っていて、とても気分の良い夜だった。<br />疲れていたけれど、部屋に閉じこもるよりも、こんな風に当たるのもいいものだ。 <br />今日は36.6km。ミカさんもがんばった。<br />

    目的の町に着いたが目指すcasa ruralがどこにあるのかわからない。 通りがかりの人に聞くと、一緒に町の広場に連れていってくれ、宿はその広場に面 していおり、鍵も探してくれた。 そこには誰も住んでおらず、後で主人が来るということだった。

    私は疲れていて外に行きたくなかったが、ミカさんがご飯を食べに行こうよ!と誘ってくれた。 できれば寝ていたかったが、広場にはバルがある。
    そこには食べ物はオリーブくらいしかなかったけれど、町の人々が集っていて、とても気分の良い夜だった。
    疲れていたけれど、部屋に閉じこもるよりも、こんな風に当たるのもいいものだ。
    今日は36.6km。ミカさんもがんばった。

  • 7月31日(日)<br /><br />05:00 Aldea del Canol → 15:30 Caceres (22,8 km) <br />/ Hotel ALFONSO 泊 <br /><br /> <br /><br />この日のことを私は忘れない。<br /><br />暗がりの中歩いていく。<br />途中までは良かった。昨日聞いていた通り進むことができた。<br />しかし、途中から道の工事をしているのか、道が途切れてトンネルに入る道しかない。 かといって、トンネルへの矢印もない。<br />この道しか行けないのだから突き進むしかない。 行けども行けども矢印は見当たらないが、この道しかないようなのだ。

    7月31日(日)

    05:00 Aldea del Canol → 15:30 Caceres (22,8 km)
    / Hotel ALFONSO 泊

     

    この日のことを私は忘れない。

    暗がりの中歩いていく。
    途中までは良かった。昨日聞いていた通り進むことができた。
    しかし、途中から道の工事をしているのか、道が途切れてトンネルに入る道しかない。 かといって、トンネルへの矢印もない。
    この道しか行けないのだから突き進むしかない。 行けども行けども矢印は見当たらないが、この道しかないようなのだ。

  • やっと少し薄明るくなった頃、羊飼いのおじさんに会う。 地図を見せて行きたい場所を言うと、地面に地図を書いてくれ、飛行場を横切って行くんだよと、違う方向を指差した。 <br />すでに3〜4kmむだに歩いてしまった。 仕方がない。言われた方向に向かった。<br />『銀の道』を歩くのは大変だ。矢印の不足から、少々矢印がみつからなくても、それが普通 だったりする。<br />フランス道だったら、200メートルも矢印がなければ戻るのが常識だが、ここではきまぐれにある矢印を発見することがとても難しいのだ。<br />また、道は常に工事などもあり、変わっていく。その後の巡礼者のためのメンテナンスもない。 <br />どんどん歩いて全く反対の方へ行ってしまったら・・・という恐怖は常につきまとう。

    やっと少し薄明るくなった頃、羊飼いのおじさんに会う。 地図を見せて行きたい場所を言うと、地面に地図を書いてくれ、飛行場を横切って行くんだよと、違う方向を指差した。
    すでに3〜4kmむだに歩いてしまった。 仕方がない。言われた方向に向かった。
    『銀の道』を歩くのは大変だ。矢印の不足から、少々矢印がみつからなくても、それが普通 だったりする。
    フランス道だったら、200メートルも矢印がなければ戻るのが常識だが、ここではきまぐれにある矢印を発見することがとても難しいのだ。
    また、道は常に工事などもあり、変わっていく。その後の巡礼者のためのメンテナンスもない。
    どんどん歩いて全く反対の方へ行ってしまったら・・・という恐怖は常につきまとう。

  • 作りかけの道の上をこっそり歩く

    作りかけの道の上をこっそり歩く

  • 何キロも歩いても村も民家もないようなこのエストレマドゥーラ地方。<br />この地方が一番難しいとも言われている。 <br />この後も、飛行場に行ったものの、その敷地から出られなかったり、まだ作りかけの大きな道路の上をこっそり歩いたり、それでもなんとかCaceresの一つ手前の村にたどり着いた。<br /><br />この村でリュックを背負っていない軽装の5人組の巡礼らしきグループに出会う。<br />さらにCaceresに向かっていると、さっきの5人が後ろから来た。 <br />私が分かれ道で迷っていると、遠くから<br />「そっちじゃないよ〜!」<br />と教えてくれる。 やる気のない巡礼者かと思っていたら、ずいぶん詳しいではないか。<br />そして話しかけてきた。5人のうちの4人は、もう今日で帰るという。<br />その中でたった一人リュックを背負っている女性だけがSantiagoに向かうのだという。<br />

    何キロも歩いても村も民家もないようなこのエストレマドゥーラ地方。
    この地方が一番難しいとも言われている。
    この後も、飛行場に行ったものの、その敷地から出られなかったり、まだ作りかけの大きな道路の上をこっそり歩いたり、それでもなんとかCaceresの一つ手前の村にたどり着いた。

    この村でリュックを背負っていない軽装の5人組の巡礼らしきグループに出会う。
    さらにCaceresに向かっていると、さっきの5人が後ろから来た。
    私が分かれ道で迷っていると、遠くから
    「そっちじゃないよ〜!」
    と教えてくれる。 やる気のない巡礼者かと思っていたら、ずいぶん詳しいではないか。
    そして話しかけてきた。5人のうちの4人は、もう今日で帰るという。
    その中でたった一人リュックを背負っている女性だけがSantiagoに向かうのだという。

  • その女性の名はイサベル。<br />去年の夏、やはりフランス道を歩いたとう。私とは10日違いだった。 <br />「Caceresに行ったらこのアルベルゲに泊まるのよ。二つあるのだけど、こちらの方がいいの。今夜ゆっくりお話しましょう。」<br />親切なのだか強引なのだかよくわからなかった。<br />しかしこの女性の出現が、私たちの旅を根本から変えてくれたこの旅で一番の女神様だったのだ。<br /><br />早朝のミスで二時間近くロスをした。<br />そのため暑い盛りにたくさん歩かなくてはならず、心身ともに疲れていた。<br />Caceresに入ってからさえもなかなか街の中心に出ないことに疲れきっていた。<br />頻繁に走るバスに飛び乗りたくもなる。<br />今までこんな風に思ったことはなかった。

    その女性の名はイサベル。
    去年の夏、やはりフランス道を歩いたとう。私とは10日違いだった。
    「Caceresに行ったらこのアルベルゲに泊まるのよ。二つあるのだけど、こちらの方がいいの。今夜ゆっくりお話しましょう。」
    親切なのだか強引なのだかよくわからなかった。
    しかしこの女性の出現が、私たちの旅を根本から変えてくれたこの旅で一番の女神様だったのだ。

    早朝のミスで二時間近くロスをした。
    そのため暑い盛りにたくさん歩かなくてはならず、心身ともに疲れていた。
    Caceresに入ってからさえもなかなか街の中心に出ないことに疲れきっていた。
    頻繁に走るバスに飛び乗りたくもなる。
    今までこんな風に思ったことはなかった。

  • カセレス

    カセレス

  • そして急勾配の坂。 <br />やっとたどり着いたアルベルゲのベルを押したが誰も出ない。<br />待てどくらせど誰もいないのだ。 <br />ふと上を見ると、ポストのところに一枚の名刺がくくりつけられていた。<br />『日本人の巡礼者へ』<br />と書かれている。早速手に取ると、さっき会ったイサベルが残したメッセージだった。 『もし良かったら私が泊まっているホテルにいらっしゃい。ツインで63ユーロ、もし泊まらないのなら Buen Camino(良き巡礼を!) きっと明日どこかで会うでしょう。』<br />その名刺はホテルのものだった。そして街の地図まで付いていた。<br /><br />これを持ってホテルに行ってみる。 イサベルという人が来ているか聞いてみたが、受付の人はファースト・ネームしかわからない宿泊人を調べることなんてできないといった顔で協力的ではなかった。<br />とにかくイサベルが来たら私たちの部屋に連絡するようにと頼んでおく。<br /><br />Caceresは素晴らしい街だった。<br />やはりここもローマ、イスラム、レコンキスタの文化と歴史を受け継ぐ。<br />Caceresの街へ出て少し観光をする。カテドラルではちょうど、ミサの時間だった。<br />そして広場に面するバルへ。 ここであれもこれも食べたい欲求が高まり、思い付くものを注文していく。<br /><br />ミカさんが言う。<br />「私、一日15kmしか歩けないの。これから時々バスにも乗るかもしれない。」<br />何を言い出すのかと思ったら、もっとゆっくり歩きたいと言う。<br />私にとっては二度目の(Meridaまでバスで行くと言われた以来)衝撃的な発言だった。 「でも昨日は調子が良かったじゃない!?」 <br />と私。 ミカさんは <br />「あれはカラ元気だったの・・・」 <br />「・・・・・・・・?。」 <br />ミカさんは私のことを、無理をしてでも何かを達成させたい人と映るらしい。確かに私は無理をする。自分の可能性を広げるためには、無理もしなければならないと思っているから。そして達成したいという思いが強いから。 <br />でも、ミカさんはもっと旅行を楽しみたいのだと思う。 <br />確かにこのペースでは、毎日疲れ果て、せっかく素敵な街を訪れても充分な観光もできないし、道を楽しむこともできない。 <br /><br />この日は一番気持ちが弱気になっていたかもしれない。 朝から道は迷うし、午後からのヒートアップはきつかった。おまけに足の裏の指の付け根全体に痛みがある。無理して歩き続け、炎症を起こしているに違いなかった。 マメもすごい。今日のマメは記録的だった。直径3.5cm、高さ0.9cm。中から水を出したら噴水のように吹き出した。風邪もまだ完全に治っていないから坂道などは呼吸が苦しくてのど飴を手放せない。お腹の調子も悪くてふらつく。 何一ついいことなんてないように思えた。<br />それでも巡礼をやめようと思ったことはなかった。<br />常にSantiagoへ行くつもりだった。<br />しかし、こう言われては私も考えてしまう。<br />楽しむために旅行に来ているのだ。 苦しみを味わうために来たのではない。 <br />ミカさんへの責任も感じていた。<br />また、一人で歩くにも自信がなかった。 今日のように二人でも迷うことがあるのだ。<br />一人でまた、真っ暗やみを歩くことを想像したら悲しくなった。 先日は3日だけだから頑張れた。本当はとても心細かったのだ。<br /><br />そうだね、ここで気持ちを切り替えようか。<br />もっと楽しんで歩く。だから一日15kmくらい。<br />陽が昇ってから歩き出せば迷うことも少ない。 せめてアストルガまで到達できたら、新しい道を歩けたというだけでいいじゃないか。 アストルガに入っても時間に余裕があれば、あの愛に満ちたフランス道を進めば何の心配もない。 時間がなくなって行けなかった分は来年また一緒に行こうと。そんな風にも話し合った。 <br /><br />でも、次に私から出てきた言葉は・・・ <br />「結局この計画は失敗だったということね。」 <br />ミカさんは、<br />「失敗とかそんなんじゃないよ。」 <br />そう、わかっている。なにもSantiagoへ着くことだけが全てじゃない。 私の計画では到着できるはずだった。しかし暑さのために長時間歩けないというのは誤算だった。<br />頭の中は、Meridaからのスタートにしておけば、到着できたかもしれない・・・とか、後悔がつのるばかり。 それでも私の気持ちはついにミカさんと一緒にゆっくり歩いて楽しんで、また続きはいつか歩こうと決めたのだった。<br />

    そして急勾配の坂。
    やっとたどり着いたアルベルゲのベルを押したが誰も出ない。
    待てどくらせど誰もいないのだ。
    ふと上を見ると、ポストのところに一枚の名刺がくくりつけられていた。
    『日本人の巡礼者へ』
    と書かれている。早速手に取ると、さっき会ったイサベルが残したメッセージだった。 『もし良かったら私が泊まっているホテルにいらっしゃい。ツインで63ユーロ、もし泊まらないのなら Buen Camino(良き巡礼を!) きっと明日どこかで会うでしょう。』
    その名刺はホテルのものだった。そして街の地図まで付いていた。

    これを持ってホテルに行ってみる。 イサベルという人が来ているか聞いてみたが、受付の人はファースト・ネームしかわからない宿泊人を調べることなんてできないといった顔で協力的ではなかった。
    とにかくイサベルが来たら私たちの部屋に連絡するようにと頼んでおく。

    Caceresは素晴らしい街だった。
    やはりここもローマ、イスラム、レコンキスタの文化と歴史を受け継ぐ。
    Caceresの街へ出て少し観光をする。カテドラルではちょうど、ミサの時間だった。
    そして広場に面するバルへ。 ここであれもこれも食べたい欲求が高まり、思い付くものを注文していく。

    ミカさんが言う。
    「私、一日15kmしか歩けないの。これから時々バスにも乗るかもしれない。」
    何を言い出すのかと思ったら、もっとゆっくり歩きたいと言う。
    私にとっては二度目の(Meridaまでバスで行くと言われた以来)衝撃的な発言だった。 「でも昨日は調子が良かったじゃない!?」
    と私。 ミカさんは
    「あれはカラ元気だったの・・・」
    「・・・・・・・・?。」
    ミカさんは私のことを、無理をしてでも何かを達成させたい人と映るらしい。確かに私は無理をする。自分の可能性を広げるためには、無理もしなければならないと思っているから。そして達成したいという思いが強いから。
    でも、ミカさんはもっと旅行を楽しみたいのだと思う。
    確かにこのペースでは、毎日疲れ果て、せっかく素敵な街を訪れても充分な観光もできないし、道を楽しむこともできない。

    この日は一番気持ちが弱気になっていたかもしれない。 朝から道は迷うし、午後からのヒートアップはきつかった。おまけに足の裏の指の付け根全体に痛みがある。無理して歩き続け、炎症を起こしているに違いなかった。 マメもすごい。今日のマメは記録的だった。直径3.5cm、高さ0.9cm。中から水を出したら噴水のように吹き出した。風邪もまだ完全に治っていないから坂道などは呼吸が苦しくてのど飴を手放せない。お腹の調子も悪くてふらつく。 何一ついいことなんてないように思えた。
    それでも巡礼をやめようと思ったことはなかった。
    常にSantiagoへ行くつもりだった。
    しかし、こう言われては私も考えてしまう。
    楽しむために旅行に来ているのだ。 苦しみを味わうために来たのではない。
    ミカさんへの責任も感じていた。
    また、一人で歩くにも自信がなかった。 今日のように二人でも迷うことがあるのだ。
    一人でまた、真っ暗やみを歩くことを想像したら悲しくなった。 先日は3日だけだから頑張れた。本当はとても心細かったのだ。

    そうだね、ここで気持ちを切り替えようか。
    もっと楽しんで歩く。だから一日15kmくらい。
    陽が昇ってから歩き出せば迷うことも少ない。 せめてアストルガまで到達できたら、新しい道を歩けたというだけでいいじゃないか。 アストルガに入っても時間に余裕があれば、あの愛に満ちたフランス道を進めば何の心配もない。 時間がなくなって行けなかった分は来年また一緒に行こうと。そんな風にも話し合った。

    でも、次に私から出てきた言葉は・・・
    「結局この計画は失敗だったということね。」
    ミカさんは、
    「失敗とかそんなんじゃないよ。」
    そう、わかっている。なにもSantiagoへ着くことだけが全てじゃない。 私の計画では到着できるはずだった。しかし暑さのために長時間歩けないというのは誤算だった。
    頭の中は、Meridaからのスタートにしておけば、到着できたかもしれない・・・とか、後悔がつのるばかり。 それでも私の気持ちはついにミカさんと一緒にゆっくり歩いて楽しんで、また続きはいつか歩こうと決めたのだった。

  • ホテルの部屋に戻る。<br />もう10時頃だっただろうか。 電話が鳴った。<br />イサベルからだった。<br />「今お話する時間はあるかしら?もしあるならあなた達の部屋に行っていいかしら?それとも私の部屋の方がいいかしら?」<br />彼女のこの言い方に私は感心した。強引で強い女性というイメージがあったが、いくつの選択肢を与えながら、控えめな言い方だった。<br />ミカさんは疲れているので欠席したいと言う。確かにもう巡礼者から観光客になりつつあった私たちには彼女とのおしゃべりは意味を持たないかもしれなかったが、せっかくの好意なので、会ってみることにした。 <br /><br />一人で彼女の部屋をノックした。<br />昼間の険しさはなく、優しそうなイサベル。<br />それでも私の顔をじっとみつめながら大きな目を見開いて、 <br />「誰かがあなたにこの道がどのくらいキツイものか教えなかったの?」<br />私は口ごもりながら <br />「暑さが厳しいから他の道を進めてくれた人もいたわ。」<br />私は一言も、今日の弱気な気持ちや、ゆっくり歩くことに軌道修正したことなど言っていない。部屋に入っていきなりである。<br /><br />私は <br />「去年フランス道を歩いて楽しかったから、他の道を見てみたかったの。見なければできるかできないかわからないでしょう?」 <br />「でも、もうSantiagoに着くのは無理かもしれないわ。」 <br />イサベルは私も買っていたガイドブックをコピーして持っていた。その本を見ながら彼女は <br />「この本にはMeridaから普通に歩いても29日で着くと書いてあるわ。すでのもうCaceresよ。だということは・・・」<br />私が帰国する日を聞いて <br />「うまくすればぎりぎりSantiagoに着くわよ。」 <br />私はこの言葉に胸が高鳴った。こんな言葉を待っていたのだ。誰かに背中を押してほしかったのだ。<br />たとえミカさんがバスに乗っても、私はSantiagoに必ず行く! <br /><br />ミカさんが今、弱っている話をすると、<br />「それなら彼女は明日途中まで歩いてから、バスに乗ればいいわ。朝15kmほど歩けばいいんじゃない?バスの時間はわからないけど、明日の8時過ぎなら私が電話して聞いてあげるわよ。」 <br />「そしてサイバーカフェなどでSantiagoからMadridへの飛行機の便を予約しておくといいわ。28日に必着ならその日に着けるように。もしSantiagoまで着かないようなら、その町からバスを使ってSantiagoまで行けばいいでしょう?」 <br />そして飛行機を予約するための3つのホームページのアドレスを私のノートに書いてくれた。 そして携帯の電話番号を教えてくれ、<br />「何かあったら電話して。歩いているあいだは家族からでも電話に出ないけど、歩き終わったら着信履歴を見て、必ず電話するわ。私の休暇中40日間のあいだ、いつ電話してくれても力になるわ。」 <br />今日初めてすれ違って、ろくに会話もしていない。なんでこんなに親切なのだろう。<br />とても事務的でもあった。無駄な話は一切しない。頭の回転がすこぶる良く、また信じられないくらい実直で親切な人だったのである。 <br />ただ一つ、私が疑問に思っていた、フランと解釈した『フレスキート』という言葉が当たっているか聞くと、この時だけは笑いながら<br />「そうよ、そんな言葉を覚えたの?」<br />と言っていた。<br /><br />自分の部屋に戻るときは、さっきここを出ていった時の私とは180度違っていた。<br />ドアを開けるとミカさんがまだ起きていてくれた。気にしていたのだろう。 <br />私は、 <br />「明日はこの村に行くの。ミカさんは途中からバスに乗れるはずだから、朝は一緒に出て15kmくらい歩くの。」 <br />イサベルに朝の暗いうちだけ一緒に歩いてもらうようにお願いしておいたのだ。<br />ミカさんも納得した。<br /><br /><br />私はほんの少し前と気持ちが変わって一人,闘志を燃やしていることはミカさんには言えなかった。 <br />

    ホテルの部屋に戻る。
    もう10時頃だっただろうか。 電話が鳴った。
    イサベルからだった。
    「今お話する時間はあるかしら?もしあるならあなた達の部屋に行っていいかしら?それとも私の部屋の方がいいかしら?」
    彼女のこの言い方に私は感心した。強引で強い女性というイメージがあったが、いくつの選択肢を与えながら、控えめな言い方だった。
    ミカさんは疲れているので欠席したいと言う。確かにもう巡礼者から観光客になりつつあった私たちには彼女とのおしゃべりは意味を持たないかもしれなかったが、せっかくの好意なので、会ってみることにした。

    一人で彼女の部屋をノックした。
    昼間の険しさはなく、優しそうなイサベル。
    それでも私の顔をじっとみつめながら大きな目を見開いて、
    「誰かがあなたにこの道がどのくらいキツイものか教えなかったの?」
    私は口ごもりながら
    「暑さが厳しいから他の道を進めてくれた人もいたわ。」
    私は一言も、今日の弱気な気持ちや、ゆっくり歩くことに軌道修正したことなど言っていない。部屋に入っていきなりである。

    私は
    「去年フランス道を歩いて楽しかったから、他の道を見てみたかったの。見なければできるかできないかわからないでしょう?」
    「でも、もうSantiagoに着くのは無理かもしれないわ。」
    イサベルは私も買っていたガイドブックをコピーして持っていた。その本を見ながら彼女は
    「この本にはMeridaから普通に歩いても29日で着くと書いてあるわ。すでのもうCaceresよ。だということは・・・」
    私が帰国する日を聞いて
    「うまくすればぎりぎりSantiagoに着くわよ。」
    私はこの言葉に胸が高鳴った。こんな言葉を待っていたのだ。誰かに背中を押してほしかったのだ。
    たとえミカさんがバスに乗っても、私はSantiagoに必ず行く!

    ミカさんが今、弱っている話をすると、
    「それなら彼女は明日途中まで歩いてから、バスに乗ればいいわ。朝15kmほど歩けばいいんじゃない?バスの時間はわからないけど、明日の8時過ぎなら私が電話して聞いてあげるわよ。」
    「そしてサイバーカフェなどでSantiagoからMadridへの飛行機の便を予約しておくといいわ。28日に必着ならその日に着けるように。もしSantiagoまで着かないようなら、その町からバスを使ってSantiagoまで行けばいいでしょう?」
    そして飛行機を予約するための3つのホームページのアドレスを私のノートに書いてくれた。 そして携帯の電話番号を教えてくれ、
    「何かあったら電話して。歩いているあいだは家族からでも電話に出ないけど、歩き終わったら着信履歴を見て、必ず電話するわ。私の休暇中40日間のあいだ、いつ電話してくれても力になるわ。」
    今日初めてすれ違って、ろくに会話もしていない。なんでこんなに親切なのだろう。
    とても事務的でもあった。無駄な話は一切しない。頭の回転がすこぶる良く、また信じられないくらい実直で親切な人だったのである。
    ただ一つ、私が疑問に思っていた、フランと解釈した『フレスキート』という言葉が当たっているか聞くと、この時だけは笑いながら
    「そうよ、そんな言葉を覚えたの?」
    と言っていた。

    自分の部屋に戻るときは、さっきここを出ていった時の私とは180度違っていた。
    ドアを開けるとミカさんがまだ起きていてくれた。気にしていたのだろう。
    私は、
    「明日はこの村に行くの。ミカさんは途中からバスに乗れるはずだから、朝は一緒に出て15kmくらい歩くの。」
    イサベルに朝の暗いうちだけ一緒に歩いてもらうようにお願いしておいたのだ。
    ミカさんも納得した。


    私はほんの少し前と気持ちが変わって一人,闘志を燃やしていることはミカさんには言えなかった。

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