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マラケシュから夜行バスに乗り、次の朝俺はある村に着いた。そこは山の麓にある小さな村で、長い間スペインに統治されていたという歴史を持ち、家々の壁は白で統一され、ガイドブックには「メルヘンチックな村」と書かれている。だがこの村には、とんでもない裏の顔があったのだ。<br /><br />バスを降りた俺はまずいつものように宿を探すために歩き始めた。すぐおっさんが寄ってきて、「ハシシはいるか?」と聞いてきた。さすがモロッコだ。無視して歩き続けると、次々とハシシの売人がやってくる。10mも歩けば一人は声をかけてくる。なんと学校帰りの小学生までもがやってきた。そしてそれはこっそり近づいてきて囁くというよくあるパターンではなく、堂々と一緒に歩きながら普通の声でクオリティや値段の話をするのだ。いくら何でもそれは行き過ぎじゃないか?<br /><br />入った宿の兄ちゃんの話では、ここの周りの山はかの有名なモロッコ産ハシシの中でも最も主要な原産地で、この村は別名「キャピタル・オブ・ハシシ」と言われているというのだ。マラケシュのツーリストインフォメーションの人が言っていた、「あそこはいいぞー、最高だぞー」というのはこのことだったのだろうか。。。<br /><br />山で暮らす人は大麻を栽培してハシシを作り、村で暮らす人はそれを観光客や、スペイン、イギリスなどから買付けに来たバイヤーに売る。さらに自分達も吸う。昼間からぼーっと気持ちよさそうに歩いている民族衣装を着たおじいさんなどもよく見かける。夜になればレストランの隣のテーブルから臭ってくる。モロッコでも大麻は法律で禁じられており、警官もいることはいるのだが、暇そうに街角に突っ立っているだけだ。昔からこの地域ではハシシが主要な(唯一の?)産業であると共に、人々の生活に密着した一つの文化なのだ。小学生のガキが売ってくるのも、ただ単にお父さんの仕事を手伝っているだけのことなのだろう。<br /><br />ある日俺はレストランで食事をした後、宿に帰る途中で道に迷ってしまった。道端に座っていた兄ちゃんに尋ねたところ、一緒に探してくれた。しばらく歩いて宿を見つけると、そこはその兄ちゃんの土産物屋のすぐ近くだった。せっかくだから寄っていけというので、お邪魔することにした。<br /><br />もう店は閉めてあったのだが、自宅を兼ねているその店に入ると、奥の部屋にいたお父さんに「おやじー、客だぞー」というようなことをその兄ちゃんは言った。しばらく店の2階で二人でしゃべっていると、お父さんがお盆を持って上がってきた。そのお盆には、シャイ(アラブ圏でのチャイ)3つとジョイントが1本乗っていた。おいおい、ハシシがお茶菓子かよ!!<br /><br />ラマダン(イスラム暦の第9月:断食月)の話になった。<br /><br />「ラマダンの間は日中何も食えないんでしょ?辛くない?」<br />「そんなことないよ。ラマダンの間は、太陽が昇るちょっと前に飯を食って寝るんだ。そして太陽が沈んだら起きて、飯を食う。それから朝まで吸って、食って、吸って、食って、、、」<br />「まじで?そんなんでいいの?普通ムスリムの人達はラマダンが辛いって言うじゃん」<br />「これが俺たちのスタイルさ。だから実は結構ラマダンが楽しみだったりもするんだよね。でも俺は悪いムスリムじゃないよ。ちゃんと日中は断食してるんだから」<br />「・・・・」<br /><br />ここで出会う人たちは大体がこんな感じだった。とてもあの激しいマラケシュの人たちと同じ国民とは思えない。確かに、この村はある意味メルヘンなのかもしれない。。。<br />

裏キャピタル

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2003/10 - 2003/10

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captainkoji

captainkojiさん

マラケシュから夜行バスに乗り、次の朝俺はある村に着いた。そこは山の麓にある小さな村で、長い間スペインに統治されていたという歴史を持ち、家々の壁は白で統一され、ガイドブックには「メルヘンチックな村」と書かれている。だがこの村には、とんでもない裏の顔があったのだ。

バスを降りた俺はまずいつものように宿を探すために歩き始めた。すぐおっさんが寄ってきて、「ハシシはいるか?」と聞いてきた。さすがモロッコだ。無視して歩き続けると、次々とハシシの売人がやってくる。10mも歩けば一人は声をかけてくる。なんと学校帰りの小学生までもがやってきた。そしてそれはこっそり近づいてきて囁くというよくあるパターンではなく、堂々と一緒に歩きながら普通の声でクオリティや値段の話をするのだ。いくら何でもそれは行き過ぎじゃないか?

入った宿の兄ちゃんの話では、ここの周りの山はかの有名なモロッコ産ハシシの中でも最も主要な原産地で、この村は別名「キャピタル・オブ・ハシシ」と言われているというのだ。マラケシュのツーリストインフォメーションの人が言っていた、「あそこはいいぞー、最高だぞー」というのはこのことだったのだろうか。。。

山で暮らす人は大麻を栽培してハシシを作り、村で暮らす人はそれを観光客や、スペイン、イギリスなどから買付けに来たバイヤーに売る。さらに自分達も吸う。昼間からぼーっと気持ちよさそうに歩いている民族衣装を着たおじいさんなどもよく見かける。夜になればレストランの隣のテーブルから臭ってくる。モロッコでも大麻は法律で禁じられており、警官もいることはいるのだが、暇そうに街角に突っ立っているだけだ。昔からこの地域ではハシシが主要な(唯一の?)産業であると共に、人々の生活に密着した一つの文化なのだ。小学生のガキが売ってくるのも、ただ単にお父さんの仕事を手伝っているだけのことなのだろう。

ある日俺はレストランで食事をした後、宿に帰る途中で道に迷ってしまった。道端に座っていた兄ちゃんに尋ねたところ、一緒に探してくれた。しばらく歩いて宿を見つけると、そこはその兄ちゃんの土産物屋のすぐ近くだった。せっかくだから寄っていけというので、お邪魔することにした。

もう店は閉めてあったのだが、自宅を兼ねているその店に入ると、奥の部屋にいたお父さんに「おやじー、客だぞー」というようなことをその兄ちゃんは言った。しばらく店の2階で二人でしゃべっていると、お父さんがお盆を持って上がってきた。そのお盆には、シャイ(アラブ圏でのチャイ)3つとジョイントが1本乗っていた。おいおい、ハシシがお茶菓子かよ!!

ラマダン(イスラム暦の第9月:断食月)の話になった。

「ラマダンの間は日中何も食えないんでしょ?辛くない?」
「そんなことないよ。ラマダンの間は、太陽が昇るちょっと前に飯を食って寝るんだ。そして太陽が沈んだら起きて、飯を食う。それから朝まで吸って、食って、吸って、食って、、、」
「まじで?そんなんでいいの?普通ムスリムの人達はラマダンが辛いって言うじゃん」
「これが俺たちのスタイルさ。だから実は結構ラマダンが楽しみだったりもするんだよね。でも俺は悪いムスリムじゃないよ。ちゃんと日中は断食してるんだから」
「・・・・」

ここで出会う人たちは大体がこんな感じだった。とてもあの激しいマラケシュの人たちと同じ国民とは思えない。確かに、この村はある意味メルヘンなのかもしれない。。。

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