海岸通りにそってずらりとホテルが並んでいる。すぐ後ろは斜面で山に連なっている。
部屋は12階で、テラスからはヨットハーバーからパルマの市街まで一望できる。「ベルベール」という名前のとおり、すばらしく眺めのいいホテルだ。ハーバーには白いヨットがたくさんもやっている。防波堤の外には黒い軍艦が停泊している。その向こうに真っ青な地中海。カテドラルの周りとはうってかわってリゾートの雰囲気満点だ。
真下はホテルのプール。プールサイドに白い水着でサングラスの金髪の女性が寝そべっているのが小さく見えた。我々とは肌の出来が違うのだろうか。こんな時間に日焼けなんかしていれば、我々だったらたちまち全身火傷だ。それともよほど陽光に憧れ、飢えているのか。
実のところ強度の高所恐怖症の私は、ホテルの壁から外に張り出して作られているテラスに立っているだけで、脚の裏や尻の穴がこそっぱいのだ。真下のプールを覗き込んで見たものの、水着の金髪をゆっくり眺めるゆとりなんてなかったのだ。思わず吸い込まれそうで手すりにしがみついて腰が引けていた。
全ての部屋が海に面していて、白いテラスがついていて……高級ホテルの部類に入るのだろう。テーブルや手すりにタオルをかけたり、海遊びの道具をおいてあったりするテラスもある。そこでぼんやり煙草を吸っている「蛍族」のおっさんがいる。あちらにも、こちらにも。
レストランは半地下のようなつくりで、窓際に座っていると舗道を通る人の足がこちらの顔の高さに見える。オムレツかなんか、軽く食べるのにいい。