アイラブ仏像めぐり　一泊二日冬の伊勢

2025/02/21 - 2025/02/22

見仏ツアーで伊勢へ。いつもの近江とは地形やまちの佇まいが異なる。曲がりくねった道を走っていると、思わぬ方向から海が現れるのも面白い。
二見ヶ浦、太江寺、金剛證寺、伊勢神宮内宮、外宮、田宮寺、近長谷寺

エリア 三重

二見興玉神社（三重県伊勢市）

夫婦岩（三重県伊勢市二見ヶ浦）

太江寺たいこうじ（三重県伊勢市）。
二見ヶ浦から車ですぐ。

潮音山太江寺（三重県伊勢市）

行基開基と伝わる

行基菩薩がアマテラスのお告げにより二見ヶ浦で興玉神を参拝した際に現れた、千手観音を祀ったのが始まり。

本尊は、鎌倉時代の千手観音菩薩座像。向かって左に毘沙門天、右側に不動明王。

合掌手は薄く薄く繊細に作られ、野良仕事はもちろん家事などしない高貴な人の手。正面に座らせて頂いて拝んだら、ふわりと眼が合って本当に仏と繋がった気がし、仰天した。

横の扉からも拝むことができ、麗しい姿にうっとり。院派仏師の作と言われ、優美なことこの上ない。
そして、熱心な若住職が丁寧にご対応くださるから、気持ち良い。観光寺院ではない寺を守っていくのは並大抵のことではないハズ。
また訪れて応援したいと思った。

続いて、金剛證寺こんごうしょうじ（三重県伊勢市）

金剛證寺にて、まずは宝物館へ。展示されているのは、
空海がアマテラスの姿を彫ったとされる雨宝童子立像。
キュッと結んだ口、小さな鼻、写真で見るよりずっと可愛い。
他に、上半身ハダカの地蔵菩薩立像、伊勢湾台風の際に発見された経塚出土品など。

金剛證寺。
伊勢神宮の北東の朝熊山（あさまやま）にたち、神宮の鬼門を守る寺として、信仰されてきたそうな。
「伊勢へ参らば朝熊を駆けよ、朝熊駆けねば片参り」と言う言葉があると聞いたが、うーん、知らなかった。。

なだらかな坂を登ると奥の院。

朝熊山経塚へはここから、とあるが、行かないで奥の院を目指す。

奥の院は、道の両側に巨大な卒塔婆が高い塀のように延々と並び立ち、なんとも異様な雰囲気の場所。

続いて、朝熊山頂展望台へ。伊勢湾に浮かぶ島々の向こうに知多半島、渥美半島が見え、天気の良い日には、御嶽山、南アルプス、富士山も見えるのだそう。

1日目の最後は伊勢神宮内宮を参拝。比較的空いている夕刻にという作戦。
いつも大賑わいの参道だが、静かで良い。

お詣りを済ませ戻る参道にて陽が沈む。
太陽神アマテラスさん、今日も１日お疲れ様でした。

何だか有り難い。明日も良い日になりそうだ。

翌日は伊勢神宮外宮からスタート。

我らが最初に向かった先は、せんぐう館。
神宮がわかる博物館でまずはお勉強。

小さな社殿も２０年ごとに遷されるため、次の（というか前の?）心柱の位置を小さな社が覆う。

次の式年遷宮は令和１５年

お楽しみのランチは、旬菜　野の花亭

野菜中心、少しずついろいろなのがうれしい。

午後は田宮寺からスタート。４、５人の世話人さんが時折雪の舞う中、待っていてくださった。

田宮寺。よく似た１０世紀頃の十一面観音がふたり。左側の方は、かすかに残る彩色、截金が愛おしい。右側の方は漆箔。微妙に右側の方の方が古いのでは、とのこと。

田宮寺。三重県玉城町。
いただいたパンフレットには、聖武天皇勅願、行基開基、空海中興、信長伊勢侵攻で焼き討ちと、ビッグネーム総登場の縁起。

田宮寺本堂内に貼ってあった、明治２年の破却前の境内図。
廃仏毀釈で、まさに破却されたのだ。

寺のすぐ隣には田宮寺神社。神も仏も一つであった痕跡。

最後に訪れたのは、近長谷寺（きんちょうこくじ）。
地元の方はきんちょうさんと呼んでいた。山道を10分ほど登るとお堂が現れる。
本尊は巨大な十一面観音立像。

近長谷寺。
奈良の長谷寺、鎌倉の長谷寺より伊勢に近いから、近長谷寺というそうな。本尊十一面観音立像は錫杖と水瓶を持ち、６．６メートルの巨大な像。平安時代後期、重要文化財。

近長谷寺、大日如来坐像。足下をよく見ると破損しそうな様子。お堂といい、早く適切な修理が施されることを願わずにはいられない。