
2023/11/05 - 2023/11/06
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無人(muto)さん
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2024年は能登にとって大変な年だった。被災した方々にはお見舞い申し上げます。
2023年11月能登を旅したばかりだったので現地の情景が脳裏に残っていてニュースを見る度に心が締め付けられるようだ。その旅行で撮った写真を振り返ってみて、旅の様子も忘れないように記録に残しておきたいと思い旅行記を書くことにした。
奥能登国際芸術祭の鑑賞と、紅葉を楽しむことが二つのメインの目的だった。
旅程は、
第1日:午前便で能登空港へ飛び能登観光 輪島市泊
第2日:能登観光 黒部・宇奈月温泉泊
第3日:黒部峡谷観光 夕刻女房殿のみ富山空港から帰京 南砺市泊
第4日:合掌造り3集落 岐阜荘川町泊
第5日:九頭竜湖、恐竜博物館など 福井市泊
第6日:永平寺、東尋坊など 夕刻帰京
本稿は能登編とし、3日目以降の、黒部峡谷、合掌造り三集落、福井周辺については別に投稿する予定だ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- レンタカー ANAグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
のと里山空港に着陸し、レンタカーを借りて旅をスタートした。向かったのは東。まずは見たい屋外展示がいくつかある珠洲市の蛸島町あたりまで行ってみようと思った。
県道29号線などの奥能登絶景海道と名付けられた部分をできるだけ走りたい(どんな「絶景」があるか楽しみ!)と思っていたこともあり、能登町を通って恋路海岸へでた。 -
恋路海岸は弁天島を正面から撮った一枚。青い空に白い雲。爽やかな秋の気配が伝われば良いのだが。
ネットでもよく見る定番のアングルは左手前の砂浜から波を入れて撮るアングルだろう。しかし、こちらの方が好きかな。
ネットにある現状の写真を見てもあまり変わっていないような感じだが、海岸の方はいろいろ被害を受けているようだ。旧恋路駅の解体のニュースも伝わってきた。
見附島も見えていたので行ってみることにした。恋路海岸 ビーチ
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こんな見附島だった。今ではもう見られない姿だ。
崩落するところが動画で撮られていてニュースにも紹介されていたが、この動画を見たときは愕然とした。ネットで検索すると比較画像もでてくる。
これらの海岸沿いの名所を後に奥能登国際芸術祭の展示物をみることにした。見附島 自然・景勝地
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最初に訪れたのは のと鉄道旧蛸島駅周囲のインスタレーションだった。ネット上の情報で一番印象に残っていたトビアス・レーベルガー(Tobias Rehberger、ドイツ)の「Something Else is Possible/なにか他にできる」だ。
https://oku-noto.jp/ja/artist_tobias.html
残されているのと鉄道の線路の先に設置されているカラフルなオブジェはターミナル駅から出発した列車が向かうタイムトンネルの入り口のようだ。昔のテレビ番組を思い出すのは自分だけだろうか。
なお、ネオン管が点灯しない、線路に浮きが出ているなど軽微な被害はあるものの健在らしい。 -
タイムトンネルの先にいる列車。ヴァニッシュする線路の先に走りさる姿に見えた。
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終着駅と「Something Else is Possible」のオブジェ
「ここで終点じゃないよ、なにか他に行ける(できる)」と言っているような気がする。そうすると、終点と言う方がいいのだろうか。なぜなら起点でもあるから。 -
次に訪れたのは珠洲焼資料館
リュウ・ジャンファ (Liu Jianhua、中国)の「漂移する風景」というインスタレーションがある。ここも健在なようだ。
美術館の軒下に景徳鎮と珠洲焼の破片を並べた作品。中国の磁器と地元の焼き物の組み合わせで、古くからの中国と能登とのつながりを表しているとのこと。
なお、2017年の第1回トリエンナーレ開始時は見附島を望む海岸に漂流物のように並べられていたらしいが、この珠洲焼資料館に移設されたそうで、もし海岸展示のままであったら流されていたかもしれない。
https://oku-noto.jp/ja/artist_liu.html珠洲焼資料館 美術館・博物館
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破片だが元の姿が想像できるものもあった。クマのぬいぐるみの焼き物カワイイ。
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次は、鉢ヶ崎海岸にあるラグジュアリー・ロジコ([豪華朗機工] LuxuryLogico、台湾)の「家のささやき」
駐車場に駐めて松林を歩いて行くと黒い瓦が見え隠れしてくる。開けたところにこのインスタレーションがある。
https://oku-noto.jp/ja/artist_logico.html鉢ヶ崎海岸 自然・景勝地
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内側も入れるようになっていて瓦を取り付けてある可動の機構を動かすことができる。インタラクティブなインスタレーションは遊び心をくすぐって楽しい。子供はもちろん大人も動かしていた。
少し海岸を散歩していたら、午後も4時近くになったので輪島市のホテルを目指して出発することにした。 -
少し走るとこんなオブジェが目に入り車を停めた。珠洲海道五十三次の珠洲川尻バス停だった。
珠洲海道五十三次とはアレクサンドル・コンスタンチーノフ(Aleksander Konstantinov)の作品。この川尻の他、正院、洲崎、笹波口と計4ヶ所ある。
彼は1953年ロシア生まれで2019年に没。グラフィック、彫刻、建築などの他分野にわたるアーティストとして活動したそうだ。数理学博士でもある。そして2017年の珠洲海道五十三次は彼の遺作だそうだ。 -
正面にまわって見る。この作品は古い建物にラッピングしたもので、雰囲気を全く変えている。
なお、この川尻は地震で周囲の家屋とともに後ろの部分が倒壊し、全体もゆがんだとのこと(by 朝日新聞デジタル 2024年6月17日)
そして、現在の公式ウェブサイトではバス停建屋倒壊のため作品撤去とある。残念なことだ。
その後、国道249号線で北の海岸線に出た。海岸に出る直前に道路がループしていて山と海岸の高低差が明らかにわかるところだ。この辺りは夕陽を望む景勝地なのだが、もう少し時間がかかりそうなので先へ進むことにした。 -
沈む夕陽を待ったのは、ループから9kmほど輪島寄りの逢坂トンネルの出口だった。停車して10分くらいで太陽の下の淵が海面に接した。
この逢坂トンネルは地震による土砂崩れで埋まって、復旧の「五大難所」の一つとされるほど復旧が難しいとされたところ。2024年12月末に岬を回る旧道を利用した迂回路が開通し、復旧の第一段階が完了したばかりである。さらにトンネルそのものの復旧という本格工事が開始されるそうだ。ということは、停車していたところは通行止めになっていた旧道のゲートの少し手前だったから、今はまさに迂回路となったところである。 -
陽が落ちてしばらくの間のマジックアワーにしばし見とれていた。どこで遭遇しても自然の神秘を感じる時間だ。
輪島市の宿はルートインだった。震災後、救援、支援活動の拠点となっていた朝市の辺りを見下ろす建物である。
震災のニュースでこの建物と朝市の様子が映ると訪れた時のことが思い出され心が痛む。 -
二日目はホテル前の漁港と朝市の散策からはじめた。短い時間ではあったが輪島塗の店などを見て回った。写真は撮っていない。
ホテルルートイン輪島 宿・ホテル
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この日前日来た道を戻り能登半島の先端部までまわるという予定だった。まず訪れたのは白米千枚田。国内初の世界農業遺産に指定された「能登の里山里海」を象徴する存在で、1004枚の棚田が整備された観光地のみごとな景色だった。
ここも地震では被害を受け、訪れていた観光客が陸の孤島となったここに取り残されたとか復旧が難しい地点だとかとニュースになったところ。一部の田んぼで苗が植えられ9月に収穫されたが、その後豪雨でさらに大きな被害を受けたそうだ。以前の景色が取り戻されることを祈りたい。白米千枚田 自然・景勝地
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次に訪れたのは海を見下ろす高台にある潮騒レストラン。
坂茂さんの設計というので楽しみにしていたところ。ずいぶん昔になるが坂さんの事務所でコンテナを使ったプロジェクトだったと思うが、その打ち合わせをしたことがあり、その頃から彼の取り組みには注目していたのだ。
この建物は被害は少なかったようだが営業の再開までには至っていないようだ。建物と言うより、浄化槽などの付帯設備や周囲状況などの間接的問題らしい。
https://oku-noto.jp/ja/artist_ban.html -
木をうまく使ったシンプルな内部は心地よい空間を構成している。
この写真はガラス越しに撮ったものでレンズの周囲に白い反射が映り込んでいるが、かえって柔らかさが強調される感じで悪くないと思っている。 -
牛嶋均氏の「松雲海風艀雲」というオブジェ
潮騒レストランのすぐ山側にあり、深い緑の木々をバックにカラフルな姿が浮かぶ。
そんなイメージだったので暗めに撮っている。
地滑りとともに落下したらしい。ネット上で根元の方まで崩壊した土砂が流れてきているような写真を見たことがある。要修復となっている。
https://oku-noto.jp/ja/artist_ushijima.html -
芸術祭にもかかわっている浅葉克己氏の「石の卓球台第3号」
唐突に置かれている卓球台に違和感を感じる。よくわからないがその印象だった。
この卓球台本体は被害が無かったようだが、周囲の状況は復旧を要するようだ。
https://oku-noto.jp/ja/artist_asaba.html -
前日山から下りてきたループの手前で海岸沿いの県道28号の方に進んだところにある駐車場に駐めた。磯浜へ降りられるように階段も設置されている。
ゴジラ岩がある磯だ。確かにゴジラに見える。ゴジラ岩 (能登) 自然・景勝地
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手前にはアゼルバイジャンのファイグ・アフメッド(Faig Ahmed、Azerbaijan)「の自身への扉」が設置されている。
日の出と日の入りの間に立ち、それは人生における二つの側面を表しているとのこと。磯に降りて撮った写真より、この駐車場レベルからのアングルの方が好き。
https://oku-noto.jp/ja/artist_faig.html -
遠くから見るとキラキラ光っている。どうなっているのだろうと思っていたのだが、近くに行くと貼り付けられた小片が風に揺れきらきらと光る動きがよくわかる。
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次に見たのは鰐崎海岸にある奥村浩之氏の「風と波」というオブジェ
石を割り出したときの後がのこる白い石がどっしりと据えられている。
解説に「協力:関ヶ原石材株式会社」とあり、建築に携わる者としてよく聞く会社でこういうところでも活躍されているのだなぁと思ったことだった。
https://oku-noto.jp/ja/artist_okumura.html -
さらに進むと海岸沿いにアレクサンドル・コンスタンチーノフの珠洲海道五十三次のバス停がある。
この笹波口バス停はぽつんとぼっちでたたずんでいて他のバス停よりアート作品感が強かった。
https://oku-noto.jp/ja/artist_konstantinov.html -
これは笹波海岸に設置されているアナ・ラウラ・アラエズ (Ana Laura Aláe、バスク地方スペイン)の「太古の響き」というオブジェ
知恵の木をイメージして作成されたとのこと。なんかわかるような気がする。
https://oku-noto.jp/ja/artist_ana.html -
能登半島の最先端に位置する日置地区では、芸術祭のインスタレーションがある木ノ浦野営場に立ち寄った。
駐車場あたりから木々が黄葉していて、その中の散策となった。
自然歩道沿いに弓指寛治氏の「プレイス・ビヨンド」という作品があった。戦時中に珠洲から外へ出て、帰って来た、 または帰って来ることができなかった人々の物語を描いたというパネル。写真は撮っていない。 -
船のマストのようなインスタレーションもある。アレクサンドル・ポノマリョフ〈 Alexander Ponomarev、旧ソ連[ドニプロ]/ロシア 〉の「TENGAI」という作品。
https://oku-noto.jp/ja/artist_ponomarev.html -
木ノ浦野営場をでると野営場のある半島の東側の木ノ浦海岸にでた。「奥能登すず体験宿泊施設」と銘打った木ノ浦ビレッジがあるところとして聞いたことがある場所だった。
透明度が高そうな水のきれいな海岸で晴れていたら真っ青になるだろうと思える。 -
既に昼過ぎだったのでカフェでランチにした。店の名は Cafe Cove。海岸からすぐのところにありオープンな作りなので外の空気を直に感じることができて気持ち良かった。料理も美味しい。既に1時過ぎだったが満員で少し待つほどの人気だった。
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この木ノ浦海岸にも芸術祭のインスタレーションがある。
リチャード・ディーコン(Richard Deacon、イギリス)が2001年から作成している「Infinity」という一連の作品群の41.42.43番とのこと。芸術祭の説明には彫刻と書かれているが、凹凸のあるステンレススチールのモジュールを有機的に連結した作品と言う方があたっていると思う。そのモジュールで構成されたパネルが、空にある何かと交信しているアンテナのように設置されている。
この写真は42番。
https://oku-noto.jp/ja/artist_richard.html -
最後に見たインフォメーションは再びアレクサンドル・コンスタンチーノフの珠洲海道五十三次の能登洲崎バス停だった。狼煙漁港のすぐ近くである。
この後は、奥能登絶景海道に沿い、狼煙町、粟津海岸を抜け、前日に来た蛸島を抜け、富山方面に向かった。 -
この奥能登国際芸術祭の屋外のインスタレーションを駆け足でまわってみて、能登の自然の豊かさを知ることができた。しかし同時に過疎化が忍び寄っている現実も見え隠れしていた。レストラン、ドライブインなどで営業していないところが至る所で見られ、民家の廃屋(確認したわけではないけど)も多い。どのように変化していくのだろうかと思っていた。
その矢先に地震がきて、9月には豪雨に見舞われ、更に困難な状況になっていることに心が痛い。近頃のニュースで人口が30%以上減少したとの推測値をみて愕然とする。
ただただ、少しでも早い日常生活が戻ることを祈ってやまない。
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【参考リンク】
奥能登国際芸術祭の公式ホームページ
https://oku-noto.jp/ja/index.html
作品群の現状はこちらに掲載されている。
https://oku-noto.jp/ja/pdf/news_2024_005.pdf
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能登の後に訪れた黒部渓谷などについての旅行記は、後日、別途投稿したい。
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