2020/11/01 - 2020/11/14
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ばねおさん
10月30日から2回目の全土外出規制がはじまったフランス。
2週間後に見直しを行う約束にしたがって、政府の検証はされたのだけれど、やはりこれまでの規制を維持することに。
感染者の数は記録を更新し続け、ついには6万人を超える日も
この驚くべき数値、逼迫した病床を知れば誰も規制に文句は言えない。
そうした中、11月は1日の万聖節をはじめとして、記念行事が目白押しだ。
誰かさんの誕生日もあるだろう
でも外出規制、密集禁止、生活必需品以外の店はすべて閉鎖
例年通りとは全くいかない今年のフランス。
できれば臨場して見学したい国家セレモニーもTV中継で眺めているだけ。
ウイルスと共存などと認めたくはないが、今はいやいやながらも
コロナとのお付き合いの方法に工夫を凝らすのみ
工夫と言っても特別なものはない。
極力、外出せず、人と接触せず、手洗い、殺菌、換気
いつまで続くかコンフィヌマン
(2020.11.20 ジャン・ムーランの記載漏れを補筆し、写真一葉を追加)
- 交通手段
- 徒歩
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-
11月3日、3日ぶりの運動目的外出。
一日一回、1時間1km以内の制限付き。
やって来たのはモンパルナス駅上のアトランティック庭園
パスツール通りの坂道を上がったモンパルナス第2駅に庭園の入り口がある。
振り返るとこんな感じ。 -
モンパルナス第2駅と庭園入り口
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第2駅の出入り口が左右にあって
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突き当りはモンパルナス第1駅
この下にモンパルナスの駅ホームが広がっている。 -
モニュメントの写真はジャン・ムーラン
フランスで最も有名なレジスタンス。
第2次大戦時、イギリスに渡ったドゴールと連携して、ナチスドイツ占領下のフランスで抵抗活動をすすめたがゲシュタポに捕まり、拷問の末に亡くなった。
近くにはジャン・ムーランの資料を集めたミュゼがある。 -
人工庭園ながらも、大きな樹木もある
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周囲は高層建物に囲まれているが、3.4ヘクタールの広さがあり、
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変化もあるので気にならない
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人工庭園とは思えない趣のある場所もある
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船の形の遊具
アスレチックや子供の遊び場もいくつかあり、ウイルス問題がなければ子供たちでにぎわうことになるに違いない -
実は、やって来た目的のひとつはこれ
テニスコート横に設置された屋外卓球台
周囲を樹々で囲まれ、風よけも考えられて作られているようだ -
パリの公園には屋外に石造りの卓球台が置かれているところも多く、休日には多くの人々が楽しんでいる。
以前によく通ったブラッサンス公園には4台も設置されていた。
運動不足を解消するには格好で、これまでもあちらこちらで楽しんできた。
とりあえず下見をしたので、また日を改めて道具持参でと思っていたところ
そのあと、アジア人狩りという嫌な情報がもたらされ、日本大使館からも注意喚起の連絡がきたため、とりあえず中止している。
プレーには好条件なのだが、周囲の目が届かない場所なので自重することにした。 -
庭園の一隅にある花壇で何やら動くものがあり、よく見ると何と大好きなクロウタドリであった。
渡り鳥だと思っていたら留鳥だと教えてくれた人がいた。
どうりで一年を通して見かけるわけだ。
季節になればきっとあの美しい鳴き声を聞かせてくれるに違いない。 -
公園の中にはこうした開口部がいくつかあって、表示はないのだが駅構内に通じているのだろう。
どこにたどり着くのか興味半分で入ってみた。 -
階段が下まで続き、どうやらプラットフォームに通じているようだ。
17という数字はホームの番号なのだろう。
この先ウイルス危険、とは書いていないが、ざわめきが聞こえてきたのでここでUターン -
この「アトランテック」の名前の由来だが、モンパルナス駅はフランス西部、南西部方面すなわち大西洋方面への列車の始発駅ということからきているとのこと。
写真は一般にモンパルナス駅と呼ばれている第1駅の正面。
駅頭の石板にナント、サン・マロ、ブレスト、レンヌ、ル・マン、トウールなどの行先が読み取れる。 -
11日は第一次大戦の休戦記念日。
この日の凱旋門は毎年慣例の式典が準備されていた。
ヨーロッパ各国でも記念日となっているが、フランスでは Armistice アーミスティス とよばれ休日である。
TVはその前後の情景も含め中継をしていた。 -
TVカメラは全国各所の様子を伝えてきたが、やはり中心は大統領の動向
大統領がエリゼ宮を出るところから中継は始まった。
まずはじめにやって来たのはプチパレ横の広場。
後方はグランパレ -
シャンゼリゼ=クレマンソー駅近く、プチパレ横の広場に
駅名にもなっているジョルジュ・クレマンソーの像がある。
第一次大戦を講和に導いたフランスの首相だ。
大統領がここに詣でてから本日の式典はスタート。
ちなみに5月の第ニ次大戦の戦勝記念日には、クレマンソー像の向かいのドゴール像に挨拶してからの始まりとなっている。
もっとも数日前にはドゴール没後50年の記念式典があったばかりだが。 -
ジョルジュ・クレマンソーという人物は、フランス人には強い人気らしい。
西園寺公望と親交を結び、のちに二人とも首相となり、ヴェルサイユ宮殿での講和条約調印で顔を合わせるという、ドラマティックな展開は小説や映画の題材になりそうだ。
日本美術の愛好家としても知られ、その収集品も有名であるという。
また、クロード・モネと親しく、クレマンソーがモネに勧めて『睡蓮』を描かせたとも言われている。 -
さて、クレマンソー像を詣でたあと、大統領はシャンゼリゼ大通りをまっすぐに凱旋門へ
コロナ以降の無観客、パレードなしは、まるでサイレント映画をみているような気分になるが式典の本質を理解する上では良いのかもしれない。 -
すっかり見慣れた大統領専用車のプジョーのSUV
-
凱旋門の下にある無名戦士の墓の横でマクロン大統領の到着を待っていたのは、歴代大統領とその代理人。
右端は パリ市長のアンヌ・イダルゴ女史 -
第一次大戦の期間を示す 1914-1918。
以前に記録映画でみたのだが
ここには第一次大戦で戦死したひとりの兵士が実際に埋葬されている。
名前も身元も不明なその兵士は、ポワリュpoilu と呼ばれる無名兵士全員を代表してここに眠っている。 -
到着したマクロン大統領の献花。そして黙とう
日本の首相もそうであったが、外国の首脳が来仏するとここで献花し記帳する慣わしだ -
献ずる花は、三色旗を花に置き換えたもの。
青は矢車草、白はマーガレット、赤はコクリコ(ひなげし)
実際にその通りの構成になっているかは分からないけれど、一応基本はこの三種 -
消えることのない慰霊の聖火。
凱旋門を訪れて、ここにある聖火の存在に気づいた人は多いだろう。 -
献花、黙とう、参列者への挨拶を終えて記帳する大統領。
記帳台の上には7月14日の革命記念日と同じようにアルコールジェルが用意されている。
スーツのボタンホールに挿してあるのは矢車菊を形どったもの
この花は退役軍人と未亡人と孤児に対する、支援と連帯の象徴ともされている。 -
記帳された文字がクローズアップされている。
ムシューのMとマクロンのMがまるで111のように書かれている。
この11という数字には、11月11日ということだけでなく、11時に停戦が発効した意味も重なっている。
停戦合意は午前5時に成立したのにもかかわらず、なぜか11という数字にこだわったがために、5時ー11時の間に避けえたはずの多くの犠牲者が出たことが、のちのち問題になった。 -
凱旋門の下にあるポワリュpoiluの墓はひとつのシンボルだ。
2018年12月、気勢を上げるジレジョーンヌに囲まれて、無名戦士は何を思うだろう -
いまのフランス共和国は民衆革命で成立したことを忘れてはならない。
グルメだモードだ、アートだと
それはそれで素晴らしい文化であるのだけれども
おフランスは実は軟ではない
社会の根底には、日本人が目を向けない歴史と、脈々と流れ続けてきた思想がある。 -
これはパリ15区役所の一画にある第一次大戦の慰霊碑
こうした記念碑はフランスの至る所にあり
特に激しい戦場となった北部、西部にとりわけ多い
フランスで知りえた大きなことの一つが、第一次大戦に対する国民の強い思いだ。
戦場となったヨーロッパでは1000万人が亡くなり、2000万人が傷痍となったこと、さらには第2次大戦へとつながっていったことを踏まえ、繰り返し繰り返し史実が伝えられている。
日本も参戦しながら、学校では教科書でさらりと学習するだけの項目になっている。
実は、今だに先の大戦と言うと第一次大戦のことを指す、という話を初めて聞いた時には、そんな馬鹿なと思ったのだが、欧州の人々にとっては過去の出来事として通り過ぎる歴史でないことは確かだ。 -
この日、TV中継を見た後にスーパーに買い物に出かけ、帰宅してレシートをみて驚いた。
ほぼ一週間分、43品目を買い込んできたのだが、合計額が何と111.14ユーロ。
カードで精算の時はこのことに気づかなかったのだが
あらためてレシートを眺めてびっくり
偶然とはいえ、ちょっぴり不思議な気持ちになった。
111.11ユーロだったらどうしただろうか。
まさかスーパーから花束贈呈とはならなかっただろうが -
この日のセレモニーは凱旋門下の無名兵士の墓で終わった訳ではなかった。
夜、パンテオンで執り行われた荘厳な儀式
こちらもしっかりTV中継となった -
マッピングされたパンテオン
前の広場には、まるで灯篭のように点々と光の配列が -
サント・ジュヌヴィエーヴの丘にあるパンテオンにはフランス革命後、国家のために貢献した人々が祀られている。
マッピングされていない素顔のパンテオンはこちら。
(2019年12月撮影) -
今回、パンテオン入りする棺
足元には1914年を表す数字が -
最敬礼の衛兵が整列する中をパンテオンに入場
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儀仗兵によって運ばれているのは作家モーリス・ジュヌヴォワと第一次世界大戦を戦った兵士たち(ポワリュPoilus)
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モーリス・ジュヌヴォワは第一次大戦で西部戦線で負傷して戦場から救出され、後に作家となった。
いずれ、この人の『14年の人々』を読んでみたい。
昔々、レマルクの『西部戦線異状なし』を読んだ時の衝撃が思い出される。
若い頃に受けた衝撃というのは強烈だ -
こうした形でパンテオン内部を観る機会は滅多にない
直近では2018年にシモーヌ・ヴェイユと夫アントワーヌがパンテオン入りとなった。
パンテオンに一番はじめに祀られたのはヴォルテール、次いでルソーのはずだが、著名な人だけでなく、レジスタンスの活動家や強制収容所に送られた人々もここには埋葬されている。
モンパルナスのアトランティック庭園にその肖像写真があったジャン・ムーランもそのひとり。 -
セレモニーの締めくくりをするマクロン大統領と参列者たち
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この夜のエッフェル塔は垂れ込める雲に
まるで体内から憤怒のような光を発しているかのような姿であった -
翌12日。 散歩を兼ねた買い物外出でボンマルシェへ。
当然、本館は閉鎖中で、営業しているのはグランド・エピシエと呼ばれる食品館のみ。
それでもクリスマスの飾りつけはすでに終えているようだ。 -
例年であれば、こうして子供たちが見入るクリスマスのショーウインドウ
最前列はお子様専用のかぶりつき台
出し物が面白く、今年はどんなものが見られるかと大人も結構楽しみにしている
もちろん自分も楽しみにしている
(写真は2019年11月) -
今年もかぶりつき台の設置はされているけれど、子供たちが見入るショウウィンドウには幕が下ろされたまま。
すでにスーパーにはクリスマス菓子が山積みされ、街にはネオンが張られているけれど、幕が開くときはいつになるのだろうか
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この旅行記へのコメント (2)
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- ユーユさん 2021/10/19 15:31:41
- 幻想的なエッフェル塔ですね
- ばねおさん、こんにちは。
パリが懐かしくて、お邪魔しました。
去年の3月以来、海外に行けてなくてフォートラベルも見る機会が減ってしまいました。世界的に感染者が減ってきて、あ、イギリスは、また増えだしたんですよね。
フランスはどうですか?ユーチューブでパリを見ると、賑わってますが・・・
マスクしなくて大丈夫なんでしょうか?
去年の今頃は、まるで街が死んでるように人がいませんね。
日本の隔離期間も10日に短縮になったけど、まだまだ厳しいです💦
ユーユ
- ばねおさん からの返信 2021/10/20 05:12:30
- RE: 幻想的なエッフェル塔ですね
- ユーユさん こんにちは
日本ほどではありませんが、フランスの感染状況はかなり改善してきていて、屋外でのマスク着用義務はなくなりましたが、少数ながら、やはり用心深い人はマスクをしています。
パスサニテール(ワクチンパスポート)か陰性証明書があれば、カフェやレストラン、ミュゼ、映画館等々の入場や長距離交通機関の利用が可能です。
アジア系は少ないですが、外国人観光客もそれなりに増えてきています。
日本からの観光渡航はさほど難しくないはずですが、ネックは帰国後の自宅待機期間が依然として定められていることでしょうか。
このまま感染が抑え込めれば、もう解除は時間の問題であるようにも思えますが...
ばねお、
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