「アラビアの道　サウジアラビア王国の至宝」展　～　東京おのぼりさんぽ

2018/05/08 - 2018/05/08

トラベラーにとってアラビアやペルシャ（イラン）は憧れの地域ですが、近年は訪問すること自体、ハードルが高くなりつつあります。その代償と言ってはなんですが、知人からいただいた無料観覧券を使って東京国立博物館表慶館で開催されている「アラビアの道　サウジアラビア王国の至宝」展に行ってきました。
連休中、外出していた妻とは上野駅で現地集合。ゴロゴロとキャリーケースを携え、私は私で練習中のミラーレス一眼を首にぶら下げて、まるでお上りさんの観光です。
都心に出たついでに御徒町と原宿にも立ち寄り、ちょっとした東京散歩になりました。

エリア 上野・御徒町(東京)

• 旅行の満足度: 3.5
• 観光: 3.5
• グルメ: 4.0
• ショッピング: 3.5
• 交通: 2.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 私鉄 徒歩

上野までは東急田園都市線/半蔵門線→銀座線を乗り継いで向かいます。平素ならなんてことのないルート。
ところが木の芽時が災いして線路内に人が立ち入ったとのことで、田園都市線のダイヤが大幅に乱れ、目の前の電車が停止したままなかなかホームに入ってきません。
おまけに東横線/日比谷線や丸ノ内線のダイヤも混乱、その余波で銀座線まで乗客集中による遅れが生じているらしい。
徐行運転が続き、上野駅まで１時間以上かかってしまいました。

あざみ野駅 駅

少し待たせましたがアトレ上野で妻と無事合流、上野公園に向かいます。

国立西洋美術館前を抜けて

国立博物館に向かいます。
天気は曇りのち雨の予報。連休中の暑さは何処へやら、肌寒い一日です。

目指すはこの展示。

東京国立博物館本館が見えてきました。

東京国立博物館 美術館・博物館

巨大なユリノキが目を惹きます。

こちらが「アラビアの道」展が開かれる表慶館。
以下はめぼしい展示。

東京国立博物館 美術館・博物館

人形石柱
カルヤト・アルカァファ（ハーイル）
BC3500～2500頃

人形石柱
ウラー付近
BC3500～2500頃

人形石柱
カルヤト・アルカァファ（ハーイル）
BC3500～2500頃

馬
マカル
新石器時代・BC6500頃

鳥（鷲？）・山羊・猟犬
マカル
新石器時代・BC6500頃

祈る男
タールート島
BC2900～2600頃

奉献台・香炉
カルヤト・アルファーウ
前4世紀頃、前3～後3世紀頃

闘斧
タイマー
BC2400～2000頃

彩文鉢
タイマー
BC1000～400頃

男性頭部
タイマー
前4世紀～前2世紀頃

男性像
ウラー
前4～前3世紀頃
ダーダーン王国（北西アラビアを代表する大オアシス都市に栄えた隊商国家）の王族たちの像とも考えられている巨大な像

こちらも

こちらも

男性頭部
ウラー
前4～前3世紀頃

男性頭部
ウラー
前4～前3世紀頃

男性像
ウラー
前5～前2世紀頃

ライオン浮彫
ウラー
前6～前4世紀頃

壺
マダーイン・サーリフ
前3～後3世紀頃

柱頭
マダーイン・サーリフ
1世紀頃

香炉
タイマー
ナバテア王国時代・前1～後1世紀頃
ナバテア人は香料貿易により富を蓄え、前2世紀後半までにペトラ（現在のヨルダン）を都に強大な王国を築いたそうです。

アルテミス・イシス-テュケー・ヘラクレス・ハルポクラテス・男性像・女性像など
カルヤト・アルファーウ
前3～後3世紀頃
ハルポクラテスとはエジプトのホルス神の子ども時代の姿がギリシャ化し、ローマ時代に広まったそうです。

饗宴
カルヤト・アルファーウ
1～2世紀頃
フレスコ

まぐさ（リンテル、古代の建築で２つの支柱の上に水平に渡されたブロック）
カルヤト・アルファーウ
前3～後3世紀頃
カルヤト・アルファーウは広大なルブゥ・アルハーリー砂漠の端に位置するオアシス都市で、各地をつなぐ隊商の拠点。この地を都としたキンダ王国の初期には大きな影響力を誇っていたそうです。

葬送用ベッドの脚
カルヤト・アルファーウ
1世紀前半

奉献台
カルヤト・アルファーウ
1世紀頃（右）、前4～前1世紀頃（左、中央）

ガラス皿（下）・ガラス鉢（上右）・香油壺（上左）
カルヤト・アルファーウ
前1世紀後半～後1世紀頃（下）、1世紀頃（上）

ガラス坏
カルヤト・アルファーウ
1世紀頃

ライオン形ドアノッカー
カルヤト・アルファーウ
3世紀頃

剣を帯びる男
カルヤト・アルファーウ
1～3世紀頃

男性頭部
ナジュラーン
1世紀頃
ナジュラーンは香料産地南アラビアから北に向かうすべての隊商が通過する緑豊かなオアシス都市。隊商交易と灌漑農耕で栄えたそうです。

男性頭部
カルヤト・アルファーウ
前１～後2世紀頃
ギリシャ・ローマ時代の彫像を思わせる作風。もとは等身大の人物像だったそうです。頭部はひしゃげてまるでピカソが作ったみたいです。

葬送用装飾の数々（マスク・ネックレス・手袋・ブレスレットなど）
テル・アッザーイル
1世紀頃
テル・アッザーイルとは、1998年サージュ遺跡の近郊で発掘された小型の埋葬遺構。石室に納められていた６歳前後の少女が身につけていた装飾品だそうです。

葬送用マスクの拡大

古代南アラビア文字による墓碑
カルヤト・アルファーウ
前１世紀頃
古代にはアラビア半島各地にさまざまな文字文化が存在。レヴァントから伝わった初期アルファベットをもとに、各地でさまざまな南セム系文字が生まれ、一方、新バビロニア王ナボニドスのタイマー滞在以降、北西セム系文字のアラム文字が北アラビアに定着してナバテア文字へと発展したそうです。
他にも様々な文字を記した墓碑など興味深い展示品が数多くありましたが、割愛。

ラスター彩鉢
ラバザ
9世紀

青釉彩文鉢
ジュバイル
10世紀

カァバ神殿の扉
マッカ（メッカ）
オスマン朝時代・1635または1636年

クルアーン（コーラン）
北アフリカまたは中東
アッバース朝時代・10世紀

キスワ（カァバ神殿を覆う布）
マッカ
1984年

ここからはサウード家、特にアブドゥルアジーズ王による建国の歴史とアラブの生活文化の展示。
ペンダント・ネックレス・ベルト・アンクレットなど
リヤド
19世紀

ライフル・ピストルなど
リヤド
19世紀
アラビアのロレンスを彷彿させます。

火薬入れ
リヤド
19世紀

儀礼用短剣
リヤド
19世紀

儀礼用短剣
リヤド
19世紀

クルアーン（コーラン）の箱
パキスタン
20世紀

アブドゥルアジーズ王のクルアーン（コーラン）
20世紀

アブドゥルアジーズ王の上衣
20世紀

アブドゥルアジーズ王の刀
20世紀

以上、100万年以上前のアジア最初の石器からサウジアラビア初代国王の遺品まで約400点の希少な文化財が展示されています。古代より交易路が張り巡らされ、諸文明が行き交ったアラビア半島ですが、これまで映画や書物でしか知りえなかったアラビアの実像を理解できる貴重な展覧会でした。

見学を終え、再び上野公園へ。
社会見学の小学生や修学旅行の中学生、外国人観光客の姿が目立ちます。
東京国立博物館本館には中学校の修学旅行以来行ったことがありませんが、外国人観光客も満足できる展示になっているのでしょうか？人ごとながら気になります。

日本中どこにでもあるスターバックスがここにも。

こんな神社があるのは知らなかった。

上野東照宮 寺・神社・教会

ぼたん苑がオープンしていましたが、入場料700円は高いのでスルー。

立派な石灯籠。

上野精養軒にするか迷いましたが、お昼はここ。

鰻割烹 伊豆栄 梅川亭 グルメ・レストラン

立派な佇まい。

松竹梅が世の中一般とは逆の順。

うな重。一番安いのが松（3,240円）ですが、「松」と呼べばなんとなく引け目を感じずに注文できます。

お吸物（肝吸いではありません。）

香の物

早めに行ったのでテーブル席に座れましたが、あっという間に満席。人気の老舗です。
鰻はふんわりと柔らかく美味、ご飯も柔らかめでした。

梅川亭から見ると上野動物園の方向に寛永寺の五重塔らしき建物が見えます。
仲居さんに尋ねるとやはり動物園の中にあるそうです。というか、寛永寺の境内に動物園ができたと言うのが正しい。
この辺の事情は、関秀夫「博物館の誕生」（岩波新書）に詳しい。よくある官庁の縄張り争い。

上野恩賜公園 公園・植物園

この人だかりは「上野の杜 韻松亭」でしょうか？

時の人「西郷（せご）どん」。もっと観光客がいるかと思ったら、外人ばかりでした。

上野恩賜公園 公園・植物園

カエルの噴水。今まで気がつかなかった。

上野恩賜公園 公園・植物園

足を延ばして御徒町方面へ。ここも外人観光客が溢れています。

どういう訳かグーグルマップに振り回されて遠回り。1km近く無駄足を踏みました。

妻が行きたかったのはこの店。ネットで調べた宝飾関連の小物屋さん。
キムチ横丁近くにあります。そのためか隣のラーメン店店員と通行人（ジモティー）の挨拶は「アンニョンハセヨ」。東京で一番古いコリアン・タウンだそう。

御徒町は知る人ぞ知るジュエリータウン。

宝飾店店頭に並ぶ小物を扱うプロ向けの店。

こんなのや、

こんなの。

接客盆て言うんだ。

デパートの宝石売り場や時計売り場で見たことがあります。
妻はお目当の物を見つけて上機嫌。素人でも気安く売ってくれます。
ネットでも買えますが、大きさや質感はやはり見てからでないと‥。

合羽橋道具街のお店と同様、マニアックで見ているだけで楽しくなります。

一つ目の用事をクリア。日比谷線→千代田線を乗り継いで原宿に向かいます。
グーグルマップはここでも不可解な経路案内。日比谷線で中目黒に出て、山手線で原宿に向かう迂遠ルート。外人だったら知らずにそのまま行ってしまいそう。

仲御徒町駅 駅

地下鉄を出ると東急プラザ表参道原宿。街の様相が一変します。

東急プラザ 表参道原宿 ショッピングモール

こちらはべロックスビル、奇抜なデザインです。
この近くで妻の二つ目の用事、某社のショールーム見学。
キャリーバッグを引っ張る私はまるで妻のマネージャー。

用事を終えて表参道を表参道駅に‥。
今日は世界赤十字デーだそうです。それって何？
ググってみると赤十字の創設者アンリ・デュナンの誕生日だそう。

表参道ヒルズに懐かしい風景が残っていました。

表参道ヒルズ ショッピングモール

ギャラリー同潤会だそうです。今まで気づかなかった。

ギャラリー同潤会 美術館・博物館

向かいはヒューゴ・ボスのショップ。
特徴的な外観の建物が並ぶのは、日本では表参道くらいでしょうか。

アップルストアの前から地下道に入り、表参道駅へ。

表参道駅 駅

たまプラーザ駅に着いたのは午後4時過ぎ。ちょっと早いですが、夕食もすませておこうと‥。

いつもは長い行列ですが、時間が早いので店内はこんな感じ。

こんな機会でもないとなかなか入れません。

二人とも白丸元味（750円）。チャーシューは妻からのプレゼント。
私は他に生ビール（480円）と博多ひとくち餃子5個（210円）。ご馳走様でした。