2018/01/28 - 2018/02/04
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ダイスケitさん
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第7回目は、ナイル川クルーズ4日目(ツアー5日目)午前中のイシス神殿見物を終えてアスワンからアブシンベルまで3時間半のドライブの後の、アブシンベル神殿見物の模様となる。
このツアーのハイライトでもある、【世】「アブシンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」のうちのアブシンベル神殿は、ユネスコの世界遺産事業が始まるきっかけとなった記念すべき遺跡だ。1960年代のナセル大統領の時代にアスワンハイダム建設の計画の中で、3500年前にラムセス2世の作ったこの神殿は水没する運命にあったが、エジプトだけではなく人類の共通財産ともいうべき文化財が失われるというのは惜しいと移転のために世界中から技術と資金が集まり、数千個にカットされた神殿や像が元の位置より60m高い現在の場所に移され水没を免れたという経緯がある。この前例に倣って、国際条約により文化財や自然を保護するために、1972年の世界遺産条約なりそれ以降のユネスコの世界遺産事業が生まれている。いわば、世界遺産の先駆け的な存在だ(この遺跡も第一回登録の翌年1979年に世界遺産登録となっている)。
なお、ツアー全体の日程は以下の通りとなっている。クルーズ船には2~5日目の4泊し、6日目はカイロ泊。
1日目:夜成田発、機内泊
2日目:早朝カイロ着、カイロ~ルクソール国内便、ルクソール東岸観光、アマルコⅡ乗船
3日目:ルクソール西岸観光
4日目:ルクソールからアスワンに移動の途中に、ホルス神殿・コムオンボ神殿観光
5日目:イシス神殿・アブシンベル神殿観光
6日目:アスワン~カイロ国内便、ギザのピラミッド群観光
7日目:カイロ市内観光(エジプト考古学博物館見学を含む)、夜カイロ発、機内泊
8日目:夜成田着
ツアーで訪れる世界遺産は、以下の4個所となっている。
・古代都市テーベとその墓地遺跡(2・3日目)
・アベシンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群(5日目)
・メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド群(6日目)
・カイロ歴史地区(7日目)
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 観光バス
- 航空会社
- エジプト航空
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
- 利用旅行会社
- 阪急交通社
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アブシンベル神殿に到着したのは、14時半頃。
アスワンハイダムのナセル湖が見えているが、遺跡入口からは神殿はまだ見えていない。 -
遺跡への入口はこの岩山の反対側の方にあるのだが、岩山には中に入るための扉が見えている。この岩山が、実は人工ドームであることは余り知られていない。前述したように、岩で出来た神殿そのものは、数千個にカットされ移築され再度組み立てられたが、その神殿を覆う岩山は神殿のために作られた人工ドームで、表層は岩山のように化粧されている。その人工ドームのメンテナンス用に扉があり、昔は内部見学も出来たようだが、現在は関係者以外は立入禁止となっている。
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人工ドームへの入口のアップ。
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ガイドを先頭に、岩山を回り込んで神殿に向かう。
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アブシンベル神殿が見えて来た。
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ここで嬉しいビッグニュースがあった。アブシンベル神殿の内部は撮影禁止となっており、出発前にチェックしたガイドブックや色んな方のブログ・口コミで承知していたが、現地ガイドも知らなかったことに、訪れたこの日(2月1日)から有料で撮影可能になっているとのこと。観光料収入を期待してのことらしいが、入場料160EGP(約1000円)に対して撮影許可料は300EGP(約2000円)だった。もちろん、300EGPを払って撮影することにしたが、撮影許可のチケット(写真下)のシリアルナンバーが「65」になっており、この公式チケットが撮影可能初日の朝から15時ごろまでに64枚発行されたということだろう。
帰国してから知人に確認したところ、10年ほど前は何の制限もなく撮影可能だったとのこと。ただ、最近はマナーの悪い観光客(フラッシュ撮影)がいたりして、禁止になっていたらしい。いつから禁止となったか、何故この日から有料とはいえ解禁となったかの詳しい事情は判らないが、幸運に恵まれたことは確かだ。もし前日にでも訪れて、帰国後に翌日から解禁となったと聞いたら、運の悪さに地団太を踏んだところだ(笑)。 -
紀元前13世紀頃に、ラムセス2世が建てたアブシンベル大神殿入口にある4体の像は、すべて彼の像だ。ひとつだけ頭部がなくなっているが、その頭は足元に転がっていた。
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右側2体の像の顔。少し表情が異なっており、年代が違うとか諸説があるようだが、いずれもラムセス2世に間違いないとのこと。
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完全な逆光が少し残念だ。
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正面奥に入口が見えている。
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ほとんど真下から、ラムセス2世の2体の像を見上げる。
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正面入口の上、ラムセス2世の横には、太陽神ラーの像がある。
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腰掛けているのは、切符切りのおじさん。
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これは左側のラムセス2世像。
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ハンサムだ(笑)。
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この入口から朝日が差し込んで、一番奥にある至聖所(30~40m奥)のラムセス2世の像に年2回だけ当たるような設計になっている。もちろん、移築の際にもその点を考慮して方角が正確に決められたとのこと。年2回のその日には、朝日がラムセス2世に当たるところを見るために、世界中から大勢の人が詰めかけている。
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入口横には、「内部撮影禁止」の看板があった。この日から「有料で撮影可」になったことは未だ反映されていない。さしずめ「NO PHOTO INSIDE THE TEMPLE WITHOUT CAMERA TICKET」とでも書くのだろうか。
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ラムセス2世像の足元のレリーフには、アブシンベル地方を征服して捕虜にしたヌビア人を描いており、首には捕虜同士を繋げているロータス(睡蓮)のひもが巻き付けられている。
このアブシンベル地方はエジプト最南端で、ここに住むヌビア人は人種的にもアラブ系とは異なり、アフリカン(いわゆる黒人)に属するとのことで、レリーフにもその特徴が出ている。 -
これは北方系の捕虜とのこと。
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捕虜のレリーフの上には、二人のハピ神の姿が描かれており、上下(南北)エジプトの統一を表している。
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入口の職員は、アンク(生命の鍵)を持っていて、撮影用に貸し出してくれた。もちろん、チップは必要だ(笑)。
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神殿の中に入ると、大列柱室にはオシリス神のポーズをとるラムセス2世の立像が、通路を挟んで片側4体ずつ計8体並んでいる。入口の座像といい、これらの立像といい、すべてラムセス2世というのが強烈な個性だ。一体、カルナック神殿といい、ルクソール神殿といい、エジプト全体で何体あるのだろうか(笑)。
また、天井には羽根を拡げたハゲワシの姿をしたネクベト女神が描かれている。 -
アンク(生命の鍵)を持って足を閉じた、オシリス神のポーズ。
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壁面のレリーフは、敵を倒す勇ましい戦士の姿が多く描かれている。これもラムセス2世の雄姿を描いているとのこと。
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戦車に乗って、弓を射る姿。もちろん、ラムセス2世だ。
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敵を切り倒す姿のラムセス2世。
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ラムセス2世の立像を支えている柱の裏に回ってみると・・・。
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柱には、神々に祝福されるラムセス2世の様子が描かれている。
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こちらにも敵を打ち倒すラムセス2世。
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ラムセス2世の前での作戦会議の様子とか。
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大列柱室から至聖所の間にある前室の横に、部屋が延びている。これは倉庫と呼ばれていた部屋のようだ。図書室と呼ばれ、儀式用の呪文などが書かれたパピルスなどを置いてあったといわれている同じような部屋もある。
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壁面には、神に捧げものをしている様子などが描かれている。
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反対側の壁面。
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勇ましい姿は、何度も登場する。
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前室の奥に、至聖所がある。
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一番奥の至聖所には、4体の像が並ぶ。右から2番目が、ラムセス2世。本来ならば年2回の特定の日の朝にしか光が当たらないのだが、現代ではその様子を再現して常時光が当たっている。
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至聖所に最も近い前室のサイド部分。
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前室の大列柱室付近境界まで戻って来て、至聖所を振り返って見る。第二室の柱にも多くのレリーフが施されている。
なお、現地ガイドは神殿に入る前にアブシンベル神殿の由来や歴史を説明してくれたが、神殿内部ではガイド出来ないとのことで、約1時間のフリータイムで大神殿内部と小神殿見物となっていた。もう少しゆっくり見学したかったが、小神殿へも行かなければならない。 -
大神殿から100mほど離れた小神殿に向かう。
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この小神殿は、ラムセス2世の王妃ネフェルタリのために建てられたものだ。
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この神殿を覆う岩山も人工ドームだろうか、確認し忘れた。
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正面入口横には6体の像が並ぶ。左から、ラムセス2世/ネフェルタリ/ラムセス2世/入口/ラムセス2世/ネフェルタリ/ラムセス2世。王妃のために捧げられた神殿というものの、数といい場所といい、主役はあくまでラムセス2世となっているのが愛嬌だ。ネフェルタリの足元には子供の像もある。
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ここにも、未だ「神殿内部は撮影禁止」の看板が出ているが、先程購入したチケットを見せてOKとなる。
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小神殿は、ネフェルタリとハトホル神に捧げられたというだけあって、列柱室の柱には典型的なハトホル神の顔が付いている。
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セト神(左)とホルス神(右)がラムセス2世の戴冠式を行い祝福している様子。
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列柱室にはハトホル柱が並んでいる。
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内部のレリーフは一部ラムセス2世の雄姿があるものの、大神殿とは異なり優雅で優しい女神とネフェルタリの姿が多い。
ネフェルタリが神に捧げ物をしているところのようだ。 -
一部存在する戦闘場面。
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この美しく優雅な姿はネフェルタリのようだ。
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列柱室と前室を区切る壁面にも、優雅なレリーフが描かれている。
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ホルス神に捧げ物をするラムセス2世。
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ネフェルタリの戴冠式の様子。
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これもハトホル女神(左)とイシス女神(右)がネフェルタリの戴冠式を行い、祝福している様子だ。
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列柱には、ホルス神や他の神々が描かれている。
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列柱室の奥にある至聖所が見えている。
もっと色んな場面を撮っていたかったが、集合時刻が迫ってきてやむなく退出する。 -
一旦外に出て、改めてラムセス2世を撮る。良く見ると、ラムセス2世の足元にも子供がいる。
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ラムセス2世に挟まれたネフェルタリの像。
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少しずつ後ろに下がりながら、正面全体を撮る。
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時間に迫られて、大神殿方向に向かう。
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大神殿の前では少し離れて岩山全体を撮るが、逆光が邪魔なことには変わりない。
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日陰に入って、アップで撮影。
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遺跡入口の集合場所に戻りながら、ナセル湖と手前の大神殿岩山、奥の小神殿岩山を横から撮る。神殿は真東を向いており、この写真は真北を見て撮っていることになる。
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チケット売り場事務所の壁には、ナイル川流域の遺跡の地図が掛かっていた。
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その右下には、世界遺産マークが表示されていた。この地図は古代省(?)発行となっている。
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3時間半のロングドライブを経て、クルーズ船まで戻ってきたのは20時前になっていた。
途中、添乗員と現地ガイドにお願いして、バスの中でマイクを借りて「世界遺産入門」の話を30分ほどさせてもらった。世界遺産アカデミー・世界遺産クラブの会員でもあり、世界遺産の講演も時々やっているので、世界遺産の起源となるアブシンベル神殿を見物した後だったこともあり、是非皆さんに世界遺産条約や登録のための基準など世界遺産の基礎知識を知っていただきたいという気持ちだった。 -
夕食は船のレストランで20時過ぎから始まったが、この日の特筆すべきことは誕生日を迎えた女性が2名おり、デザートの時にバースデーケーキが登場して、皆でお祝いをしたことだ。
ハッピーバースデーの歌の後、しばらくダンスしながらポーズを取っている様子が写っていた。 -
メンバー全員に、バースデーケーキを切り分けたものがデザートとして供され、お相伴させていただいた。
翌日は、朝というよりも深夜2時45分にクルーズ船チェックアウトでカイロに向かうことになっている。2~3時間ほどの眠る時間だ。いよいよこのツアーも終盤戦を迎える。
(続く)
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この旅行記へのコメント (3)
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- noelさん 2018/04/15 21:16:00
- 旅行記の共有について
- ダイスケitさん、こんばんは。
エジプト旅行記、楽しく拝見させていただきました。
実は私もダイスケitさんの約1か月ちょっと前、昨年の12月末に似たような径路でエジプトに行ってきました。
そこでこの旅行記を拝見して気づいたのですが、アブ・シンベルは2月からカメラ撮影、有料で可能になったんですね。
なんとも羨ましいです。
しかも65番目の購入だったんですね。
私もこれからアブ・シンベルの旅行記も遅ればせながら、書こうかと思っているところです。
それでお願いがあるのですが、私の旅行記にこのことについてダイスケitさんのこの旅行記を張り付けさせていただいてよろしいでしょうか?
もしよろしければ、お返事をお願いしたいのですが。
誠に勝手ではありますが、よろしくお願いいたします。
ところで、帰りのバスで世界遺産のレクチャーなさったんですね。
凄いですね。
世界遺産クラブの会員だなんて凄いですね。
でも世界遺産の会員さんであるなら、このアブ・シンベルは世界遺産第一号ですし、また格別なものでしょう。
私が残せなかった写真もたくさん撮ることができて、本当に良かったです。
今後とも楽しみにしています。
まずはお手数をおかけしますが、お返事お待ちしてます。
よろしくお願いいたします。
noel
- ダイスケitさん からの返信 2018/04/16 21:04:54
- RE: 旅行記の共有について
- noel さん
お便りありがとうございます。
昨年12月にエジプト旅行をされたんですね。ツアーは訪問の順序は異なっても、ほぼ同じようなところを訪問するようになっているようです。私はラッキーなことに、アブシンベル神殿を訪れたその日から神殿内部撮影が可能になっていましたが、12月では残念でした。貴旅日記の中で、私の旅日記のリンクを貼ることは、もちろん問題ありません。
また、noelさんの旅日記にも立ち寄らせてもらいます。
- noelさん からの返信 2018/04/17 20:35:56
- ありがとうございます
- ダイスケitさん、こんばんは。
早々にお返事をいただきまして、ありがとうございます。
お言葉に甘えさせていただいて、リンクを貼らせていただきますね。
・・・と言っても、まだ旅行記は書き終わっていないのですが・・・。
よろしくお願いいたします。
他の旅行記も拝見させていただきましたが、ローマ郊外のティヴォリの
ヴィッラ・アドリアーノ
ヴィッラ・デステ
いいですね。
しかも人があまりいなかったようで、しっかりご覧になれましたね。
行ってみたくなりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
まずは、ありがとうございました。
noel
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