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2011年11月 あの震災後に初めて東北に来た。目的はお酒を飲むことだけ。<br />一人の酒飲みとして、本当に微力だけれど、お酒に関わる人たちを応援した<br />かった。<br />それまで東北に縁がなかったため、どこに行こうか迷い、結局東北一の歓楽<br />街がある仙台に決めた。<br />それから毎年11月に仙台に行き、6年。今年は、常連さんや地元の方が集う<br />飲み屋のカウンターの片隅に座らせてもらい、少し仙台の人になった気分に<br />浸れる、ゆったりとした旅になった。<br /><br />【基本データ】<br />・期間<br />   2017年11月2日(木)~4日(土)  2泊3日<br /> ・往路  大宮 19:10発 ハヤブサ 67号<br /> ・復路  仙台 23:30発 仙台・新宿 2号 (JRバス)<br /> ・宿泊  ホテル定禅寺 禁煙シングル バス・トイレ付 1室 食事なし<br /> ・金額  \28,720

オヤジ独り仙台酒飲み旅

9いいね!

2017/11/02 - 2017/11/04

771位(同エリア1732件中)

    3

    アンマchanさん

    2011年11月 あの震災後に初めて東北に来た。目的はお酒を飲むことだけ。
    一人の酒飲みとして、本当に微力だけれど、お酒に関わる人たちを応援した
    かった。
    それまで東北に縁がなかったため、どこに行こうか迷い、結局東北一の歓楽
    街がある仙台に決めた。
    それから毎年11月に仙台に行き、6年。今年は、常連さんや地元の方が集う
    飲み屋のカウンターの片隅に座らせてもらい、少し仙台の人になった気分に
    浸れる、ゆったりとした旅になった。

    【基本データ】
    ・期間
    2017年11月2日(木)~4日(土) 2泊3日
    ・往路 大宮 19:10発 ハヤブサ 67号
    ・復路 仙台 23:30発 仙台・新宿 2号 (JRバス)
    ・宿泊 ホテル定禅寺 禁煙シングル バス・トイレ付 1室 食事なし
    ・金額 \28,720

    同行者
    一人旅
    交通手段
    高速・路線バス 新幹線
    利用旅行会社
    個別手配

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    • 【1日目 11月2日】<br />[19:10 往路 大宮駅]<br /> 会社を少し早く上がり、立川駅から仙台に向かう。大宮駅で新幹線に乗り換え<br /> る。<br /> その間に、サンドイッチで軽く腹を満たす。本番は仙台に着いてからだ。<br /> 新幹線車中で、「翔太と猫のインサイトの夏休み-哲学的諸問題へのいざない-」<br /> (永井均著 ちくま学芸文庫)を読み始める。前書きに中学生・高校生向けとある<br /> が、知識ではなく考えるほうに重点を置いているらしい。<br /> 旅行で読む本は哲学が良いかもしれない。普段読まないので一層、非日常感に浸<br /> れるし、旅人としての時間は己の存在などについて考えるのにピッタリだとも言<br /> える。<br /> 第一章は「いまが夢じゃないって証拠はあるか」というタイトルで、「人間が何<br /> かを見たり、考えたり、感じたり、運動感覚を持ったりするのは、結局は脳の中<br /> で起こっている電気化学的変化の結果に過ぎないとしたら、我々は実は脳のみの<br /> 存在でそれに繋がれたコンピュータからの信号によって、【仮想現実】を【現<br /> 実】と錯覚させられているのかもしれない」といったような記述がある。<br /> 直接関係ないけど、一時、ネット空間にある仮想世界に自分のアバターを住まわ<br /> せるというような事がはやった(知らないけど、今もあるのかも)。今ならAIの技<br /> 術も発達して各アバターがAIによって、より高度なキャラクターになるかもしれ<br /> ない。そこで思う。<br /> そのAI搭載のアバターは、自身の【知能】を知覚するのか?<br /> 我々は自身が【知能】ある【人間】だと思っているが、実は、ネット空間上の<br /> アバターではないのか?<br /> それじゃぁ哲学じゃなくてSFだ、てなことを考えているうちに仙台に到着。<br /><br />[21:00 チェックイン]<br /> ホテルは国分町と定禅寺通りが交差する角にある「ホテル定禅寺」。<br /> ここは、6Fから上がホテルで、1Fがコンビニなどの店舗、2FとB1が飲食店の<br /> フロアとなっている。ただし、ホテルのフロアからだと一度、定禅寺通側にある<br /> エレベータで1Fまで降り、横の階段を利用する必要がある(建物の外に出る必要<br /> はない)。<br /> チェックインを済ませ、部屋に荷物を下ろし、軽く身なりを整えると早速部屋を<br /> 出る。<br /><br />[21:20 BISUI はんぞう@国分町]<br /> 仙台 1軒目は、ホテル 2Fにある「BISUI はんぞう」へ。<br /> ここは、気仙沼出身の親方夫妻が営むお店。人気があって入れないこともある<br /> が、仙台に来るとドアを開けてしまう1軒ではある。今回はラッキーにも入れ<br /> た。<br /> カウンター奥の席に案内される。<br /> 隣に座っている年配の男性の小さなバッグがカウンターに置いてあり、ちょうど<br /> 僕との境界を作っているようで気になる。元から置いていたのかはわからない。<br /> カウンターは他に男女の二人連れが一組。僕の席の後ろ側の小上がりには、男女<br /> の6人グループ。「○○先生」と色々な先生の名前が出てくる。学生ではなさそ<br /> うだけど、学校関係か医療関係なのかもしれない。地元の話題で明るく盛り上<br /> がっている。<br /> とりあえず生ビールを注文し、メニューを見る。<br /> 「こんばんは」親方がカウンター越しにご挨拶してくれる。<br /> 僕も挨拶を返し、再びメニューに目を向ける。<br /> 「小鍋」とある。もう冬という感じだ。ほっけと生カキのどちらか。…ほっけの<br /> 小鍋?<br /> 女将さんに小鍋は一人前で注文できるか確認し、「じゃあ、ほっけの小鍋」<br /> 「ほっけじゃなくて、『ぼっけ』」「…ぼっけ?」<br /> 「カサゴみたいな感じで、見た目がグロいというか…」<br /> この際なので、頼んでみる。<br /> 「あれ、珍しい」<br /> 女将さんの声の方を向くと、若い女性が一人で入ってきて、カウンターに座っ<br /> た。<br /> 「お腹空いてる?」親方が聞くと、「空いてる」と明るく返す。<br /> それから、親方が「これ食べる?」とあれこれ世話を焼く。女性はそれを美味し<br /> そうに食べ、親方や女将に今日の出来事なんかを喋る。<br /> やがて僕の前にぼっけの小鍋が置かれ、ビールが日本酒に変わる。<br /> 小上がりのグループは楽しく盛り上がり、カウンターの二人組は帰り、一人で来<br /> た女性の会話にいつの間にか隣の年配男性が加わっている。<br /> 仙台の特に若者は標準語を話す人が多いと思っていたが、結構方言が入り、酔っ<br /> た観光客の僕には心地よく聞こえる(親方・女将の気仙沼弁も心地よいが、普通<br /> の速度の会話だと、ほとんど理解できない…)。<br /> こうして、仙台 1軒目の時間はゆるりと過ぎていく。<br /><br />[23:00 国分町通り]<br /> などと、ゆるゆるしていたら、いつの間にか2時間近くも経っていた。<br /> 親方と女将が店の外までお見送りに出てくださった。お店の玄関を出て右に行け<br /> ば、ホテルのエレベータ側の階段なのに、何故か左に行き、国分町通り側の階段<br /> を降りる。<br /> 成り行き上、2軒目を探すことにした(本当は確信的行動)。<br /> 国分町は確かに歓楽街だ。そういえば、ホテルに行くまでに、何組か同伴と思わ<br /> れる男女を見た。寿司屋から出てきた中年サラリーマン 2人に寄り添う脚の綺麗<br /> な 2人の若い女性。一人がミニスカート、もう一人がホットパンツ。「もう何年<br /> も艶っぽい同伴なんかしてないな」と遠い目をしたその先にいたカップルがラウ<br /> ンジのドアを開ける。<br /> そんなことを思い出しながら、寄ってくるキャッチを無言でやり過ごし(観光客<br /> のおじさんには女の子と遊べる体力も財力もない)、国分町通りを北から南へ抜<br /> け、広瀬通を渡る。東に入り、商店街を越える。<br /> <br />[23:10 呑み食い処 なかぐろ@一番町]<br /> ビルの階段を上がり、2Fにある「呑み食い処 なかぐろ」へ。<br /> 日本酒と焼酎の上位資格「酒匠」を取得した店主はかなりのマニア。有名な日本<br /> 酒の酒蔵も多い東北(宮城だけでも結構ある)にあって、「東北の酒は置かない」<br /> と豪語する。<br /> 外から中を覗くと、カウンターは空いてそうな雰囲気。<br /> しかしドアを開けると、カウンターの中にいた店主がほとんど口パクくらいの<br /> 小声で、「いま、カウンターはちょっと…」。すかさず女性店員が店主の耳元で<br /> 囁き、何やら小声で相談。この状況に戸惑って、暫し店を出られず立ち尽くす。<br /> 相談がまとまったのか、無事カウンターの隅っこに案内される。<br /> 何事もなかったように「今日からですか?」と聞かれ、「そう」と返す。<br /> このお店は日本酒バーのような感じで、居酒屋ほどつまみの種類は多くないが、<br /> どれを頼んでも外れがないと思う。その中でも僕のお気に入りはポテトサラダ。<br /> 先の「はんぞう」とこのお店は仙台で「SAKEの和」という会に入っており、<br /> メンバーのお店をマップにまとめて紹介している(興味のある人は「仙台 日本酒<br /> マップ」などで検索してください)。<br /> ポテトサラダをつまみに、日本酒を2杯。<br /> ここでもカウンターでは地元の人たちが、店主や女性店員を交え楽しそうに話を<br /> していた。僕も時折参加させてもらい、ゆるゆると酔っぱらっていった。

      【1日目 11月2日】
      [19:10 往路 大宮駅]
       会社を少し早く上がり、立川駅から仙台に向かう。大宮駅で新幹線に乗り換え
       る。
       その間に、サンドイッチで軽く腹を満たす。本番は仙台に着いてからだ。
       新幹線車中で、「翔太と猫のインサイトの夏休み-哲学的諸問題へのいざない-」
       (永井均著 ちくま学芸文庫)を読み始める。前書きに中学生・高校生向けとある
       が、知識ではなく考えるほうに重点を置いているらしい。
       旅行で読む本は哲学が良いかもしれない。普段読まないので一層、非日常感に浸
       れるし、旅人としての時間は己の存在などについて考えるのにピッタリだとも言
       える。
       第一章は「いまが夢じゃないって証拠はあるか」というタイトルで、「人間が何
       かを見たり、考えたり、感じたり、運動感覚を持ったりするのは、結局は脳の中
       で起こっている電気化学的変化の結果に過ぎないとしたら、我々は実は脳のみの
       存在でそれに繋がれたコンピュータからの信号によって、【仮想現実】を【現
       実】と錯覚させられているのかもしれない」といったような記述がある。
       直接関係ないけど、一時、ネット空間にある仮想世界に自分のアバターを住まわ
       せるというような事がはやった(知らないけど、今もあるのかも)。今ならAIの技
       術も発達して各アバターがAIによって、より高度なキャラクターになるかもしれ
       ない。そこで思う。
       そのAI搭載のアバターは、自身の【知能】を知覚するのか?
       我々は自身が【知能】ある【人間】だと思っているが、実は、ネット空間上の
       アバターではないのか?
       それじゃぁ哲学じゃなくてSFだ、てなことを考えているうちに仙台に到着。

      [21:00 チェックイン]
       ホテルは国分町と定禅寺通りが交差する角にある「ホテル定禅寺」。
       ここは、6Fから上がホテルで、1Fがコンビニなどの店舗、2FとB1が飲食店の
       フロアとなっている。ただし、ホテルのフロアからだと一度、定禅寺通側にある
       エレベータで1Fまで降り、横の階段を利用する必要がある(建物の外に出る必要
       はない)。
       チェックインを済ませ、部屋に荷物を下ろし、軽く身なりを整えると早速部屋を
       出る。

      [21:20 BISUI はんぞう@国分町]
       仙台 1軒目は、ホテル 2Fにある「BISUI はんぞう」へ。
       ここは、気仙沼出身の親方夫妻が営むお店。人気があって入れないこともある
       が、仙台に来るとドアを開けてしまう1軒ではある。今回はラッキーにも入れ
       た。
       カウンター奥の席に案内される。
       隣に座っている年配の男性の小さなバッグがカウンターに置いてあり、ちょうど
       僕との境界を作っているようで気になる。元から置いていたのかはわからない。
       カウンターは他に男女の二人連れが一組。僕の席の後ろ側の小上がりには、男女
       の6人グループ。「○○先生」と色々な先生の名前が出てくる。学生ではなさそ
       うだけど、学校関係か医療関係なのかもしれない。地元の話題で明るく盛り上
       がっている。
       とりあえず生ビールを注文し、メニューを見る。
       「こんばんは」親方がカウンター越しにご挨拶してくれる。
       僕も挨拶を返し、再びメニューに目を向ける。
       「小鍋」とある。もう冬という感じだ。ほっけと生カキのどちらか。…ほっけの
       小鍋?
       女将さんに小鍋は一人前で注文できるか確認し、「じゃあ、ほっけの小鍋」
       「ほっけじゃなくて、『ぼっけ』」「…ぼっけ?」
       「カサゴみたいな感じで、見た目がグロいというか…」
       この際なので、頼んでみる。
       「あれ、珍しい」
       女将さんの声の方を向くと、若い女性が一人で入ってきて、カウンターに座っ
       た。
       「お腹空いてる?」親方が聞くと、「空いてる」と明るく返す。
       それから、親方が「これ食べる?」とあれこれ世話を焼く。女性はそれを美味し
       そうに食べ、親方や女将に今日の出来事なんかを喋る。
       やがて僕の前にぼっけの小鍋が置かれ、ビールが日本酒に変わる。
       小上がりのグループは楽しく盛り上がり、カウンターの二人組は帰り、一人で来
       た女性の会話にいつの間にか隣の年配男性が加わっている。
       仙台の特に若者は標準語を話す人が多いと思っていたが、結構方言が入り、酔っ
       た観光客の僕には心地よく聞こえる(親方・女将の気仙沼弁も心地よいが、普通
       の速度の会話だと、ほとんど理解できない…)。
       こうして、仙台 1軒目の時間はゆるりと過ぎていく。

      [23:00 国分町通り]
       などと、ゆるゆるしていたら、いつの間にか2時間近くも経っていた。
       親方と女将が店の外までお見送りに出てくださった。お店の玄関を出て右に行け
       ば、ホテルのエレベータ側の階段なのに、何故か左に行き、国分町通り側の階段
       を降りる。
       成り行き上、2軒目を探すことにした(本当は確信的行動)。
       国分町は確かに歓楽街だ。そういえば、ホテルに行くまでに、何組か同伴と思わ
       れる男女を見た。寿司屋から出てきた中年サラリーマン 2人に寄り添う脚の綺麗
       な 2人の若い女性。一人がミニスカート、もう一人がホットパンツ。「もう何年
       も艶っぽい同伴なんかしてないな」と遠い目をしたその先にいたカップルがラウ
       ンジのドアを開ける。
       そんなことを思い出しながら、寄ってくるキャッチを無言でやり過ごし(観光客
       のおじさんには女の子と遊べる体力も財力もない)、国分町通りを北から南へ抜
       け、広瀬通を渡る。東に入り、商店街を越える。
       
      [23:10 呑み食い処 なかぐろ@一番町]
       ビルの階段を上がり、2Fにある「呑み食い処 なかぐろ」へ。
       日本酒と焼酎の上位資格「酒匠」を取得した店主はかなりのマニア。有名な日本
       酒の酒蔵も多い東北(宮城だけでも結構ある)にあって、「東北の酒は置かない」
       と豪語する。
       外から中を覗くと、カウンターは空いてそうな雰囲気。
       しかしドアを開けると、カウンターの中にいた店主がほとんど口パクくらいの
       小声で、「いま、カウンターはちょっと…」。すかさず女性店員が店主の耳元で
       囁き、何やら小声で相談。この状況に戸惑って、暫し店を出られず立ち尽くす。
       相談がまとまったのか、無事カウンターの隅っこに案内される。
       何事もなかったように「今日からですか?」と聞かれ、「そう」と返す。
       このお店は日本酒バーのような感じで、居酒屋ほどつまみの種類は多くないが、
       どれを頼んでも外れがないと思う。その中でも僕のお気に入りはポテトサラダ。
       先の「はんぞう」とこのお店は仙台で「SAKEの和」という会に入っており、
       メンバーのお店をマップにまとめて紹介している(興味のある人は「仙台 日本酒
       マップ」などで検索してください)。
       ポテトサラダをつまみに、日本酒を2杯。
       ここでもカウンターでは地元の人たちが、店主や女性店員を交え楽しそうに話を
       していた。僕も時折参加させてもらい、ゆるゆると酔っぱらっていった。

    • 【2日目 11月3日】<br />[12:30 芋煮会@エフエムたいはく]<br /> どうやら、東北ではこの時期「芋煮会」というものが行われるらしい。<br /> 東京でもたまにニュースで放送されるが、そんな大がかりじゃなくて、一般家庭<br /> でも普通にやるらしい。芋煮会を掛け持ちする人もいるらしい。<br /> 初めて参加したのは、初めて仙台に来た 6年前のこの日(11月3日)。<br /> きっかけは偶然からだった。<br /> 2011年の大地震の際、各地域のコミュニティFMの活動が報道されていた。<br /> 当時は既に外れていたが、かつて放送局用の機材を設計部署にいたことがあり、<br /> どのような活動をされているか見てみたかった。仙台市内のいくつかの局に<br /> 行った。<br /> いずれも遠目からのブースや機材を見る程度だった。ブースはいずれもビルの<br /> 一角にあり、オンエア中だったりスタンバイ中だったりしたが、必ずスタッフ<br /> らしき人はいた。<br /> しかし、最後に訪れたエフエムたいはくは一軒家で、そして無人だった。<br /> 通りに面したドアを開けると、ロビーみたいなところがあり、色々なチラシが<br /> 置かれていた。エフエムたいはくのパンフレットみたいなものでもあればと中に<br /> 入ると、ちょうど裏口から人が入ってきた。<br /> 「放送を聞かれて来たんですか?」と聞かれ、どう説明しようか悩んでいると、<br /> さらに「今、裏で芋煮会やってるんですけど、その放送を聞いてきたのかと」と<br /> 畳み込まれ、頭の整理が追いつかないまま、気が付けば芋煮会に参加していた<br /> (ビールもつまみも気軽に薦めてくださった)。<br /> 聞けば、毎年11月3日はイベントの中継で関係者の手が空くので、スタッフ・<br /> DJ・リスナーが集まって建物裏の駐車場で芋煮会をするのが習わしとか。<br /> で、その日はご厚意でブースの中を見せてもらい、記念に皆さんの集合写真まで<br /> 撮らせていただいた。<br /> お礼とともにその写真を添付したメールを送ったところ、毎年案内のメールを<br /> いただくようになり(SNSをしない僕のために、わざわざメールをくださり、<br /> ありがとうございます)、そして、僕は毎年11月3日に仙台にいるように<br /> なった。<br /> 今年は天気も良く、気持ちが良い日だった。<br /> 参加者は普段からの顔見知りでアットホームな雰囲気。僕は1年に1度だけなの<br /> で打ち解けられないが、気さくに声を掛けてくださったりして、居心地は悪く<br /> ない。<br /> 振舞われる芋煮鍋や焼き肉も美味しく、つい食べ過ぎてしまう。<br /> 時折「芋煮会会場から中継」ということでマイクが回ってくるので、「東京から<br /> 毎年参加してます」とコメント。自分の声が仙台のコミュニティFMの電波に<br /> 乗っていると思うと、すごく不思議な気持ちがする。<br /> エフエムたいはくは今年開局10周年ということで、ずうずうしくも寄せ書きに<br /> コメントさせていただいたりしながら、後片付けも少し手伝い、今年も呼んで<br /> いただいたお礼を言い、来年も来ますと宣言して、失礼する。<br /><br />[18:30 繁華街をフラフラ]<br /> ホテルに戻って少し休憩をしたが、まだ満腹感が残る。芋煮会で食べ過ぎた。<br /> このまま休んでいると、どこにも行かず明日になりそうだったので、腹ごなしを<br /> 兼ねて歩くことにした。と言っても、観光地を巡るわけではない。<br /> 飲み屋を巡り、空いていたら入ろうと思っていた。満腹感があっても、お店に<br /> 入ってしまえば何とかなるだろう。<br /> 幸か不幸か、19時前後の居酒屋さんはどこも満席だ。あっち行き、こっち<br /> 行き。結構な距離を歩いてお腹も空いてきた。何より疲れた。<br /> <br />[19:45 沙月@一番町]<br /> 時計を見るともうすぐ20時。ふと見ると「晩酌セット 3000円」とある。<br /> ふらふらと階段を降り、「沙月」というお店に入る。<br /> 割烹料理屋のような雰囲気のお店で、お客さんはいない。<br /> カウンター席に座ってテレビを見ていた親方らしき年配の男性が僕に気付き、<br /> 席を立ちながら「いらっしゃいませ」と言った。<br /> 今まで親方が座っていた席に座り(確かにテレビを見るには良い席だった)、<br /> 奥様とおぼしき女将からおしぼりを受け取る。<br /> 改めて、メニューを見る。晩酌セットは、生ビール・焼酎・日本酒の組み合わせ<br /> で2杯、つまみは、刺身の盛り合わせに、煮物・煮魚などがセットで(この日は酢<br /> 牡蠣も出た)、3000円。とてもお得だ。迷わず注文。一杯目は生ビール。<br /> テレビでは「キンスマ」が始まっていた。キンタロー。とロペスという芸人さん<br /> の社交ダンスペアが世界大会に出たという。最初は興味もなく、生ビールを飲み<br /> ながら見るともなしに眺めていたが、予想外の高順位を取り続ける二人に釘付け<br /> となる。<br /> ふと見ると、親方も女将も真剣にテレビを見ている(料理はちゃんと出てきた)。<br /> 21時も近いのに、まだ予選をやっている。不意に女将が店の玄関まできて、<br /> 近くに置いてあった新聞を手にした。「10時までですね」。どうやら同じこと<br /> を思っていたらしい。<br /> 2杯目は日本酒にする。女将がお酌をしてくれる。<br /> この段階で、3人ともテレビ観戦モード。22時が近いのに準決勝が終わらない。<br /> またも女将「11時までかしら」と新聞を広げる。女将の純粋な願いは届かず、<br /> 準決勝で惜しくも(本当に惜しくも)敗退してしまう。でも、偉業であることは<br /> 間違いない。<br /> 興奮冷めやらない3人は「凄かった」「惜しかった」と我が事のように言い<br /> 合う。<br /> ここで帰るのが惜しくなり、お酒をおかわり(当然追加料金)。<br /> テレビのチャンネルは変わり「報道ステーション」へ。<br /> 自殺志願者を殺害した男の報道。<br /> 「自分で切断したって言うけど大変ですよ。大人だったら小ぶりの本マグロ<br /> ぐらいはあって、それだって大人 3人がかりで捌くんですから」<br /> 「マグロだったら背骨だけだからさばきやすいけど、人間には肋骨があったり<br /> して簡単じゃないですよ」<br /> 「切断した後の始末だって大変ですよ。私らだって、ちょっと大きめの魚を2匹<br /> さばいて出たゴミを袋にいれたら、重くてしょうがないですから」<br /> 親方がいちいち魚に例えて解説してくれる。経験の重みがあって、結構生々<br /> しい。<br /> その後、政治の話になり、地元議員の話などを聞く(こちらは都知事の話を<br /> する)。<br /> 気が付けば 3時間くらいここに座っている。3杯目のお酒がなくなったところで<br /> お勘定。これで 4000円しないのは本当にお得だと思う。<br /> <br />[23:00 旅籠@定禅寺通]<br /> 「沙月」を出て、定禅寺通まで帰り、「旅籠」というモダン和酒バーに入る。<br /> ここも「SAKEの和」の日本酒マップに出ているお店。<br /> とてもおしゃれなお店で、日本酒の種類も豊富。地元宮城のお酒だけでなく、<br /> 各地の銘酒が揃っている。ウイスキーも飲める(カウンターには様々なIchiro&#x27;s<br /> Maltの瓶が置かれている。注文すれば、たぶん飲めると思う。値段は知らない<br /> が)。<br /> 続けて宮城のお酒を頼むと、「地元の方ですか?」と聞かれたので、素直に<br /> 観光と答える。すると、「次はこれで呑んでみませんか」と目の前のガラス製の<br /> お猪口を薦められる。見ると、透明なガラスのお猪口の下半分に何かが塗られて<br /> いる。<br /> 「仙台が発祥の『玉虫塗』という漆塗りが施されています」<br /> お猪口の値段を聞いたからかもしれないが、飲んだお酒はとても品があった<br /> ような気がする。<br /> 気持ちが良くなったところで、ホテルに帰る。ホテルまでは歩いて1分。

      【2日目 11月3日】
      [12:30 芋煮会@エフエムたいはく]
       どうやら、東北ではこの時期「芋煮会」というものが行われるらしい。
       東京でもたまにニュースで放送されるが、そんな大がかりじゃなくて、一般家庭
       でも普通にやるらしい。芋煮会を掛け持ちする人もいるらしい。
       初めて参加したのは、初めて仙台に来た 6年前のこの日(11月3日)。
       きっかけは偶然からだった。
       2011年の大地震の際、各地域のコミュニティFMの活動が報道されていた。
       当時は既に外れていたが、かつて放送局用の機材を設計部署にいたことがあり、
       どのような活動をされているか見てみたかった。仙台市内のいくつかの局に
       行った。
       いずれも遠目からのブースや機材を見る程度だった。ブースはいずれもビルの
       一角にあり、オンエア中だったりスタンバイ中だったりしたが、必ずスタッフ
       らしき人はいた。
       しかし、最後に訪れたエフエムたいはくは一軒家で、そして無人だった。
       通りに面したドアを開けると、ロビーみたいなところがあり、色々なチラシが
       置かれていた。エフエムたいはくのパンフレットみたいなものでもあればと中に
       入ると、ちょうど裏口から人が入ってきた。
       「放送を聞かれて来たんですか?」と聞かれ、どう説明しようか悩んでいると、
       さらに「今、裏で芋煮会やってるんですけど、その放送を聞いてきたのかと」と
       畳み込まれ、頭の整理が追いつかないまま、気が付けば芋煮会に参加していた
       (ビールもつまみも気軽に薦めてくださった)。
       聞けば、毎年11月3日はイベントの中継で関係者の手が空くので、スタッフ・
       DJ・リスナーが集まって建物裏の駐車場で芋煮会をするのが習わしとか。
       で、その日はご厚意でブースの中を見せてもらい、記念に皆さんの集合写真まで
       撮らせていただいた。
       お礼とともにその写真を添付したメールを送ったところ、毎年案内のメールを
       いただくようになり(SNSをしない僕のために、わざわざメールをくださり、
       ありがとうございます)、そして、僕は毎年11月3日に仙台にいるように
       なった。
       今年は天気も良く、気持ちが良い日だった。
       参加者は普段からの顔見知りでアットホームな雰囲気。僕は1年に1度だけなの
       で打ち解けられないが、気さくに声を掛けてくださったりして、居心地は悪く
       ない。
       振舞われる芋煮鍋や焼き肉も美味しく、つい食べ過ぎてしまう。
       時折「芋煮会会場から中継」ということでマイクが回ってくるので、「東京から
       毎年参加してます」とコメント。自分の声が仙台のコミュニティFMの電波に
       乗っていると思うと、すごく不思議な気持ちがする。
       エフエムたいはくは今年開局10周年ということで、ずうずうしくも寄せ書きに
       コメントさせていただいたりしながら、後片付けも少し手伝い、今年も呼んで
       いただいたお礼を言い、来年も来ますと宣言して、失礼する。

      [18:30 繁華街をフラフラ]
       ホテルに戻って少し休憩をしたが、まだ満腹感が残る。芋煮会で食べ過ぎた。
       このまま休んでいると、どこにも行かず明日になりそうだったので、腹ごなしを
       兼ねて歩くことにした。と言っても、観光地を巡るわけではない。
       飲み屋を巡り、空いていたら入ろうと思っていた。満腹感があっても、お店に
       入ってしまえば何とかなるだろう。
       幸か不幸か、19時前後の居酒屋さんはどこも満席だ。あっち行き、こっち
       行き。結構な距離を歩いてお腹も空いてきた。何より疲れた。
       
      [19:45 沙月@一番町]
       時計を見るともうすぐ20時。ふと見ると「晩酌セット 3000円」とある。
       ふらふらと階段を降り、「沙月」というお店に入る。
       割烹料理屋のような雰囲気のお店で、お客さんはいない。
       カウンター席に座ってテレビを見ていた親方らしき年配の男性が僕に気付き、
       席を立ちながら「いらっしゃいませ」と言った。
       今まで親方が座っていた席に座り(確かにテレビを見るには良い席だった)、
       奥様とおぼしき女将からおしぼりを受け取る。
       改めて、メニューを見る。晩酌セットは、生ビール・焼酎・日本酒の組み合わせ
       で2杯、つまみは、刺身の盛り合わせに、煮物・煮魚などがセットで(この日は酢
       牡蠣も出た)、3000円。とてもお得だ。迷わず注文。一杯目は生ビール。
       テレビでは「キンスマ」が始まっていた。キンタロー。とロペスという芸人さん
       の社交ダンスペアが世界大会に出たという。最初は興味もなく、生ビールを飲み
       ながら見るともなしに眺めていたが、予想外の高順位を取り続ける二人に釘付け
       となる。
       ふと見ると、親方も女将も真剣にテレビを見ている(料理はちゃんと出てきた)。
       21時も近いのに、まだ予選をやっている。不意に女将が店の玄関まできて、
       近くに置いてあった新聞を手にした。「10時までですね」。どうやら同じこと
       を思っていたらしい。
       2杯目は日本酒にする。女将がお酌をしてくれる。
       この段階で、3人ともテレビ観戦モード。22時が近いのに準決勝が終わらない。
       またも女将「11時までかしら」と新聞を広げる。女将の純粋な願いは届かず、
       準決勝で惜しくも(本当に惜しくも)敗退してしまう。でも、偉業であることは
       間違いない。
       興奮冷めやらない3人は「凄かった」「惜しかった」と我が事のように言い
       合う。
       ここで帰るのが惜しくなり、お酒をおかわり(当然追加料金)。
       テレビのチャンネルは変わり「報道ステーション」へ。
       自殺志願者を殺害した男の報道。
       「自分で切断したって言うけど大変ですよ。大人だったら小ぶりの本マグロ
       ぐらいはあって、それだって大人 3人がかりで捌くんですから」
       「マグロだったら背骨だけだからさばきやすいけど、人間には肋骨があったり
       して簡単じゃないですよ」
       「切断した後の始末だって大変ですよ。私らだって、ちょっと大きめの魚を2匹
       さばいて出たゴミを袋にいれたら、重くてしょうがないですから」
       親方がいちいち魚に例えて解説してくれる。経験の重みがあって、結構生々
       しい。
       その後、政治の話になり、地元議員の話などを聞く(こちらは都知事の話を
       する)。
       気が付けば 3時間くらいここに座っている。3杯目のお酒がなくなったところで
       お勘定。これで 4000円しないのは本当にお得だと思う。
       
      [23:00 旅籠@定禅寺通]
       「沙月」を出て、定禅寺通まで帰り、「旅籠」というモダン和酒バーに入る。
       ここも「SAKEの和」の日本酒マップに出ているお店。
       とてもおしゃれなお店で、日本酒の種類も豊富。地元宮城のお酒だけでなく、
       各地の銘酒が揃っている。ウイスキーも飲める(カウンターには様々なIchiro's
       Maltの瓶が置かれている。注文すれば、たぶん飲めると思う。値段は知らない
       が)。
       続けて宮城のお酒を頼むと、「地元の方ですか?」と聞かれたので、素直に
       観光と答える。すると、「次はこれで呑んでみませんか」と目の前のガラス製の
       お猪口を薦められる。見ると、透明なガラスのお猪口の下半分に何かが塗られて
       いる。
       「仙台が発祥の『玉虫塗』という漆塗りが施されています」
       お猪口の値段を聞いたからかもしれないが、飲んだお酒はとても品があった
       ような気がする。
       気持ちが良くなったところで、ホテルに帰る。ホテルまでは歩いて1分。

    • 【3日目 11月4日】<br />[11:50 キリンビール仙台工場]<br /> 昨日酔っぱらって掛布団をはいだりしていたのかもしれないが、若干風邪気味。<br /> 昨日とは打って変わって、曇り空で肌寒い。<br /> 予約しておいたキリンビール仙台工場の見学に行く。<br /> 2011年の大震災で、東北の酒蔵さんの多くが被害にあった。連日の報道を<br /> 見ながら、とてもつらい気持ちになった。そんなある日、この仙台工場のビール<br /> タンクが倒壊した写真を見た。とても悲しかった。あの大きなタンクが横たわっ<br /> た姿を見た従業員や地元の方、そして写真を見た全国の酒飲みの無力感と絶望を<br /> 思うと、涙が出た。<br /> しかし、彼らは絶望していなかった。キリンビール仙台工場は震災後間もなく<br /> ビール作りを再開し、11月2日に震災後初めて製造したビールを出荷開始。<br /> 翌 3日に工場見学を再開させた。<br /> たまたま偶然だが、僕はその日、予約なしで工場見学に出向いていた。<br /> 見学受付ロビーには「祝 工場見学再開」の垂れ幕。一組一組、その垂れ幕と<br /> ともに記念撮影をしていただき、その写真はプレゼントされた。<br /> 後日、ガイドさんからお礼のハガキまで頂戴した。<br /> その日の事は忘れない。<br /> 見学のお楽しみは何といっても試飲だが、いつもは制服を着た女性スタッフが<br /> ビールをつぐ。でもその日は、責任者らしきスーツ姿の男性がとても晴れやかな<br /> 顔でビールをついでいた。「おめでとうございます」と声を掛けると、その男性<br /> は「やっと皆様にご提供できます」と言った。それから何度も工場見学に来てい<br /> るが、その度に、あの時の男性の誇らしい表情が浮かび、泣きそうになってしま<br /> う。<br /> 今年もやっぱり泣きそうになってしまった。<br /><br />[16:40 玄孫@本町2丁目]<br /> 仙台駅から駅前通りを北へ歩き、広瀬通を越えた一つ目の角を西に入る。<br /> 積まれた酒樽の横を過ぎると、自然とドアが開く。自動ドアではなく、中から<br /> 店員が開けてくれるのだ。<br /> カウンターに座り、生ビールを注文。<br /> 16時半に開店したばかりのお店は、今は数人のお客さんがいるだけだ。<br /> しかし、ひっきりなしに電話が鳴る。今から、10分後、18時、20時…お客さん<br /> からの電話に店員が、時には「ちょっとお待たせしてしまうかもしれませんが」<br /> と確認しながら、しかしほぼ断ることなく受け入れる。その間にも、続々と<br /> お客が来店する。<br /> ガラガラだった座席がどんどん埋まっていく。<br /> カウンター越しの板場は、威勢の良い男性料理人数名が和気あいあいと、<br /> だけど、手際よく料理を仕上げていく。フロアの女性スタッフを含め、全体的に<br /> 明るく居心地の良い雰囲気。<br /> ビールがなくなり燗酒が飲みたくなったが目の前の板場は大忙しで手間の掛かる<br /> お燗を注文するのをためらう。すると「テーブル〇番さん、お燗」と店員の声。<br /> 渡りに船、「その注文に乗っていいですか?」と声を掛け、同じものをお願い<br /> する。やっぱり、寒い日には燗酒が良い。<br /> 店内が混んできた。カウンター席も独り客の僕がいるため、一つだけ空席ができ<br /> ている。<br /> 燗酒を飲み干し、お店を後にする。帰りもちゃんと玄関を開けてくれ、丁寧に<br /> 見送ってくれた。<br /><br />[20:10 白雪@大町]<br /> とにかく寒い。色々歩き回り、結局晩翠通り沿いの「白雪」というお店に入る。<br /> L字のカウンターと、テーブル席 3つの小上がり。<br /> カウンターにはカップルが二組。小上がりはご夫婦と思われる方が2組と、中年<br /> 男性の2人組。<br /> 店の入り口に近いカウンター席に座る。瓶ビールを注文し顔を上がると正面に<br /> テレビ。<br /> 日本シリーズ第6戦が流れている。ソフトバンクが3連勝で早々と王手を掛けた<br /> が、そこからDeNAが連勝し、すわ下克上か、という流れになっている。こ<br /> の時点で、ソフトバンクが1-0とリード。<br /> 状況は気になるが、テレビはお店の奥。確かに僕の正面だが、カウンターの中の<br /> 人が動くと、たちまち見えなくなる。そうこうしているうちに、DeNAが逆転に<br /> 成功する。<br /> ここで立て続けにカウンターのカップルが席を立つ。<br /> 「テレビの近くに来ますか?」主人が気を利かせてくれる。これでちゃんと<br /> 見られる。<br /> 「どちらを応援してるんですか?」「今回は、ソフトバンク」<br /> 「『今回は』ですか」女性店員さんが苦笑い。<br /> 確かに、DeNAはCS、日本シリーズと強くなってきてるのだと思う。でも、個人<br /> 的には、DeNAはシーズン戦績からしても日本一に相応しくないと思う(別にタイ<br /> ガースを負かせた恨みではなく)。ここはやはり、シーズン中圧倒的な強さを<br /> 誇ったソフトバンクが優勝して「やっぱ強い」と思わせてほしい。<br /> 8回裏にソフトバンクが1点を返したとはいえ、DeNAがリードしたまま9回裏。<br /> この間に、カウンターはサラリーマン 2人組と、常連の男性 1人。<br /> 背後の小上がりも客が入れ替わり、年配の女性とその孫でもおかしくない 2人の<br /> 青年男性が飲んでいる。年配女性は「DeNAに勝ってほしい」と言いながら、<br /> 刺身盛り合わせを注文。<br /> このままDeNAが勝つのかと思われたその時、ソフトバンク内川がソロホーム<br /> ランで同点になる。<br /> この瞬間、お店が一つになって盛り上がる。DeNA応援の年配女性までもが<br /> 「内川すごい」と興奮気味。<br /> と、その年配女性が不意に「このカイは何カイ?」と言い出した。おかしな聞き<br /> 方だなと訝りながらも、「今9回裏です」答えながら振り返ると、そこには箸で<br /> 「貝」をつまんでいる女性。どうやら刺身の盛り合わせに入っていた貝の種類を<br /> 聞きたかったよう。とんだ「カイ」違いだったが、内川のホームランの後にお店<br /> が和やかな雰囲気になった。<br /> 試合はそのまま延長戦へ。時間は22時を越える。もう一軒はしごする予定<br /> だったが、どうやら今回の仙台はこのお店で終わりそうだ。<br /> 終了時間を気にする僕に主人が「お近くですか?」と聞く。23時半の夜行バス<br /> で東京に帰る旨を伝える。瓶ビールの後、日本酒 2杯飲んでいる。酔っ払いの<br /> 足だから、余裕を持ってお店を出たい。<br /> 23時試合終了。その瞬間席を立つ。何とか間に合いそうだ。お店の外まで<br /> 送ってくれた主人が「方向わかりますか?」を気遣ってくれる。改めて良い店<br /> だと実感する。<br /> お礼を言い、「仙台に来たら寄ります」と宣言し、足早に駅に向かう。<br /> ギリギリでバスに乗り、そのまま眠りにつく。起きるともう東京だった。

      【3日目 11月4日】
      [11:50 キリンビール仙台工場]
       昨日酔っぱらって掛布団をはいだりしていたのかもしれないが、若干風邪気味。
       昨日とは打って変わって、曇り空で肌寒い。
       予約しておいたキリンビール仙台工場の見学に行く。
       2011年の大震災で、東北の酒蔵さんの多くが被害にあった。連日の報道を
       見ながら、とてもつらい気持ちになった。そんなある日、この仙台工場のビール
       タンクが倒壊した写真を見た。とても悲しかった。あの大きなタンクが横たわっ
       た姿を見た従業員や地元の方、そして写真を見た全国の酒飲みの無力感と絶望を
       思うと、涙が出た。
       しかし、彼らは絶望していなかった。キリンビール仙台工場は震災後間もなく
       ビール作りを再開し、11月2日に震災後初めて製造したビールを出荷開始。
       翌 3日に工場見学を再開させた。
       たまたま偶然だが、僕はその日、予約なしで工場見学に出向いていた。
       見学受付ロビーには「祝 工場見学再開」の垂れ幕。一組一組、その垂れ幕と
       ともに記念撮影をしていただき、その写真はプレゼントされた。
       後日、ガイドさんからお礼のハガキまで頂戴した。
       その日の事は忘れない。
       見学のお楽しみは何といっても試飲だが、いつもは制服を着た女性スタッフが
       ビールをつぐ。でもその日は、責任者らしきスーツ姿の男性がとても晴れやかな
       顔でビールをついでいた。「おめでとうございます」と声を掛けると、その男性
       は「やっと皆様にご提供できます」と言った。それから何度も工場見学に来てい
       るが、その度に、あの時の男性の誇らしい表情が浮かび、泣きそうになってしま
       う。
       今年もやっぱり泣きそうになってしまった。

      [16:40 玄孫@本町2丁目]
       仙台駅から駅前通りを北へ歩き、広瀬通を越えた一つ目の角を西に入る。
       積まれた酒樽の横を過ぎると、自然とドアが開く。自動ドアではなく、中から
       店員が開けてくれるのだ。
       カウンターに座り、生ビールを注文。
       16時半に開店したばかりのお店は、今は数人のお客さんがいるだけだ。
       しかし、ひっきりなしに電話が鳴る。今から、10分後、18時、20時…お客さん
       からの電話に店員が、時には「ちょっとお待たせしてしまうかもしれませんが」
       と確認しながら、しかしほぼ断ることなく受け入れる。その間にも、続々と
       お客が来店する。
       ガラガラだった座席がどんどん埋まっていく。
       カウンター越しの板場は、威勢の良い男性料理人数名が和気あいあいと、
       だけど、手際よく料理を仕上げていく。フロアの女性スタッフを含め、全体的に
       明るく居心地の良い雰囲気。
       ビールがなくなり燗酒が飲みたくなったが目の前の板場は大忙しで手間の掛かる
       お燗を注文するのをためらう。すると「テーブル〇番さん、お燗」と店員の声。
       渡りに船、「その注文に乗っていいですか?」と声を掛け、同じものをお願い
       する。やっぱり、寒い日には燗酒が良い。
       店内が混んできた。カウンター席も独り客の僕がいるため、一つだけ空席ができ
       ている。
       燗酒を飲み干し、お店を後にする。帰りもちゃんと玄関を開けてくれ、丁寧に
       見送ってくれた。

      [20:10 白雪@大町]
       とにかく寒い。色々歩き回り、結局晩翠通り沿いの「白雪」というお店に入る。
       L字のカウンターと、テーブル席 3つの小上がり。
       カウンターにはカップルが二組。小上がりはご夫婦と思われる方が2組と、中年
       男性の2人組。
       店の入り口に近いカウンター席に座る。瓶ビールを注文し顔を上がると正面に
       テレビ。
       日本シリーズ第6戦が流れている。ソフトバンクが3連勝で早々と王手を掛けた
       が、そこからDeNAが連勝し、すわ下克上か、という流れになっている。こ
       の時点で、ソフトバンクが1-0とリード。
       状況は気になるが、テレビはお店の奥。確かに僕の正面だが、カウンターの中の
       人が動くと、たちまち見えなくなる。そうこうしているうちに、DeNAが逆転に
       成功する。
       ここで立て続けにカウンターのカップルが席を立つ。
       「テレビの近くに来ますか?」主人が気を利かせてくれる。これでちゃんと
       見られる。
       「どちらを応援してるんですか?」「今回は、ソフトバンク」
       「『今回は』ですか」女性店員さんが苦笑い。
       確かに、DeNAはCS、日本シリーズと強くなってきてるのだと思う。でも、個人
       的には、DeNAはシーズン戦績からしても日本一に相応しくないと思う(別にタイ
       ガースを負かせた恨みではなく)。ここはやはり、シーズン中圧倒的な強さを
       誇ったソフトバンクが優勝して「やっぱ強い」と思わせてほしい。
       8回裏にソフトバンクが1点を返したとはいえ、DeNAがリードしたまま9回裏。
       この間に、カウンターはサラリーマン 2人組と、常連の男性 1人。
       背後の小上がりも客が入れ替わり、年配の女性とその孫でもおかしくない 2人の
       青年男性が飲んでいる。年配女性は「DeNAに勝ってほしい」と言いながら、
       刺身盛り合わせを注文。
       このままDeNAが勝つのかと思われたその時、ソフトバンク内川がソロホーム
       ランで同点になる。
       この瞬間、お店が一つになって盛り上がる。DeNA応援の年配女性までもが
       「内川すごい」と興奮気味。
       と、その年配女性が不意に「このカイは何カイ?」と言い出した。おかしな聞き
       方だなと訝りながらも、「今9回裏です」答えながら振り返ると、そこには箸で
       「貝」をつまんでいる女性。どうやら刺身の盛り合わせに入っていた貝の種類を
       聞きたかったよう。とんだ「カイ」違いだったが、内川のホームランの後にお店
       が和やかな雰囲気になった。
       試合はそのまま延長戦へ。時間は22時を越える。もう一軒はしごする予定
       だったが、どうやら今回の仙台はこのお店で終わりそうだ。
       終了時間を気にする僕に主人が「お近くですか?」と聞く。23時半の夜行バス
       で東京に帰る旨を伝える。瓶ビールの後、日本酒 2杯飲んでいる。酔っ払いの
       足だから、余裕を持ってお店を出たい。
       23時試合終了。その瞬間席を立つ。何とか間に合いそうだ。お店の外まで
       送ってくれた主人が「方向わかりますか?」を気遣ってくれる。改めて良い店
       だと実感する。
       お礼を言い、「仙台に来たら寄ります」と宣言し、足早に駅に向かう。
       ギリギリでバスに乗り、そのまま眠りにつく。起きるともう東京だった。

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