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Oran(オラン)とはアラビア語で Wahran「二頭のライオン」を意味する。オラン市役所(l&#39;hotel de ville )の正面入り口にその二頭のライオンが並んで市民を見守っている。les deux Lions de l&#39;Atlas (アトラスの二頭のライオン)と呼ばれ、1889年フランス人彫刻家 Auguste Cain(オーギュスト・ケーン:1821年〜1894年)の作である。<br /><br />伝説によれば、903年イベリア半島のイスラム教徒がこの地にやって来た時(これが街の始まりとされている。)街の北東にある森にはまだライオンが生息していたという。現在その森は Foret des Lions(ライオンの森)と呼ばれている。<br /><br />オランは Albert Camus(アルベール・カミュ:1913年〜1960年/ 1957年史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞/ その3年後自動車事故で死亡)の小説 La Peste(ペスト)の舞台となった。<br /><br />カミュは小説ペストの冒頭でオランの街を次のように形容している。<br /><br />La cite elle-meme, on doit l&#39;avouer, est laide・・・Pendant l&#39;ete, le soleil incendie les maisons trop seches et couvre les murs d&#39;une cendre grise ; on ne peut plus vivre alors que dans l&#39;ombre des volets clos.<br /><br />「町それ自身、なんとしても、みすぼらしい町といわねばならない。・・・夏の間は、太陽が乾燥しすぎた家々を燃え上らんばかりに熱し、鼠色の灰で壁をおおう。そうなると、もう鎧戸を閉めきった薄暗がりのなかでしか暮せない。」(新潮文庫/宮崎嶺雄訳)<br /><br />1940年代の春、突然ペストがオランを襲ったという想定で、人々の命を次から次へと奪い、街は外部と遮断され脱出不可能の状況に陥る。市民の精神は極限状態となる。主人公の Bernard Rieux(ベルナール・リウー)医師が自分達では何も解決できない人生の absurdite(日本語では「不条理」と訳している。)は避けられないものであると考える。カミュは他の小説、例えばL’etranger(異邦人)でも不条理を主題としてこの世は不条理に満ち溢れていると表現している。<br /><br />カミュはフランス・アルザスからの農業労働者の父 Lucien Auguste Camusとスペイン系の母 Catherine Sintesの子としてアルジェリアの Mondovi(現アンナバの南24km)に生まれた。生後まもなく父を失い、苦学して奨学金を得ながらアルジェ大学文学部哲学科を卒業した。パリでオラン出身のフランス人女性(Francine Faure)と2度目の結婚をし、不遇時代を彼女の実家であるオランに身を寄せた。(1940年12月)<br /><br />オランの街を歩いていると、人々がアルジェリアの他の街には無い自由を謳歌しているように感じる。街並みもフランスよりスペインの影響が色濃く残っている。スペインが 16世紀終わりに築いた Le fort de Santa Cruz(サンタクルス要塞)に登るとオランの美しい町並みと港を一望のもとにすることができる。<br /><br />そのサンタクルス要塞の下には La Basilique de Notre-Dame de Santa Cruz(サンタクルス・ノートルダム聖堂)が建ち、1849年のコレラ流行の犠牲者 1,772人が追悼されている。

オラン(アルジェリア):アルベール・カミュの小説「ペスト」の舞台となった街

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1975/02/26 - 1975/02/28

2位(同エリア7件中)

4

28

カリオカケイタ

カリオカケイタさん

Oran(オラン)とはアラビア語で Wahran「二頭のライオン」を意味する。オラン市役所(l'hotel de ville )の正面入り口にその二頭のライオンが並んで市民を見守っている。les deux Lions de l'Atlas (アトラスの二頭のライオン)と呼ばれ、1889年フランス人彫刻家 Auguste Cain(オーギュスト・ケーン:1821年〜1894年)の作である。

伝説によれば、903年イベリア半島のイスラム教徒がこの地にやって来た時(これが街の始まりとされている。)街の北東にある森にはまだライオンが生息していたという。現在その森は Foret des Lions(ライオンの森)と呼ばれている。

オランは Albert Camus(アルベール・カミュ:1913年〜1960年/ 1957年史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞/ その3年後自動車事故で死亡)の小説 La Peste(ペスト)の舞台となった。

カミュは小説ペストの冒頭でオランの街を次のように形容している。

La cite elle-meme, on doit l'avouer, est laide・・・Pendant l'ete, le soleil incendie les maisons trop seches et couvre les murs d'une cendre grise ; on ne peut plus vivre alors que dans l'ombre des volets clos.

「町それ自身、なんとしても、みすぼらしい町といわねばならない。・・・夏の間は、太陽が乾燥しすぎた家々を燃え上らんばかりに熱し、鼠色の灰で壁をおおう。そうなると、もう鎧戸を閉めきった薄暗がりのなかでしか暮せない。」(新潮文庫/宮崎嶺雄訳)

1940年代の春、突然ペストがオランを襲ったという想定で、人々の命を次から次へと奪い、街は外部と遮断され脱出不可能の状況に陥る。市民の精神は極限状態となる。主人公の Bernard Rieux(ベルナール・リウー)医師が自分達では何も解決できない人生の absurdite(日本語では「不条理」と訳している。)は避けられないものであると考える。カミュは他の小説、例えばL’etranger(異邦人)でも不条理を主題としてこの世は不条理に満ち溢れていると表現している。

カミュはフランス・アルザスからの農業労働者の父 Lucien Auguste Camusとスペイン系の母 Catherine Sintesの子としてアルジェリアの Mondovi(現アンナバの南24km)に生まれた。生後まもなく父を失い、苦学して奨学金を得ながらアルジェ大学文学部哲学科を卒業した。パリでオラン出身のフランス人女性(Francine Faure)と2度目の結婚をし、不遇時代を彼女の実家であるオランに身を寄せた。(1940年12月)

オランの街を歩いていると、人々がアルジェリアの他の街には無い自由を謳歌しているように感じる。街並みもフランスよりスペインの影響が色濃く残っている。スペインが 16世紀終わりに築いた Le fort de Santa Cruz(サンタクルス要塞)に登るとオランの美しい町並みと港を一望のもとにすることができる。

そのサンタクルス要塞の下には La Basilique de Notre-Dame de Santa Cruz(サンタクルス・ノートルダム聖堂)が建ち、1849年のコレラ流行の犠牲者 1,772人が追悼されている。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
ホテル
4.0
グルメ
3.5
ショッピング
3.5
交通
3.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円 - 3万円
交通手段
タクシー 徒歩 飛行機
旅行の手配内容
個別手配

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  • アルジェリア全図(出典:indoafrican.org)<br />Oran(オラン)は地中海に面した港町でアルジェリア第 2の都市である。

    アルジェリア全図(出典:indoafrican.org)
    Oran(オラン)は地中海に面した港町でアルジェリア第 2の都市である。

  • オランの市街図(出典:monde-du-voyage.com)<br />伝説によれば、903年イベリア半島のイスラム教徒がこの地にやって来た時(これが街の始まりとされている。)街の北東にある森にはまだライオンが生息していたという。現在その森は Foret des Lions(ライオンの森)と呼ばれている。<br />

    オランの市街図(出典:monde-du-voyage.com)
    伝説によれば、903年イベリア半島のイスラム教徒がこの地にやって来た時(これが街の始まりとされている。)街の北東にある森にはまだライオンが生息していたという。現在その森は Foret des Lions(ライオンの森)と呼ばれている。

  • オランの市街図(出典:villedoran.com)<br />オラン市役所(l&#39;hotel de ville )は港の南、地図の中央にある。<br />

    オランの市街図(出典:villedoran.com)
    オラン市役所(l'hotel de ville )は港の南、地図の中央にある。

  • オラン市役所の正面入り口に二頭のライオンが並んで市民を見守っている。les deux Lions de l&#39;Atlas (アトラスの二頭のライオン)と呼ばれ、1889年 フランス人 Auguste Cain(オーギュスト・ケーン:1821年〜1894年)の作である。<br />

    オラン市役所の正面入り口に二頭のライオンが並んで市民を見守っている。les deux Lions de l'Atlas (アトラスの二頭のライオン)と呼ばれ、1889年 フランス人 Auguste Cain(オーギュスト・ケーン:1821年〜1894年)の作である。

  • オランの正装した女性(アルジェリアの切手)

    オランの正装した女性(アルジェリアの切手)

  • オランの正装した女性

    オランの正装した女性

  • アルジェの正装した女性との比較(アルジェリアの切手)

    アルジェの正装した女性との比較(アルジェリアの切手)

  • スペインが 16世紀終わりに築いた Le fort de Santa Cruz(サンタクルス要塞)

    スペインが 16世紀終わりに築いた Le fort de Santa Cruz(サンタクルス要塞)

  • サンタクルス要塞に登るとオランの美しい町並みと港を一望のもとに眺めることができる。<br />

    サンタクルス要塞に登るとオランの美しい町並みと港を一望のもとに眺めることができる。

  • サンタクルス要塞からのオランの美しい街並みをデザインした記念切手を貼った初日カバー(Cariokakeita Museum蔵)

    サンタクルス要塞からのオランの美しい街並みをデザインした記念切手を貼った初日カバー(Cariokakeita Museum蔵)

  • 同上詳細。

    同上詳細。

  • サンタクルス要塞の下には La Basilique de Notre-Dame de Santa Cruz(サンタクルス・ノートルダム聖堂)が建ち、1849年のコレラ流行の犠牲者が追悼されている。

    サンタクルス要塞の下には La Basilique de Notre-Dame de Santa Cruz(サンタクルス・ノートルダム聖堂)が建ち、1849年のコレラ流行の犠牲者が追悼されている。

  • 同上。

    同上。

  • サンタクルス要塞とノートルダム聖堂。

    サンタクルス要塞とノートルダム聖堂。

  •  Albert Camus(アルベール・カミュ:1913年〜1960年)のノーベル文学賞受賞を記念したフランスの切手(Cariokakeita Museum蔵)<br />カミュは 1957年史上 2番目の若さ(43歳)でノーベル文学賞を受賞した。その3年後自動車事故で死亡。<br />

    Albert Camus(アルベール・カミュ:1913年〜1960年)のノーベル文学賞受賞を記念したフランスの切手(Cariokakeita Museum蔵)
    カミュは 1957年史上 2番目の若さ(43歳)でノーベル文学賞を受賞した。その3年後自動車事故で死亡。

  • 1944年のカミュ(パリで)(出典:magnumphotos.com)<br />小説 La Peste(ペスト)は1947年に出版された。

    1944年のカミュ(パリで)(出典:magnumphotos.com)
    小説 La Peste(ペスト)は1947年に出版された。

  • カミュの小説「ペスト」(新潮文庫)のカバー<br />小説の舞台はオランという街だが、どういうわけかカバーにはオランから 780kmも南の Mzab(ムザブ)の街の写真が使われている。

    カミュの小説「ペスト」(新潮文庫)のカバー
    小説の舞台はオランという街だが、どういうわけかカバーにはオランから 780kmも南の Mzab(ムザブ)の街の写真が使われている。

  • オランの街を歩いていると、人々がアルジェリアの他の街には無い自由を謳歌しているように感じる。街並みもフランスというよりもスペインの影響が色濃く残っている。

    オランの街を歩いていると、人々がアルジェリアの他の街には無い自由を謳歌しているように感じる。街並みもフランスというよりもスペインの影響が色濃く残っている。

  • La Mosquee de Hassen Pacha<br />モスクは 1797年の完成。中庭が美しい。

    La Mosquee de Hassen Pacha
    モスクは 1797年の完成。中庭が美しい。

  • 街を歩く女性は白の Hayek又は Haikと呼ばれる衣装を身に纏っている。

    街を歩く女性は白の Hayek又は Haikと呼ばれる衣装を身に纏っている。

  • La rue Philippe(フィリップ通り)<br />この先は旧市街で Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)の Casbah(カスバ)がある。

    La rue Philippe(フィリップ通り)
    この先は旧市街で Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)の Casbah(カスバ)がある。

  •  Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)

    Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)

  •  Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)

    Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)

  •  Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)

    Quartier de Sidi el Houari(シディ・エル・ウアリ地区)

  • オラン近郊の村の Marabout(マラブー:イスラム聖者の廟)

    オラン近郊の村の Marabout(マラブー:イスラム聖者の廟)

  • オラン近郊の村の水汲み場

    オラン近郊の村の水汲み場

  • La Plage de Cap Falcon(ハヤブサ岬ビーチ)<br />オランには美しいビーチが多い。

    La Plage de Cap Falcon(ハヤブサ岬ビーチ)
    オランには美しいビーチが多い。

  • La Plage des Andalouses(アンダルシア・ビーチ)<br />ビーチでは乗馬を楽しむ人も多い。

    La Plage des Andalouses(アンダルシア・ビーチ)
    ビーチでは乗馬を楽しむ人も多い。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • あの街からさん 2020/06/07 15:04:04
    リクエスト!
    カリオカさん
    これはあくまでもリクエストなのですが。

    カミュの「ペスト」その舞台となった街
    『オラン』編 もう一度何か加えてアップして
    新しいアップ順に並べて皆んなに見て欲しいと
    思いました。
    少し前「100分で名著」という番組で
    「ペスト」シリーズ全4回を取り上げられていました。
    自分も読んでみようと思い近所の書店に行きましたが
    品切れで丸善まで出かけていって手にすることが
    できました。
    その時、確か カリオカさんの旅行記で見たことが
    あったなぁ。と思い出しました。

    あの街から


    カリオカケイタ

    カリオカケイタさん からの返信 2020/06/11 22:14:47
    あの街からさんのリクエストに答えるべく「オラン:その2」を編集中です。
    あの街からさん:

    オランの旅行記に書き込みありがとうございました。

    新型コロナウィルスの蔓延にともない、ノーベル賞作家 Albert Camus(アルベール・カミュ:1913年~1960年)の小説 La Peste(ペスト:1947年出版)が書店で売れていると聞きます。

    つい最近、あの街からさんが、私の旅行記「オラン」はカミュの小説「ペスト」その舞台となった街なので、もう一度何か加えてアップして欲しいとリクエストをいただきありがとうございました。

    私がアルジェリア第2の都市オランを訪れたのは今から45年も前なので、手持ちの写真も色あせてしまい、情報も更新されていないので躊躇っていました。

    しかしながら、この機会に本棚の奥深くに追いやられていたカミュの「ペスト」を何十年かぶりに読み返す良い機会なので、あの街からさんのリクエストに答えるえるべく旅行記「オラン:その2」を編集中です。

    もう2~3日お待ち願います。
    カリオカケイタ
  • ukigumoさん 2015/07/22 14:43:01
    アルジェリアの切手
    カリオカケイタさん

    こんにちは。

    前回の旅行記にもありましたが、アルジェリアの切手素敵ですね。
    Cariokakeita Museumにある1958年消印の切手付きポストカードは素晴らしいですね!
    私も海外から葉書を出すのが好きですが、自分の旅の記念にちゃんと保管しておかないといけないなと思いました。
    Cariokakeita Museumはいろいろな国の貴重な旅の想い出が詰まっていそうで見てみたくなりました♪

    ukigumo

    カリオカケイタ

    カリオカケイタさん からの返信 2015/07/22 19:39:01
    投票と掲示板へのメッセージありがとうございました。
    ukigumoさん:

    投票と掲示板へのメッセージありがとうございました。
    Cariokakeita Museumはまだ未整理のものが多く、旅行記を書く際に「そういえば本文に見合ったものがあったはずだな。」と何十年も前に現地から日本に送った段ボール箱を開封している状態です。

    今回はアルジェリアの切手でしたが、古代ローマのコインとか、インドのムガール帝国の銀貨やサハラの砂漠の薔薇等、その時の思い入れの深いものばかりです。

    ガラクタばかりですが、4トラベルの旅行記では Cariokakeita Museum所蔵品が大英博物館のそれと同じグレードで話しを展開できるので楽しい限りです。

    これからも Cariokakeita Museumを宜しくお願い致します。
    カリオカケイタ
    ********************************************************

    > カリオカケイタさん
    >
    > こんにちは。
    >
    > 前回の旅行記にもありましたが、アルジェリアの切手素敵ですね。
    > Cariokakeita Museumにある1958年消印の切手付きポストカードは素晴らしいですね!
    > 私も海外から葉書を出すのが好きですが、自分の旅の記念にちゃんと保管しておかないといけないなと思いました。
    > Cariokakeita Museumはいろいろな国の貴重な旅の想い出が詰まっていそうで見てみたくなりました♪
    >
    > ukigumo

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