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連れ合いが東京国立博物館(略称トーハク)の特別展示企画「鳥獣戯画展」を見て、東京で音楽教師をしている姪と食事をしたいということで、久しぶりの上京。<br />午前中、旧古河庭園で薔薇の鑑賞をしてから上野に移動。しかし、ここで当初予定を大幅変更。鳥獣戯画展は大変な人出で大混雑。チケット売り場で、「ただいま、150分待ちですが、入場しますか?」と念押しされる。え〜!!2時間半!<br />そんな行列をしてまで見たいほど鳥獣戯画に思い入れはない。鳥獣戯画大好きの連れ合いは、それでも見るというので、別々の行動をとることに。<br />前から気になっていた法隆寺宝物館に行ってみようとしたのだが、間が悪いことにこの日から来年3月まで工事で閉館だという。う〜ん、困った! やむなく、今どんな展示があるのかわけもわからず、トーハク本館の日本ギャラリーにでも行って、連れ合いが鳥獣戯画を見終わるのを待つことになった。<br />本館では、刀剣の展示に群がる若い女性集団に遭遇。そのパワーに気圧される思いをした。また、思いがけず明治時代の画家、山崎董詮という人物の手による鳥獣戯画の模写が展示されていた。こちらはガラ空き、たっぷり時間をかけて見られるし、写真撮影までOKなのだ。本物ではないと言ってしまえば、それまでだが・・・・

激混みの「鳥獣戯画」展に怯み、トーハク本館で刀剣女子に圧倒される

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2015/05/20 - 2015/05/20

994位(同エリア4227件中)

4

40

玄白

玄白さん

連れ合いが東京国立博物館(略称トーハク)の特別展示企画「鳥獣戯画展」を見て、東京で音楽教師をしている姪と食事をしたいということで、久しぶりの上京。
午前中、旧古河庭園で薔薇の鑑賞をしてから上野に移動。しかし、ここで当初予定を大幅変更。鳥獣戯画展は大変な人出で大混雑。チケット売り場で、「ただいま、150分待ちですが、入場しますか?」と念押しされる。え〜!!2時間半!
そんな行列をしてまで見たいほど鳥獣戯画に思い入れはない。鳥獣戯画大好きの連れ合いは、それでも見るというので、別々の行動をとることに。
前から気になっていた法隆寺宝物館に行ってみようとしたのだが、間が悪いことにこの日から来年3月まで工事で閉館だという。う〜ん、困った! やむなく、今どんな展示があるのかわけもわからず、トーハク本館の日本ギャラリーにでも行って、連れ合いが鳥獣戯画を見終わるのを待つことになった。
本館では、刀剣の展示に群がる若い女性集団に遭遇。そのパワーに気圧される思いをした。また、思いがけず明治時代の画家、山崎董詮という人物の手による鳥獣戯画の模写が展示されていた。こちらはガラ空き、たっぷり時間をかけて見られるし、写真撮影までOKなのだ。本物ではないと言ってしまえば、それまでだが・・・・

旅行の満足度
4.0

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  • 東京国立博物館、いつ来たか記憶にないほどの久しぶりの来館。

    東京国立博物館、いつ来たか記憶にないほどの久しぶりの来館。

  • 目当ては京都高山寺に伝わる国宝、「鳥獣戯画」。<br />甲乙丙丁4巻からなる平安末期に書かれたという作者不詳の謎に満ちた絵巻である。このたび、全巻の修復が終了した記念の特別展示が平成館で開催されている。<br />擬人化されたウサギや蛙などが当時の風俗を現している戯画は、日本の漫画文化の源流といってもよいのかもしれない。<br />高山寺でも普段は、複製画が展示されているだけで、本物は京都国立博物館に秘蔵されているので、本物を見る機会はめったにない。というわけで、大混雑もさもありなんというところだ。<br />冒頭記したとおり、あまりの混雑にひるんで入場断念。連れ合いひとりで行列することに。<br />

    目当ては京都高山寺に伝わる国宝、「鳥獣戯画」。
    甲乙丙丁4巻からなる平安末期に書かれたという作者不詳の謎に満ちた絵巻である。このたび、全巻の修復が終了した記念の特別展示が平成館で開催されている。
    擬人化されたウサギや蛙などが当時の風俗を現している戯画は、日本の漫画文化の源流といってもよいのかもしれない。
    高山寺でも普段は、複製画が展示されているだけで、本物は京都国立博物館に秘蔵されているので、本物を見る機会はめったにない。というわけで、大混雑もさもありなんというところだ。
    冒頭記したとおり、あまりの混雑にひるんで入場断念。連れ合いひとりで行列することに。

  • 連れ合いと別れ、一人本館へ。本館日本ギャラリーは、一階は、仏像、陶磁器、刀剣などジャンル毎の展示、二階は、縄文時代から江戸時代まで、時代の流れを追って様々な古美術品を展示している。<br />膨大なコレクションを有する国立博物館なので、2〜3ヶ月毎に展示品が入れ替わる。鳥獣戯画展のことしか考えていなかったので、ここでどんな作品が展示されているのか下調べは全くなしで、行き当たりばったりの見学と相成った。<br /><br />まずは、一階から見学スタート

    連れ合いと別れ、一人本館へ。本館日本ギャラリーは、一階は、仏像、陶磁器、刀剣などジャンル毎の展示、二階は、縄文時代から江戸時代まで、時代の流れを追って様々な古美術品を展示している。
    膨大なコレクションを有する国立博物館なので、2〜3ヶ月毎に展示品が入れ替わる。鳥獣戯画展のことしか考えていなかったので、ここでどんな作品が展示されているのか下調べは全くなしで、行き当たりばったりの見学と相成った。

    まずは、一階から見学スタート

  • 本館は、ストロボ、三脚を使わなければ写真撮影ができる。ただし、これはぜひ撮影しておきたいと思わせるような作品は、大体国宝に指定されていたりして、撮影禁止になっている。<br /><br />一階の最初の部屋は仏像が展示されている。<br />この仏像は、鳥獣戯画で有名な高山寺伝来の日光菩薩像。鳥獣戯画特別展が開催されているので、高山寺にちなんだ仏像が展示されているのかもしれない。<br />薬師如来の両脇に立つ日光・月光両菩薩の一方の仏像。ちなみに月光菩薩像は東京藝術大学に保管されているそうだ。

    本館は、ストロボ、三脚を使わなければ写真撮影ができる。ただし、これはぜひ撮影しておきたいと思わせるような作品は、大体国宝に指定されていたりして、撮影禁止になっている。

    一階の最初の部屋は仏像が展示されている。
    この仏像は、鳥獣戯画で有名な高山寺伝来の日光菩薩像。鳥獣戯画特別展が開催されているので、高山寺にちなんだ仏像が展示されているのかもしれない。
    薬師如来の両脇に立つ日光・月光両菩薩の一方の仏像。ちなみに月光菩薩像は東京藝術大学に保管されているそうだ。

  • 四天王の中、増長天と持国天の部下に相当する下級の仏像。<br />鎌倉時代の作だが異国人を思わせる風貌が面白い。

    四天王の中、増長天と持国天の部下に相当する下級の仏像。
    鎌倉時代の作だが異国人を思わせる風貌が面白い。

  • 大日如来像。平安時代の仏像らしく、柔和な顔立ちは見る者の心を穏やかにしてくれるようだ。<br />4人の如来の中では、釈迦如来は仏教創始者、阿弥陀如来は西方極楽浄土のリーダーで民衆の苦しみ全般から救済してくれる仏、薬師如来は東方瑠璃光浄土の主で、様々な苦しみの中でも特につらい病苦を治してくれる仏ということで分かりやすいのだが、大日如来は、哲学的・抽象的でよくわからない。お釈迦さんの民衆の救済をする側面を理想化した姿が阿弥陀如来、仏法の教理を極める側面を現したのが大日如来という解釈もあるようだが・・・<br />祈りの対象ではなく、美術品として仏像を鑑賞するにしても、少しは仏教のことを知っておいた方がよいのだろうな。

    大日如来像。平安時代の仏像らしく、柔和な顔立ちは見る者の心を穏やかにしてくれるようだ。
    4人の如来の中では、釈迦如来は仏教創始者、阿弥陀如来は西方極楽浄土のリーダーで民衆の苦しみ全般から救済してくれる仏、薬師如来は東方瑠璃光浄土の主で、様々な苦しみの中でも特につらい病苦を治してくれる仏ということで分かりやすいのだが、大日如来は、哲学的・抽象的でよくわからない。お釈迦さんの民衆の救済をする側面を理想化した姿が阿弥陀如来、仏法の教理を極める側面を現したのが大日如来という解釈もあるようだが・・・
    祈りの対象ではなく、美術品として仏像を鑑賞するにしても、少しは仏教のことを知っておいた方がよいのだろうな。

  • 鎌倉時代の菩薩像。如来は4人しかいないが菩薩は、観音、地蔵、弥勒、普賢、文殊、日光、月光・・・と自分が知っているだけでもこんなに大勢いる。<br />菩薩は、まだ修行中の仏で悟りを開ききっていない仏で、アクセサリーをいっぱいつけたりして豪華な衣服をまとっているので、シンプルな布切れだけの如来像とは、衣服をみれば区別が付くということのようだ。<br />この菩薩像は口元をよくみると、色あせているが朱を塗ったあとがあり、薄い水晶板が張られて唇のつやを表現している。鎌倉時代の仏像は、より写実的な彫像にしようという流れになっているようだ。

    鎌倉時代の菩薩像。如来は4人しかいないが菩薩は、観音、地蔵、弥勒、普賢、文殊、日光、月光・・・と自分が知っているだけでもこんなに大勢いる。
    菩薩は、まだ修行中の仏で悟りを開ききっていない仏で、アクセサリーをいっぱいつけたりして豪華な衣服をまとっているので、シンプルな布切れだけの如来像とは、衣服をみれば区別が付くということのようだ。
    この菩薩像は口元をよくみると、色あせているが朱を塗ったあとがあり、薄い水晶板が張られて唇のつやを表現している。鎌倉時代の仏像は、より写実的な彫像にしようという流れになっているようだ。

  • 平安時代前期の天王像。四天王の中のどの鬼神なのか?<br /><br />四天王とは、須弥山の中腹,東西南北の四方に住む鬼神で、東の持国天,南の増長天,西の広目天,北の多聞天 (毘沙門天 ) をいう。もともとはバラモン教の神話的な神であるが,仏教に取入れられてからは仏法の守護神とされる。

    平安時代前期の天王像。四天王の中のどの鬼神なのか?

    四天王とは、須弥山の中腹,東西南北の四方に住む鬼神で、東の持国天,南の増長天,西の広目天,北の多聞天 (毘沙門天 ) をいう。もともとはバラモン教の神話的な神であるが,仏教に取入れられてからは仏法の守護神とされる。

  • 涅槃像、すなわち釈迦の臨終を現した仏像である。<br />東南アジアの小乗仏教国では普遍的に見られる仏像で、現役時代、タイに出張した折に見学した寺院でも、よく見た仏像である。<br />日本では涅槃像を見るのは初めてだ。

    涅槃像、すなわち釈迦の臨終を現した仏像である。
    東南アジアの小乗仏教国では普遍的に見られる仏像で、現役時代、タイに出張した折に見学した寺院でも、よく見た仏像である。
    日本では涅槃像を見るのは初めてだ。

  • 刀剣の間に行こうとしたとき、入口のはるか前から行列ができている。しかも圧倒的に若い女性が多い。刀剣というとジイサンの趣味と思っていたので、ちょっと異様な光景だ。<br />そばで整理していたスタッフの女性に、なにゆえ若い女性がこんなに集まっているのか聞いてみた。どうやら、若い女性の間で、日本刀を擬人化したイケメン男性が登場するオンラインゲームが流行っていて、それで刀剣に興味を持っているのだそうだ。<br />調べてみたところ、どうやら「刀剣乱舞」(略してとーらぶ)というゲームらしい。太刀、脇差、短刀、薙刀などの刀剣類を若い男性に擬人化し、女性プレーヤー(女性でなくともよいが・・・)がそれらの男性たちを育成し部隊編成して敵と戦うというゲーム。イケメン男子を、自分の好みで操れるというのが、若い女性に受けているようだ。

    刀剣の間に行こうとしたとき、入口のはるか前から行列ができている。しかも圧倒的に若い女性が多い。刀剣というとジイサンの趣味と思っていたので、ちょっと異様な光景だ。
    そばで整理していたスタッフの女性に、なにゆえ若い女性がこんなに集まっているのか聞いてみた。どうやら、若い女性の間で、日本刀を擬人化したイケメン男性が登場するオンラインゲームが流行っていて、それで刀剣に興味を持っているのだそうだ。
    調べてみたところ、どうやら「刀剣乱舞」(略してとーらぶ)というゲームらしい。太刀、脇差、短刀、薙刀などの刀剣類を若い男性に擬人化し、女性プレーヤー(女性でなくともよいが・・・)がそれらの男性たちを育成し部隊編成して敵と戦うというゲーム。イケメン男子を、自分の好みで操れるというのが、若い女性に受けているようだ。

  • 特に刀剣の間の入口が大混雑。<br />「三日月宗近(むねちか)」という、平安時代後期の京都三条に住んでいた宗近という刀工が拵えた名刀が展示されている。刀剣乱舞ゲームの中では、特にレアな美男子アイテムで、人気度が高いのだそうだ。ちなみにゲームを通じて日本刀に興味を持つ女性を刀剣女子というらしい。<br />国宝に指定されていて撮影禁止なのだが、それにお構いなく携帯で撮影する刀剣女子多数。スタッフの女性が「写真は撮らないで下さい!」と連呼していた。<br /><br />写真の刀は、三日月宗近の隣に展示されていた尻懸則長という鎌倉時代の刀。<br /><br />

    特に刀剣の間の入口が大混雑。
    「三日月宗近(むねちか)」という、平安時代後期の京都三条に住んでいた宗近という刀工が拵えた名刀が展示されている。刀剣乱舞ゲームの中では、特にレアな美男子アイテムで、人気度が高いのだそうだ。ちなみにゲームを通じて日本刀に興味を持つ女性を刀剣女子というらしい。
    国宝に指定されていて撮影禁止なのだが、それにお構いなく携帯で撮影する刀剣女子多数。スタッフの女性が「写真は撮らないで下さい!」と連呼していた。

    写真の刀は、三日月宗近の隣に展示されていた尻懸則長という鎌倉時代の刀。

  • 長船兼光という太刀。14世紀南北朝時代の備前の刀工の作。戦国の武将、福島正則が所持していたことがあり、福島兼光という銘もある。<br />

    長船兼光という太刀。14世紀南北朝時代の備前の刀工の作。戦国の武将、福島正則が所持していたことがあり、福島兼光という銘もある。

  • 刀身の鍔に近いところに竜の彫刻が施されている。こういうものを見ると日本刀は立派な美術品だということに納得する。

    刀身の鍔に近いところに竜の彫刻が施されている。こういうものを見ると日本刀は立派な美術品だということに納得する。

  • カタツムリの形をした目貫。<br />目貫とは、刀身と柄を繋いで固定する目釘を覆う金具のこと。装飾性が高く、江戸時代になると、次第に凝った造作が施されるようになった。太平の世になり、日本刀は純然たる武器から美術工芸品的要素が強まった。<br />

    カタツムリの形をした目貫。
    目貫とは、刀身と柄を繋いで固定する目釘を覆う金具のこと。装飾性が高く、江戸時代になると、次第に凝った造作が施されるようになった。太平の世になり、日本刀は純然たる武器から美術工芸品的要素が強まった。

  • 波に鴎図笄。<br />笄(こうがい)というのは、、髪を掻き揚げて髷を形作る装飾的な結髪用具。女性が髪型を崩さずに痒いところを掻くなどの身だしなみの小道具だが、武士は、これを脇差の鞘につけて持ち歩き、髷を整えるときに使っていた。

    波に鴎図笄。
    笄(こうがい)というのは、、髪を掻き揚げて髷を形作る装飾的な結髪用具。女性が髪型を崩さずに痒いところを掻くなどの身だしなみの小道具だが、武士は、これを脇差の鞘につけて持ち歩き、髷を整えるときに使っていた。

  • 鍔。もともとは、刀身と柄の間につけて、戦闘時、突いたとき手が滑って刀身の方にずれるのを防いだり、つばぜり合いのとき、相手の刀から手を保護するものだったが、これもまた江戸時代になると装飾性が強くなってくる。<br /><br />鍔、笄、目貫など、日本刀は刀装品がたくさんあって美術工芸品的要素が強い。刀剣女子にとっては、これらの刀装は、アクセサリー感覚で楽しめるものなのだろう。

    鍔。もともとは、刀身と柄の間につけて、戦闘時、突いたとき手が滑って刀身の方にずれるのを防いだり、つばぜり合いのとき、相手の刀から手を保護するものだったが、これもまた江戸時代になると装飾性が強くなってくる。

    鍔、笄、目貫など、日本刀は刀装品がたくさんあって美術工芸品的要素が強い。刀剣女子にとっては、これらの刀装は、アクセサリー感覚で楽しめるものなのだろう。

  • 刃文が美しい脇差。<br /><br />展示されている日本刀は、いずれも数百年以上経っているのに、全く輝きを失っていない。驚くべき作刀の技術である。また、美術工芸品として大切に維持保管されてきた賜物であろう。<br />

    刃文が美しい脇差。

    展示されている日本刀は、いずれも数百年以上経っているのに、全く輝きを失っていない。驚くべき作刀の技術である。また、美術工芸品として大切に維持保管されてきた賜物であろう。

  • 刀剣の間から陶磁器の展示室に移動すると、このとおり閑散としている。

    刀剣の間から陶磁器の展示室に移動すると、このとおり閑散としている。

  • 黒楽茶碗。<br /><br />楽家4代目、一入の作で、銘は「かのこ斑」。連れ合いがいれば、色々と薀蓄を垂れるのだろうが、一人で見ているので、ざっと見て終わり。

    黒楽茶碗。

    楽家4代目、一入の作で、銘は「かのこ斑」。連れ合いがいれば、色々と薀蓄を垂れるのだろうが、一人で見ているので、ざっと見て終わり。

  • 志野茶碗。<br />釉薬の下に、鉄絵具で下絵を描き、焼き上げたあと、うっすらと釉薬の下に絵が浮かび上がっているのが特徴。志野茶碗で初めて確立した技法だという。

    志野茶碗。
    釉薬の下に、鉄絵具で下絵を描き、焼き上げたあと、うっすらと釉薬の下に絵が浮かび上がっているのが特徴。志野茶碗で初めて確立した技法だという。

  • 織部焼きの香炉。<br />織部独特の緑色が味わい深い。

    織部焼きの香炉。
    織部独特の緑色が味わい深い。

  • 鎌倉時代の甲冑「白糸威鎧(しろいとおどしのよろい)」という銘がついている。<br />島根県の日御崎神社に伝わっていたもので、江戸時代は源頼朝の甲冑と言われていたそうだ。

    鎌倉時代の甲冑「白糸威鎧(しろいとおどしのよろい)」という銘がついている。
    島根県の日御崎神社に伝わっていたもので、江戸時代は源頼朝の甲冑と言われていたそうだ。

  • これは、白糸威鎧の修理のための絵図面

    これは、白糸威鎧の修理のための絵図面

  • 忠臣蔵で有名な江戸城本丸御殿松の廊下の障壁画の下絵。<br />御用絵師、狩野探淵らが描いた作品。時代劇「忠臣蔵」では、大振りの松が描かれた場面として登場することが多いが、実際には、こんな小振りの松だったというのが興味深い。

    忠臣蔵で有名な江戸城本丸御殿松の廊下の障壁画の下絵。
    御用絵師、狩野探淵らが描いた作品。時代劇「忠臣蔵」では、大振りの松が描かれた場面として登場することが多いが、実際には、こんな小振りの松だったというのが興味深い。

  • 明治時代に作られた工芸品としての花瓶やつぼ。いずれも当時欧米で開催された博覧会に出品するために作られた作品。こうした工芸品は、まだ工業が未熟な日本で、貴重な外貨を稼ぐ輸出品として盛んに作られた。<br />やがて、生糸などの軽工業が立ち上がってくると、こうした工芸品は外貨獲得の主役から降り、作家も減ってしまった。<br />歴史にifはないが、このような工芸作家が、その後も活躍し続けていたら、日本の工芸美術の歴史は変わっていたに違いない。

    明治時代に作られた工芸品としての花瓶やつぼ。いずれも当時欧米で開催された博覧会に出品するために作られた作品。こうした工芸品は、まだ工業が未熟な日本で、貴重な外貨を稼ぐ輸出品として盛んに作られた。
    やがて、生糸などの軽工業が立ち上がってくると、こうした工芸品は外貨獲得の主役から降り、作家も減ってしまった。
    歴史にifはないが、このような工芸作家が、その後も活躍し続けていたら、日本の工芸美術の歴史は変わっていたに違いない。

  • 本館2階の特別1室で展示されていた鳥獣戯画の明治時代の模写。<br />鳥獣戯画は、平成の修理以前に明治14年にも修理が行われ、そのときに精密な模写が山崎董詮という人物によって作られている。<br />一番人気が高い甲巻は、特別展では、一挙公開ではなく2つに分けて前期後期と別々に展示されていて、それぞれ、のこりは写真パネル展示だけだったそうだが、こちらは一挙公開されている。空いているのでたっぷり時間をかけて見放題、撮影し放題だ。連れ合いの話では、2時間半並んで、見ることができた時間は3分もなかったという。<br />本物とどう違うのか比較のしようもないが、模写でも十分楽しめた。

    本館2階の特別1室で展示されていた鳥獣戯画の明治時代の模写。
    鳥獣戯画は、平成の修理以前に明治14年にも修理が行われ、そのときに精密な模写が山崎董詮という人物によって作られている。
    一番人気が高い甲巻は、特別展では、一挙公開ではなく2つに分けて前期後期と別々に展示されていて、それぞれ、のこりは写真パネル展示だけだったそうだが、こちらは一挙公開されている。空いているのでたっぷり時間をかけて見放題、撮影し放題だ。連れ合いの話では、2時間半並んで、見ることができた時間は3分もなかったという。
    本物とどう違うのか比較のしようもないが、模写でも十分楽しめた。

  • こちらは特に有名なシーン。<br />中段の蛙とウサギの相撲では、蛙がウサギの足にかけて投げ倒そうとしている。これぞ、蛙掛けの原型?(実際の相撲でもかわづがけという技がある!)ウサギの耳に噛みつくのは反則だ!<br />下段 ウサギを投げ飛ばし、喝采して喜ぶ蛙たち。<br /><br />

    こちらは特に有名なシーン。
    中段の蛙とウサギの相撲では、蛙がウサギの足にかけて投げ倒そうとしている。これぞ、蛙掛けの原型?(実際の相撲でもかわづがけという技がある!)ウサギの耳に噛みつくのは反則だ!
    下段 ウサギを投げ飛ばし、喝采して喜ぶ蛙たち。

  • 2階の年代別展示の各部屋をざっと見て回る。<br />まずは、縄文、弥生、古墳時代。縄文式土器、銅鐸、埴輪がそれぞれの時代を象徴している。

    2階の年代別展示の各部屋をざっと見て回る。
    まずは、縄文、弥生、古墳時代。縄文式土器、銅鐸、埴輪がそれぞれの時代を象徴している。

  • 山口県柳井市の古墳から発掘された4世紀古墳時代の青銅鏡。古代の青銅鏡というと、三角縁神獣鏡が有名である。魏志倭人伝に邪馬台国の女王卑弥呼が魏の皇帝から下賜されたという記述がある青銅鏡ではないかという、あの青銅鏡だが、残念ながら展示はなかった。

    山口県柳井市の古墳から発掘された4世紀古墳時代の青銅鏡。古代の青銅鏡というと、三角縁神獣鏡が有名である。魏志倭人伝に邪馬台国の女王卑弥呼が魏の皇帝から下賜されたという記述がある青銅鏡ではないかという、あの青銅鏡だが、残念ながら展示はなかった。

  • 日本で発掘された唯一の猿の埴輪。茨城県行方市の古墳から出土したものだという。

    日本で発掘された唯一の猿の埴輪。茨城県行方市の古墳から出土したものだという。

  • 観音菩薩立像。白鳳時代の作。薬師寺東院堂に安置されている仏像だが、これは昭和になって製作された模写品。本物は薬師寺にあり、国宝である。<br />均整がとれたプロポーションで、薄い衣の下から足がのぞいているスタイルは、インドのグプタ朝の影響を受けているという。<br />観音菩薩は、普通、右手を上げているが、この観音菩薩は左手を上げているのが珍しい。

    観音菩薩立像。白鳳時代の作。薬師寺東院堂に安置されている仏像だが、これは昭和になって製作された模写品。本物は薬師寺にあり、国宝である。
    均整がとれたプロポーションで、薄い衣の下から足がのぞいているスタイルは、インドのグプタ朝の影響を受けているという。
    観音菩薩は、普通、右手を上げているが、この観音菩薩は左手を上げているのが珍しい。

  • 飛鳥時代の如来像。法隆寺献納宝物の一つで、唯一の木像だという。<br />法隆寺宝物殿の見学ができなかったが、ここでようやく、そのうちの一つに巡り会えた。

    飛鳥時代の如来像。法隆寺献納宝物の一つで、唯一の木像だという。
    法隆寺宝物殿の見学ができなかったが、ここでようやく、そのうちの一つに巡り会えた。

  • 鎌倉時代の運慶の流れを汲む仏師の作と考えられている阿弥陀如来像。<br />連れ合いの実家の近くの裾野市願生寺伝来の仏像というので、思わず立ち止まってじっくりと鑑賞した。<br />

    鎌倉時代の運慶の流れを汲む仏師の作と考えられている阿弥陀如来像。
    連れ合いの実家の近くの裾野市願生寺伝来の仏像というので、思わず立ち止まってじっくりと鑑賞した。

  • 京都の清水寺の縁起絵巻。室町時代の作

    京都の清水寺の縁起絵巻。室町時代の作

  • 狩野元信作と伝えられる屏風絵。室町時代の作品。それ以前に雪舟など禅寺所属の画僧が描いていた水墨画を狩野派など専門絵師集団が担うようになった時期である。

    狩野元信作と伝えられる屏風絵。室町時代の作品。それ以前に雪舟など禅寺所属の画僧が描いていた水墨画を狩野派など専門絵師集団が担うようになった時期である。

  • おまけ<br /><br />連れ合いの鳥獣戯画好みを示す我が家の茶碗。湯呑み2つと抹茶茶碗。<br />しかし、この茶碗でお茶を飲ませてもらったことはないな〜・・・

    おまけ

    連れ合いの鳥獣戯画好みを示す我が家の茶碗。湯呑み2つと抹茶茶碗。
    しかし、この茶碗でお茶を飲ませてもらったことはないな〜・・・

  • 2時間半の行列の末、わずか3分の本物の鳥獣戯画鑑賞のあと、売店で連れ合いがゲットした鳥獣戯画グッズ。<br />箸置き、便箋、封筒、絵葉書などなど。箸置きは、この後毎食、我が家のテーブルに置かれている。

    2時間半の行列の末、わずか3分の本物の鳥獣戯画鑑賞のあと、売店で連れ合いがゲットした鳥獣戯画グッズ。
    箸置き、便箋、封筒、絵葉書などなど。箸置きは、この後毎食、我が家のテーブルに置かれている。

  • 最後は、新橋に移動し、久しぶりに姪との再会。<br />高級食材をふんだんに使った一流シェフの手による料理を格安で提供するが、立ち食いでフレンチを食べるというスタイルで話題になった「オレのフレンチ」へ。<br />さすがに立ち食いでは落ち着かないので、座ることができる「オレのフレンチTable Taku」に予約を入れておいた。<br />乾杯用にオーダーしたシャンパンにびっくり! あふれんばかりになみなみと注いでくれる。まるで居酒屋の枡酒と同じ。こういうお得で飾らないスタイルは好きだな〜

    最後は、新橋に移動し、久しぶりに姪との再会。
    高級食材をふんだんに使った一流シェフの手による料理を格安で提供するが、立ち食いでフレンチを食べるというスタイルで話題になった「オレのフレンチ」へ。
    さすがに立ち食いでは落ち着かないので、座ることができる「オレのフレンチTable Taku」に予約を入れておいた。
    乾杯用にオーダーしたシャンパンにびっくり! あふれんばかりになみなみと注いでくれる。まるで居酒屋の枡酒と同じ。こういうお得で飾らないスタイルは好きだな〜

  • フォアグラ、ウニ、ブランド牛など高級食材をふんだんに使った料理の数々。評判に違わず、最高の味。ちょっと気取ったフレンチの店より、味はよく、コスパも抜群!<br />お気に入りのレストランリストに加わったのであった。

    フォアグラ、ウニ、ブランド牛など高級食材をふんだんに使った料理の数々。評判に違わず、最高の味。ちょっと気取ったフレンチの店より、味はよく、コスパも抜群!
    お気に入りのレストランリストに加わったのであった。

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  • 白い華さん 2015/06/21 21:40:38
    私も、 「東博・・・の 刀女子」に、驚き!マシタ。 (笑)
    今晩は。
    玄白さん、 ずいぶん前に、フォロー!して、頂きながら、御礼に あがれず、申し訳、御座いませんでした。
    今後とも、よろしくお願いします。

    さて・・・。
    私も、5月下旬・・・の、平日。上野 『 東京 国立博物館 』 に、行ったんです。
    何処でも、出掛けていそう・・・な 私。 実家!が この ご近所!なのに、何と・・・「人生 初めて!の 「東博 入場」でした」 (♪)

    玄白さんの 奥様が 並んでまで・・・ご覧になった 『 鳥獣戯画 展 』 は、 この日・・・は、「3時間半 〜 4時間 待ち」って アナウンスされていました。
    私は、興味なし!なので、 「一般展示だけ」でした。が、
    その 現代的な 展示方法。 内容の 見事さ!に 圧倒された・・・「東博」と なりました。
    玄白さんも、 久しぶり・・・の 「東博」を 楽しんだ。とのこと。
    良かったですよね〜。 やっぱり、「日本の お宝!を 一番・・・所持しているだろう 場所」は、 違いますね。
    そして、「法隆寺・館など」 見られなかった・・・のは、 私も 一緒!で 残念でした。

    私も、「日本刀 コーナー」には、 若い! 『 刀・女子 』 が 群がり、 写真撮影を して、 並んで待っている。
    この 光景!に、 驚き・・・ました。 (笑)
    最近は、 若者に 広がって欲しい・・・ならば、 「バーチャルの 世界」から・・・。なんですね〜。
    確か!に。。。 「刀 コーナー」の 他。では、 若い!女の子、 別段、見なかったデスヨネ。

    この日、「芸大前」で 「東博・入り口」が わからず・・・困っている! フランス人・老夫婦が 居りまして、「今・・・見てきたばかり!の 東博へ・・・と 連れてってあげました」。
    おふたり!は、 「日本刀」が 見たいんだそう。で、「刀 女子!が 多いよ。写真を 撮りまくっているわよ」と、英語で 伝えておきました。 
    大混雑!の 「刀 コーナー」を じっくり・・・見られただろうか ?

    来月は、「フランス ドイツ。オランダなど・・・の ヨーロッパ旅行!に、 姉妹で 旅します」。
    玄白さんの、いつも・・・素晴らしい〜!腕前の お写真。 感心しながら、拝見させてもらい、楽しんでいます。

    玄白

    玄白さん からの返信 2015/06/22 14:17:58
    RE: 私も、 「東博・・・の 刀女子」に、驚き!マシタ。 (笑)
    白い華さん、こんにちは



    > 玄白さん、 ずいぶん前に、フォロー!して、頂きながら、御礼に あがれず、申し訳、御座いませんでした。

    → こちらこそ、勝手にフォローしたまま、メールでご連絡も差し上げず、失礼しました。今後ともよろしくお願いします。

    白い華さんも東京国立美術館に行かれたんですか。鳥獣戯画の混雑、刀剣女子の密集状況など、おんなじですね。むしろ、待ち時間3〜4時間ということでは、もっと激しい混雑だったんですね。
    日本刀は美術品としても鑑賞に値するものなので、外国人が興味を示すのも頷けますね。

    来月はヨーロッパ旅行ですか! いいですね。楽しんできてください。旅行記も楽しみにしています。

    玄白


  • こあひるさん 2015/06/17 19:45:35
    なんであんなに混んでる・・・?
    師匠、こんばんは。

    鳥獣戯画展、少し前のTVでは、5時間待ちとか言ってました〜。

    3月のみちのく仏像展のあとには、この鳥獣戯画展だという予告を見て、これはそんなに混まないだろうな〜なんて思っていたら・・・なんでこんなに混んじゃってるの〜〜〜ってビックリ仰天です。

    巻物なので、いっぺんに多人数の人が見れないってこともあるのでしょうが・・・私でも150分待ちだったら、止めちゃいますね〜。

    東京は・・・何のイベントでも集まる人数・・・桁が違います(←すっかり地方の雰囲気に馴染んでしまった・・・)。

    最近は、TVでやたら刀女子の特集をやっていますが、やっぱり混んでるんですねぇ〜〜〜。ゲームの影響のキャラクターということらしいですが、影響が凄すぎ・・・ですね。まぁ、その気持ちはわからなくはないですが・・・。

    法隆寺宝物館は残念でしたね〜。来年3月まで閉館ですが、再オープンとなったら、また見に行きたいです。どう変わっているか・・・楽しみ。

    オレのレストラン、テーブル席のところもあるんですね!!わが家も、いくら安くてもスタンドはなぁ・・・と思っていたので、いい情報ありがとうございます。

    こあひる

    玄白

    玄白さん からの返信 2015/06/18 14:25:55
    RE: なんであんなに混んでる・・・?
    こあひるさん、こんにちは

    国立博物館の集客力は、すさまじいものがありますね。もう展示オープンして、だいぶ経っているので、高々20、30分くらいの待ち行列だろうなんて、タカをくくってましたが、とんでもない勘違いでした。

    刀剣女子って、そんなに話題になってるんですか? TVはあまり見ないので知りませんでした。

    法隆寺宝物館は、こあひるさんの博物館巡り旅行記を拝見してから気になっていました。来年3月にならないと見られないので、こあひるさんの詳細旅行記を待ちます。投稿はいつ頃になりますかね〜〜(^ ^)

    玄白

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