1994/05/15 - 1994/05/22
277位(同エリア389件中)
北風さん
裏情報では、オーストラリアで「隠れベスト・ツアー」との噂も高いツアーだった。
ただし、裏情報だけあって、「3日間カヌーで川を下るツアー」という非常に大まかなアウトラインだけしか掴んでいないのも事実。
とりあえず、バックパッカーにてツアーを申し込んだ際に、「食料は自分で用意する事!」と言い渡される。
・・・「ツアー」という言葉が、何から何までお膳立てしてくれる事を意味する日本から、俺は遥か遠くに来ている。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- 船
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
-
「俺が今回のドライバーのボブだ!」
バックパッカーで、期待に胸を膨らませて待っていた俺達の前に出現した大男のデブはそう言い放った。
今回は、3日間のキャンピングと言う事で、それだけの間の食料を買い込んだ車内は超満員状態!
しかも、背後にはカヌーを3隻も引っ張っている。
2時間ほど走っただろうか?
車は、ものすごい勢いで水を放出している湖畔?に到着した。
・・・ダム? -
旅日記
『カヌー・ツアー?放置プレー?サバイバル訓練?』
赤ら顔のおっちゃんが、ダムの入り口で車を止めた。
どうやら、ここが出発地点らしい。
手際よくカヌーを浮かべ、買い込んだ食糧を積み込む。
カヌーは1人乗りが一艘と、2人乗りが2艘という組み合わせだった。
当然一番年長者の俺が1人乗りを授かった。
生まれて初めての、MYカヌーだ。
満足そうに微笑むおっちゃんは、
「地図にキャンプ場が記してある。俺が作った場所だ。」
「じゃぁ、3日後に下流で待っているぞ」
と叫ぶや否や、さっさと消えてしまった。
まだカヌーの漕ぎ方さえも知らない素人観光客を前に、惚れ惚れするくらいに無責任な退場の仕方だった。
・・・つまり、このガイドなしに自力で3日間カヌーを漕ぎ続けて生還する内容らしい。
現在おっちゃんの手渡した地図を皆で広げている。
地図は「手書き」だった。
まるで小学生の書いた宝物の地図みたいな稚拙さだ。
おまけに、3日間のスケジュールまで、うっとりするくらいにシンプルに示されている。
・・・誰か教えてくれ!この地図の縮尺はどれぐらいなんだ?
これはカヌー・ツアーなのだろうか?
それともサバイバル訓練なのか? -
最初は皆、興奮していた。
確かに大自然の中を誰にも指図されずに、好き勝手に冒険できるのだから気分もハイになる。
が、しかし、あれから5時間、既に、一つの言葉しか口に出さなくなった。
「キャンプ場はどこ?」
キャンプ場の目印に、おっちゃんは、川に突き出した岩にバッテンをつけていると言っていた。
・・・俺たちが馬鹿だったのかもしれない。
こんな川幅の広い場所で、あちこちから突き出している岩の中から、たった一つの人工物を見つける事がどういう事か想像すらしなかった。 -
「あれか?」
誰かが叫んだ!
川沿いの岩に、もはや消えかかった赤いペンキで、確かにバッテンらしきものがつけてある。
よく見つけたもんだ。
俺達はついているかもしれない。
地図では、そのバッテンのそばの小川の奥に、キャンプ場があると記されている。
もはや、宝探しそこのけのアドベンチャーになってきた。
俺達は、日が暮れる前に、今夜の宿泊予定地を探さなければ、何が出てくるか判らない湿地帯で夜を迎えなければならない。 -
小川は先に進むにしたがって、どんどん狭くなっていく。
あれほど澄んでいた川の水は、茶色くよどんで、もはや映画でワニが住む川岸そっくりになってきた。
完全なジャングルだ。
・・・本当にここら辺に、キャンプ場はあるのだろうか? -
これ以上は先に進めない所まで来ても、未だキャンプ場らしき空き地は見当たらない。
もうすぐ日が沈む。
ほかを探している暇はなかった。
俺達は上陸する事にした。
・・・今度は探検らしい。 -
太陽は既に西へ大きく傾き始めていた。
キャンプ場の存在を信じる俺達の自信も、大きく傾き始めている。
ジャングルには変なケモノの鳴き声があちこちで・・・
一瞬、インドネシアのジャングルと記憶が重なってしまった。
キャンプ場はいずこに?
カヌーツアーに参加していたはずなのだが、やっている事は完全にジャングル探検になってきた。
木々をかき分けていくうちに猫の額ほどの平地を発見!
よく目を凝らすと、人の足跡があちこちに残っている。
多分ここがキャンプ場だろう。
いや、ここをキャンプ場に決めた!
(もう動きたくない!)
とりあえず、すぐに、男はテント設営に、女性は夕食の準備にとりかかる。
何から何まで手作りのツアーだ。
全ての準備を終えて空を見上げると、サザンクロスが夜空に張り付いていた。
さて、夜が始まる。 -
ジャングルの中で響き渡る不気味な鳴き声をBGMに、どうにか無事に2日目の朝を迎える事ができた。
さすがに2日目ともなるとカヌーの漕ぎ方もコツがわかってくる。
流れは穏やか、天気は快晴、このツアーの内容も理解できて、皆、気持ちに余裕がでてきたようだ。
唯一つの不安を除いては・・・
カヌーを寄せて、皆でおやつを食べる時、誰かがついに話し出す。
「それで、今夜のキャンプ場はどこ?」 -
おっちゃんのくれた手書きの地図には、こうもりの落書きがしてあった。
あの川岸でギャーギャー鳴いている鳥がそうなんだろうか?
地図には「Fruit Bat」と書いてある。
この国で覚えた知識の中に、確かそのこうもりは別名「Flying Fox」と呼ばれていた気がする。
近づくにつれ、木にぶら下がっている物体の大きさがわかってきた。
確かに空飛ぶきつねだ。でかい!
・・・と、言う事は、あと少しでキャンプ場があるはずだが。 -
やった!
今回は楽勝で岩の目印を見つけた!
しかもこのキャンプ場は、2つの川が交わる三角州みたいな所に位置しているらしい。
見晴らしが非常に良い!
川面が夕陽で真っ赤に染まってきた。
大自然が、本当にきれいだ。 -
旅日記
『ナイト・カヌー』
川面にはでっかい月が浮かんでいた。
カヌーが音も無く水面を滑っていく。
月明かりに照らされた川岸は、息を呑むほどに幻想的な美しさを見せているが、俺達の神経は半径4m内に集中していた。
「ワニを探しに行きませんか?」
和夫君のこの言葉に反応した自分を、今少し後悔している。
よく考えてみれば、こんな水面とほとんど変わらない喫水線を持つカヌーに乗って、やることじゃないかもしれなかった。
耳の奥では、「ズン、ズン、ズン、」と、ジョーズの音楽が流れ出す。
・・・かなり怖い! -
夜中に野良カンガルーが辺りを爆走していたらしいが、そんな事など気にもせず俺は熟睡していたらしい。
皆は少々寝不足気味らしく、腫れぼったいまぶたをしていた。
そして俺は、俺は・・・
「ドナルドダックになっていた!」
「何だ?この唇は!」
原因は多分、熟睡していた為、この国の元気一杯の蚊に刺されても気がつかなかったかららしい。 -
昨夜は気がつかなかったが、キャンプ場の端っこにトイレがあった。
・・・確かにトイレだとは思うが・・・ -
イチオシ
ツアー最終日、重度の日焼けで心身ともにオーバーヒートしている中、人工的な川岸が見えてきた。
どうやら、ゴールは近いらしい。
一漕ぎ、一漕ぎ、胸がわくわくした時間が思い出される。
このツアー、オーストラリアのベストツアーだったかも。
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