2010/11/25 - 2010/11/25
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akkiy363672さん
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手付かずの大自然が残る「大杉谷」…。吉野熊野国立公園にあって、清流日本一の宮川の最上流部が紀伊山地に深い谷を刻む渓谷です。
登山道は、三重・奈良両県境にある大台ケ原の日出ケ岳(1694.9メートル)と、宮川ダム最奥の大台町大杉とを結ぶ全長14.1キロですが、2004年9月の台風21号による豪雨で、山ひとつが動いたというほどの土石流被害を受け、ズタズタに分断されて通行禁止となりました。
比較的交通の便の良い奈良県側、大台ケ原からの約4キロは05年5月に復旧しましたが、深い山奥で滝やつり橋などが多い三重県側は、復旧が難航し、入山禁止が続いていました。
それが、今年の10月1日、三重県側からの登山道の一部4.5キロが、6年ぶりに開通したのです。ところが、11月末には今シーズンを終え、また閉山されるとのこと…。
天候とも相談して、今日しかない…と行って来ました。
【写真は、登山口から約2時間、「千尋(せんひろ)滝」です。】
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
午前6時、出発。伊勢道から、紀勢道を南へ走ります。
← 午前6時40分、紀勢道の「奥伊勢PA」を
過ぎたところ。
三瀬谷から朝霧が湧き上がってきています。
もうすぐ「大宮大台インター」です。 -
6時45分、インターを降りてからは国道42号を少し松阪方面へ戻り、大台警察署の前の交差点を左折して、県道31号に入ります。
← 大台警察署から上流へ約30Km、7時30分に「宮川ダム」堤に着きました。 -
ダムからさらに5分ほど上ったところに、「大杉谷乗船場」があります。
ふもとから上ってくるバスはここまで…。自動車はさらに上の第3発電所まで行くことができますが、車でなくてさらに奥を目指す人たちは、ここから舟に乗ることになります。
登山道が全面開通していない現在は、予約以外、舟は運航を休止しています。 -
大杉乗船場から最奥部の第3発電所までは直線で5.2Km…、実際の走行距離は9.5Kmほどあります。
車の対向はできない、細い山道が続きます。
← 途中にあるトンネルです。車一台がやっとの広さです。 -
途中、ダム湖を渡る通称「赤橋」。
この橋を渡ると、道は県道53号になります。 -
道は細く、さらに奥へ…。
-
午前8時10分、第3発電所に着きました。
近くの、道が少し膨らんだところへ車を停めます。 -
靴を履き替え、身支度が整ったら、出発です。
「登山届」を忘れないように…。
← 第3発電所の左脇を抜けて、その奥の階段を上ると、登山道の入り口です。 -
登山口を入ってすぐにある標識。
奈良県側終点の「日出ヶ岳」まで14Km(大台ケ原駐車場までは16.5Km)、1泊2日の行程です。
1日目の宿泊地点である「桃の木小屋」までは、6Kmですね。
章くんは、その手前、現在開通している範囲の最奥地点、「シシ渕」を目指します。 -
大杉谷登山道の全容を、途中の大杉乗船場(バス終着地点)にあった看板で説明しておきましょう。
右側の発電所マークが、登山道の出発点の「第3発電所」です。ここから、⑤「桃の木小屋」までが1日の行程で、「桃の木小屋」から、左端にあるP「大台ケ原駐車場」までの8.5Kmが2日目の行程です。
奈良県側から三重県側への行程が全体的には下り道になりますから、「大台ケ原駐車場」から出発する人が多いようです。 -
上の図の一部を切り取って、今日の章くんの行程をアップしておきます。
第3発電所を出発して、①「大日場コ(だいにちぐら)」・大日嵓吊り橋・龍谷吊り橋・奈良谷出合・日浦杉吊り橋・水越谷出合・②「千尋滝(せんひろだき)」(ここまで3.9Km、2時間とあります。)、そして更に40分で③「シシ淵」に到着の予定です。
登山口からシシ渕までは約4.5Km。大台ケ原登山道全行程の4分の1ほどです。
章くん、昨夜プリントアウトした登山道の地図を忘れてきました。そこで、この案内図をパチリ…! -
入り口に、「大杉谷登山道は遊歩道ではありません。毎年、死亡事故が出ている厳しい登山道です。捜索費用は起因者負担となりますので、十分な装備で、注意して行動してください」と書いた看板が立てられていました。
提出してきた「登山届」に、「遭難したら、捜索は結構です」と書いてくるべきだったか』と、ふと思う章くんでした。
歩き始めてすぐ、早速に命の危険を感じさせられました。
少ない経験しかありませんが、西穂高や木曽駒・仙丈ケ岳などでは、しんどいなぁとは思ったけれど、登山道を歩いていて命の危険を感じさせられたことはありませんでした。
← ところが、ここ大杉谷は、険しい斜面に人が踏み跡を記していった、細い登山道が続いていて、踏み外すと谷へ転落する箇所が続きます。 -
大日?の岸壁を削ってつけられた登山道…。
右手に鎖がつけられています。足場はゴツゴツした、岩を削った足幅ほどの広さの細い道…。足を滑らせたり、踏み外せば、10数m下の川へ転落です。 -
絶壁を抜けても、鎖場は続きます。
-
鎖場のあとは、岩がゴロゴロしている歩きにくい道です。
たしかに、遊歩道じゃないな…と実感! -
振り返ると、切り立った岩肌が見え、その底を川が流れています。
これが、「大日?(だいにちぐら)」なのですね。
(「くら」は山カンムリに品と書きます)
「?」とは、「山の岩石」という成り立ちの「嵒」の異体字で、三省堂「全訳漢辞海」によれば、「大きな岩、切り立った崖」という意味があるとか。
絶壁、岩盤を削って流れる川の景観が見られる、ビューポイントです。 -
木の根を越えて…。
-
岩盤が階段状に続いています。
滑らないように…。 -
最初の吊り橋が現れました。
「大日?吊り橋」です。 -
吊り橋は、とても頑丈なものに架け替えられています。かつて起こった「吊り橋事故」を踏まえて、三重県が二度と損害請求をされないために…と整備したものです。
大杉谷吊り橋事故とは、『1979年9月15日 登山サークル一行(ほとんどが初心者)52名が、老朽化した吊橋を「通行は一人ずつ」との警告板を無視し10人ずつ渡った結果、ケーブル2本のうち1本が切断し1名が墜落死亡、1名が重傷を負った。そのサークルは、1泊2日で行程を組んでいたため、当該吊橋で待たされると日没までに山の家に到着しなくなることを恐れ、前に渡っている登山客が制止するにもかかわらず通行した。(本事故に関して、サークルリーダーの刑事責任は不問とされた。)
遺族は、三重県と国に対し、国家賠償訴訟を神戸地裁に起こした。神戸地裁は、三重県には吊橋の管理に瑕疵があり、国には吊橋の設置管理費用負担者の責任がある、一方死亡者にも警告板を無視した過失があるとして3割を減額した賠償を命じた判決を下した。
(下へ、つづきます。) -
(上からのつづき)
この判決に原告・被告とも控訴した。 特に被告側は、裁判官が被告側の要求する現地検証を拒否し、登山道を「ハイキングコースであり、スカートやヒールでの登山客もいる。」と認定するなど大きな事実誤認をしたと主張した。控訴審では、被告側の主張を一部入れ、死亡者の過失割合を4割に増やした。被告の上告を受けた最高裁では、国を費用負担者と認定せず、三重県には上告棄却(敗訴)、国には原審破棄(勝訴)の判決を下した。
本件を契機として、環境庁は登山道の安全に神経を尖らせ、多くの登山道が通行禁止となり、自然保護団体からは自然破壊と評されるほどの登山道整備を行った。
大杉谷登山道も、岩盤に発破をかけるまでの自然に負荷を掛ける方法で登山道を整備しなおし、1983年に再開された。』(ウィキペディアフリー百科より)とあります。
この登山道をハイキングコースと認定した神戸地裁の裁判官は、どうかしていますね。
← 写真を斜めに撮っているんじゃないんですよ。 斜面はこのように急勾配に傾いていて険しく、木々も斜めに生えいてます。
この傾斜についている、落ち葉が降り積もった細い道を行くのですから、一歩一歩、緊張しながらの歩みです。 -
途中、こんなすばらしい紅葉にお目にかかることもできます。
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高所恐怖症の章くん、恐ろしいけれども下を見ると、白い岩肌が輝いて見えました。
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さすがは清流日本一…、澄んだが流れています。
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どれほどの透明度かというと、上からアップで撮った写真でも、川底が透けて見えています。
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2番目の吊り橋が現れました。
「龍谷吊り橋」です。 -
吊り橋を渡りきったところの階段を降りていったところ、「龍谷川原」です。
ここで午前9時40分、写真を撮りながらのブラブラ歩きで、登山口から1時間10分かかっています。
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また岩場の道が続きます。
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「地獄谷つり橋」でしたか。
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大きな岩がゴロゴロ…。山の上から、流れ出してきたのでしょうね、
大岩を越えていきます。 -
やがて道は、河原へ降りていきます。
右側に見えるように、石が組まれた歩きやすい道が作られていますt@、「冠水時は通行禁止」と書いてありました。
少し雨が降ると、水面下へ沈んでしまう道なのでしょう。
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「奈良谷出合」です。 奈良谷という渓谷が、宮川本流に合流する箇所ですね。
ここまで、登山道の入り口から2.1Km。時刻は10時35分ですから、2時間かかっています。 -
急傾斜の斜面に、細い道がつづきます。
先を行く人は、直立して歩いています。それに対して、この傾斜のきついことがご理解いただけるでしょう。木々も、斜めに生えています。
足を踏み外さないように、滑らさないように、…。 -
「日浦杉吊り橋」。頑丈な鉄骨造りにつけかえられています。
絶対に落ちることはない…という造りですね。 -
橋の上から、上流をパチリ!
大杉谷の深さがうかがわれます。 -
またまた断崖を削った道が…。
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やがて、対岸に幾段もの滝が現れました。
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視線を上げると、木々の枝の向こう、山の中腹にも白いしぶきが見えています。
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しばらく行くと、山の上から岩肌を伝う大きな流れが目に飛び込んできました。
「千尋滝(せんひろたき)」です。流れは、この山の上から中腹伝い、行く筋にも分かれて谷へと流れ落ちているのです。
ここまで、登山口から3.9Km。時刻は11時45分、標準では2時間とありましたが、章くんは3時間15分かかっています。 -
滝が見える位置に、小屋が作られていました。
お昼ご飯を食べました。 -
小屋を出発してからしばらくは、千尋滝が見えています。
途中で出会ったベテランさんは、「今日は水量が少ないですね」と言っていました。
いつもは、もっと轟々(ごうごう)と水が落ちているのだとか。 -
千尋滝を過ぎると、道が厳しくなります。
ここまでも細い鎖場の道など危険な箇所の連続で、慎重な歩みが求められましたが、ここからはアップダウンも一層きつく、巨大な岩が行く手を阻みます。 -
きれいな水辺の見える曲がり角で休憩しました。
時刻は午後0時35分、千尋滝を出発してから30分が経っています。
目指すシシが渕までは、千尋滝から標準で40分ほどの行程だそうです。章くんならば、70分といったところでしょうか。とすれば、半分ぐらいは来ているわけです。あと数百mでしょう。
しかし、このまま進めば、順調に行ってシシが渕到着は午後1時10分ごろ…。朝、登山口を入ってから4時間40分かかっています。
だから、シシが渕を1時30分に出たとしても、登山口に戻るのは午後6時になります。
だとすれば、山道で日暮れを迎えて、帰りは真っ暗…。 「ここまで!」と判断して、引き返すことにしました。 -
帰途、余裕が出来たのでしょうか、道辺の紅葉の美しさが目にしみます。
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アップで…。
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今朝、章くんたちとこの登山道へ入ったのは4組でした。
奈良谷出合付近で、4組目の2人連れに追い越され、章くんたちは、いよいよ大杉谷に残っている、最後のパーティになりました。 -
紅葉の大木…。
白い岩、青い流れなどと、こんな美しい箇所が次々と現れますから、カメラを向けねばならないし、章くんの足取りはついつい遅くなります。 -
道の厳しさは、帰り道ももちろん変わりません。岩に打たれた鎖をたぐり、這うように降りていきます。
帰り道は足も疲れていて、踏ん張りが利かなくなっていたりします。よろめいたり、足を滑らせたりすれば、谷底へ滑落してしまいます。
より慎重に、確かめるように一歩一歩を運びます。 -
午後4時、大日?が見えてきました。
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しかし、まだ息を抜くわけにはいきません。
鎖の張られた岩場は、この写真のように、足幅ひとつだけの削られた道を行かねばなりません。 -
最後の鎖場、岸壁をくりぬいた道です。
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そして、午後4時15分、車に戻りました。
もう、章くんの車がただ一台残っているだけです。 -
暮れていく大杉谷…。
帰り道に見たダム湖は、深いエメラルドブルーの水を湛えていました。 -
程なく山道には暗闇が垂れ込めて、谷は静かに夜の底に沈んでいきます。
-
午後5時10分、ダムに明かりが灯りました。
大杉谷は、深い眠りにつきます。
手つかずの大自然が色濃く残る大杉谷は、命を以って向き合わなくてはならない山でした。足を滑らせれば、谷に滑落する登山道がつづきます。
いつかまた、シシが渕まで歩いてみたいと思っています。
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