1994/10/16 - 1994/10/16
71位(同エリア129件中)
北風さん
自分の中の中国と言えば、パンダでも北京ダックでも麻雀でもなく、この「万里の長城」だった。
ガイドブックには、「月から見える唯一の人口建造物」と記されているぐらい壮大なスケールの城、正確には英語で「LONG WALL」と称されるように城壁だけらしいが、それでも海からゴビ砂漠まで続くとんでもない長さの壁は、バックパッカーの好奇心を大いに刺激させる。
とうとう万里の長城観光が現実になった時、実は長城観光ポイントは、何箇所かあるという事を知った。
一番メジャーなポイントは「八達嶺」らしい。
「慕田峡」は最近整備されたばかりとの事で、あえて誰も知らない「慕田峡」へ行く事にした。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
<「慕田峡」>
有名な万里の長城の観光ポイント「八達嶺」とは違い、最近整備された「慕田峡」は、意外と観光客も少なく、中国には珍しいのんびりとした空気が漂っていた。
うーん、さすが建物が新しい! -
駐車場から頂上入り口までは、ケーブルカーが繋がれていた。
つまり、かなり山の上まで行かなければならないらしい。
チケット売り場のおばちゃんが、当然のごとくケーブルカーのチケットも込みで売ってきたが、体力でカバーできる事に資金を投入するバックパッカーはいない。
当然のごとく、登山道を教えてもらった。 -
ケーブルカーの代金をケチった事を後悔し始めた頃、やっと、城壁が見えてきた。
さすが、他民族を退ける為に築かれただけあり、城壁が高い! -
心臓がばくばく言っている叫びを聞きながら、長城にたどり着いた。
これは・・・ -
何て言ったらいいんだろう?
すごいなんてもんじゃない。
遠く山の彼方まで、白い壁がのたうつ様に続いている。
この景色が見れるなら、ちょっと眩暈がするぐらいのハードな登山もその価値があった。 -
とうとう万里の長城に立った!
ん?
このまま西を目指して壁を歩いていけばゴビ砂漠まで行ける? -
人は目の前に一本道があると、それをたどるものらしい。
足が自然と動き出す。 -
さすが、最近整備されただけあり、石畳が整然と並んでいる。
道幅も車が通れるぐらい広い。
しかし、この緩急入り乱れた坂道は何だろう?
見上げる様な上り坂、落下しそうな下り坂が永遠に続いている気が・・・ -
城壁には所々に、見張り小屋のような「こぶ」がついていた。
-
とりあえず、あの見張り小屋までたどり着いたら休もう。
きりがない。 -
見張り小屋は、なんと3階建てだった。
-
好奇心にかられて1階まで降りると、石つくりの窓から別方向にのびる城壁を発見!
城壁は見張り小屋を基点に、四方に枝分かれしているらしい。 -
小屋の裏にも城壁らしき盛り土があった。
どうやら、メインの城壁以外は、まだ整備されていないらしい。
ここから見ると、小屋は意外と立派な要塞に見える。 -
所々崩れ落ちた石畳が続き始める。
城壁の上も、もはや草木が生い茂りだした。
だめだ!
観光ルートは外れたら、遭難ルートになりそうだ。 -
振り返ると、自分の歩いてきた道が、山間をのたうつ蛇のように続いていた。
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既に1時間以上は歩いていた。
進行方向から帰ってきた白人ツーリストに聞くと、この先は立ち入り禁止になっているとの事。
しかし、城壁自体は遠くの山の彼方まで続いている。
振り返れば、遠く下方に俺が入ってきた観光用入り口が霞んで見えた。 -
立ち入り禁止のその先は、月から見える唯一の人口建造物を草木が覆い隠し始めていた。
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降りかかる歳月に残骸と化しながらも、頂上は現在もその姿を山間に刻んでいた。
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再び、北京駅へもどってきた。
既に北京観光も終えた俺が次に目指すのは西安。
その名の通り、西への移動が始まる! -
旅日記
『西へ』
さすが、中国を代表する北京駅。
構内は、3階分ぐらいの吹き抜けの空間に、ぴかぴかに磨き上げられた石板が敷き詰められていた。
なんとなく厳かな気分になってしまうのは、社会主義の建築物独特の雰囲気があるせいだろうか?
それにしても、ものすごい人ごみだった。
新宿のラッシュ・アワーそっくりだ。
ただし不思議な事に、この集団からはほとんど話し声が聞こえてこなかった。
ここにいるのは、あの国民全て難聴じゃないかと思われるほど、大声で叫びあう漢民族のはずなんだが。
どうしたんだろう?皆、ひそひそと声をひそめながら足早に動き回っている。
俺は西へ向かいたかった。
今回の目的地は「西安」だ。
うれしい事に、この駅には外国人専用窓口がある為、この国に来て初めて列に並んで待っていた。
どうやら、他の列車が到着したみたいだ。
隣の地元民の列が早くも崩れ出す。
割り込み、押し込み、殴り倒しで、我先に殺到する人々が改札口を目指しだした。
やはり、列を作ると言う行動自体、中華思想に反する事らしい。
「ピィーッ」と甲高い笛の音が構内に響き渡る。
数人の駅員が、集団に割って入ってきた。
どうやって、あの本能に忠実な方々を止めるんだろうと思っていると、不思議な事に駅員の行く手の人々が手で頭をかばいながら逃げようとしている。
なんと駅員は、でかい警棒で乗客を殴り倒していた。
恐るべし、共産主義!
いろんなシチュエーションがあるだろうが、今現在、ここと刑務所との違いはわずかなものだと思う。 -
旅日記
『中国のトイレ事情』
男は、苛立ちを指先と靴先でアピールしながら、じっと俺を見据えていた。
右手に握り締めたちり紙がしわくちゃに潰される。
そして、俺は・・・
俺は便器にしゃがんでいた。
中国のトイレ事情は聞きしに勝るものだった。
昔は、地面に穴を掘った場所に、ロープが張ってあり、用を足した人々は、このロープを股間にはさんで排泄物を拭いていたらしい。
さすがに現代は、下水道が完備され、そんな所は無かったが、それでもこのトイレ事情は驚嘆に値するものだった。
普通、何処の国でもトイレは個室に近い作りになっている。
が、しかし、今俺のしゃがんでいるトイレには、腰の高さまでの仕切り以外、さえぎる物は見当たらなかった。
しかも、混雑しているトイレで唯一空いていたこの便所にはドアが無かった。
(まぁ、田舎に行けばドアが無いのは普通の事なのだが)
昨日の野菜炒めが俺の腹をぐるぐる言わせている。
衆人環視の下、お腹を下す事になろうとは!
しかし、状況は待ったをかけられるものではなかった。
派手な音と共に、俺の残り少ない文明人としてのプライドが、下水に流れていく。
先程まで、苛立ちを隠そうともせず、順番を待っていた男が口を開いた。
「ニー・ハオ・マー?(元気か?)」
・・・俺は、現在、心身ともに元気じゃない。
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