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「中国」<br />日本人にとって、非常に身近な国でもあり、日本文化のベースにもなっている国だった。<br />未だ足を踏み入れた事は無くとも、東南アジアのどの国にもチャイナ・タウンはあるし、中華料理を知らない旅行者はいないだろう。<br /><br />しかし、いくら自分の名前を漢字で書けても、ギョウサと肉まんで育ったとしても、「中国」という国自体にそれほどの興味が持てなかったのも事実だった。<br />何故だろう?<br />全く違う環境に憧れる旅行者としては、あまりにも身近に感じてしまうからだろうか?<br />まぁ、興味があろうと無かろうと、ユーラシア大陸の大半を占めるこの国を通過する事無く、アフリカを目指す事は難しい。<br />「旅行者」として興味が無くても、「大陸横断バックパッカー」としては、この国への入国は必然だった。<br /><br />ベトナムのハノイを出発した列車が、中国国境を目指してひた走る中、以前長期旅行者に言われ事が台詞がこだましている。<br /><br />「中国とインドを旅できれば、世界中、旅できない所は無い!」<br /><br />・・・つまり、ハードな旅行になるわけだ。

中国入国物語 <日本の漢字教育に感謝した日>

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1994/09/06 - 1994/09/06

174位(同エリア262件中)

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北風

北風さん

「中国」
日本人にとって、非常に身近な国でもあり、日本文化のベースにもなっている国だった。
未だ足を踏み入れた事は無くとも、東南アジアのどの国にもチャイナ・タウンはあるし、中華料理を知らない旅行者はいないだろう。

しかし、いくら自分の名前を漢字で書けても、ギョウサと肉まんで育ったとしても、「中国」という国自体にそれほどの興味が持てなかったのも事実だった。
何故だろう?
全く違う環境に憧れる旅行者としては、あまりにも身近に感じてしまうからだろうか?
まぁ、興味があろうと無かろうと、ユーラシア大陸の大半を占めるこの国を通過する事無く、アフリカを目指す事は難しい。
「旅行者」として興味が無くても、「大陸横断バックパッカー」としては、この国への入国は必然だった。

ベトナムのハノイを出発した列車が、中国国境を目指してひた走る中、以前長期旅行者に言われ事が台詞がこだましている。

「中国とインドを旅できれば、世界中、旅できない所は無い!」

・・・つまり、ハードな旅行になるわけだ。

同行者
一人旅
交通手段
鉄道 タクシー
  • 旅日記<br />『中国へ <ベトナム出国編>』<br /><br />ハノイから中国国境の街「ドンダン」へ向かう夜行列車の座席は、本当に木のベンチだった。<br /><br />おかげで背中には、まだ木目の入れ墨が刻まれたままだ。<br /><br />ドンダンの駅前は、とても中国との国境とは思えないほど寂しい場所だった。<br />さて、中国国境へはどう行けばいいんだろう?<br />

    旅日記
    『中国へ <ベトナム出国編>』

    ハノイから中国国境の街「ドンダン」へ向かう夜行列車の座席は、本当に木のベンチだった。

    おかげで背中には、まだ木目の入れ墨が刻まれたままだ。

    ドンダンの駅前は、とても中国との国境とは思えないほど寂しい場所だった。
    さて、中国国境へはどう行けばいいんだろう?

  • 「それは無理だろう」と言いたくなるほど、トラックに荷物を積み込んでいるドライバーに尋ねてみた。<br />彼は無言で、目の前にそびえたつ山を指差した。<br /><br />・・・あの山の向こうなのか?<br /><br />どうやって行けばいいんだ?

    「それは無理だろう」と言いたくなるほど、トラックに荷物を積み込んでいるドライバーに尋ねてみた。
    彼は無言で、目の前にそびえたつ山を指差した。

    ・・・あの山の向こうなのか?

    どうやって行けばいいんだ?

  • 朝もやの中をトコトコと山道を登る事にした。<br />ドライバーは、時々山賊が出るから気をつけろとアドバイスまでしてくれたが、他に手段が無いから仕方ない。<br /><br />山道を登っていると、バイクに乗った少年が背後から近づいて来るのに気づいた。<br /><br />・・・「山賊か?、でもそれにしては1人だぞ」<br /><br /><br />少年が、1ドルで峠まで乗せていってやると言い出した。<br />あまりにもいいタイミング、ちょっと怪しい!<br />いや、国境付近は治安が悪いのが普通だから、もっと疑ってもいいのかもしれない。<br /><br />しかし、どうも悪ガキには見えない。<br />いつでも飛び降りれる用意をして、荷台に腰を乗せた。<br /><br />それから、峠まではあっという間だった。<br />バイクは、老朽化した2階建ての建物の前で止まった。<br /><br />ここが、ベトナム出入国管理事務所らしい。<br /><br />1994年9月6日、ベトナム出国!<br /><br />中国国境はここから山道を10分ほど歩いた所にあるという。<br />いざ、中国へ!

    朝もやの中をトコトコと山道を登る事にした。
    ドライバーは、時々山賊が出るから気をつけろとアドバイスまでしてくれたが、他に手段が無いから仕方ない。

    山道を登っていると、バイクに乗った少年が背後から近づいて来るのに気づいた。

    ・・・「山賊か?、でもそれにしては1人だぞ」


    少年が、1ドルで峠まで乗せていってやると言い出した。
    あまりにもいいタイミング、ちょっと怪しい!
    いや、国境付近は治安が悪いのが普通だから、もっと疑ってもいいのかもしれない。

    しかし、どうも悪ガキには見えない。
    いつでも飛び降りれる用意をして、荷台に腰を乗せた。

    それから、峠まではあっという間だった。
    バイクは、老朽化した2階建ての建物の前で止まった。

    ここが、ベトナム出入国管理事務所らしい。

    1994年9月6日、ベトナム出国!

    中国国境はここから山道を10分ほど歩いた所にあるという。
    いざ、中国へ!

  • 旅日記<br />『中国へ <中国入国編>』<br /><br />1994年9月6日11:00am、俺は整地もされていない山道を歩いていた。<br /><br />今朝6:00am 汽車がベトナム国境の街に到着してから、休まずに動き続けている事になる。<br />寝不足の身体に山登りはこたえる。<br />「何故こんな山の中に出入国国境を作ったんだろう」と言う疑問がそろそろ怒りに変わってきていた。<br />もし、5分前に通過したベトナム国境管理事務所が無かったら、本当にただのトレッキングにしか見えない。<br /><br />どれぐらい経ったんだろう?<br />山道が広くなってきた。<br />そして、カーブを曲がりきると、そこには・・・<br /><br /><br />竜宮城に案内された浦島太郎の気持ちがわかった気がする。<br /><br />

    旅日記
    『中国へ <中国入国編>』

    1994年9月6日11:00am、俺は整地もされていない山道を歩いていた。

    今朝6:00am 汽車がベトナム国境の街に到着してから、休まずに動き続けている事になる。
    寝不足の身体に山登りはこたえる。
    「何故こんな山の中に出入国国境を作ったんだろう」と言う疑問がそろそろ怒りに変わってきていた。
    もし、5分前に通過したベトナム国境管理事務所が無かったら、本当にただのトレッキングにしか見えない。

    どれぐらい経ったんだろう?
    山道が広くなってきた。
    そして、カーブを曲がりきると、そこには・・・


    竜宮城に案内された浦島太郎の気持ちがわかった気がする。

  • 遊園地のアトラクション会場にある様なゲートがそびえていた。<br />立派な石が敷き詰められた道、冗談のような城門、先程のベトナム国境管理事務所の粗末さと比べ物にならない。<br /><br />ビシッとスーツを着込んだ男性がこちらに向かって歩いてきた。<br />満面の笑顔を浮かべて、問いかける。<br /><br />「日本人の方ですね。こちらでパスポートを提示してください」<br /><br />・・・おもいっきり日本語だった。<br />一体何が起こっているんだろう?<br />シンガポールで知った中華系の人間のイメージがガラガラと崩れていく。<br />中国の人は実はもの凄く親切なんだろうか?<br />それとも、俺は誰かと勘違いされているのだろうか?<br /><br />狐につままれた気持ちのまま、あっという間に入国手続きが終わってしまった。<br />驚くべき事に、俺が話した言葉は日本語だけだった。<br />こんな田舎の国境に、C3PO並の通訳能力を持った管理官がいるとは!<br /><br />1994年9月6日、俺は4000年の歴史の国へ足を踏み入れた。

    遊園地のアトラクション会場にある様なゲートがそびえていた。
    立派な石が敷き詰められた道、冗談のような城門、先程のベトナム国境管理事務所の粗末さと比べ物にならない。

    ビシッとスーツを着込んだ男性がこちらに向かって歩いてきた。
    満面の笑顔を浮かべて、問いかける。

    「日本人の方ですね。こちらでパスポートを提示してください」

    ・・・おもいっきり日本語だった。
    一体何が起こっているんだろう?
    シンガポールで知った中華系の人間のイメージがガラガラと崩れていく。
    中国の人は実はもの凄く親切なんだろうか?
    それとも、俺は誰かと勘違いされているのだろうか?

    狐につままれた気持ちのまま、あっという間に入国手続きが終わってしまった。
    驚くべき事に、俺が話した言葉は日本語だけだった。
    こんな田舎の国境に、C3PO並の通訳能力を持った管理官がいるとは!

    1994年9月6日、俺は4000年の歴史の国へ足を踏み入れた。

  • 国境からミニバスに乗り込んでたどり着いた、中国最初の駅だった。<br />なんと読む名前なのだろう?<br /><br />がしかし、そんな事はどうでも良かった。<br />とにかく、観光客の多い「桂林」に向かわねば!<br />英語が通じる場所で、落ち着いてこの国のルールを知ってからでないと、この国では身動きが取れない気がする。<br />

    国境からミニバスに乗り込んでたどり着いた、中国最初の駅だった。
    なんと読む名前なのだろう?

    がしかし、そんな事はどうでも良かった。
    とにかく、観光客の多い「桂林」に向かわねば!
    英語が通じる場所で、落ち着いてこの国のルールを知ってからでないと、この国では身動きが取れない気がする。

  • 日本と似た切符売り場で、窓口のおねーちゃんに尋ねる。<br />「Can I have a ticket to go to 桂林?」<br /><br />・・・当然の如く通じなかった。<br /><br />見る見るうちに苛立ちを見せ始めたおねーちゃんに、対抗できる武器は、世界に名だたるジャパニーズスマイル!<br /><br />満面の笑顔で、行き先「桂林」とだけ書いた紙を見せる。<br />おね-ちゃんが頷いた。<br /><br />「おおおっ!」俺は漢字で筆談している!<br />生まれて初めて日本の漢字教育に感謝した瞬間だった。<br /><br />今までコミュニケーションの道具として、「英語」という白人ツーリストの独壇場だった世界が、「漢字」という日本人に有利なステージに変わった!<br />いけるかも?中国。<br />

    日本と似た切符売り場で、窓口のおねーちゃんに尋ねる。
    「Can I have a ticket to go to 桂林?」

    ・・・当然の如く通じなかった。

    見る見るうちに苛立ちを見せ始めたおねーちゃんに、対抗できる武器は、世界に名だたるジャパニーズスマイル!

    満面の笑顔で、行き先「桂林」とだけ書いた紙を見せる。
    おね-ちゃんが頷いた。

    「おおおっ!」俺は漢字で筆談している!
    生まれて初めて日本の漢字教育に感謝した瞬間だった。

    今までコミュニケーションの道具として、「英語」という白人ツーリストの独壇場だった世界が、「漢字」という日本人に有利なステージに変わった!
    いけるかも?中国。

  • 非常に順調に滑り出した中国旅行だった。<br />あまりにも順調すぎてちょっと怖い。<br /><br />大丈夫か?本当に俺は桂林に向かっているのだろうか?<br /><br />列車の窓からは、日本の秋吉台のようなカルスト地形による奇岩、奇峰が見えてきた。<br />桂林のガイドブックに出てきた奇岩だ。<br /><br />いいぞ!

    非常に順調に滑り出した中国旅行だった。
    あまりにも順調すぎてちょっと怖い。

    大丈夫か?本当に俺は桂林に向かっているのだろうか?

    列車の窓からは、日本の秋吉台のようなカルスト地形による奇岩、奇峰が見えてきた。
    桂林のガイドブックに出てきた奇岩だ。

    いいぞ!

  • <南寧><br /><br />今日の目的地「南寧」はとんでもなく都会だった。<br />なんと、駅ビルまである。<br />周りに奇岩がそびえてなければ、日本と勘違いしそうだった。<br /><br />ガイドブックの地図を頼りに、中国に入って初めての宿探しを始める。<br /><br />だが・・・<br />地図上ではほんの数ブロック先にあるはずなのだが、なんと、40分もかかった。<br /><br />さすが中国というものだろうか?<br />信じられないぐらい1ブロックが広大だ。

    <南寧>

    今日の目的地「南寧」はとんでもなく都会だった。
    なんと、駅ビルまである。
    周りに奇岩がそびえてなければ、日本と勘違いしそうだった。

    ガイドブックの地図を頼りに、中国に入って初めての宿探しを始める。

    だが・・・
    地図上ではほんの数ブロック先にあるはずなのだが、なんと、40分もかかった。

    さすが中国というものだろうか?
    信じられないぐらい1ブロックが広大だ。

  • 次の日、あろう事か寝坊してしまった。<br />案の定、桂林行きの切符が売り切れている。<br /><br />途方に暮れていると、香港人と名乗る男が現れ、キャンセルする切符を買わないかと言ってきた。<br />普通なら神に感謝する場面だろうが・・・<br />怪しい!<br />怪しすぎる!<br />しかし、他に道は無かった。<br />中国初めての運試しと思って買ってみた。<br /><br />信じられない事に、すんなりと列車に乗れた自分がいた。<br /><br />何だろう?<br />要所、要所にお助けアイテムが隠されている気がする。<br /><br />偶然?<br />それとも、ツイている?<br />それとも、びっくりカメラ?<br /><br />

    次の日、あろう事か寝坊してしまった。
    案の定、桂林行きの切符が売り切れている。

    途方に暮れていると、香港人と名乗る男が現れ、キャンセルする切符を買わないかと言ってきた。
    普通なら神に感謝する場面だろうが・・・
    怪しい!
    怪しすぎる!
    しかし、他に道は無かった。
    中国初めての運試しと思って買ってみた。

    信じられない事に、すんなりと列車に乗れた自分がいた。

    何だろう?
    要所、要所にお助けアイテムが隠されている気がする。

    偶然?
    それとも、ツイている?
    それとも、びっくりカメラ?

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