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《中国列車の硬臥、その上段ベッドの恐るべき実態》<br /><br />待合室からプラットホームに降りると、そこには長い長い列車が、どっしりと重々しく停車していた。<br />謎の「加1車」は、あるとすれば一番端っこではないだろうか?<br />と類推した僕は、バックパックを背負って、小走りに、プラットホームの端へとずんずんすすむ。<br />ホームの端にいくと、他とまったく変わらない列車があって客車への昇り口のところに「加1」と書いた札がさしてあった。<br />つまり、普通の客車だったんだね。<br />「なーんだ」と言わずに、この情報の素晴らしさを考えて欲しい。<br />日本人というものは、正直、気が小さく、臆病な民族だ。<br />海外旅行に出るといえば、ホテルが満室ではないだろうか、列車の切符は取れるだろうか、レストランを調べていかないと飢え死にするのではないかと、心配ばかりしている。<br />そんなに心配ばかりするなら、いっそのこと海外旅行なんかに出ない方が精神的にいいだろう、と思うほどだ。<br />そういう心配性の日本人は、列車の切符を取るために、高い手数料を払ってわざわざ日本から予約したりする。<br />ところが日本から切符を手配して、その切符に「加1車」とあった場合、どんな列車なんだろうと考えて考えて、悩んで悩んで、病気になってしまって、旅そのものに出かけられない可能性だってあるわけだ。<br />ところが、僕の証言によって、日本で初めて「加1車」は普通のちゃんとした客車だとわかったわけだ。<br />つまり、これはすごい情報なんだよ。<br />僕の旅行記は、思想的に深いというだけではない。<br />さらに、実際に情報たっぷりで(まあ、隠している情報はもっとすごいんだけどね)本当に役に立つってことが、これで証明されたんだよね。<br />僕はヨーロッパ風の低いプラットホームから、客車に乗り込み、自分のベッドを捜す。<br />僕のベッドは「20号上舗」となっていて、上段のベッドだ。<br />ここで書いておくが、中国の寝台車は、昔の日本の国鉄の「B寝台」みたいに、昼間は座席で、夜になると寝台になるなんて、そんな生易しいものじゃないよ。<br />中国の寝台車は、最初から最後まで、昼間も夜も寝台車のままなんだ。<br />ということはだね、下段のスペースは大きく取ってある。<br />だって、昼間に下段に座ったときに、頭が中段のベッドにの底にぶつかっては困るからね。<br />それはそれでいいだろう。<br />しかしそのしわ寄せは、どこかに行かざるを得ず、中段と上段のベッドの間のスペースが犠牲になる。<br />さらには、上段のベッドと天井のスペースは、限りなくゼロに近くなるってわけだよ。<br />つまり、僕が寝ることになる上段のベッドと天井の間隔は非常に狭くて、寝た状態で腰から起き上がろうとすると、すぐに天井に頭がぶつかる。<br />足を伸ばして腰を曲げた状態では頭が起き上がらないんだ。<br />ほとんど寝たきり状態で、身体をひねり、ねじりして、通路側にあるはしごに足をかけて、通路まで降りることになる。<br />体力のない人なら一度寝たら、起きられないだろうね。<br />僕は歳の割には一応トレーニングなどをしているので、まだ少し体力が残っている。<br />しかし、ある程度の年齢になれば、上段のベッドに寝るのは止めた方がいいだろう。<br />寝たきりになって、到着駅で引っ張り降ろされるまで、動けない可能性もあるからね。<br />また、もちろん、上段のベッドに落下防止ベルトなどという気の利いたものはない。<br />寝相の悪い人の中にはベッドから落っこちる人もいるだろうしね。<br />この中国の硬臥について、以前のガイドブックなどでは激しい論争が繰り広げられた。<br />旅行経験の長い人たちの中には、この論争を記憶している人もいるかもしれない。<br />下段のベッドはスペースも広く、荷物をベッドの下に収納できるばかりか、窓側の小さなテーブルを占有状態に出来るので居心地がいい。<br />もちろん、はしごでベッドに登る必要もないしね。<br />ただ昔は、「昼間は上段や中段の人が下段のベッドに遠慮なく座っていて、下段では自分が寝たいときに横になれない」という問題点を指摘する人もいたようだ。<br />しかし最近は、中国の人もそんなにあつかましくないようで、下段のベッドにどかんと座り込んで動かない、ということは見かけられなかった。<br />通路側の窓のところには、とても小さなテーブルと、それをはさんで折りたたみ式の椅子が壁に作り付けになっている。<br />中段上段の乗客はそれを使うのだが、当然、数が少ないので、昼間は居場所がないってこともあるわけだよね。<br />だから、僕としては、やはり下段のベッドを取るのがいいと思う。<br />ただ、1人で旅行するときは、荷物の管理も面倒だし、どうしても他の人と顔をあわせるので、人間関係が面倒かもしれない。<br />上段のベッドで寝ていれば、誰にも邪魔されず、自分の世界に閉じこもることも出来るので、それもいいだろう。<br />下から手を伸ばしてもベッドの奥に届かないので、荷物の管理もいくらか安全だろうしね。<br />僕が1999年にアジアを横断したとき、北京西駅から成都まで、やはり二泊三日の旅に出た。<br />このときは、美人女子大生の外見純子さんといっしょで、二人とも敢えて上段のベッドを指定して取ったものだった。<br />2人で行ったのは、トイレに行ったり席を離れたりするときに、荷物を見てもらえると思ったからだ。<br />また、列車の中でいろいろな話ができて、女子大生さんとぐっと親密になる可能性もあった。<br />親しくなれば、成都のホテルでは同じ部屋に泊まれるかも(うふっ♪)というキモチもないわけではなかったんだよ。<br />ただ、上段だったので座ってゆっくり話をする状況がまったく出来ず、互いを深く知り合うことが出来なかったのは、今でも残念だね。<br />2人で旅行するなら、やはり下段がいいと僕は絶対にオススメしておきます。<br />3人ならば、上中下段を一並び取れば、昼は下段でみんなでゆったりと座って話も出来るし、とても快適でしょう。<br />僕のバックパックは、通路の上にある金属製のラックの上に置いた。<br />デイバッグを上段のベッドの枕の横に置く。<br />脱いだスニーカーは、バックパックを開けて、その中へ収納して鍵をかけ、車内ではサンダルを使うことにする。<br />ところがこのサンダルも、脱いだまま下段のベッドの下に置いていたら、誰かに蹴り出されて、一度行方不明になってしまった。<br />やっと見つけてからは、日本のスーパーマーケットの大きな袋の中にいれて、ベッドに持ち込むことにした。<br />上段のベッドから通路に降りるときは、まずビニール袋からサンダルを取り出して、からだをくねくねとさせて通路側に移動する。<br />はしごを降りながら、適当なところでサンダルを投げ落とし、そのサンダルの上に足を乗せるという、まあ、上海雑技団のような芸が必要とされたわけだよ。<br />ところで、中国や発展途上国の列車に外国人が1人で乗るときには、先進国ではほとんど問題にならない面倒なことがある。<br />それがわかるかな。<br />実は、前回、女子大生の外見さんを襲ったのがその大変な問題だった。<br />それで、僕が外見さんを利用してしまったので、外見さんが、僕に対してちょっと嫌いになったんだと思うんだけどさ。<br />この問題は、非常に奥が深く、海外旅行の本質に関わる問題なので、次回にじっくりと論じてみたいと思います。<br />お楽しみにね♪<br /><br />(「世界旅行者・海外説教旅」033)<br /><br />http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/sekkyo/033.htm<br />

上海~バンコク旅行記33話

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2002/07 - 2002/07

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みどりのくつした

みどりのくつしたさん

《中国列車の硬臥、その上段ベッドの恐るべき実態》

待合室からプラットホームに降りると、そこには長い長い列車が、どっしりと重々しく停車していた。
謎の「加1車」は、あるとすれば一番端っこではないだろうか?
と類推した僕は、バックパックを背負って、小走りに、プラットホームの端へとずんずんすすむ。
ホームの端にいくと、他とまったく変わらない列車があって客車への昇り口のところに「加1」と書いた札がさしてあった。
つまり、普通の客車だったんだね。
「なーんだ」と言わずに、この情報の素晴らしさを考えて欲しい。
日本人というものは、正直、気が小さく、臆病な民族だ。
海外旅行に出るといえば、ホテルが満室ではないだろうか、列車の切符は取れるだろうか、レストランを調べていかないと飢え死にするのではないかと、心配ばかりしている。
そんなに心配ばかりするなら、いっそのこと海外旅行なんかに出ない方が精神的にいいだろう、と思うほどだ。
そういう心配性の日本人は、列車の切符を取るために、高い手数料を払ってわざわざ日本から予約したりする。
ところが日本から切符を手配して、その切符に「加1車」とあった場合、どんな列車なんだろうと考えて考えて、悩んで悩んで、病気になってしまって、旅そのものに出かけられない可能性だってあるわけだ。
ところが、僕の証言によって、日本で初めて「加1車」は普通のちゃんとした客車だとわかったわけだ。
つまり、これはすごい情報なんだよ。
僕の旅行記は、思想的に深いというだけではない。
さらに、実際に情報たっぷりで(まあ、隠している情報はもっとすごいんだけどね)本当に役に立つってことが、これで証明されたんだよね。
僕はヨーロッパ風の低いプラットホームから、客車に乗り込み、自分のベッドを捜す。
僕のベッドは「20号上舗」となっていて、上段のベッドだ。
ここで書いておくが、中国の寝台車は、昔の日本の国鉄の「B寝台」みたいに、昼間は座席で、夜になると寝台になるなんて、そんな生易しいものじゃないよ。
中国の寝台車は、最初から最後まで、昼間も夜も寝台車のままなんだ。
ということはだね、下段のスペースは大きく取ってある。
だって、昼間に下段に座ったときに、頭が中段のベッドにの底にぶつかっては困るからね。
それはそれでいいだろう。
しかしそのしわ寄せは、どこかに行かざるを得ず、中段と上段のベッドの間のスペースが犠牲になる。
さらには、上段のベッドと天井のスペースは、限りなくゼロに近くなるってわけだよ。
つまり、僕が寝ることになる上段のベッドと天井の間隔は非常に狭くて、寝た状態で腰から起き上がろうとすると、すぐに天井に頭がぶつかる。
足を伸ばして腰を曲げた状態では頭が起き上がらないんだ。
ほとんど寝たきり状態で、身体をひねり、ねじりして、通路側にあるはしごに足をかけて、通路まで降りることになる。
体力のない人なら一度寝たら、起きられないだろうね。
僕は歳の割には一応トレーニングなどをしているので、まだ少し体力が残っている。
しかし、ある程度の年齢になれば、上段のベッドに寝るのは止めた方がいいだろう。
寝たきりになって、到着駅で引っ張り降ろされるまで、動けない可能性もあるからね。
また、もちろん、上段のベッドに落下防止ベルトなどという気の利いたものはない。
寝相の悪い人の中にはベッドから落っこちる人もいるだろうしね。
この中国の硬臥について、以前のガイドブックなどでは激しい論争が繰り広げられた。
旅行経験の長い人たちの中には、この論争を記憶している人もいるかもしれない。
下段のベッドはスペースも広く、荷物をベッドの下に収納できるばかりか、窓側の小さなテーブルを占有状態に出来るので居心地がいい。
もちろん、はしごでベッドに登る必要もないしね。
ただ昔は、「昼間は上段や中段の人が下段のベッドに遠慮なく座っていて、下段では自分が寝たいときに横になれない」という問題点を指摘する人もいたようだ。
しかし最近は、中国の人もそんなにあつかましくないようで、下段のベッドにどかんと座り込んで動かない、ということは見かけられなかった。
通路側の窓のところには、とても小さなテーブルと、それをはさんで折りたたみ式の椅子が壁に作り付けになっている。
中段上段の乗客はそれを使うのだが、当然、数が少ないので、昼間は居場所がないってこともあるわけだよね。
だから、僕としては、やはり下段のベッドを取るのがいいと思う。
ただ、1人で旅行するときは、荷物の管理も面倒だし、どうしても他の人と顔をあわせるので、人間関係が面倒かもしれない。
上段のベッドで寝ていれば、誰にも邪魔されず、自分の世界に閉じこもることも出来るので、それもいいだろう。
下から手を伸ばしてもベッドの奥に届かないので、荷物の管理もいくらか安全だろうしね。
僕が1999年にアジアを横断したとき、北京西駅から成都まで、やはり二泊三日の旅に出た。
このときは、美人女子大生の外見純子さんといっしょで、二人とも敢えて上段のベッドを指定して取ったものだった。
2人で行ったのは、トイレに行ったり席を離れたりするときに、荷物を見てもらえると思ったからだ。
また、列車の中でいろいろな話ができて、女子大生さんとぐっと親密になる可能性もあった。
親しくなれば、成都のホテルでは同じ部屋に泊まれるかも(うふっ♪)というキモチもないわけではなかったんだよ。
ただ、上段だったので座ってゆっくり話をする状況がまったく出来ず、互いを深く知り合うことが出来なかったのは、今でも残念だね。
2人で旅行するなら、やはり下段がいいと僕は絶対にオススメしておきます。
3人ならば、上中下段を一並び取れば、昼は下段でみんなでゆったりと座って話も出来るし、とても快適でしょう。
僕のバックパックは、通路の上にある金属製のラックの上に置いた。
デイバッグを上段のベッドの枕の横に置く。
脱いだスニーカーは、バックパックを開けて、その中へ収納して鍵をかけ、車内ではサンダルを使うことにする。
ところがこのサンダルも、脱いだまま下段のベッドの下に置いていたら、誰かに蹴り出されて、一度行方不明になってしまった。
やっと見つけてからは、日本のスーパーマーケットの大きな袋の中にいれて、ベッドに持ち込むことにした。
上段のベッドから通路に降りるときは、まずビニール袋からサンダルを取り出して、からだをくねくねとさせて通路側に移動する。
はしごを降りながら、適当なところでサンダルを投げ落とし、そのサンダルの上に足を乗せるという、まあ、上海雑技団のような芸が必要とされたわけだよ。
ところで、中国や発展途上国の列車に外国人が1人で乗るときには、先進国ではほとんど問題にならない面倒なことがある。
それがわかるかな。
実は、前回、女子大生の外見さんを襲ったのがその大変な問題だった。
それで、僕が外見さんを利用してしまったので、外見さんが、僕に対してちょっと嫌いになったんだと思うんだけどさ。
この問題は、非常に奥が深く、海外旅行の本質に関わる問題なので、次回にじっくりと論じてみたいと思います。
お楽しみにね♪

(「世界旅行者・海外説教旅」033)

http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/sekkyo/033.htm

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