ティンプー旅行記(ブログ) 一覧に戻る
通学路に、帰宅時間帯はもうわかった。後は、いかにカワイイ子をつかまえるかだ。<br /><br /> 僕はいま、パロの街外れの田んぼで待ち伏せをしている。その理由は、帰宅途中の小学生をつかまえて写真を撮らせてもらうためだ。<br /><br /> ブータン人といえば、ゴ(男性用)、キラ(女性用)と呼ばれる江戸時代の着物みたいな民族衣装が有名だ。パロやティンプーといった都会では、TシャツにGパンといったラフな格好をしている若者も多いが、ちょっと田舎にいけばこの伝統衣装を身にまとった人たちをまだまだ普通に見かけることができる。<br /><br /> なかでも小学生たちは通学用の決まった民族衣装があって、それが何よりカワイイのだ。写真を撮りたいとずっと思っていたものの、移動ばかりで写真に収めるチャンスがこれまでなかった。それで、今回念入りな下調べをした上で、じっと我慢の張り込みをしているというわけだ。<br /><br /> 待つこと数十分。いつの間にか足は蚊に食われまくっていた。いい写真を撮るためとはいえ、待ち続けるのも楽じゃない。ボリボリ掻いていると、来た!低学年のガキンチョ集団が。<br /><br /> んが、それはオトコ集団であった。悪いが、オジサンはオトコには興味がない。もっとカワイイ、オンナの子の写真を撮りたいのだ。<br /><br /> スルーしようとすれ違ったそのとき、ガキンチョの一人が僕のカメラを目ざとく見つけ、「フォト、フォト」と強請ってきたではないか。ちっ、仕方がない。はいチーズ、パシャ。ろくにピントも合わせず、とりあえずシャッターを切った。<br /><br />

カワイイ小学生限定カメラマン@ティンプー

2いいね!

2007/08/27 - 2007/08/27

113位(同エリア129件中)

0

3

フーテンの若さん

フーテンの若さんさん

通学路に、帰宅時間帯はもうわかった。後は、いかにカワイイ子をつかまえるかだ。

 僕はいま、パロの街外れの田んぼで待ち伏せをしている。その理由は、帰宅途中の小学生をつかまえて写真を撮らせてもらうためだ。

 ブータン人といえば、ゴ(男性用)、キラ(女性用)と呼ばれる江戸時代の着物みたいな民族衣装が有名だ。パロやティンプーといった都会では、TシャツにGパンといったラフな格好をしている若者も多いが、ちょっと田舎にいけばこの伝統衣装を身にまとった人たちをまだまだ普通に見かけることができる。

 なかでも小学生たちは通学用の決まった民族衣装があって、それが何よりカワイイのだ。写真を撮りたいとずっと思っていたものの、移動ばかりで写真に収めるチャンスがこれまでなかった。それで、今回念入りな下調べをした上で、じっと我慢の張り込みをしているというわけだ。

 待つこと数十分。いつの間にか足は蚊に食われまくっていた。いい写真を撮るためとはいえ、待ち続けるのも楽じゃない。ボリボリ掻いていると、来た!低学年のガキンチョ集団が。

 んが、それはオトコ集団であった。悪いが、オジサンはオトコには興味がない。もっとカワイイ、オンナの子の写真を撮りたいのだ。

 スルーしようとすれ違ったそのとき、ガキンチョの一人が僕のカメラを目ざとく見つけ、「フォト、フォト」と強請ってきたではないか。ちっ、仕方がない。はいチーズ、パシャ。ろくにピントも合わせず、とりあえずシャッターを切った。

PR

  •  次に来たのは、それを見ていた高学年の子供たち。またオトコだよ。もう野郎はいいっていうのに。プロレスみたいな真似事するから撮れ、撮れという。はいはい、チーズ、パシャ。さらにはアドレス書くから、写真を送れと面倒くさいことまで言ってきた。嫌々メモを交換していると、たくさんの女学生たちがやっと下校してきた。今度こそチャンス到来!野郎どもは退けっていうの。<br /><br /> ところが、女学生たちは恥ずかしがり屋が多く、写真を撮らせてというと「いやーん」と逃げてしまうのであった。そんなに僕というオッサンの姿が怖いのだろうか。「僕はそんなイヤらしいロリコンカメラマンじゃありませんよ。至って紳士の旅専門カメラーマンです」そう飛びっきりの笑顔で伝えているつもりなのだが、余計に怪しまれているらしく、相手にもしてもらえない。立ち止まってくれるのはオトコばかりで、結局、ガキどもの写真しか撮れやしない。<br /><br /> うーん、こうなったら物量作戦を展開するしかない。僕は、カバンからおもむろに飴ちゃんを取り出した。題して「飴ちゃんで釣って、写真を撮らせてもらう大作戦」。タイトルそのままの作戦だ。<br /><br /> この飴ちゃん作戦。アイデアはよかったのだが、僕のやり方がよくなかった。袋にいっぱい入った飴を無作為に配り始めたら、帰宅中の小学生たちが一気に群がって、僕の飴を奪って取っていくではないか。<br /><br /> ち、違う。僕はJICAでもボランチィアではないのら。この飴はカワイ子ちゃん限定の写真撮影見返り用の特別な飴なんだよ〜!<br /><br /> と叫んでも、時すでに遅し。手元の飴ちゃんは全てなくなっていた。モノがなくなった僕には誰も見向きもしてくれない。しくしく。ああ、哀愁漂うオジサンの背中は泣いているよ。田んぼの中、途方にくれる僕。「おーまいごっと。それはキリスト教だった。仏教ではなんていうのか。ブッダんのばか、ばか」とブータンでぶーたれてみる。<br /><br /> しかし、そんな僕に天使の手が差し伸べられた。「おじさん、写真撮ってよ」とカワイイ声。振り返ると、笑顔がとっても素敵なカワイイ姉妹がそこに立っていた。<br /><br /> おお、こういう優しい被写体をオジサンはずっと求めていたのよ。パシャ、パシャ。いいねぇ、いいねぇと篠山キシン張りに撮りまくる。チミタチはまさに天使だ。ありがとねー。<br /><br /> 結局、オンナの子の写真が撮れたのはこの1枚限り。撮影終了後になぜか僕のアドレスを手渡して別れた。チミタチならいつでも日本のモーニング娘に加入できるよ。なんならオジサンが今度つんくと話つけとくからね。と、実は心の中で思っていたりして。<br /><br /> 次は登校時をねらって行こう。ちなみに僕は変態変質者風カメラマンではありませんから。<br />

     次に来たのは、それを見ていた高学年の子供たち。またオトコだよ。もう野郎はいいっていうのに。プロレスみたいな真似事するから撮れ、撮れという。はいはい、チーズ、パシャ。さらにはアドレス書くから、写真を送れと面倒くさいことまで言ってきた。嫌々メモを交換していると、たくさんの女学生たちがやっと下校してきた。今度こそチャンス到来!野郎どもは退けっていうの。

     ところが、女学生たちは恥ずかしがり屋が多く、写真を撮らせてというと「いやーん」と逃げてしまうのであった。そんなに僕というオッサンの姿が怖いのだろうか。「僕はそんなイヤらしいロリコンカメラマンじゃありませんよ。至って紳士の旅専門カメラーマンです」そう飛びっきりの笑顔で伝えているつもりなのだが、余計に怪しまれているらしく、相手にもしてもらえない。立ち止まってくれるのはオトコばかりで、結局、ガキどもの写真しか撮れやしない。

     うーん、こうなったら物量作戦を展開するしかない。僕は、カバンからおもむろに飴ちゃんを取り出した。題して「飴ちゃんで釣って、写真を撮らせてもらう大作戦」。タイトルそのままの作戦だ。

     この飴ちゃん作戦。アイデアはよかったのだが、僕のやり方がよくなかった。袋にいっぱい入った飴を無作為に配り始めたら、帰宅中の小学生たちが一気に群がって、僕の飴を奪って取っていくではないか。

     ち、違う。僕はJICAでもボランチィアではないのら。この飴はカワイ子ちゃん限定の写真撮影見返り用の特別な飴なんだよ〜!

     と叫んでも、時すでに遅し。手元の飴ちゃんは全てなくなっていた。モノがなくなった僕には誰も見向きもしてくれない。しくしく。ああ、哀愁漂うオジサンの背中は泣いているよ。田んぼの中、途方にくれる僕。「おーまいごっと。それはキリスト教だった。仏教ではなんていうのか。ブッダんのばか、ばか」とブータンでぶーたれてみる。

     しかし、そんな僕に天使の手が差し伸べられた。「おじさん、写真撮ってよ」とカワイイ声。振り返ると、笑顔がとっても素敵なカワイイ姉妹がそこに立っていた。

     おお、こういう優しい被写体をオジサンはずっと求めていたのよ。パシャ、パシャ。いいねぇ、いいねぇと篠山キシン張りに撮りまくる。チミタチはまさに天使だ。ありがとねー。

     結局、オンナの子の写真が撮れたのはこの1枚限り。撮影終了後になぜか僕のアドレスを手渡して別れた。チミタチならいつでも日本のモーニング娘に加入できるよ。なんならオジサンが今度つんくと話つけとくからね。と、実は心の中で思っていたりして。

     次は登校時をねらって行こう。ちなみに僕は変態変質者風カメラマンではありませんから。

  • 「ザリン・ドゥー」。<br /><br /> ブータン語で綺麗だという意味。ブータンに来て、僕が一番最初に覚えた言葉だ。<br /><br /> ブータン人男性は陽気な人が多く、綺麗な女性がいれば、気軽に「ザリン・ドゥー」と声を掛ける。僕の担当ドライバーは、結婚して子供がいるにもかかわらず、車からよく「ザリン・ドゥー」と声を掛けていたから、自然と覚えてしまったのだ(ちなみに彼は毎晩のように遊びに出かけていた。田舎町の女の子の電話番号を聞いているのを目撃したりもしたぞ)。<br /><br /> ブータンの平均的な結婚年齢は、男性は25歳、女性は20歳ぐらいだという。ブータンでは女の子と付き合ってから結婚するまでが短く、だいたい3ヶ月ぐらい。しかも日本人のように結婚前に複数人と付き合うはなく、一人の人と3ヶ月程付き合って、その人と結婚に至る。その分、結婚に失敗することも多く、離婚率はけっこう高いようであった。<br /><br /><br /> 「日本人はあれですよね。だいたい5人ぐらい別々の女性と付き合って、それで3年ぐらい付き合った人と最後に結婚しますね」<br /><br /> 日本に5年ほど住んでいたガイドのテンジンが自信を持ってそう言う。<br /><br /> そうか?そんなの人それぞれではなかろうか。<br /><br /> そう僕が答えると、「いえ、そんなことありません。ワタシの調べた結果、そうなんです」と断言されてしまった。<br /><br /> ガイド中、僕の質問にはいつも自信なさげなのに、こんなことにだけ何故、自信を持つのだ、あんたは?<br /><br /> 「ワカさんはブータン人と結婚したいと言ってましたから、早速あの人にもそう言っておきました」<br /><br /> レストランの席で、そんな大事なことを突然ぺろっと言い放つテンジン。おいおい、確かにそうは言ったが、僕の了承を取らずに勝手に広めんなよ。で、どの子に言ったわけよ。どれ?え、あれ?違う。そっち?あ。ああーん。了解、了解。はいはいはい。じゃ、ちょっくら声掛けてきますわ。<br /><br /> 「ザリン・ドゥー♪」と。<br />

    「ザリン・ドゥー」。

     ブータン語で綺麗だという意味。ブータンに来て、僕が一番最初に覚えた言葉だ。

     ブータン人男性は陽気な人が多く、綺麗な女性がいれば、気軽に「ザリン・ドゥー」と声を掛ける。僕の担当ドライバーは、結婚して子供がいるにもかかわらず、車からよく「ザリン・ドゥー」と声を掛けていたから、自然と覚えてしまったのだ(ちなみに彼は毎晩のように遊びに出かけていた。田舎町の女の子の電話番号を聞いているのを目撃したりもしたぞ)。

     ブータンの平均的な結婚年齢は、男性は25歳、女性は20歳ぐらいだという。ブータンでは女の子と付き合ってから結婚するまでが短く、だいたい3ヶ月ぐらい。しかも日本人のように結婚前に複数人と付き合うはなく、一人の人と3ヶ月程付き合って、その人と結婚に至る。その分、結婚に失敗することも多く、離婚率はけっこう高いようであった。


     「日本人はあれですよね。だいたい5人ぐらい別々の女性と付き合って、それで3年ぐらい付き合った人と最後に結婚しますね」

     日本に5年ほど住んでいたガイドのテンジンが自信を持ってそう言う。

     そうか?そんなの人それぞれではなかろうか。

     そう僕が答えると、「いえ、そんなことありません。ワタシの調べた結果、そうなんです」と断言されてしまった。

     ガイド中、僕の質問にはいつも自信なさげなのに、こんなことにだけ何故、自信を持つのだ、あんたは?

     「ワカさんはブータン人と結婚したいと言ってましたから、早速あの人にもそう言っておきました」

     レストランの席で、そんな大事なことを突然ぺろっと言い放つテンジン。おいおい、確かにそうは言ったが、僕の了承を取らずに勝手に広めんなよ。で、どの子に言ったわけよ。どれ?え、あれ?違う。そっち?あ。ああーん。了解、了解。はいはいはい。じゃ、ちょっくら声掛けてきますわ。

     「ザリン・ドゥー♪」と。

  •  また同じ場所、同じ時間に待ち伏せをした。今度は前回の教訓を生かしているので、ヘマはしない。だから、面白いように何枚ものカワイイ小学生の写真を撮ることができた。これからは、プロのカワイイ小学生限定カメラマンを仕事として飯を食っていこうかなとも思ったほどだ(危ない、危ない)。<br /><br /> パロの小学生たちはかなり流暢な英語を話す。何でも授業のほとんどは小学生のときから英語で行うのだという。ちょっとでも難しい話になると、もうオジサンは理解できないのだよ。<br /><br /> えっ?何だって。写真を撮ってくれてありがとうって?<br /><br /> ・・・こっちが無理くり撮らせてもらっているのに。なんて、素直でいい子たちなんだろう。<br /><br /> 汚れていない澄んだ瞳を持った子供たち。彼らがこれからのブータン背負っていくのだもの。大丈夫、観光客に安らぎを与えるこの国は、いつまでも変わらないでいてくれるはずだ。<br /> <br /> 彼らの数年後の成長した姿を撮りに、またいつかブータンに戻ろう。<br /><br /> えっ?何だって。バイバイーって?もう来なくていいってこと?<br /><br /><br />

     また同じ場所、同じ時間に待ち伏せをした。今度は前回の教訓を生かしているので、ヘマはしない。だから、面白いように何枚ものカワイイ小学生の写真を撮ることができた。これからは、プロのカワイイ小学生限定カメラマンを仕事として飯を食っていこうかなとも思ったほどだ(危ない、危ない)。

     パロの小学生たちはかなり流暢な英語を話す。何でも授業のほとんどは小学生のときから英語で行うのだという。ちょっとでも難しい話になると、もうオジサンは理解できないのだよ。

     えっ?何だって。写真を撮ってくれてありがとうって?

     ・・・こっちが無理くり撮らせてもらっているのに。なんて、素直でいい子たちなんだろう。

     汚れていない澄んだ瞳を持った子供たち。彼らがこれからのブータン背負っていくのだもの。大丈夫、観光客に安らぎを与えるこの国は、いつまでも変わらないでいてくれるはずだ。
     
     彼らの数年後の成長した姿を撮りに、またいつかブータンに戻ろう。

     えっ?何だって。バイバイーって?もう来なくていいってこと?


この旅行記のタグ

2いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

タグから海外旅行記(ブログ)を探す

PAGE TOP