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スペインに日本から彼女がやってきた。会社の休みが取れたという事で、バルセロナで落ち合い、マドリッドまで一週間、一緒に旅行する事が出来たのだ。<br /><br />一週間という短い期間と、彼女が一緒という事もあって、少し普段の旅とは違うスタイルとなった。宿や列車もきちんと前もって予約をし、泊まる所もいつものように安宿のドミトリーというわけにはいかないし、食事にしてもそれなりの物を、それなりの所で食べたい。いつも予約や約束に縛られるのが嫌いで、旅に出るとケチになってしまう俺にそんな事が出来るのか?と思っていたが、いざやってみるとこれが楽しかった。<br /><br />無駄なく効率的に行きたい所に行けるし、綺麗な風呂に入って、綺麗なシーツで寝るのは気持ちがいいし、レストランでの食事はもちろん上手い。これまで旅先で出会ったバックパッカー達からブーイングが来そうだが、楽しいものは楽しいんじゃ!確かに金はこれまでの何倍もかかってしまうのだが。。。<br /><br />バルセロナではガウディ三昧。夜行バスで着いたグラナダでは半日でアルハンブラ宮殿を観光して、その日のうちにセビーリャへ。日帰りでアンダルシア情緒たっぷりのアルコス・デラ・フロンテーラや、シェリー酒の産地であるヘレス・デ・ラ・フロンテーラを訪れる。セビーリャでは、サンタクルス地区のシックなホテルに泊まり、アンダルシア料理やフラメンコを堪能。AVEというリッチな特急でマドリッドに移動し、デパートで買って来た極上の生ハムとサーモン、チーズ、バゲットで作ったサンドイッチを食べて、ホテルの部屋で最後の夜を過ごす。楽しい一週間が瞬く間に過ぎた。<br /><br />そして別れの日。当初の予定では俺も彼女の帰国と同じ日(土曜日)にロンドンへ発つ予定だったのだが、週末行われるハンドボールとサッカーのスペインリーグの試合を観たかったのと、冬のヨーロッパに備えて冬物を調達したかったので、2日間だけ延泊する事にした。<br /><br />マドリッド空港で彼女を見送った後に市内に戻り、プエルタ・デル・ソルに面したホテルをチェックアウトして近くの汚い安宿に移った。寂しさのせいか何のやる気も起きず、夜までずっと部屋で本を読みながら過ごした。夜になってこれじゃいかんと思い、自分にムチ打つように宿を出た。とりあえず近くのバールに入った。カウンターでビールとマッシュルームの鉄板焼きを頼む。奥のテーブル席にはアコーディオンの生演奏が入って、俺の好きな“Rain Drops Keep Falling On My Head”がかかっている。名画“明日に向かって撃て!”でポールニューマンが庭を自転車に乗って走りまくるシーンでかかっていた曲で、ほがらかで心和むメロディーなのだが、どことなくアコーディオンから流れてくる曲は寂しい気がした。俺はなんだか無性に悲しくなってバールを出た。<br /><br />次の日は朝早くから目が覚め、今日こそ気分を入れ替えようと誓って宿を出た。まず冬物調達の為、日曜ノミの市へ。だが、ろくな物がない。後でフエンカラル通りの古着屋にでも行くかと思い、今週末はホームでやるというレアルの試合の時間と行き方を調べにネットカフェへ向かった。するといつも日曜にやっているはずの試合が、今週は何故か土曜日に行われていた。しかも結果を見ると、後半途中から登場したラウルが勝ち越しゴールを決めて劇的な勝利を収めたとなっている。ちくしょー、昨日俺が部屋でゴロゴロしている間に!!<br /><br />ハンドボールの試合は土曜日と聞いていたが、昨日空港からの帰りにインフォメーションで聞いたところ、マドリッドでは試合がないという事だったので、何もせずにホテルにいたのだった。あの時一緒にサッカーのことも聞いておけば。。。<br /><br />仕方がないからせめて買い物だけでもと思ったら、普段は買い物客で賑わうフエンカル通りはほとんど全ての店が休みで閑散としていた。どうして日曜日にサービス業が休むかな。デパートの食品売り場でまた生ハムでも買って帰ろうとしたら、デパートまで閉まっていた。<br /><br />もう、何をやってもだめだ。<br /><br />しばらく宿の部屋で寝転がっていたのだが、夜になって人恋しくなった俺はまたバールに出かけた。こんなとき俺は老若男女問わず何かしらのきっかけを見つけては声をかける。一人黙って飲んでいたらどんどん落ちていってしまう。もしいい出会いがあれば友達になることもできる。だがそういうときに限って何の出会いもない。俺は一人ビールを飲んでバールを出た。外は寒く、雨が降っていた。俺は冷たい雨に打たれながら、宿の暗い部屋に帰った。<br /><br />俺は一人だ。<br />この街には友達も誰もいない。<br />俺は一人ぼっちなんだ。<br /><br />こんなにも一日で運と気分が逆転するものか。きっと人と一緒だったら笑い飛ばせる失敗も、一人では落ち込むばかりだ。何気ないちょっとしたことに楽しみを見つけることもできない。<br /><br />一人旅とはこんなにも辛く寂しいものか。俺はとにかく人と一緒にいるのが好きなのに、どうして一人旅なんかしているんだろう。なぜこんなところでわざわざ寂しい思いをしているんだろう。<br /><br />この旅はまだまだ先が長い。だが、俺はもうこのまま旅を続けていく自信がない。。。<br /><br />

冷たい雨

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2003/10 - 2003/10

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captainkoji

captainkojiさん

スペインに日本から彼女がやってきた。会社の休みが取れたという事で、バルセロナで落ち合い、マドリッドまで一週間、一緒に旅行する事が出来たのだ。

一週間という短い期間と、彼女が一緒という事もあって、少し普段の旅とは違うスタイルとなった。宿や列車もきちんと前もって予約をし、泊まる所もいつものように安宿のドミトリーというわけにはいかないし、食事にしてもそれなりの物を、それなりの所で食べたい。いつも予約や約束に縛られるのが嫌いで、旅に出るとケチになってしまう俺にそんな事が出来るのか?と思っていたが、いざやってみるとこれが楽しかった。

無駄なく効率的に行きたい所に行けるし、綺麗な風呂に入って、綺麗なシーツで寝るのは気持ちがいいし、レストランでの食事はもちろん上手い。これまで旅先で出会ったバックパッカー達からブーイングが来そうだが、楽しいものは楽しいんじゃ!確かに金はこれまでの何倍もかかってしまうのだが。。。

バルセロナではガウディ三昧。夜行バスで着いたグラナダでは半日でアルハンブラ宮殿を観光して、その日のうちにセビーリャへ。日帰りでアンダルシア情緒たっぷりのアルコス・デラ・フロンテーラや、シェリー酒の産地であるヘレス・デ・ラ・フロンテーラを訪れる。セビーリャでは、サンタクルス地区のシックなホテルに泊まり、アンダルシア料理やフラメンコを堪能。AVEというリッチな特急でマドリッドに移動し、デパートで買って来た極上の生ハムとサーモン、チーズ、バゲットで作ったサンドイッチを食べて、ホテルの部屋で最後の夜を過ごす。楽しい一週間が瞬く間に過ぎた。

そして別れの日。当初の予定では俺も彼女の帰国と同じ日(土曜日)にロンドンへ発つ予定だったのだが、週末行われるハンドボールとサッカーのスペインリーグの試合を観たかったのと、冬のヨーロッパに備えて冬物を調達したかったので、2日間だけ延泊する事にした。

マドリッド空港で彼女を見送った後に市内に戻り、プエルタ・デル・ソルに面したホテルをチェックアウトして近くの汚い安宿に移った。寂しさのせいか何のやる気も起きず、夜までずっと部屋で本を読みながら過ごした。夜になってこれじゃいかんと思い、自分にムチ打つように宿を出た。とりあえず近くのバールに入った。カウンターでビールとマッシュルームの鉄板焼きを頼む。奥のテーブル席にはアコーディオンの生演奏が入って、俺の好きな“Rain Drops Keep Falling On My Head”がかかっている。名画“明日に向かって撃て!”でポールニューマンが庭を自転車に乗って走りまくるシーンでかかっていた曲で、ほがらかで心和むメロディーなのだが、どことなくアコーディオンから流れてくる曲は寂しい気がした。俺はなんだか無性に悲しくなってバールを出た。

次の日は朝早くから目が覚め、今日こそ気分を入れ替えようと誓って宿を出た。まず冬物調達の為、日曜ノミの市へ。だが、ろくな物がない。後でフエンカラル通りの古着屋にでも行くかと思い、今週末はホームでやるというレアルの試合の時間と行き方を調べにネットカフェへ向かった。するといつも日曜にやっているはずの試合が、今週は何故か土曜日に行われていた。しかも結果を見ると、後半途中から登場したラウルが勝ち越しゴールを決めて劇的な勝利を収めたとなっている。ちくしょー、昨日俺が部屋でゴロゴロしている間に!!

ハンドボールの試合は土曜日と聞いていたが、昨日空港からの帰りにインフォメーションで聞いたところ、マドリッドでは試合がないという事だったので、何もせずにホテルにいたのだった。あの時一緒にサッカーのことも聞いておけば。。。

仕方がないからせめて買い物だけでもと思ったら、普段は買い物客で賑わうフエンカル通りはほとんど全ての店が休みで閑散としていた。どうして日曜日にサービス業が休むかな。デパートの食品売り場でまた生ハムでも買って帰ろうとしたら、デパートまで閉まっていた。

もう、何をやってもだめだ。

しばらく宿の部屋で寝転がっていたのだが、夜になって人恋しくなった俺はまたバールに出かけた。こんなとき俺は老若男女問わず何かしらのきっかけを見つけては声をかける。一人黙って飲んでいたらどんどん落ちていってしまう。もしいい出会いがあれば友達になることもできる。だがそういうときに限って何の出会いもない。俺は一人ビールを飲んでバールを出た。外は寒く、雨が降っていた。俺は冷たい雨に打たれながら、宿の暗い部屋に帰った。

俺は一人だ。
この街には友達も誰もいない。
俺は一人ぼっちなんだ。

こんなにも一日で運と気分が逆転するものか。きっと人と一緒だったら笑い飛ばせる失敗も、一人では落ち込むばかりだ。何気ないちょっとしたことに楽しみを見つけることもできない。

一人旅とはこんなにも辛く寂しいものか。俺はとにかく人と一緒にいるのが好きなのに、どうして一人旅なんかしているんだろう。なぜこんなところでわざわざ寂しい思いをしているんだろう。

この旅はまだまだ先が長い。だが、俺はもうこのまま旅を続けていく自信がない。。。

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