グラーツ良いとこ一度はおいで

2003/06/21 - 2003/06/21

創業400年のパン屋。
行った時にはもう営業時間はすぎていた。
それでも諦めきれずに中を覗いていると、中からおばあさんが出てきた。
「もう閉店なのはわかっていたのですが、僕たちは遠い日本からきたもので(半分ウソだ。ウィーンからやってきたのだから)、つい、中を覗いてしまいました」
と言い終わる前に、おばあさんは鍵を開けて、中に招じ入れてくれた。
慌てて、すでに曲がり角に差し掛かっていたマシェリ、マオ、ポリンの３人を、大声の日本語で呼び止めた。

エリア グラーツ(オーストリア)

そのしっとりと古びた店内を見ていると、おばあさんが
「パンはいらないの？」
思ってもいなかった言葉に、我々は喜んだ。

連れて行かれた店の奥には、売れ残ったのか、大量のパンが。
「好きなだけ、お持ちなさい」

4人の東洋鬼(日本３インドネシア１)は、その言葉に遠慮会釈もなく、
「あ、これ美味しそう・・・これも食べたいな」
と結局全種類のパンを選び出したのだった。

おばあさんは、「これに入れなさい」と、店の袋を持ってきてくれた。

近くの公園で、パンを食べまくったが、歴史に人情の味付けが加わって、美味しく戴いた・・・が、欲張りすぎた我々は、全部を食べることが出来なかった。
残ったパンは、ルーム・メイトのドナルに上げると、この20歳の天才少年は、無邪気に喜んで、帰路の電車の中で既に食べ始めた。