2017/07/31 - 2017/08/02
114位(同エリア168件中)
kazimさん
- kazimさんTOP
- 旅行記32冊
- クチコミ21件
- Q&A回答48件
- 105,079アクセス
- フォロワー4人
イスタンブルから東へ500キロ余り、バス(70リラ=約2300円)で8時間ほどのカスタモヌは、黒海にほど近い山中にたたずむ美しい街です。長い歴史を持ちながら、現代の人口は10万ほど、古民家が多く残り、近代的な部分もあり、2泊の滞在でとても良い印象を受けました。似たような位置づけの街にバスで2時間ほどのサフランボルがありますが、完全に観光地化されて人も多く、ゆっくり回れる穴場的な魅力でカスタモヌがおすすめです。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
7月31日午後6時過ぎに着いた私は、早速、日が暮れかかろうとする街に出ました。とりあえず、街の西の山上にランドマークとしてそびえるカスタモヌ城を目指します。
-
かなりの登り坂ですが、空気が澄んで乾燥しているので、それほど苦痛ではありません。登りつめると数軒の土産屋が並ぶ先に、ビザンツの時代に築かれたという城の入口がありました。
-
城自体はトルコの地方都市と同様、石垣が残るだけですが、そこからの眺望はなかなかのものでした。街は、この城のある山と、反対側(東側)の山を挟んだ谷あいに広がっています。両者の距離は数百メートル程度、谷にはカラチョマク川が流れて、それに沿って家々が並んでいます。
-
城から見た、街の中心とは反対の方向(南側)の眺望です。トスヤやチョルムに至る道かも知れません。緑の樹々も目立ちます。総じて乾燥したトルコの中で、比較的に湿潤な黒海沿岸地方に属し、そのためにここには木の文化があります。
-
この城の周辺に古い民家が集まっていると聞きました。下り坂を足の向くまま降りていきます。「ハムザ・アーア・ジャミィ」という標示のモスクに出ました。その下には「15世紀」と書いてあります。その頃の創建なのでしょうか。
-
ミナレットが1本だけのこじんまりとしたモスクですが、そのミナレットが木製で独特です。この後も、この木の文化を続けて体感することになります。写真下の老人に「イイ・アクシャムラル(今晩は)」と声をかけると、にっこり笑ってくれました。
-
さらに足を進めると、イイ感じの路地が続きます。坂道、石垣、古民家。緑も豊かで、車はほとんど通らず、実にゆったりした空間です。
-
花も咲いています。カスタモヌは「エン・テミズ・シェヒル(一番清潔な街)」を売りにしているようで、古い街を美しく使おうという意欲が十分に伝わってきます。窓からのぞく人影は、「メルハバ(こんにちは)」と声をかければ、挨拶を返してくれます。
-
トルコの古民家の多くは、ハーフ・ティンバーというのでしょうか、こうした木製の枠組みの間を塗り回した形式が多いのですが、木材が豊富だったので、こうした建物が他の街より多く作られたものと思われます。
-
そして、街がそれほど近代化されなかったために、こうした昔のままの民家が残っているのでしょう。もちろん中心には近代的な建物が並んでいますが、山腹に素晴らしい古民家が残ったのは、奇跡的なことかもしれません。
-
時間を忘れて歩き回るうちに、日が暮れてしまいました。繁華街に戻ります。この県庁前の広場が街の中心です。
-
広場から見上げると、見事にライトアップされた城が、夜空に浮かんで見えました。
-
カラチョマク川に架かるナスルラー橋は古い石橋です。ここも美しくライトアップされています。「カラチョマク」は「黒い枝」の意だと思いますが、何かいわれがあるのでしょうか。
-
遅くまで歩いたので、街のレストランが閉まってしまいました。ホテルで夕食をとりましたが、酒はないそうで、もう一度街に出て酒屋を探し、部屋でスミットとビールを飲みました。この街に酒を出すレストランはない模様です。
-
ホテルの窓から見た県庁前の広場です。12時を回ると人の姿がまばらです。昼間は30度近くあった気温が12度ほどにまで下がり、半袖では寒く感じました。高原の気候です。
-
翌8月1日、まず郊外のカサバ・キョイにあるマフムトベイ・ジャミィというモスクを目指します。オトガルからバスかドルムシュがあると聞きました。この県庁前広場の左端が市内バスのターミナルになっており、2リラでオトガルに着きます。
-
写真はすでにマフムトベイ・ジャミィのものですが、たどり着くのにいささかの苦労をしました。オトガルのどこで尋ねても「カサバ・キョイに行く便はない」と言うのです。
-
仕方なくタクシーを使うことにしました。カサバ・キョイまで約15キロは40リラだけれど、往復なので70リラ(約2300円)ということです。
-
車は東方向へダダイ(Daday)という街に向かう道を走ります。10キロほどでその道を折れると「カサバ・キョイまで3キロ」の標示があらわれました。なるほど、ダダイ行きのバスはあっても、この3キロ分の交通機関がないのですね。
-
そして、カサバ・キョイに着き、目的のマフムトベイ・ジャミィの前で降りました。これが外観です。
-
ジャミィには治安警察官が1人駐在し、土地の老人と庭でお茶を飲んでいます。「珍しい外国人が来たよ」という風情で出迎えてくれました。ジャミィだけに入場料はいりません。
-
これが入口です。なんてことない感じですが、靴を脱ぐよう指示され、「あとはどうぞご自由に」という感じで促され、一歩中に入るとびっくりします。
-
内部のしつらえがすべて木製です。そして、そこに繊細な装飾がなされています。写真のように、階段状に何層かのレベルが作られているのは、女性や高僧の席だろうと思われます。こうしたところに入るのも自由です。
-
特に天井部分の装飾が素晴らしいものです。トルコの他のジャミィでは見たことがない作り方です。再び木の文化を実感しました。
-
ミフラーブの部分はメッカの方向を示しています。ここだけは修復されたものと思われます。モザイクの明り取りがミフラーブを囲んで、祈りの厳粛さを演出します。
-
どうやら14世紀のセルジュク朝時代に建てられたもののようです。あとは、公的機関で保存する、なんてことが書いてあるようです。
-
戻って庭にいた治安警察官や老人に話を聞きます。カサバ・キョイの人口は300人、交通手段もなくなり、今は農業や牧畜でほぼ自給自足のようです。ジャミィを取り仕切る僧がいなくなり、今は保存するだけで「観光客はたまに来る」とのことでしたが、門前の3軒ほどの土産店は閉まっていました。
-
タクシーで街に戻り、市の中心の時計塔(サアト・クレスィ)で降ります。オトガルからさらに5キロほどを乗ったので、チップも含めて100リラを支払いました。
-
昨日のカスタモヌ城とは反対(東)側の高台のあるシンボルが、時計塔です。県庁広場の南東の丘の中腹です。塔の近くでは、最近トルコではやっているロープウェーの設置工事を行っていました。さらに山の上方に登れるようにするのでしょう。
-
塔の下には気持ちの良いチャイ・ガーデンがあります。座っているのは観光客でしょうか、地元の人でしょうか。街では、良いカメラを構えた観光客にたまに出会います。
-
市街に降りる長い階段を下ると、緑の間に城が見え隠れします。昨日とは反対(東)側、時計塔に沿った山の中腹をさらに歩き回ることにします。
-
山を下りてしまえば中心部なので、あえて中腹をうねうねと辿る路地を選んで進みます。小さなモスクはやはり木製のミナレットを持っています。
-
美しく修復された家屋があらわれました。いくつかの家屋は改装されてホテルになっているとのことです。私は近代的なホテルに泊まりましたが、こうした伝統家屋に泊まるのも一興です。トルコ語で「コナク(konak)」がつくホテルは、こうした伝統家屋を改装したものです。
-
トウガラシを干している窓です。家主は意識していないでしょうが、石壁と不思議にマッチして、一枚の絵のようです。
-
手前の水場をバックにした伝統家屋、これは相当に傷みが来ています。2時間ほど歩いてホテルに戻り、しばらく休憩です。
-
昼寝から目覚めて夕刻、再び歩き始めます。今度は南を目指して歩き約1キロ、洞窟墓を目指しました。
-
洞窟墓は紀元前5世紀頃のもののようです。この街は紀元前18世紀にはできていたとwikiにはあります。豊かな川が流れる谷あいの地、太古の人がここを選んだのもうなずけます。
-
ここでもふと見上げると、カスタモヌ城の威容が目に入ります。夕日に照らされて、一味違った趣きです。
-
街の中心に戻ります。街はカラチョマク川を軸にすると大変わかりやすい構造です。上流のダムで水量が調節されている川は、北に向かって常に滔々と流れています。川沿いの両側はそれぞれ一方通行のメインストリートで、北へ向かうのがアタテュルク通り、南に向かうのがジュムフリエト(共和国)通りです。緑の並木が美しく、歩きやすい道です。
-
中心部には商店が並び、それなりの賑わいを見せています。ニンニクが名物なのでしょうか、店先にたくさん並んでいました。人々は勤勉で、観光客で儲けようという思いはないようです。それでいて声をかければ、朗らかに応じてくれます。
-
ナスルラー橋の横にはナスルラー・ジャミィがあり、この一画がカスタモヌの本当の中心なのでしょう。大きなモスクではありませんが、人々が集まっています。
ナスルッラー ジャーミィ 寺院・教会
-
ケルヴァイサライ(隊商宿)の建物が残され、いくつかの商店が入っています。中庭ではお茶を飲みながら人々がくつろいでいます。
-
ケルヴァイサライの2階部分です。連なるアーチの一つ一つに地元の人のための店が並んでいます。生地屋とか靴職人とか、地味な、しかし生活感のある店です。
-
かなり奥深いところへ入っていくと、気持ちの良いチャイ・ガーデンがありました。ここで一休みです。
-
庶民的で小さな店が続きますが、ごみごみした感じはなく、ちょっとした広場にも花が咲き乱れています。
-
最後の夕食は、街一番と思えるレストランでとりました。「ジェム・スルタン・ベデステニ(Cem Sultan Bedesteni)」という店で、名前の通り「ベデステン(貴金属市場)」を改装した店構えです。1階部分がこの写真です。
-
2階に席をとります。残念ながら2階はちょっと暑いのですが、食事とウェイターの対応は見事です。特に若いウェイターたちのきびきびとした動きは素晴らしいものでした。
-
まずスープは、エジェヴィト・チョルバスです。これはカスタモヌの名物とのこと、米とお茶にチキンスープとバター、溶き卵やヨーグルトまぜて煮込み、香草で味を調えています。酸っぱさを感じるのはヨーグルトからか、それでいてお茶が入っているからか後味はよく、大変美味でした。
-
メインの料理は「ジャバダ・ターウク」です。「ターウク」は「チキン」ですが、問題は「ジャバダ」です。トルコ人の友人に写真を見せると誰もが「これはギュベチだ」と言います。確かに「ギュベチ」という鍋に入ったシチューがありますが、店のメニューでは別でした。トルコ版ヤフーでやっと「ジャバダ・ギュベチ」を発見しました。「ギュベチ」の一種なのでしょうが、どこが違うかは不明です。とにかくチキンを玉ねぎとトマトなどでソテーしており、これもなかなかでした。(ビールはないので)アイランとチャイを飲んで25.5リラ(850円余り)、計算を間違えたのではないかと思うほど安かったです。
-
最後にカスタモヌに行かれる方のために情報を書いておきます。私が宿泊したのは「Otel Mutevelli」です。「u」にはウムラウトがついて「ミュテヴェッリ」です。1泊110リラ(約3700円)、県庁前広場に近くとても便利な場所にあり、新しく清潔です。ここの位置情報はそのホテルのものです。このあたりにはホテルが数軒並んでいます。
-
オトガルは中心から5キロほど南(ここの位置情報)に位置し、この街のバス会社にはセルヴィスはなく、2リラの市内バスが中心まで頻発です。なお、イスタンブル便は1日10本で、ほとんどがメトロ社です。基本的に8時間余りの所要ですが、一部アンカラ経由で11時間以上かかる便があります。アンカラへは4時間ほどで、1日20便近くあり、キャミルコチ社も運行しています。さらにブルサ便も7便あります。イイ感じで古びているこの街で、ぜひ数日をお過ごしください。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
その他の都市(トルコ) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
51